
千葉の親友がパートナーを伴って遊びに来た。一昨年の夏、遊びに来てくれたときに、「次は桜の時期に!」という約束がついに実現。
初日は那覇で歓迎の宴、翌日はわたしの願いを聞いてくれて、北部の大型リゾートホテルが毎年開催しているイルミネーションを見にでかけた。イルミネーションというと12月がメインな感じだけれど、ここは3月まで点灯しているそうだ。当日はイルミネーション日和とでもいうくらい、寒くて風が冷たかった。ほら、イルミネーションって空気が冷たくて澄んでいる時のほうが、キレイに見えるって言うじゃない?!
広大な敷地を誇るリゾートホテル。イルミネーション見学のためのバスが運行し、遊園地で走っているような窓のないバスで、ライトアップされた景色を見て回るというしくみだった。関東からやってきた2人は、バスを風がびゅんびゅん吹きぬけようと全く気にせず大はしゃぎ。関東の寒さに比べれば、全然ヘーキだって。わたしともう1人、沖縄組の2人は景色に感動する以前に寒さに身をかたくしていた。寒さに慣れることはなかったけれど、広々した空間に贅沢にちりばめられた金色の光は温もりを与えてくれて、ホッとした気分になる。
光の景色を堪能したあとは、いつもお世話になっている本部のお家へ。翌日、そのお家がある八重岳の桜を鑑賞するためだ。なんのおかまいもできないけど、と言っていた奥さんは、次々とおいしそうなご飯をふるまってくださる。夜も遅くにお邪魔したのに頭が下がる思いだ。ご夫婦の息子さんも滞在中で、7人で飲んで食べてのゆんたくが続く。久しぶりにご主人と三線のセッション?!もできて、すごく心地のいい夜だった。寝る前に少しだけ外を散歩したら、雲の切れ間に星がまたたき、街灯のないその場所では月が明るく地面を照らしてくれる。人が作ったイルミネーションも素敵だけれど、こういう自然現象は人では生み出せないから格別だ。
翌日は、親友たちを歓迎するかのようなイイお天気。年明けに見たときはまばらだった桜並木は、ほとんどの木が花開き、ピンクのアーケードのように、通る車を迎えてくれる。濃淡のピンクが重なりあって、緑の山の中で鮮やかな色彩を放つ。初めて沖縄の桜を目にした親友たちも、気に入ってくれたみたいで嬉しかった。
今日読んだ地元紙に、八重岳の桜並木に関する記事があった。約40年前、内地の桜に魅せられた当時の本部町の役場の方(後の町長さん)が、アメリカ軍のレーダー基地だった八重岳に、桜を植えて観光資源としたいとボランティアで動いたのがきっかけ。こつこつと植え始め、基地返還の際、米軍から2万ドルの寄付を得るなどして、ようやく頂上まで並木が到達したのだという。一人の町長さんの粋なはからいが、数十年後、地元の人のみならず、全国から集まる観光客を楽しませる名所になったわけだ。
一方で、この桜並木の寿命があと50年くらいと危ぶまれているという。あと何十年、何百年先にも素晴らしい桜並木を残すため、今から植樹が必要らしい。訪れる全ての人に、この事実を知ってもらって、新たな動きが生まれるといい。わたしの友だちが、またいつか訪ねてくる時にも美しい並木がそこにあるように。(続く)
