２０１２年３月５日(月) 提供 ／ ＪＡＬ
♪ BOTH SIDES NOW EUROPEAN JAZZ TRIO
♪ SAVE THE BEST FOR LAST 鳥山雄司
人は 出会いと別れを繰り返し
絶えることのない 時の流れを 歩んでいかねばなりません
思い出という 永久に消えない 星屑を残しながら
今 季節は廻り 再び 花の季節が訪れようとしています
今週の JET STREAM は
可憐な姿と 優しい香りで 人の心を癒す
世界の 花にまつわるお話をしましょう
過ぎ去りし人々への思いを 世界の花の話に込めて
ヨーロッパに 春を告げる香りと言えば スミレの花
日本で スミレというと 道端にひっそりと咲く 可憐なイメージがありますが
ヨーロッパの花は 香水等に使われる 香りの強い ニオイスミレ
バイオレットと呼ばれる 花のイメージに ぴったりな
鮮やかなスミレ色をしています
このスミレの花で有名な街が 南仏 コートダジュールの ニースに程近い所にある
トゥーレット・シュル・ルー(Tourrettes sur Loup)です
この トゥーレット・シュル・ルー 今も 中世の香りを残す街として
フランスを旅行する人には とても人気があります
この街は 中世の時代 異教徒の侵入を防ぐ為
岩山の上に城壁を巡らし築かれた 鷲の巣村と呼ばれる 城塞の村
断崖にへばり付くように造られているので とても交通の便が悪く
観光地化されなかったこともあって
今も 街の中を歩くと ふと 中世の時代に タイムスリップした気分になります
坂道と 細い路地 路地の向こうに見える 小さな広場では
男たちが ペタンク と呼ばれる 鉄のボール投げをして 遊んでいます
この街の虜になり 自分の作品を売りながら のんびり暮らす芸術家も多いとか
食べ物を売るお店が少ない割に アトリエの数がとても多く
声を掛けると 気軽に作品を売ってくれます
さて 今宵は この街で買って来た
スミレの花の入った 紅茶を飲む事にしましょう
お湯の中で スミレの花が まるで 咲くようにゆっくり開きます
ティーカップに入れて口に含むと 花の香りが 体中に沁み込んで行きます
今頃 トゥーレット・シュル・ルーの街も
このスミレの花の香りに 包まれていることでしょう
♪ 花 EUGEN CICERO
SOUND GRAFFITI
今週は エバーグリーンサウンドを集めてお送りします
今夜はその第一回 CARPENTERS 曲は…
♪ YESTERDAY ONCE MORE
♪ I WON'T LAST A DAY WITHOUT YOU
♪ GOODBYE TO LOVE
♪ CLOSE TO YOU～遥かなる影
３曲続けて お聴きください
♪ RIBBON IN THE SKY ONAJE ALLAN GUMBS
中国の都 北京の春を告げる花と言えば 桃の花
桃の木で有名な 頤和園(iwaen)の 万寿山(manjyusan)は
もうすぐ 淡いピンクに染まることでしょう
頤和園は 世界遺産にもなっている 中国を代表する庭園の一つ
この桃の花で 有名な万寿山の麓に 蘇州街(sosyugai)があります
ここは 中国の水の都 蘇州を そっくり真似て造られた 遊園地のような所
ここに 宦官たちが商人に扮してお店を開き
歴代の皇帝の妃たちが 買い物ごっこをして遊んだ場所です
この蘇州街 実物より 小さく造られているので 一層可愛らしい感じがします
この蘇州街の水面に 桃の花が映ると まるで ここは桃源郷のような気がします
ところで この桃源郷
実は 西洋人が考えるユートピアとは 全く正反対の世界です
この 桃源郷という名が 最初に出て来るのは
陶淵明(touenmei)という 詩人の作品
この中で 一人の漁師が 船で桃の林に迷い込み
辿り着く場所として描かれています
この桃源郷で 人々は 平和に 豊かで 楽しく 自由に暮らしています
しかしながら ここの人たちは
特別な能力を持った人間でも すぐれた考えを持った人間でもありません
桃源郷で暮らすのは ごく普通の人間たち
長く悲惨な戦乱が続いた時代
彼らは 現実を諦め すべてを捨てて この理想の世界に辿り着いたのです
主人公の漁師は 一度 桃源郷を離れると
もう二度と 戻ることができませんでした
桃源郷は 探しても 決して見つからない 誰もが持つ 心の中にある
この話を思い浮かべて 桃の花を見ると 一層 味わい深いものがあります
♪ HERE IS HAPPINESS EVERYTHING PLAY