THE READING JOURNAL

読書日誌と雑文

「歪んだパノラマーールクセンブルグほか」

2006-12-14 | Weblog
「ヨーロッパの不思議な町」 巖谷 國士 著 

VII 歪んだパノラマーールクセンブルグほか

町には、不思議な地形を持った町というものがある。その一つがザルツブルグである。

そここそは箱庭のようだからと人に勧められて、ある冬の日に、ふと立ち寄ってみた町がある。フランスとドイツとベルギーにかこまれた、神奈川県ほどの面積しかない小国ルクセンブルク大公国の首都、ルクセンブルク(リュクサンブール)がそれであった。
ブリュッセルからの列車がこの国に近づくにつれて、予感はひろがりはじめた。車窓から見る家々の外観がすこしずつ変る。灰色かベージュかクリームのくすんだ外壁と、チャコールグレーのスレート屋根をもつ家々がふえ、しかも、その家々のサイズが徐々に小型化してゆく気がする。風景もそうだ。このまま世界がどんどん小さくなって、本物の箱庭、ガリヴァーのリリパット国にでもなってしまうのではないかと夢想しはじめたころ、意外にごつい、堅固な鉄骨におおわれた中央駅についた。

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