夢のもつれ

なんとなく考えたことを生の全般ともつれさせながら、書いていこうと思います。

昔と今のリンク~1976-77年:記憶にございません

2005-08-08 | review

 1976年は、ロッキード事件の年でした。2月のアメリカ上院の外交委員会多国籍企業小委員会公聴会で、ロッキード社の副会長のコーチャンが日本の政府高官に8億5千万円の賄賂を贈ったと証言したのに端を発して、小佐野賢治や全日空や丸紅の幹部が国会で証人として喚問されたり、7月には前首相の田中角栄が逮捕されたりとか、日本中のマスコミがその事件一色でした。国会での証言のときに小佐野が連発したのが「記憶にございません」で、その後の贈収賄事件において真似をする者がぞろぞろ出ました。

 賄賂工作なんて知らないと言うと後で事実が突きつけられるとまずい、忘れたと言うと、じゃあやってたんだなと突っ込まれる。それで苦肉の答弁が「記憶にございません」だったんじゃないかと思いますが、いかにもごまかそうとしているなというのが誰でもわかります。尻尾を捕まえられないようにしようとして、結局いちばん大事な、この人間の言うことは信用できるかどうかという点で、心証が悪くなってしまったのです。

 この年の暮れの選挙で自民党は敗北し、自民党主流派の「三木おろし」もあって三木さんから福田さんに政権が移りました。小泉さんは三木さんは解散できなかったが、自分はやると言っているそうです。これを書いている時点では郵政民営化法案が参議院でどうなるかわかりませんし、多くの人が言うようにそんなことよりもっと大事なことがあるだろっていうのも理解できますが、首相(=最大与党の総裁)がやりたいことをやれないなら衆議院を解散して自分の主張の是非について民意を問うというのは理屈が通っているわけで、そうしたことが今までなかったのは大勢に流されていたのか、元々首相になるのが最終目標で別に首相としてやりたいことなんかなかったんじゃないかと思います。小泉さんがどうするのか、興味津々です。

 それで、福田さんが(今の福田康夫さんのお父さんの赳夫さんですね)やったのが物語の中で批判した77年9月の“超法規的措置”です。パリから東京行きの日航機が赤軍派の連中にハイジャックされ、バングラデシュのダッカに強行着陸させられ、そこで拘留中の仲間を解放しろと脅迫され、それに屈したわけです。これについては物語に書いたことが私の考えでもあって、その当時もテロが横行する現在ではなおのことあんなことをする政府はありえず、簡単に言ってしまえば犯人より法律を踏みにじった福田さんの方が罪が重いということです。

 政治家は結果責任こそが問われるわけで、説明責任なんてふやけたものは二の次でいいと思いますが、当時、最高実力者の政治家と自他ともに認めていたはずの田中さんと福田さんが政治や法に対する信頼を失わせるような結果になったのは、結局は日本の国会が単なる政治屋の集まりにすぎないということを白日の下に晒したというではないかなと思います。その意味で、この2年間に起こったことは、現在の政治や社会にも少なからぬ影響を与えていると思います。

 なんだか口熱くさいことを言ってしまったので、社会面的なことに目を向けましょう。76年の1月に五つ子が生まれています。“山下さんちの五つ子ちゃん“と言えば当時は大騒ぎで、長寿世界一の泉重千代さんが名付け親になったとか、いろいろ話題になりましたが、その後も排卵誘発剤を使った多胎児が生まれ、その弊害も取り沙汰されたりして下火になりました。彼らももうすぐ30歳ですか。……
 
 8マンの主題歌を歌っていた克美しげるが殺人を犯して逮捕されたのは同じ年の5月で、アニメ第1世代の我々としてはショックでした。翌年の1月から2月にかけて拾った毒入りコーラを飲んで2人が死んだり、青酸ナトリウム入りのチョコレートが置かれている事件が相次ぎました。無差別殺人というと現代的犯罪と誰しも思うのでしょうが、そうした誰でもいいから殺してみたいという事件が最近ではめずらしくもないような感じです。
 
 では、歌謡曲です。76年は「ペッパー警部」、「北の宿から」、「思い出ぼろぼろ」、「およげ! たいやきくん」、「山口さんちのツトム君」、「木綿のハンカチーフ」。77年は「勝手にしやがれ」、「渚のシンドバッド」、「フィーリング」、「津軽海峡冬景色」です。ピンクレディは今でもカラオケでよく歌われ(踊られる?)ますが、当時は向かうところ敵なしといった感じで、一時期のモー娘かそれ以上でした。たいやきくんは、やはり今でもいちばん売れた曲というと名前が上がりますね。太田裕美の「木綿のハンカチーフ」は私は個人的には歌手も歌も暑さで溶けた飴玉みたいな感じが嫌いでしたが、椎名林檎がカヴァーしているのを先日聴いて……なんで彼女が歌ったのか理解できませんでしたw。「津軽海峡冬景色」はまだ青函トンネルができてなくて、連絡船に乗るのを舞台にしていて、隔世の感ってやつですね。

 マンガの方は、76年は「嗚呼! 花の応援団」しか私の利用している年表にはありません。ちょわん、ちょわんだけじゃあ寂しいので、村上龍が「限りなく透明に近いブルー」でデビューしたことを挙げておきましょうw。77年は「東大一直線」、「ドカベン」です。今や尊大な保守思想家となった小林よしのりですが、最初は(今も?)ものすごく絵が下手で、同時期にデビューしたマンガ家が“左手で描いてる”と思ったという話があります。「ドカベン」の最初は柔道マンガだったような気がします。彼らも現実なら原前監督と同じくらいの年格好のはずなんですが。


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2 コメント

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笑っていただいて何よりですw (夢のもつれ)
2005-08-12 05:11:01
私も書きながらいろいろと回顧にひたりながら、楽しんでます。歌謡曲とマンガのところを書くときは特にそうです。もっと丹念に調べればおもしろいマンガなんかあったんでしょうけど。

aikoと椎名林檎は大好きですね。家族は引いてますけど。モー娘はぜーんぜん好きじゃないです。

若いですか?。。桑田佳祐ほどじゃないですよw。
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笑いながら読みました (hippocampi)
2005-08-11 02:59:15
朧気に蘇る歴史的フレーズ、青酸カリ事件、ピンクレディー、アニメなど、時の流れを楽しく復習できました。

椎名林檎やアイコ、モー娘…若い。。(^^:;)
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