
わたしが沖縄に移り住んだ2005年春以来、約4年ぶりに母が沖縄にやってきた。千葉で咲くのとは違う、鮮やかな沖縄の桜を見にきたら?というわたしの誘いに応じてのことだ。
母の滞在中の天気は、予報では前半が雨で後半がくもりのち晴れということだったので、わたしのテンションは少々下がり気味。けれど嬉しい裏切りで、予報に反してずっとお天気続きだった。また、今年は例年よりも早く桜が咲いてしまったので、散るのも早いだろうと予想されていたけれど、わたしたちが桜の咲く八重岳に行った日、桜はまだ見事に咲いていた。
鮮やかなピンク、淡いピンク、グラデーションのピンク、と目にまぶしい沖縄の桜の色に圧倒されながら、夢中で携帯電話付属のカメラで写真を撮る母。わたしもまた、何度も見ているのに、サンサンと降り注ぐ太陽の光に照らし出された桜のピンクとバックの空の青、そしてちらほらと新芽を出している葉の緑のコントラストに心を奪われた。

翌日は、近くにありながらまだ行ったことのなかった「識名園」へ。ここは世界遺産に登録され、国指定特別名勝にもなっている。琉球王朝時代の国王一家の保養や外国使臣の接待に利用されたそうだ。第二次世界大戦の沖縄戦にて破壊されたのち整備されているので、建物は真新しくきれいだった。
その日はたまたま、午後から結婚式があるとかで、屋敷の中では結婚式の準備をしている。識名園を訪れる一般の人も見物することができるらしいので、ぜひとも見てみたかったけれど、式が始まる時間まではいられなかったので断念。
池のまわりを歩くと景色の移り変わりを楽しめるという「回遊式庭園」は、とても手入れが行き届いている。ここにも、草木の緑に混じってちらほらと桜の木が植えられて彩りを添えていた。千葉では見られない珍しい植物や実の成っているバナナの木などに、母は興味津々。
二人で時間をかけてゆっくりと園内を散歩した。本島南部が一望できる一角に立ち、当時の王朝の生活などに思いを巡らせてみたりも。首里城よりも見ごたえがある、というのが母と私の感想だ。また、季節が変わったときに、一人でブラブラと散歩してみたくなる、そんな場所だった。(続く)
