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17世紀。フランス占領下にあるドイツにて。
化け物退治の専門家として名を馳せているグリム兄弟がいた。もちろんマッチポンプの詐欺だった。
ある日、フランス軍の将軍に捕まって、同じようなことをしている奴らがいるから事件を解決してこいと命じられる。
しかし、そこでいたのは本物の化け物と魔法だった……
グリム童話の作者が詐欺師だった、という設定に「おっ」と唸らされ、グリム童話に出てくるエピソードや小道具がたくみに使われていることにニヤリとし、この映画であった出来事がのちにグリム童話となる、というオチに思わず「なるほど」と頷いてしまう。
グリム童話というキャッチの強いモチーフを用意し、先端CG技術を童話の再現に使うという正しい使用法を行う。
この映画の企画を立てたやつは天才にちがいない。
でも、できあがったのはどう見てもドリフでした。
なんなの、これ?
脚本が悪いの?
フランス占領下のドイツ、という設定がまったくうまく動作しておらず、ひたすらにわかりにくいだけなのが不快だし、キャラの描写や行動原理が単純なのに散漫で、みんななにがしたいのかわからず、ストーリーの軸がわからない。そもそも笑って欲しいのかどうかもわからない。
それとも映像が悪いの?
まるでテレビドラマのようなペラペラとした画面に、凝っているわりにはやたらとちゃっちさを感じるCGがてらてらと輝き「いまさっき作りました」といわんばかりのセットっぽい背景がドイツの森というよりはおだいばのテレビ局のようですらあった。
特に池の質感が最高で、あの浅さ、水の中途半端な汚れ具合などは、どこからどう見てもバラエティ番組でコメディアンが落とされるための池であり、そのしょっぽい池に人が浮かび上がってきた時なぞ、思わず「志村うしろー!」と叫びたくなった。
このほとぼしるお茶の間感覚はどう考えてもドイツではなくドリフ。
役者が悪いのかしら?
どう見てもコミケにいるコスプレイヤーみたいなハリボテ感あふれるコスチュームを身に着けた役者たちが、とにかく笑わせたいのか笑わせたくないのかわからないような演技を繰りひろげ、そしてすべての演技が脚本同様、壮大にすべっているのがたまらない。
そもそもなんで主演がどこからどう見てもジミー大西なんだよ。
弟はいいよ?眼鏡という小道具に頼っているとはいえ、夢見がちな弟という設定に忠実な外見だよ。
でも兄はなんだよ。どこの蛮人だよ。グリム兄弟ってよりグレムリン兄弟だよ。なんでこんなのが主役なんだよ。つうか誰だよ、この主演のやつ。
あ……マット・デイモン?
なるほど……
噂には聞いていたが、たしかにデイモンはジミーちゃんに見える瞬間があるようだ。
つうかこの映画のデイモンはどこからどう見ても120%ジミーちゃんだ。
ま、まあデイモンはいいや。
グリム童話のガジェットを多用するのは童話好きとしてはニヤリだと思うが、脚本のつなぎ方自体にやる気がまったく感じられないため、次第にどうでもよくなってくる。
キャラクターも、設定だけならかなりおいしいのに、なんでこんなことになったのかまるでわからない。
行動力はあるが低俗で、弟に呆れているが見捨てられないグリム兄。
夢見がちのロマンチストで、兄に辟易しているが離れられないグリム弟。
幼い頃に弟が騙されて妹の薬代で豆を買ってしまい、妹を死なせてしまったのが二人のトラウマ。
という設定だけで明らかにご飯三杯はいけるはずなのに、実際は一口でもう結構となるこの不可思議さ。
どう考えてもそれなりに面白くなる企画と設定をもってしても、駄作を作ることは出来るのだということに、むしろ感銘を受けた。
スタッフが虫を表現することにがんばっていることだけは伝わってきたが、あとはなにがしたいのかさっぱりだった。
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ロード・オブ・ザ・リングのサム役の人だと思ってた……!
テリー・ギリアムなんですよね。えーと、あと
「未来世紀ブラジル」もこの人だったかな。
変人を監督にしたのが失敗だったのではないかと
自分は思っております。