
今年も、沖縄本島北部にある本部町で桜まつりが始まった。年末年始の寒さで桜が目を覚ましたらしく、例年より早い段階で多くの桜の木が開花している。
その本部町のお祭りよりも一週間早く、いつもお世話になっているご夫婦がお店を開店した。わたしは、そのお店のお手伝いという名目で、開店して2日目に遊びに。滞在した2日間のうち、1日目はとんでもなく寒く、雨風が強く降ったり止んだりを繰り返していて、とても商売どころではなかったのだけれど、2日目は雨が上がってお客さんもちらほらと訪れた。
お店には、夫婦が端正こめて育てた「タンカン」や「ショウガ」「シークヮーサー」などが店頭に並び、カレーや焼きそばの軽食も食べられる。思いついて、家の敷地のあちらこちらに取り切れないほどに自生したパパイヤも、採れたてを並べた。あとは、手先の器用な奥さんが作った紅型模様のコースターやパッチワークのマット、お手玉なども売っている。
ご主人の「基本はここへ寄ってくれる人とのおしゃべりが楽しみで、収支はトントンでよい、もうけが出れば嬉しい」という考え方が好きで、わたしもお手伝い・・・というよりも、接客や時間が空いたときのご夫婦とのおしゃべりを楽しみに行くようなものだ。もちろん、たくさんのお客さんが来てくれると、賑やかでそれだけで嬉しい。
翌週、千葉から遊びに来た友だちを伴ってお店を訪ねたら、ご主人のお母さまが作られたという細かいレースのコースターや花瓶敷きが追加で並べられていた。前の日に、黒糖づくりの実演販売をしたらしく、小さなビニル袋に小分けされた黒糖もお店に出ていた。
ここにくると、人は食べるものも使うものも、自分たちの手でうみだせるのだな、と感じずにはいられない。それは経済=お金の流通となってしまって、目に見えない形のないものが莫大なお金で取引される現代において、不況が叫ばれる今こそ、もう一度見直さなくてはならないことだとつくづく思う。わたしは手始めに、今年もまた食べられる野菜をプランターに植えよう。(続く)
