Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

ため池のワレモコウ

2007-09-05 06:50:57 | 自然から学ぶ


 ワレモコウについては、昨年も触れたが、ため池に行くとずいぶんとその姿を見ることができる。「大堤」でも触れる予定(9/6参照)の中川村のため池では、山郷(ざんごう)や大堤でワレモコウを確認した。わが家の近くのため池にも見られるし、「ワレモコウを見たかったらため池に」というくらいの印象がある。こうした近在のため池の中でも、最近整備された山郷のため池にワレモコウが咲いていて意外でもある。株の数はそれほどではないが、そこそこの株がある。写真はそんななかの一枚である。

 この写真、よく見るとわかるのだが、背景に黄色く花を咲かせているのはブタクサである。ここのブタクサは背丈がそれほど高くなく、ワレモコウを覆うほどではない。いわゆる普通のブタクサでオオブタクサではないからなのだろうが、普通のブタクサでも肥えている土地ではオオブタクサ並みに背丈は伸びる。昨年も紹介した飯島町赤坂のブタクサ畑は見事なものだ。かつて、こんな空間に住んでいたのだから花粉症にならない方がおかしい。それほどの一面のブタクサ草原なのだ。最近よく見かけるのはそんな普通のブタクサよりもオオブタクサである。河川敷などにはオオブタクサが一般的で、人目につくような場所にはオオブタクサが一般的なように印象を受ける。そしてあまり人目につかないような場所に、この普通のブタクサが生えている。山郷ため池の周囲を観察してみるが、株の数はそれほどではない。最近入ってきたものなのか、勢いという面でもまだ圧倒するところまではいたっていない。希少なワレモコウの周りに咲いているのが、少し気がかりではある。こうした人目のつかないような場所にブタクサが進入してくるのは、やはり工事によるものかもしれない。飯島町田切の南田切、郷沢川の末流の端にもこのブタクサが咲いている。ここもまた、一般車両がそれほど入ってくる場所ではない。気がついたら抜き取る、という作業が大事なのだろうが、そんな作業をしているうちに花粉症なってしまう、というのが実情で、アレチウリのようにだれでもできる駆除作業ではない。やはり初期のお手当てというのが大事だということなのだが、意外にもブタクサを認識している人は少ない。

 先日会社の退職された先輩を訪ねたことに触れたが、会社からこの方の自宅まで歩いていると、家並が途切れて畑地帯に入ると、道の端に大きなオオブタクサが姿を現した。中途半端に草が刈られているのだが、オオブタクサだけ残すように刈り取られていたりして、どういうことかと首を捻ったものだ。先輩の家の入り口の畑の土手にも咲いていて、きっとこのあたり一面の畑地帯には、相当数のブタクサがあるのだろうと想定できた。案の定、先輩は花粉症の薬を飲んでいるとのこと。杉の花粉の時期はなんでもないが、この季節は「ブタクサ」の花粉症になるという。「家の近くもたくさんあのますね」とわたしが言うと、どういうものがブタクサか知らなかったという。そこで帰りがけにそのブタクサを紹介することになるのだが、意外にもブタクサの花粉症の人でも、ブタクサそのものを知らない人は多いのかもしれない。

 ため池に行くとごく普通に見られるワレモコウであるが、田舎の道端でごく普通に見られることはない。やはり整備されたような空間からは姿を消してしまった花である。

 撮影 2007.9.1
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