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Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

「猫神」其の2

2015-09-18 23:45:44 | 民俗学

清水坂「猫神」

 

 飯島町豊岡の清水坂にあるお不動様の脇に小さな「猫神」というものがある。「猫」というと伊那市山本公民館裏手に並ぶものが印象深いのだが、こちらははっきりと「神」と記されている。「神」と記されたからには神様として捉えられるだろうが、その意図ははっきりしない。もう20年ほど前のこと、お不動様を訪れていた片桐さんという女性にこの猫神のことを聞いてみたがわからなかった、というより猫神の存在すら知らなかった。清水坂はお不動様で知られたところ。といってもかつてはよく知られていたところだったが、今は清水坂のことを知っている人も少ない。

 「猫」の石像については以前にも「猫神」で触れた。前述の山本公民館裏手にある猫について触れたのだが、ここには3体の「猫」像が並ぶ。どれも小さいものでひっそりと祀られているからどれほどの人たちに気づかれているかはわからない。3体とも向かって左向きの像で、似ているから同じ人が彫ったものか、とも思いがちだが、よくみると三者三様という彫りである。いつから現在のように並べられたかは解らないが、3体は寄り添ってるわけではなく、以前「猫神」で触れた猫像が左手に、ひとつ置いて次の猫像、さらにひとつ置いて三つ目の猫像が並ぶ。三つ目のものが最も小ぶりで、彫りも稚拙だ。二つ目(真ん中)の猫像は、よくみると目を枠になるように彫ってあり、耳も三角に象られていている。何といってもいずれのものも丸くうずくまっているから猫以外には考えられない。公民館の西方にも猫像が一体あるというが、まだ拝見していない。

 山本から旧道を南へ進み城を経て戸沢川を渡ると宮の原の辻に出る。ここに道祖神が祀られていて横には奇石が並んでいる。これも道祖神なのだろうが、それとともに「蚕神」も祀られている。すぐ横に宮の原農業研修センターがあり、その庭に「稚蚕土室育発祥之地」という碑が建立されている。それによると、宮の原では先進地だった群馬県蚕業試験場を視察し、の総意によってこの地に土室式稚蚕共同飼育所を建設したという。併せて戸沢日影に730坪の原野を人力で開墾し、稚蚕共同桑園を開園。昭和23年の春蚕より共同飼育を始め、昭和35年に西春近中央稚蚕所に統合されるまで稚蚕飼育をし所得の向上に励んだという。やはり養蚕の盛んな地域だっただけに、蚕神のひとつとして「猫」は祀られたものなのだろうか。

伊那市山本「猫」


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