札幌ほしくずナイト
見果てぬ夢––星屑書体集成を語る
2021年10月22日、札幌クラークホテル
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/06/62/05a21960288f98989cb23c929b854a74.jpg)
第2夜
みなさん、こんばんは。
きょうは、「さっぽろセレクト」というチケットを購入して、さっぽろ羊ヶ丘展望台、大倉山展望台リフト、札幌もいわ山ロープウェイの3箇所を回ってきました。
地下鉄南北線・東豊線、北海道中央バスを乗り継いで、さっぽろ羊ヶ丘展望台へ。パスゲートから「さっぽろセレクト」を使って入場しました。ここは四季が感じられる展望台です。今は紅葉の季節。広大な牧草地の向こうに札幌ドームが見えます。クラーク博士と同じポーズで記念撮影している若者がいました。
帰りのバスを待っていると、パスゲートの係の人に声をかけられました。大倉山展望台リフトは、ジャンプ競技の公開練習があるのでリフトでは利用できないとのことです。札幌オリンピックミュージアムに変更することにして、地下鉄東豊線円山公園駅から、JR北海道バス「くらまる号」で大倉山ジャンプ競技場に向かいました。ジャンプ台から一直線に伸びる大通公園をこの目で見たかったのですが、練習とはいえ多くのジャンパー達が滑り降りてくるのを間近で見ることができて、これはこれでよかったと思います。
円山公園から今度はJR北海道バスロープウェイ線で、もいわ山ロープウェイ山麓駅へ。ロープウェイとミニケーブルカーを乗り継いで、山頂展望台に到着しました。まだ薄暮だったので、多くの人が大きなカメラで三脚を立てて待っていました。待つこと40分、5時を回った頃から次第に暗り、日本新三大夜景のひとつを堪能できました。
きょうも昨日と同じくレストラン・クラーク亭で、ビーフカレー(スープ・サラダ付き)をいただいてきました。
ということで、今夜も札幌クラークホテルの502号室の窓から北海道大学を臨みながら、[札幌ほしくずナイト第2夜]ということにしたいと思います。
Chapter 1 きたりす白澤明朝、きたりす白澤呉竹、きたりす白澤安竹
きょう訪れた札幌市円山動物園の「こども動物園」には、エゾリス、エゾユキウサギ、エゾモモンガといった北海道の小動物を植物とともに展示した「ドサンコの森」があります。『生態写真集 キタリス』(竹田津実著、新潮社、2019年)という本があるのですがが、エゾリスはキタリスの亜種です。
当初は、北海道に生息している「えぞりす」(蝦夷栗鼠)を名前にしようと考えましたが、どうも語呂が良くありません。蝦夷栗鼠が北栗鼠の亜種であることから「きたりす」(北栗鼠)に落ち着きました。
私は、ずっと和字アンチック体に注目していました。アンチック体といえば、辞書の見出しや漫画のふきだしに使われる程度でしたが、広い範囲で使われる可能性を感じていました。私にとって、これらの和字アンチック体の原点にあるのが「欣喜アンチック」でした。それから20年経って、「欣喜アンチック」のセルフカバーで、和字書体「きたりすアンチック」として制作してみようと考えました。
これを起点として、「きたりす」というグランドファミリーを構築し、「きたりすロマンチック」、「きたりすゴチック」を制作することにした。
漢字書体では、コンテンポラリーな書体として、「白澤明朝」、「白澤呉竹」、「白澤安竹」を試作しています。白澤とは古代中国において、鳳凰、麒麟と同じように、有徳の王の時代に現れるという想像上の神獣です。
『デザインのひきだし26』(グラフィック社、2015年10月25日発行)というムックの中の「もじ部 フォントの目利きになる!15 typeKIDS(今田欣一さんと仲間たち)編」という記事の中で、「白澤中明朝」「白澤太ゴシック」「白澤太アンチック」が取り上げられています。
勉強会の体験学習のために「白澤中明朝」「白澤太ゴシック」「白澤太アンチック」の書体見本を作成しました。漢字書体としてはあまり馴染みのないアンチック体ですが、明朝体、ゴシック体と並ぶ主要書体として漢字書体のアンチック体を確立しておこうと思っていたのです。のちに書体名を「白澤明朝」「白澤呉竹」「白澤安竹」に変更しました。漢字書体は漢字表記にしたかったからです。
和字書体「きたりす」、漢字書体「白澤」と混植する欧字書体として、「フレイヘイド」を制作する計画です。具体的には、フレイヘイド・セリフ(Vrijheid Serif)、フレイヘイド・サン(Vrijheid Sans)、フレイヘイド・スラブ(Vrijheid Slab)として制作します。従属欧文ということばは使いたくないので、たとえ日本語フォントの中の欧字書体であっても、「フレイヘイド(Vrijheid)」のように固有の書体名をつけることにしています。
出島版『トラクタート(TRAKTAAT)』(ドンケル・キュルティウス編、1857年)に用いられた活字書体を参考にしました。書体名の「Vrijheid(フレイヘイド)」は、箕作阮甫を主人公にした小説『フレイヘイドの風が吹く』(市原真理子著、右文書院、2010年)から取りました。フレイヘイドとは自由を意味するオランダ語で、幕末当時の言い方でオランダ語の発音とは異なるそうだが、書体名としては日本での慣例に従い「フレイヘイド」とします。
KOきたりす白澤明朝M
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KOきたりす白澤呉竹B
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KOきたりす白澤安竹BK
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Chapter 2 ときわぎ白澤明朝、ときわぎ白澤呉竹、ときわぎ白澤安竹
「ときわぎロマンチック」「ときわぎゴチック」「ときわぎアンチック」は、近代明朝体と組み合わせる和字書体、ゴシック体と組み合わせる和字書体、アンチック体としての和字書体ということで、一九五〇年代に印刷された金属活字にみられる力強くしなやかな雰囲気を醸し出すことを目標にして制作しました。
その基本となる「ときわぎロマンチック」の参考にしたのは、『右門捕物帖全集 第四巻』(佐々木味津三著、鱒書房、1956年)の本文に使用されている、力のある和字書体です。復刻ではなく、これを参考にしながら新しく画き起こしました。「ときわぎロマンチックW3」は本文用和字書体で、漢字書体は「白澤明朝」、欧字書体は「Vrijheid Serif」と組み合わせます。
「ときわぎロマンチック」をもとにして、「ときわぎゴチックW6」と、ときわぎアンチックW9」を制作しました。「ときわぎゴチックW6」は小見出し用和字書体です。漢字書体は「白澤呉竹」、欧字書体は「Vrijheid Sans」と組み合わせます。「ときわぎアンチックW9」も小見出し用和字書体です。漢字書体は「白澤安竹」、欧字書体は「Vrijheid Slab」と組み合わせます。
KOときわぎ白澤明朝M
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KOときわぎ白澤呉竹B
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KOときわぎ白澤安竹BK
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Chapter 3 みそら白澤明朝、みそら白澤呉竹、みそら白澤安竹
1970年代から1980年代にかけて、しばしば試みられていたのが現代的な明朝体、ゴシック体などに組み合わせられるように同一の筆づかい・まとめ方で設計した書体です。これは『レタリング 上手な字を書く最短コース』(谷欣伍著、アトリエ出版社、1982年)の本文に使われていた試作書体にもみられます。それをやってみようと思いました。
「みそらロマンチック」は、「欧字書体のローマン体、漢字書体の現代明朝体と組みあわせる和字書体として、2000年に制作した「セイム」をリニューアルしました。制作した当初、漢字書体は平成明朝を念頭に考えていました。つぎに、欧字書体のサンセリフ体、漢字書体の現代ゴシック体と組みあわせる和字書体として2004年に制作した「テンガ」をリニューアルして「みそらゴチック」を制作しました。欧字書体のスラブセリフ体、漢字書体の現代アンチック体と組みあわせる和字書体として、2010年に制作した「ウダイ」をリニューアルして「みそらアンチック」を制作しました。
平成明朝、平成ゴシックはありましたが、平成アンチックは制作されていません。そこで漢字書体を「白澤」書体とすることにしました。バージョンアップする際に、グランド・ファミリー化して全体的な名称を「みそら(美空)」としました。
KOみそら白澤明朝M
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KOみそら白澤安竹BK
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(2023年5月17日更新:画像追加)
見果てぬ夢––星屑書体集成を語る
2021年10月22日、札幌クラークホテル
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第2夜
みなさん、こんばんは。
きょうは、「さっぽろセレクト」というチケットを購入して、さっぽろ羊ヶ丘展望台、大倉山展望台リフト、札幌もいわ山ロープウェイの3箇所を回ってきました。
地下鉄南北線・東豊線、北海道中央バスを乗り継いで、さっぽろ羊ヶ丘展望台へ。パスゲートから「さっぽろセレクト」を使って入場しました。ここは四季が感じられる展望台です。今は紅葉の季節。広大な牧草地の向こうに札幌ドームが見えます。クラーク博士と同じポーズで記念撮影している若者がいました。
帰りのバスを待っていると、パスゲートの係の人に声をかけられました。大倉山展望台リフトは、ジャンプ競技の公開練習があるのでリフトでは利用できないとのことです。札幌オリンピックミュージアムに変更することにして、地下鉄東豊線円山公園駅から、JR北海道バス「くらまる号」で大倉山ジャンプ競技場に向かいました。ジャンプ台から一直線に伸びる大通公園をこの目で見たかったのですが、練習とはいえ多くのジャンパー達が滑り降りてくるのを間近で見ることができて、これはこれでよかったと思います。
円山公園から今度はJR北海道バスロープウェイ線で、もいわ山ロープウェイ山麓駅へ。ロープウェイとミニケーブルカーを乗り継いで、山頂展望台に到着しました。まだ薄暮だったので、多くの人が大きなカメラで三脚を立てて待っていました。待つこと40分、5時を回った頃から次第に暗り、日本新三大夜景のひとつを堪能できました。
きょうも昨日と同じくレストラン・クラーク亭で、ビーフカレー(スープ・サラダ付き)をいただいてきました。
ということで、今夜も札幌クラークホテルの502号室の窓から北海道大学を臨みながら、[札幌ほしくずナイト第2夜]ということにしたいと思います。
Chapter 1 きたりす白澤明朝、きたりす白澤呉竹、きたりす白澤安竹
きょう訪れた札幌市円山動物園の「こども動物園」には、エゾリス、エゾユキウサギ、エゾモモンガといった北海道の小動物を植物とともに展示した「ドサンコの森」があります。『生態写真集 キタリス』(竹田津実著、新潮社、2019年)という本があるのですがが、エゾリスはキタリスの亜種です。
当初は、北海道に生息している「えぞりす」(蝦夷栗鼠)を名前にしようと考えましたが、どうも語呂が良くありません。蝦夷栗鼠が北栗鼠の亜種であることから「きたりす」(北栗鼠)に落ち着きました。
私は、ずっと和字アンチック体に注目していました。アンチック体といえば、辞書の見出しや漫画のふきだしに使われる程度でしたが、広い範囲で使われる可能性を感じていました。私にとって、これらの和字アンチック体の原点にあるのが「欣喜アンチック」でした。それから20年経って、「欣喜アンチック」のセルフカバーで、和字書体「きたりすアンチック」として制作してみようと考えました。
これを起点として、「きたりす」というグランドファミリーを構築し、「きたりすロマンチック」、「きたりすゴチック」を制作することにした。
漢字書体では、コンテンポラリーな書体として、「白澤明朝」、「白澤呉竹」、「白澤安竹」を試作しています。白澤とは古代中国において、鳳凰、麒麟と同じように、有徳の王の時代に現れるという想像上の神獣です。
『デザインのひきだし26』(グラフィック社、2015年10月25日発行)というムックの中の「もじ部 フォントの目利きになる!15 typeKIDS(今田欣一さんと仲間たち)編」という記事の中で、「白澤中明朝」「白澤太ゴシック」「白澤太アンチック」が取り上げられています。
勉強会の体験学習のために「白澤中明朝」「白澤太ゴシック」「白澤太アンチック」の書体見本を作成しました。漢字書体としてはあまり馴染みのないアンチック体ですが、明朝体、ゴシック体と並ぶ主要書体として漢字書体のアンチック体を確立しておこうと思っていたのです。のちに書体名を「白澤明朝」「白澤呉竹」「白澤安竹」に変更しました。漢字書体は漢字表記にしたかったからです。
和字書体「きたりす」、漢字書体「白澤」と混植する欧字書体として、「フレイヘイド」を制作する計画です。具体的には、フレイヘイド・セリフ(Vrijheid Serif)、フレイヘイド・サン(Vrijheid Sans)、フレイヘイド・スラブ(Vrijheid Slab)として制作します。従属欧文ということばは使いたくないので、たとえ日本語フォントの中の欧字書体であっても、「フレイヘイド(Vrijheid)」のように固有の書体名をつけることにしています。
出島版『トラクタート(TRAKTAAT)』(ドンケル・キュルティウス編、1857年)に用いられた活字書体を参考にしました。書体名の「Vrijheid(フレイヘイド)」は、箕作阮甫を主人公にした小説『フレイヘイドの風が吹く』(市原真理子著、右文書院、2010年)から取りました。フレイヘイドとは自由を意味するオランダ語で、幕末当時の言い方でオランダ語の発音とは異なるそうだが、書体名としては日本での慣例に従い「フレイヘイド」とします。
KOきたりす白澤明朝M
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Chapter 2 ときわぎ白澤明朝、ときわぎ白澤呉竹、ときわぎ白澤安竹
「ときわぎロマンチック」「ときわぎゴチック」「ときわぎアンチック」は、近代明朝体と組み合わせる和字書体、ゴシック体と組み合わせる和字書体、アンチック体としての和字書体ということで、一九五〇年代に印刷された金属活字にみられる力強くしなやかな雰囲気を醸し出すことを目標にして制作しました。
その基本となる「ときわぎロマンチック」の参考にしたのは、『右門捕物帖全集 第四巻』(佐々木味津三著、鱒書房、1956年)の本文に使用されている、力のある和字書体です。復刻ではなく、これを参考にしながら新しく画き起こしました。「ときわぎロマンチックW3」は本文用和字書体で、漢字書体は「白澤明朝」、欧字書体は「Vrijheid Serif」と組み合わせます。
「ときわぎロマンチック」をもとにして、「ときわぎゴチックW6」と、ときわぎアンチックW9」を制作しました。「ときわぎゴチックW6」は小見出し用和字書体です。漢字書体は「白澤呉竹」、欧字書体は「Vrijheid Sans」と組み合わせます。「ときわぎアンチックW9」も小見出し用和字書体です。漢字書体は「白澤安竹」、欧字書体は「Vrijheid Slab」と組み合わせます。
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Chapter 3 みそら白澤明朝、みそら白澤呉竹、みそら白澤安竹
1970年代から1980年代にかけて、しばしば試みられていたのが現代的な明朝体、ゴシック体などに組み合わせられるように同一の筆づかい・まとめ方で設計した書体です。これは『レタリング 上手な字を書く最短コース』(谷欣伍著、アトリエ出版社、1982年)の本文に使われていた試作書体にもみられます。それをやってみようと思いました。
「みそらロマンチック」は、「欧字書体のローマン体、漢字書体の現代明朝体と組みあわせる和字書体として、2000年に制作した「セイム」をリニューアルしました。制作した当初、漢字書体は平成明朝を念頭に考えていました。つぎに、欧字書体のサンセリフ体、漢字書体の現代ゴシック体と組みあわせる和字書体として2004年に制作した「テンガ」をリニューアルして「みそらゴチック」を制作しました。欧字書体のスラブセリフ体、漢字書体の現代アンチック体と組みあわせる和字書体として、2010年に制作した「ウダイ」をリニューアルして「みそらアンチック」を制作しました。
平成明朝、平成ゴシックはありましたが、平成アンチックは制作されていません。そこで漢字書体を「白澤」書体とすることにしました。バージョンアップする際に、グランド・ファミリー化して全体的な名称を「みそら(美空)」としました。
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