このお地蔵さんのような石仏を見たとき、手に持っているものは何なんだろうと思った。道祖神などに杯を持ったものが多いが、それなんだろうかと思っていると、輪形の下に指らしきものが左右から差し込んでいるようにも見える。そこで考えたのはこの杯のように見えた輪形は親指と人さし指を丸めているのだというもの。これは阿弥陀如来像に見る定印、いわゆる弥陀定印を結んでいるのだと気がついた。輪形があまりにも目立ったため、器のように見えたのだが、そうではなく印を結んでいるわけだ。しかし、弥陀定印を結んでいるとすればこの像は阿弥陀如来なのか、ということになるのだが、はっきりはしない。
先日「のっぺらぼう」で触れた旧高遠町越道の道祖神からすぐのところにある石仏群の中にある一体。向かって左側の光背部に「享保三戊戌年」、右側に「十一月十五日」と刻まれている。西暦1718年のものということになる。先般の道祖神も享保15年であり、石仏群の中には享保銘のものや正徳銘のものが多く、越道ではこの1700年代に入ったころに特別なことがあったのかもしれない。
やはり顔の表情はだいぶ風化していてはっきりしないが、「のっぺらぼう」で触れた双体道祖神ほどではなく、目と口はかろうじてわかる。この阿弥陀如来かと思われる石仏と頭部の雰囲気がよく似たものが、双体道祖神の祀られていたところにもあった。印を結んでいるが、ちょうど手のあたりが欠けていて印相ははっきりしないが、頭でっかちな印象がよく似ている。年代ははっきりしないが、同じ石工のものなのか。
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