「元々」って、いつのこと？

今月の神経内科の往診の時の出来事…

「ずいぶん痩せたけど、ステロイドが減ったからかな。前は痩せてたんでしょ？」

すると、私が答える間もなく、間髪入れずに側にいたヘルパーさんが…


「元々、この子は痩せてるからね。」って…



元々…？



以前の私を知っている人はわかると思いますが…
私は、結構ぽっちゃりしてました。
元気なころと比べると、いまは１０キロ以上痩せてます。
はっきり言って、見た目はかなり変わりましたよ。

嚥下障害で食べられる量が減って、痩せたのだけど…
最近、食べる量は確実に増えたのに体重が減っていってしまう。
ベッドに寝ていても、車いすに座っていても、骨が当たってしまって痛くてたまらない。
だから、往診の時に先生に相談しようと思っていたのです。

だけど、その一言で相談する気がなくなってしまった…

ヘルパーさんはもちろん、在宅で生活するようになってからしか付き合いはない。
病気になってからの私しか知らない…

ヘルパーさんにとっての「元々」って、在宅生活を始めた時だよね…

だけど、それって…
私にとっては元々じゃないんだよね…

私の何を知ってるの？
なんでも知っている気にならないでよ…

そう思ったら、もう話をする気もなくなってしまった。


私にとっての「元々」って、やっぱり病気になる前の元気な頃のことなんだよね。
家族や病前から親交のある人は、同じだと思うけど…
だから、以前の状態を知っている人に「元々」と言われてもさほど違和感はない。

だけど、いくら毎日のように関わってくれてるとはいえ、家族や友人を除く支援者は「元気な頃」を知らない。
いっぱい関わって何でも知っているような感覚になっちゃうのはわかるけど、そうじゃない。

なんでもわかっていると誤解しないでほしい。
あなたの知らない「その人」っていうのも、いーっぱいあるのだ。
そのことは、忘れないでほしい。

なんの悪気もないことも、何気なく言ってるだけなのもわかるけど…
嫌な想いをする人もいるのだ。

当事者やその周りにずっといた人にとっては、元気な頃も含めて元々なんです。
病気になってから出会った人とは、スタート地点が違うんです。

私だって、病気になるまでは普通に生活してたんだもん。
元から、歩けないわけでも、呼吸器つけてるわけでも、声が出ないわけでもないのだから…


ちょっとした、何気ない言葉でもひかかってしまう…
それが当事者の心理だと思います。

元々とか言わないで…

とか言いたいわけではなくて…
そういう風に考えちゃうことだってあるんだよってこと、知っておいてください。