とやざき農園日誌

浅間山麓(長野県小諸市)で自然農法による農業を行っています
肥料や農薬を施さず自然の養分循環の中で野菜を育てています

草地開拓

2018年11月11日 | 日記
昨年に引き続き、11月の課題は、畑の未使用部分、つまり草地の開拓です。

写真手前部分は、今春しっかり畝を立てて、ジャガイモ(メークイン)を育てた後、この秋作でタマネギを育てている畝です。その奥に広がる草地に新たに畝を作っていきます。


背丈以上に伸びたブタクサなどの野草を刈り倒して一旦脇に寄せ、畝が立った後、畝間へ敷き詰めます。


この界隈で、背の高い野草が茂っている場所の土壌は、ほぼ例外なく黒ボク土です。耕してみると表層10cm程は砂質で、その下に、ざらついた感じの土塊がゴロゴロしています。


ざらざらした土塊を手に取ってみます。圧縮されて、団子状になっていますが、


粘性が低いために、握るとボロボロと崩れてしまいます。


粘土はケイ酸とアルミニウムを主成分とする鉱物ですが、その粘性を左右しているのは、高い親水性を持つケイ酸です。ケイ酸比率の高い粘土がねっとりした質感を持つのに対し、ケイ酸比率の低い(すなわちアルミニウム比率の高い)粘土はボソボソとした質感になります。黒ボク土の土塊がボソボソしているのは、ケイ酸比率の低いアロフェンが主体であるためです。
野草が繁茂する場所は、土に陽が当たらないため蒸散が抑制され、夏季(梅雨期から秋雨期まで)ひたすらに水が蓄えられます。植物が吸い上げ切れなかった土壌水分は、粘土からケイ酸を溶かし出し、粘土のケイ酸比率を低下させてしまいます。黒ボク土は、自ら太陽光を遮って水分蒸散を抑制できる背の高い野草にはおあつらえ向きと言えますが、背の低い野菜にとっては水分維持が困難な過酷な土質です。
野菜を育てるための環境整備は、湿り過ぎの黒ボク土を「干す」ことから始まります。土壌から余分な水分を抜いてやれば、ケイ酸の溶脱が抑制されます。後は、枯草の分解によって放出される植物ケイ酸と、地下水に乗って運ばれる岩石由来のケイ酸とが、粘土の質を変えてくれるのを待つだけです。目指すべきは、ひび割れ粘土質土壌の主成分「スメクタイト」を多く含む、ねっとりした粘土です。


スメクタイトが増えることで、水分と養分の保持力が高まり、ホウレン草などの中性を好む野菜を育てることができるようになります。
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