日伊相互文化普及協会

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イタリア人家族と携帯電話

2007-07-11 14:24:27 | Weblog
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イタリアで携帯が活きてるなあ、と思うのは、家族の連携に役に立ってることでしょうか。
日本も同じですがやり取りの頻度はイタリアの方が多いようです。
ある、平均的なひとつの一家を追ってみました。



クラウディオは食品会社に務めていて、朝、8時に出勤します。
伝票をめくっていると携帯がなりました。妻のアンナからで、ガス入りの水が切れてるのでお昼に家に戻る時買ってきて欲しいと。

今日は午前中にかなり集中して仕事をしたので、クラウディオは少し早めに会社を出て、日課になっている息子ジョルジョをの「お迎え」に小学校へ向かいます。
フッと娘を思い出したクラウディオは、車の中から娘のアレッサンドラに電話をかけて、「おまえの水はあるのか?」と聞きます。



大学生のアレッサンドラはダンスが好きで、スポーツダンスのインストラクターもしています。
肌に気を使うアレッサンドラは亜鉛が多めに入っている水を愛飲してます。
娘は21歳息子は10歳、歳の離れた姉弟です。


クラウディオは妻のアンナの携帯にかけて「アレッサンドラがジム出たってさ、なんか疲れたなんていってたなあ」とおしゃべりします。




アンナは家から近い市役所に勤めていて、もう家に戻っていました。お米を計りながらクラウディオの相手をします。
「プリモはリゾット、セコンドは鱒の松の実ソースかけはどう?」とクラウディオに聞きます。




ガス入りの水を買って息子の小学校へ向かうクラウディオの携帯が鳴ります。息子のジョルジョからです。
「バッボ(とうちゃん)、カルロとピアッッツァ・デル・コムーネまで帰ってきちゃったからこっち来て」。やんちゃなジョルジョはおとなしく学校でお迎えを待ちません。



アレッサンドラはダイエットにも熱心で、食事に少し神経質です。
母親に似てボリュームのあるラザーニアが好きですが、この頃控えています。
しかし、先週の金曜日、朝、アレッサンドラが念を押したにも関わらず、母親はラザーニアを買って帰っていました。
不安になったアレッサンドラは母親の携帯に電話を入れます。母親は「私もダイエットを始めることにしたわ」と答えました。ラザーニアは食べれないけどよかったですね。




息子を拾って家に向かうクラウディオの携帯がまた鳴りました。
午前中にキノコ狩りに行っていたクラウディオの両親が、突如キノコ持参でクラウディオの家族の昼食に加わるというのです。
クラウディオはアンナに連絡します。「おい、メニューが変わるぞ、変えてくれ、プリモからコントルノまでキノコだ」。

家族中が大好きなキノコづくしの昼食を摂ると、クラウディオ家の今夜の食卓はきっとサラダとドルチェが少しだけでしょう。
キノコのフリットはとても重いんだそうです。
クラウディオはダイエットに全く関心がありませんが、「身体に毒だ」といってキノコのフリットを昼食に食べた日の夜はほとんど食べないこともあります。



キッチンでお湯を沸かし始めるアンナの携帯が鳴りました。
パステッチェリーアをやってる幼ななじみのマルコからです。今朝、出勤がてらマルコの店にリンゴのトルタを注文しておいたのです。
アレッサンドラがとってくることになってました。
彼女がマルコの店の前を通った時は母親と携帯で話しながら歩いていたため、アレッサンドラはマルコに声をかけられても気がつかずに素通りしました。

アンナは慌ててアレッサンドラの携帯にかけて、「戻ってトルタを取って来て、お祖父ちゃんの好きなプディーノとお祖母ちゃんの好きなチャルダを買い足して」と言います。




家に戻ってテーブルセットをしているクラウディオの携帯がまた鳴りました。
こっちに向かう両親の車が溝にはまったというのです。
溝にはまったのはこれで4回目です。

クラウディオが両親の車を溝からすくい上げてみんなで家に戻ってきた時は、2時になろうとしていました。
これから昼食を食べて、4時には職場に戻らなければなりません。
あわただしく食事をするのを嫌うイタリア人。
クラウディオとアンナはそれぞれの同僚の携帯にかけて、「職場に戻るのが遅れる」と告げました。アレッサンドラも友達の携帯にかけて、午後の自分の替わりのインストラクターを頼みました。



夕方仕事が終わって帰宅をするときもこんな調子です。
誰がどこにいるか、今夜の団欒にそれぞれが何を望んでいるか、携帯電話を通してみんなの会話が交わされます。
家族の誰かが「風邪っぽい」と家族の誰かに言えば、決めていたメニューは変わります。
夕食後に家族でビデオを見る夜は、それぞれが見たいビデオを主張しながら家路に着きます。みんなが家に着く頃には、みんなで見るビデオは決定しています。

携帯電話はイタリア人家族になくてはならないものになっています。
日本でも最近は「帰るコール」などというものがありますね。


日伊相互文化普及協会     Emi