Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

描かれた図から見えるもの⑰

2015-06-25 21:17:42 | ひとから学ぶ

描かれた図から見えるもの⑯より

「信州あづみの池田町」

 

「絵手紙マップ ぐるっといけだまち」

 

 前回安曇野市の現在のパンフレットも、過去(昭和54年ころ)のパンフレットも北アルプスを上に配置し、左側を南、右側を北にした構図が見られることについて触れた。山を象徴的に捉えれば自ずとこういう構図になるだろうと予想されるところだが、先日義理で出向いた旧穂高町の知人宅を訪れたのち、高瀬川を挟んで向かい側の池田町の喫茶店に立ち寄った。そこに置かれていた池田町のパンフレットを開いてみると、やはり北アルプスを上に配置し、町外であるものの最寄りの路線となるJR大糸線と高瀬川を左右に配置し、その下に池田町の範囲を示した案内図が印刷されていた。長野県観光パンフレットライブラリーにある「信州あづみの池田町」の16、17ページに示されているものだ。池田町は高瀬川左岸ということもあって、北アルプスとは距離を空けているにもかかわらずこうした構図を選ぶだけ、やはり北アルプスは逃すことのできない存在なのだと思ったわけであるが、同じ喫茶店にもうひとつ「絵手紙マップ ぐるっといけだまち」というパンフレットが置かれていた。これもまた長野県観光パンフレットライブラリーに掲載されているもので、A2版を折り込んだもの。表面には絵手紙が掲載されていて、裏面に案内図が刷られている。この案内図を見て驚いたわけである。前掲のパンフレットとは正反対の構図だったからである。いわゆる陸郷と言われる丘陵地を上に配置し、左に北、右に南を配す。山を象徴とするとすれば、このパンフレットでは陸郷の丘陵地をそれとして捉えているわけである。何よりそこには山桜が咲き(前掲パンフレットの4ページに写真が掲載されている)、大峰高原や成就院といった寺院もこの丘陵地にある。高瀬川沿いに立っても展開する視野は平坦だが、丘陵地側に登って振り返ると、北アルプスはもちろんのこと、水田地帯や高瀬川の流れが眼前に広がるというわけだ。ようは自らの暮らす地を見わたすときに、この丘陵地は求むべく地になるわけだ。平坦地と丘陵地が比較的並行して短距離に立地する環境は、この地域らしい景観を作りあげているとも言える。

 いずれも池田町観光協会が発行したもの。前者はよそから訪れた人たちのために作られたもの、後者は自分たちのために作られたもの、内容からそんな印象を受ける。とすれば、町に暮らす人々の捉える構図は陸郷の丘陵地帯を中心にしたものなのかもしれない。

続く


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