2010年12月24日(金) 提供 / JAL
♪ O Come All Ye Faithful Angeliane
♪ Ave Maria(J.S.Bach C Gnoud) 藤森亮一、Karl-Andreas Kolly
♪ The First Noel The Philadelphia Orchestra
今から150年ほど前、イギリスのオックスフォード大学に、チャールズ・ドジソンという数学者がいました。ドジソンは、幼い頃から、牧師になりたかったのですが、残念ながらなれませんでした。人前で話そうとすると、緊張して言葉が出なくなる、吃音症という障害があったからです。ある日、ドジソンの家の隣に、アリス・リデルという少女が引っ越してきます。明るい性格のアリスは、ドジソンとすぐに仲良くなります。少々気難しいドジソンでしたが、アリスには、心を開きます。そして、もう一つ不思議なことがありました。ドジソンは、アリスと話す時だけは、悩んでいた発音障害が起こらなかったのです。1862年、7月の、夏の日の午後、ドジソンは、いつものように、アリスに面白い物語を聞かせます。これまでも彼は、面白い話を聞かせてくれたのですが、その日の話は、特別でした。アリスはこの話を聞き、こう言います。「ねー ドジソンさん 今日のお話を 私に書いてくれない?」 それから2年後、ドジソンは、その話を、一冊の手作りの絵本にして、クリスマスのプレゼントに贈ります。その表紙には、こう書かれていました。地底の国の アリスの冒険、ルイス・キャロル。こうして、世界的な名作、不思議の国のアリスは誕生したのです。聖書よりも読まれているという、不朽の名作、不思議の国のアリス。孤独な数学者が、心優しい少女に贈った、そのクリスマスプレゼントは、今、大英図書館で見ることが出来ます。
♪ Sleigh Ride Boston Pops Orchestra
♪ Deck The Halls with Boughs Of Holly The Philadelphia Orchestra
サウンドグラフティ
今週も クリスマスソングの名曲と ラヴバラードを特集しています
今夜はその第十回 曲は…
♪ Joy To The World Nat King Cole
♪ You Make Me Feel Brand New The Stylistics
♪ Silent Night Bing Crosby
♪ Green Sleeves To A Ground With Division ラファエラ・ダンクザークミュラー、西谷尚己、大塚直哉
クリスマスになると、いつも思い出す小説があります。アメリカを代表する作家、オー・ヘンリーが書いた、賢者の贈り物です。ジムとデラという、貧しい夫婦が、互いにクリスマスプレゼントを贈ろうと考えます。夫のジムは、祖父から父、そして、自分へと受け継がれた、懐中時計を大切にしていました。妻のデラは、長い髪が自慢でした。そこで、貧乏なジムは、妻の為に、大切な時計を質に入れ、そのお金で、べっ甲のくしを買います。妻のデラは、自慢の長い髪を切って売り、時計を吊るす、金の鎖を買ったという、お話です。この、切なくも、悲しいプレゼントの行き違いを書いた、作家の、オー・ヘンリー。彼がこうした小説を書くようになるのは、実は、刑務所に、横領罪で服役中のことでした。オー・ヘンリーは、以前働いていた、銀行のお金を横領した疑いで訴えられ、裁判をしている最中、逃げ出してしまいます。この逃亡中、彼は、妻が病気になったという知らせを聞き、看病の為、家に立ち戻ったところを、逮捕されます。しかも悲しい事に、病気の妻は、看病の甲斐なく、この世を去ってしまうのです。オー・ヘンリーが、そんな、亡き妻への思いを聖書の物語に重ね合わせたのが、賢者の贈り物、だと言われています。この小説は、こんな文章で結ばれています。贈り物をする、すべての人の中で、この二人が最も賢明だったのです。贈り物をやり取りする、すべての人の中で、この二人のような人たちこそ、最も賢い人たちなのです。彼らこそ、東方の賢者たちです。あなたは、今日のクリスマス、大切な人に、何を贈りましたか。
※賢者の贈り物The Gift of the Magi オー・ヘンリー作 結城浩訳 http://www.hyuki.com/trans/magi.html
♪ The Christmas Song Larry Carlton
♪ It Came Upon The Midnight Clear The Philadelphia Brass