
日曜日。観光客の集まる国際通りに行って来た。あてもなくブラリとしたくて。適当な場所にバイクを停めてから歩こうと、国際通りへ曲がろうとしたら、入り口に立つ警備員のような人に「ダメ、ダメ」と身振りで合図される。あ、そうか、日曜日の国際通りは歩行者天国になったんだったね。

仕方なく、一本裏の道を進み、細い路地の隅にバイクを停めた。それから国際通りに出てブラブラと歩き始めてすぐ、ホコテンの定番、大道芸人らしきところに人だかりができているのを目にする。何をやっているのかよく見えなかったので、そのままてくてく歩いていると、前に友人に紹介された「ぶくぶく珈琲」を飲める喫茶店の前にさしかかった。ちょうど小腹が空いていたので、お茶でもしようと店のある2階に続く細い階段を上った。
「ぶくぶく珈琲」は泡が立てられた珈琲。その泡立ち具合はカプチーノなんかの比じゃなく、泡の小山がカップから盛り上がっていて見た目に楽しい。もともと沖縄には伝統的なお茶「ぶくぶく茶」というのがある。簡単に説明すると、煎ったお米を水で煮て、それにブレンドしたお茶を加えて泡立てたもの。立派な泡の様子がめでたいとされ、おもてなしの席で振舞われていたらしい。まだ観光で沖縄に訪れていたとき、「ぶくぶく茶」を飲んでみたくて探し歩いたっけね。その珈琲版が「ぶくぶく珈琲」。こちらは大豆や香草がブレンドされているらしく、やさしい口当たりがする。小腹を満たすべく、一緒に注文した「紅芋タルト」もおいしい。
お店の窓からは国際通りを見下ろすことができるが、窓一枚を隔てているだけで外の喧騒とは全く別世界。のんびりとお茶を楽しめる空間だ。お店はそれほど広くはないけれど、観光向けの雑誌などではよく紹介されているらしく、意外に観光客らしきグループが入ってくる。
ここ数年、沖縄には外資系のチェーンの珈琲ショップがあちこちにできて人気のようだけれど、こういう地元ならではのカフェでゆったり過ごすティータイムが贅沢だなぁと思う。休日も、あれやこれやと何かしらの用事に追われがちだけれど、ときどきは時間をかけておいしい珈琲を楽しむ時間を持ちたいものだね。(続く)
