記憶があいまいだが、20歳くらいまでチノパンははいたことがなかった。チノパンは、たぶん、あまりメジャーなズボンではなくて、農家のおじさんがはく作業服という位置づけだったんだと思う。では何をはいていたのかというとひたすらにジーパンである。
ワシの故郷には、リーガスという、地元だけのメジャーなジーパン販売店があり、ワシも含め、みんなそこで買っていたのだが、銘柄は、圧倒的に、岡山のジーパンメーカーであるBIGJOHNが多かった。そういえば、いま、BIGJOHNはあまり見かけなくなってしまった。
当時は学校に行くにも、遊びに行くにも基本的に1本のジーンズを夏も冬もはきはき1年間暮らしたものだった。なものだから、あっというまにひざに穴が開く。最近、USEDのジーンズが高価に取引されていて、穴の開いたジーンズも電車の中で若者がはいているのを見かけるが、昔の感覚からいうとへんな感じである。青春時代のジーパンは穴が開くとオカンが縫ってくれた。
大学に行ってから、バイトで小銭ができ、リーバイスやDIESELなんぞをはきだしてからは、BIGJOHNは一回もはいたことがない。なんだか過去の汚点みたいな感じがしたのだ。でも今思うと、あの頃の、というかワシが10代の頃のBIGJOHNのジーパンは新品で買って洗濯ごとになじんでいく、あの感触はジーパンの原点であり、飛躍していうと自分自身の原点でもあった。BIGJOHN、ごめん。
写真は去年の夏、ジーンズメイトの安売りで4千円で買ったEDWIN。休日は、毎日これをはいている。しかし、なかなかひざに穴が開きそうもない。