
沖縄にも“衣替え”ってあるんだよ。今年は4月がちょっと涼しかったせいか、いつもより衣替えが遅かったみたいだけど、最近いっせいに男性サラリーマンが「かりゆしウェア」姿になった。“かりゆし”はめでたいとか、縁起がいいという意味の沖縄コトバ。クールビズでにわかに話題を呼んだかりゆしウェアだけれど、沖縄のかりゆしウェアの歴史をさかのぼると1970年ごろになるんだって。そのころは価格も高くてまったく流行らず、2000年のサミットの時に『ハイサイ・かりゆしウェア愛好会』なる団体が着用キャンペーンを行って、今のように定着したのだとか。
前に務めていた会社で、「夏はかりゆしウェアを着用すること。アロハシャツは禁止」という通達が出て、「かりゆしウェアって、アロハシャツと何が違うの?」ってな感じだったわたしだけど、ちゃんと定義があった。
1.沖縄で縫製されたものであること。
2.沖縄らしさを表現する柄であること。なるほど。確かに「ゴーヤ」「ハイビスカス」「アダン(植物)」「サガリ花(夏の夜中に咲き、朝は散ってしまう薄ピンクの花)」などなど、沖縄ならではのモノが柄として採用されているものね。

わたしが個人的に好きなのは、スタンドカラーのミンサー模様のかりゆしウェア。これは若い人よりも年配の男性が身につけているのがステキ。かりゆしウェアって全体に模様が入っていて、色も派手めのものが多いなか、ポケットの一部と見ごろの片側だけに細くミンサー織の模様が入っていて落ち着いた感じがする。“ちょいワル”ならず“ちょいシブ”オヤジになるはず。ちなみにミンサー織は5つと4つの四角の模様が交互に織られている八重山の伝統工芸。女性が男性に「五(いつ)の四(よ)までも一緒にいます」という愛の告白を表わす意味なのだとか。
今勤めている会社でも、男性社員はすっかり衣替え。社長は関東育ちなのだけど、かりゆしウェアの大ファン。社員の夏の制服用にと、おそろいのものを購入してしまったほど。わたしにも2着のかりゆしウェアが与えられた。だけど、女性ってあんまり着ている人がいなくて、着ているとしたら銀行員か公務員がほとんど。かりゆしウェア姿を眺めている分にはいいんだけど、なぜか着るとなると抵抗があるんだよね。いまだ袖を通していないかりゆしウェア。この夏の間にデビューなるかなあ。(つづく)