夢のもつれ

なんとなく考えたことを生の全般ともつれさせながら、書いていこうと思います。

葉っぱのつき方から黄金比へ

2006-06-25 | philosophy

 これまで2回にわたって黄金比とフィボナッチ数列のごく簡単な性質を見てきたので、あと何回かで自然と芸術においてこれらがどのように現われているか(あるいは現われていないか)を見たいと思います。
 まず上の図のような葉っぱがらせん状についていく場合を見てみます。もちろん植物によっていろんなタイプがあるんですが、上から見ると例えばウラジロチチコグサでは、このようになっています。



 2番目の葉っぱは7番目の葉っぱに重なって見えなくなっていますから、この場合は5枚の葉っぱが出る間に2回りしたことがわかるでしょう(もちろん1番目のが6番目ので隠れていないとかズレはありますし、その方が後での説明としてはいいんですが)。つまり2/5回転(=144度)ずつずれて葉っぱが出て行くわけです。こうした規則性を葉序と言って、2枚で1回転(180度、この場合は上から見ると十字に見えますね)、3枚で1回転(120度)とか、いろいろありますが、主なものを上げると1/2、1/3、2/5、3/8、5/13などだそうです。これだけじゃなんのことかわからないので、フィボナッチ数列の最初の方を書いてみましょう。最初に1を2つ書いて、その2つを足して次の項を作っていけばいいんで簡単です。
 1,1,2,3,5,8,13……

 そうなんです。分母も分子もフィボナッチ数列に出てくる数(フィボナッチ数と言います)で、しかも分母と分子の関係は数列の一つおき(例えば3/8は5をはさんだ両側が分母、分子になっているということ)なんです。偶然でしょうか?

 いいえ。じゃあ、ふつうの人があまり知らないのに植物がフィボナッチ数列を知ってるんですか? ある意味そうでしょうねw。まさか。……

 まあ、その説明は追々するとして、ちょっとわかりやすくしましょう。まず葉っぱは逆回りで考えているとしてみます。つまり2/5回転(144度)じゃなくて、3/5回転(216度)だと。こうすると、さっきの分数はこうなります。1/2、2/3、3/5、5/8、8/13。どうです? 隣り合う項が分母、分子になったでしょう? なぜそうなるのかは簡単です。

 最初の関係は、a_n/a_n+2 ってことですが、これを1から引いて、
1-a_n/a_n+2 として、a_n+2=a_n+1+a_nの関係を使うと、
(a_n+2-a_n)/a_n+2=a_n+1/a_n+2 となりますね。
 
 で、この分母、分子をひっくり返すと(逆数は)黄金比φ=(1+√5)/2≒1.6180339887に収束する(だんだん近づいていく)んでしたね。これで植物は本音ではw、360度をφで割った角度約222.5度で葉っぱを出したいんじゃないかという予測ができます。ついでに言うと、φの逆数は前に述べたように0.6180339887…すなわちφから1を引いたもの(小数部分)になっています。
 
 たださっきのように数が少ないんじゃあ心もとないんで、もっといろんな例を挙げましょう。バラの花びらにも次のようにフィボナッチ数5と8が現われています。


 
 それ以上に注目されるのがらせん状になっていることで、次のcone flowerという花を見ると一目瞭然でしょう。





 このらせんの数は21、34となっていて、13の次とその次のフィボナッチ数です。有名なのはパイナップルやひまわりの例で、ぐぐれば簡単に出て来ますが、こうしたことをまとめて言うと植物はなぜだか222.5度が、つまりは黄金比がとても好きだということになるでしょう。

 その理由は例えば45度について見るとわかってきます。下の図は45度ずつ回りながら外に向かって点を100個置いていったものです。



 当然、固まってしまいますね。これが葉っぱなら重なってしまって十分な日光が受けられませんし、種ならひしめき合って大きくなれません。じゃあ、222.5度ずつ同じ100個なら? こうなります。



 ね? 見事にバラけるでしょう? 植物の戦略が見えてきますね。……なんでこんなにうまくバラけるのかって? 正確に私も説明できるわけじゃないんですが、前回の最後に挙げた連分数を思い出してください。あれは黄金比の本質を表していて、全部が1だけでできている連分数だということは最も分数で表すことがむずかしい、つまり何回回っても同じところに来にくい数っていうことなんです。じゃあ、無理数の代表の円周率ならどうかって? いい質問です。360度に円周率の小数部分0.14159を掛けた50.97度で回したものが次の図です。



 500個と2,000個のですが、やっぱり222.5度ほどは散らからずに明瞭ならせんパターンを描いたりして固まっていますね。ちなみに円周率の連分数の表現は古来からたくさんあるんですが、どれもφほどは単純じゃない、つまり分数で近寄ることが比較的容易なんです。


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10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
へーー・・・ (いちご)
2006-06-26 15:01:43
三度読んで少しだけ理解できた私。。。

なのでろくなコメントが出来ないねw

でも夢のもつれさんって色々調べているのですね。

黄金比という字をみると、気を引き締める私です~
すみません (夢のもつれ)
2006-06-26 16:53:27
だいたいは本やサイトに載ってることをなぞってるだけなんですが、自分で書くと自分ではいろいろわかっておもしろいので書いちゃってます。でも、ブログとかサイトとか数式を見やすく書けないんで、よけいわかりにくいと思います。



なんか黄金比とかってやたら神秘的っていうか、よくわかんないで使われてるなって気もしてますし。



でも、いちごさんの言う黄金比っていいですね。

B=89というフィボナッチ数にしてφで割ると、

W=55というまさに黄金のプロポーションが得られますからw。









ええまさに (いちご)
2006-06-26 19:10:39
夜ブラ効果発揮です

あとは、最近おなかのまわりの脂肪が気になるわ~~の4点セット下着で♪

あーいやいやいやwww

早くもw (夢のもつれ)
2006-06-26 20:57:07
夜ブラ効果が現われていますね。たぶんアルミの代わりに金を使ったセレブ(死語?)ヴァージョンでしょう。



4点セットだなんて、まるでモビルスーツのようで手間がかかりそうですねw。
こういう話は好きだけど (ぽけっと)
2006-06-26 21:33:57
美しいもの、理にかなっているものが突き詰めれば美しい数字の並びになっているらしいという真実?には非常に興味があってそれを考え出すと数字の存在そのものがすごい不思議な気がします。

ただ数字はともかく式らしきものが出てくると頭が自動的にその部分を素通りするのよねえ。

つまり詳しい計算はまあどうでもよくて、数字の美しさを愛でている話自体に「やっぱり、そうなんだ…うっとり…」て感じです。
わかりますね (夢のもつれ)
2006-06-26 21:51:06
数学的な美しさを愛でているのは私も同じです。

数式を使わない数学入門とか科学論とかそういう本はいっぱいあるんですが、そうするとどうしても議論が中途半端で自分の頭でわかったような気がしないんですよ。まあ、楽譜よりはわかりますし。



今流行りのダ・ヴィンチやバルトークなんかも後で登場させるつもりですが、黄金比やフィボナッチ数列との関係を吟味するには若干の数式の理解は欠かせないですね。
ぽけっと (あらっ)
2006-06-26 22:24:22
フィボナッチ数列はダ・ヴィンチコードで、黄金比は初めはバルトークで知った私…

前のコメントでは触れませんでしたがあまりにビンゴだったので思わずまたコメしちゃいました。
さすがですね (夢のもつれ)
2006-06-26 23:56:13
フィボナッチ数列がダ・ヴィンチはふつうでしょうけど(私は書き始めてからぐぐっててなんですが)、黄金比がバルトークってのは、さすが音楽家ですね<ほめてるのか?w
ほめられてないのはわかりますよーだ (ぽけっと)
2006-06-27 09:05:54
でもホントにそうなんだもーん
いえいえw (夢のもつれ)
2006-06-27 09:28:55
実際びっくりして、感心しましたね。

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