昨今は、剪定動画も増えつつあって
普通の人でも剪定本を読むのが面倒と
思っている人でも、やる気があれば気
軽に無料で学べる環境が出来ている。
そういうのを見て剪定に注文を付けら
れると困るのですが、グチャグチャに
絡み合った刈込の庭木を綺麗に透かし
てほしいなんて要望がある。
時間をかけて枝を整理し、新しく出る
芽に期待しつつ忌枝を整理しながら新
たに「そういう庭木」にして行く訳で
すが、年に一度呼びつけてやれと言わ
れても土台無理な話。
新たな芽を出やすくするには水遣りや
多少の肥料も要るし、不要な芽や枝は
大きく成る前に除いておいて、必要な
枝を育てながら間延びさせずに小枝を
混ませて初めて透かし剪定をすると綺
麗になるという手順を踏まないといけ
ない訳ですが、一年ほったらかしで出
向いて行ったらビョ~ンと伸びた枝が
伸び放題で絡んでしまって、綺麗にし
たい気持ちなどどこ吹く風で、強く切
り込んで下さいなんてことになる。
昨年言ったことなど忘却の彼方。
綺麗に見える庭木は「手数と関心度が
違う」のだから。
ちなみに、剪定の基本は色々あれど、
一番重要なのは枝の向きだ。
地面から立ち上がる主幹を中心に、東
向きの枝から出る小枝は東方面へとい
う具合に全方位で小枝を揃えてやる。
一番下の枝から徐々に枝は斜め上向き
になり全体として丸であったり三角で
あったりする訳ですが、それぞれの向
きに沿って枝を残してやることで、そ
れだけで落ち着いた庭木になります。
そこで忌枝と言うものが出て参ります
が、立枝や下り枝や逆向きの枝がある
と一目瞭然で分かる訳で、上下の枝に
干渉して必要な枝の生育を阻害してし
まうので除く必要があるということで、
どの剪定教本でも書かれていることで
すがそういうことです。
プロだとか業者だからとか初心者だか
らというのは全くの無意味で、見る目
があるのか関心があるのかどうかとい
うことでしかありません。
プロ以上の普通の剪定趣味さん達はあ
ちこちにいて自宅を飾っていますが、
手間暇の数は限りなし。
水遣り・施肥・剪定・芽欠き・花柄除
去・除草・防虫殺菌・清掃などなど。
植木屋で松以外はバリカンで刈り込ん
でしまうかブツ切りにしてしまう業者
がいて、お金貰ってる以上プロな訳で
すが、お客自身それで良いと思ってい
れば問題はありません。
伝統的な剪定技術を身に着けたプロと
いっても、お客に理解と予算が無けれ
ば、どうにもならないのが庭木剪定と
いうものですが、動画などを見て感心
があるのならご自分でやってみるのが
一番の近道だろうと思います。
失敗してもまた芽を出す樹種を選んで
練習すれば問題はないでしょう。
庭木をよく観察すれば色々と見えるよ
うになりますが、そういう基本を無視
した庭木は数多くあり、業者でさえ見
えない人がいるのが現実ですが、気が
付いていても作業時間と予算上あえて
無視するということはありまして、図
太く生きないと手が回らないというの
が業者の側面ではありますので、やは
りお客自身が庭木を見る目を持つとい
うのは必要なことかなと思う今日この
頃でございます。
なお、水遣りを怠ると松の小芽が枯れ
やすいので剪定がし難くなる。
木は自らの危機を感じたら強い芽に養
水分を送ってしまう。木が生きている
ということと、剪定がしやすい庭木を
保つということの違いを知らない人は
多いです。
今の日本社会も庭木も置かれた状況は
同じだな。
ではでは。