とやざき農園日誌

浅間山麓(長野県小諸市)で自然農法による農業を行っています
肥料や農薬を施さず自然の養分循環の中で野菜を育てています

黒土の肥沃度の源泉

2019年02月27日 | 日記
世界の穀倉地帯を形成する「黒土」は、アメリカ農業局の土壌分類ではモリソル、また、ロシア語ではチェルノゼム(チェルノ:黒色、ゼム:土)、カナダではプレーリー土と呼ばれる。いずれも2:1型粘土鉱物であるモンモリロナイトを含み、それが肥沃度の源泉になっていると言われている。モリソルの特徴は「土壌の表面層が冬に凍結して夏に融けること」にあるとされるが、「凍結」によって土壌にどのような変化が現れるのだろうか。粘土鉱物の性質を更に掘り下げて考えてみたい。

先ず、地殻の構成元素について調べた際、ケイ素Siと組み合わさる金属元素が、およそ、アルミニウムAl:鉄Fe:マグネシウムMg = 4:1:1という比率で存在することが分かった。これを踏まえると、土壌を形成する2:1型粘土鉱物は、アルミニウムとマグネシウムだけから成るモンモリロナイトとするよりも、アルミニウム1個を鉄1個に置換した組成を想定した方がより実態に即していると考えられる。そこで、以後は2:1型粘土鉱物の名称についてもモンモリロナイトではなく、粘土鉱物学においてより広い定義で用いられる「スメクタイト」を使用し、Al:Fe:Mg = 4:1:1を前提としたモデルで考えてみる。

スメクタイトでは、マグネシウムMgが二価陽イオンであるため、セットとなる2つのケイ酸の内の1つがフリーになる。そこにカルシウムCaなどのアルカリがイオン結合することで、2つの2:1層が架橋される。カルシウムCaが押し広げた空間には多数の水分子が収容され、スメクタイトが有する高い養分保持力(CEC:陽イオン交換容量)と水分保持力に繋がる。



では、この基本構造を踏まえた上で、モリソルの「凍結」が何をもたらすか考える。アメリカのグレートプレーンズとカナダのプレーリー、そして、日本でも新潟県、山形県、群馬県にモンモリロナイトが見られるとのことだが、各地域に共通しているのは、大山脈の山麓に位置しミネラルが豊富な地下水(アルカリ性)が存在する、という点である。

凍結期は、植物活動が停止し、土壌表面からの水分蒸発も少ないため、土壌はアルカリ性の水で満たされることになる。すると、大気からの酸素流入がなくなるため、土壌を構成する粘土鉱物(スメクタイト)中の鉄(酸化鉄:三価の陽イオン)は、アース、すなわち大地から電子を与えられて還元鉄(二価の陽イオン)に変化する。これにより、還元鉄はマグネシウムと同じ役割を果たすことになるため、セットとなる2つのケイ酸の内の1つがフリーになってカルシウムCaを引き付ける。そして、2:1層間が架橋され、層間水が発生する。

下図の右側のように、すべての鉄Feが還元されたと仮定すると、スメクタイトのCECは2倍、水分保持力は1.5倍になる。モリソルの凍結は、このような形で土壌肥沃度の向上をもたらすことになると考えられる。


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最後の冷え込み?

2019年02月24日 | 日記
今朝はマイナス9℃まで冷え込みましたが、その後、明るい陽射しがあり、ぐんぐん気温も上がりました。完全に春の陽気です。

かなり枯れ込んでいるものの、ほぼ全員生き残ったタマネギ。


近づいてみると新芽が出始めているものが幾つかありました。暖冬で育ち過ぎの感があるので、あとはトウが立たないことを願うばかりです。


3月に入ったら、西洋ホウレンソウ辺りから種蒔きを始める予定です。
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高いCECを示すモンモリロナイトの積層構造

2019年02月22日 | 日記
ケイ酸とアルミニウムのみから形成される最も単純な2:1型粘土鉱物は、下図のような積層構造を持つパイロフィライトである。2:1層間が分子間力で緩く結び付くだけで横滑りしやすいため、ぬるっとした蝋のような感触があり、葉蝋石(ようろう石)と呼ばれる。パイロフィライトは、2:1層間に陽イオンが入らないので、CEC(Cation Exchange Capacity:陽イオン交換容量)が低い。



それに対して、アルミニウムの6分の1がマグネシウムに置き換えられたモンモリロナイトは、Ca型で考えた場合に下図のような積層構造となる。マグネシウムの電荷が+2であり、アルミニウムより1つ少ないため、片側のケイ酸がマグネシウムと結合せず自由になり、2:1層間にイオン結合を介してカルシウム(二価の陽イオン)を抱え込む形を作る。このカルシウムは、外部から与えられた水素イオンと容易に交換されるため、モンモリロナイトが高いCECを示す要因となっている。

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粘土鉱物の化学 其の二

2019年02月21日 | 日記
2:1型粘土鉱物としてよく知られているのはモンモリロナイト(モンモリロン石)で、化学式は
[(Na, Ca1/2)0.33]0.33+[(Al1.67Mg0.33)Si4O10(OH)2]0.33-

先頭のカチオン(陽イオン)部分にある表記「Na, Ca1/2」は、ナトリウムNa(一価陽イオン)またはカルシウムCa1/2(二価陽イオンなので数としてはNaの場合の半分)のどちらかが入るという意味。モンモリロナイトの命名は、フランスのヴィエンヌ県にあるモンモリヨンに由来しており、そこは石灰岩地形であるため、Ca型のモンモリロナイトが産出される。それに対し、日本やアメリカに見出されるのはNa型のモンモリロナイト。ただし、CaやNaは他のアルカリ(カリウムKなど)と交換可能であるため、畑土壌においてはK型のモンモリロナイトが主体である可能性もある。

分かりやすくするために、以後はNa型のモンモリロナイトを用いて考える。
[Na0.33]0.33+[(Al1.67Mg0.33)Si4O10(OH)2]0.33-

前回考えた、1枚のアルミニウムシートを2枚のケイ酸シートが挟み込む構造からすれば、化学式は
Al2Si4O10(OH)2
となり、陽イオンを引き付けるためのマイナスの電荷が存在しない。しかし、6個中1個の比率(1.67:0.33=5:1)でアルミニウムAl(三価陽イオン)がマグネシウムMg(二価陽イオン)に入れ替わることで、0.33のマイナス電荷が発生し、それが0.33個のナトリウム、すなわち[Na0.33]0.33+を引き付けることになる。これが2:1型粘土鉱物が高いCEC(陽イオン交換容量)を持つ理由である。

さて、ここで一つの疑問が生じる。それは「なぜAl:Mg = 5:1なのか?」という点。
先日、地殻構成元素の比率表から、ケイ素Siの存在率が、アルミニウムAlと鉄Feの合計存在率の2倍になる点を見出した。そのことから、マグネシウムMgの存在比も何らかの影響があるのではないかとの推測が立つ。そこで改めて表を精査してみる。今回はより正確を期するため、重量の割合(重量%)ではなく、各元素の原子量を考慮した原子数の割合(原子%)を算出し、更にケイ素Siを2.00とした場合の原子数比を求めてみる。
<地殻構成元素>


原子数比は、アルミニウムAlが0.61、鉄Feが0.18、マグネシウムMgが0.17である。3元素の合計は0.96となり、ケイ素Siのほぼ半分である。そして、3元素の数値比を四捨五入して整数で見積もれば、Al:Fe:Mg = 4:1:1となる。鉄FeはアルミニウムAlと同じく三価の陽イオンであるから、AlがFeに置換したとしても電荷的には変化がない。ゆえに、FeをAlに含めて考えてやれば、Al:Mg = 5:1となり、まさしくモンモリロナイトの化学式と同じ比率が現れる。
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地元の農業勉強会に参加

2019年02月20日 | 日記
地元の農業勉強会にて講師役を依頼されたため、これまでブログに書いた内容を参考資料としてまとめ、それをベースにお話しさせて頂きました。
進行は質疑応答形式でほとんどアドリブになってしまいましたが、微生物の役割を中心に、自然農法がどのような仕組みで成り立っているのかご説明しました。













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