Landscape diary ランスケ・ ダイアリー

ランドスケープ ・ダイアリー。
山の風景、野の風景、街の風景そして心象風景…
視線の先にあるの風景の記憶を綴ります。

マイナンバー制度の構造的問題と欠陥~

2023-06-04 | 生活、環境

あの手この手でマイナンバーカードの取得を強制すればするほど政府の信用は落ちていく

 

 改正マイナンバー法が昨日6月2日、自公と維新、国民の賛成多数で参院で可決、成立した。

立憲、共産、れいわが採決自体に反対する中での成立だった。

 法案の成立を待たずに政府は2024年秋までに現行の健康保険証を廃止し、マイナンバーカードに一本化する方針を打ち出していたが、

今回の法改正により、国会審議を経ずに省令のみによってマイナンバーカードに新たな個人情報を紐付けることが可能になる。

現在進行形で進む健康保険証との一体化と合わせて、今後マイナンバーカードに紐付けられる個人情報は大きく膨らむことが予想され

、法律上は選択制であるはずのマイナンバーカードの事実上の義務化に、さらに拍車がかかることになりそうだ。

 

 それにしても、今このタイミングでマイナンバーの機能を拡大する改正マイナンバー法を通すというのは、どういう了見なのだろうか。

このタイミングというのは、マイナンバーカードをめぐるトラブルが全国で噴出しているまさにその最中に、という意味だ。

これまで明らかになっているだけでも、マイナ保険証の医療情報の誤登録が7,312件、

コンビニでの証明書の誤発行が16件、公金受取口座の誤登録が21件と、

医療情報や口座など特に取扱いに注意すべき個人情報の漏洩が相次いで起こっている。

他人に自分の戸籍や住民票を見られてしまうのも大きな問題だが、

とりわけ保険証の誤登録によって医療機関で保険への加入が確認できなければ、

その患者は全額自費負担となるなど、影響は深刻だ。

 

 法案に反対した立憲民主党杉尾秀哉参院議員は、

一連のトラブルはマイナンバーカードの構造的な問題を反映しているものであり、

保険証との一体化は中止すべきだとマイナンバーカードを管轄するデジタル庁河野太郎デジタル担当相に質したが、

河野氏はここまで明らかになったトラブルはあくまで人為的なミスによるもので、

マイナンバー制度そのものの問題ではないとして、杉尾氏の批判を一蹴している。

 

しかし、本当にそうだろうか。

 ここでいう「構造的な問題」というのは必ずしも技術的な問題だけを指しているわけではない。

2013年のマイナンバー法制定時からこの問題に関わってきた弁護士の清水勉氏は、

マイナ保険証には根本的な問題があり、それを放置したまま制度化をごり押ししても、必ず失敗すると語る。

 

その理由はこうだ。

 言うまでもなくマンナンバーカードを持つか持たないかは任意、つまり個々人の自由となっている。

しかし、住基ネットで失敗した苦い経験を持つ政府は、今度ばかりはメンツにかけてもマイナンバーカードの普及を進めたい。

そこで、マイナポイントだの補助金だのとあの手この手を使って国民にマイナンバーカードを無理矢理取得させようとしてきた。

そして、ついに健康保険証と一体化させ、来年秋には現行の健康保険証自体を廃止するという強行策にまで手を染めてしまった。

あくまで申請主義に基づいて発行されるマイナンバーカードが、

国民皆保険という国家的制度と一体化することで、今後様々な矛盾やトラブルが発生することは避けられそうにない。

 清水氏は、マイナンバーカードを持つか持たないかは個々人の自由意思に基づくことなので、

クレジットカードと同じように、持つか持たないかを自由に選択できるようにしておかなければならないという。

自分にとってメリットがあると思う人は持てばいいし、

それほどメリットはない、あるいはデメリットが大きいと思う人は持たなければいい。

また、一度は持ったとして、持つのをやめるという選択肢を与えられている必要がある。クレジットカードならそうだ。

 

 銀行口座のみならず、戸籍医療情報までも紐付いているマイナンバーカードを持つリスクが大きいと考える人には、

持たないという選択肢が用意されていなければならない。

しかし、健康保険証と一体化した上で、保険証の方は来年には廃止されるということになれば、

多くの人にとってはマイナンバーカードを持つことは是も非もないものとなる。

つまり、メリットがあると思う人が自由意思に基づいて持つのではなく、

持たないことによって大きなデメリットが生じるような制度にすることによって、

仕方なく持たざるを得なくなる人が大量に出るということになる。

このような制度設計は根本的に間違っていると清水氏は言う。

 

 無理を通せば道理は引っ込む。既にマイナ保険証を事実上強制することに対して、医療現場や介護現場などから強い反対の声が上がっている。

そもそも国民にとっても医療機関側にとっても、保険証をマイナンバーカードに一体化することのメリットはない。

 

それどころか、マイナ保険証は保険組合の方から郵送されてくる現行の保険証とは異なり、本人が役所の窓口で申請しなければならないため、

申請漏れや申請遅れによって無保険者扱いされる人が急増するおそれがある。

また、介護施設や高齢者施設の入所者の多くは、

これまで施設に保険証を預けていた実態があるが、

銀行口座や戸籍とも紐付いたマイナンバーカードを代理人に預けるわけにはいかなくなるという問題も指摘されている。

 

 医療DX(デジタル化)の推進は重要だ。それはそれで是非進めるべきだ。

しかし、それが銀行口座や戸籍とも紐付いているマイナンバーカードに一体化されなければならない理由はどこにも見当たらない。

既存の保険証をデジタル化すればいいだけのことだ。結局、本来一体化することに合理性がないものを無理やり一体化するから、

政府の真の動機は国民の利便性を向上させることではなく、マイナンバーカードを強制的に普及させるためだと思われるのは当然のことだ。

 マイナンバーカードを普及させるために政府は既にマイナポイントなどで2兆円以上の予算を費やしてしまっている。

 

それでもマイナンバーカードがなかなか普及しなかったのは、そもそも国民の多くが政府を信用していないからだ。

政府を信用していなければ、政府がどれだけメリットを強調しても、マイナンバーという共通番号の下に自身の個人情報を次々と紐付けされ、

それを政府に握られることに抵抗を感じるのは当然のことだ。

 

 世界の多くの国が共通番号を導入しようとして失敗しているのも同じ理由だ。

その一方で、スウェーデンなどの北欧諸国では共通番号制度が普及している。

しかし、それらの国々では

国民の政府に対する信頼度も、情報公開を始めとする政府の透明性も、市民が政治に参加するチャンネルの多様さも、

どれをとっても日本とは比べものにならないほど高い~

 

政府がどれだけDXの旗を振り利便性を強調しても、

国民の政府に対する信用がなければ、共通番号制度などまともに機能しないのだ。

 

今回、政府がマイナンバーカードを健康保険証と結びつけることで、

事実上カードの保有を強制したことによって、カードの普及自体は進むかもしれないが、

そのようなやり方は政府に対する信頼度を益々低下させることになるだろう。

 

 なぜ日本のマイナンバー制度はうまくいかないのか。

保険証との一体化はどこに問題があるのか。

今回の政府による強行策はどのような結果をもたらすことになるのか。

清水弁護士とジャーナリストの神保哲生、社会学者の宮台真司が議論した。


 
保団連の調査により判明した「マイナ保険証」でトラブルを経験した医療機関は半数を優に超える6割。
しかも、最も多かったのは肝心の保険資格が「無効」と表示されるケースで実に約7割。
つまり現行の「健康保険証」の代替たり得ないのが「マイナ保険証」の実態。
こんなものを押し付ける自公維国は害悪~
 
 
年収200万円程度で生活に余裕など決してない高齢者に対して医療費窓口負担2倍化を押し付け、
更に社会保険料の逆進性を無視して、更に収入の少ない年収153万円程度の高齢者へ保険料増額を押し付け、
挙句の果てに「健康保険証」廃止法案の成立を強行した岸田自公政権。
自国民への殺意剥き出しの悪政~

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3 コメント

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今朝のニュースから~ (ランスケ)
2023-06-05 11:41:05
週明けの月曜日~
今日は市役所の社会福祉課で、
年始から通院した大学病院の脳の精密検査の結果、
更新されて身体障害者2級になった身体障害者手帳の受け取りです~

しかし、週明け6/5月曜日のニュースは酷い~


人口動態統計によると、2022年の日本の出生数は77万0747人と
1899年の統計開始以来、
初めて80万人を割り込んだ。
また、合計特殊出生率は1.26と2005年と並んで過去最低を記録した。

出生率1.26という数字は、
出生者数が1世代で63%に減るということ。
100年=3世代として計算すれば
100年で25%になる。
出生者数は、100年で80万人から20万人になり、200年で5万人になり
、300年で1万2500人になる。
「日本民族」はそのあたりで滅亡する~


日本の税収、3年連続で過去最高…国はウハウハなのに国民はカツカツで、なんで増税?
賃金が上がらず物価高の最中、
過去最高税収ということは
過去最高に世の中から
お金を消滅させたわけですね。
酷いことするな!
減税してお金を世の中に回すべき時期なのに
。更なる増税や社会保険料増額しか考えないなんて恐ろしい!
SNSにあふれる疑問符~


マイナンバー「1兆円利権」山分け 制度設計7社と天下り官僚 https://nikkan-gendai.com/articles/view/news/166724 #日刊ゲンダイDIGITAL

個人情報の漏洩や、なりすまし犯罪のリスクなど、国民にはデメリットだらけのマイナンバー制度。
メリットを受けるのは旗振り役の霞が関と、
そこに食い込んだ一握りの大企業のみ。
市場規模は1兆円ともいわれる巨額利権を
癒着サークルで分け合う、
腐った構図がみえてきた。
自民党が何兆円もの税金を投入して
マイナンバーカードを導入する

マイナンバー受注企業が儲ける

マイナンバー受注企業が見返りとして自民党に献金する

自民党が更なる献金欲しさに新マイナンバーカードを2026年までに導入する。
マイナンバーって利権まみれだな。
納税するのが馬鹿らしくなる~
返信する
見切り発車 (鬼城)
2023-06-06 07:29:15
どうしようもない施策です。
知人のブログで病院では現在、旧保険証とマイナンバーカードの両方提示を求められるとか?
マイナンバーカードでは期限が示されないと言うことからだそうです。
まさに見切り発車・・・
後期高齢者、病院通い、面倒くさい。
返信する
梅雨の季節の体調管理 (rランスケ)
2023-06-06 11:39:07
6/6、今日は二十四節季の芒種ですね~
作物の種まきや田植えの梅雨入りの時期、
雨季の到来を告げる季語ですね~♪♪♪

またフィリピン沖に発生した熱帯低気圧が
台風3号になって北上してくるそうです~
今年の梅雨は、6月上旬なのに梅雨末期のような
大雨豪雨の大荒れの様相です~

毎日雨で体調管理が難しい季節です~
鬼城さん、お互いに老齢の基礎疾患を抱える
思うに任せない身体です~
なんとか養生しながら、
鬱陶しい梅雨を乗り切りましょう~♪♪♪

もう便利にするためのマイナンバーカードじゃなく
マイナンバーカード存続のためにはあらゆることを犠牲にする姿勢になってきた。
河野大臣を始め政府は意地になるのやめてほしい。
マイナンバーカードは失敗だと早く認めたほうが
傷は浅くて済むのだから~

今朝の東京新聞webのニュースは、

とうとう(対ドルの円相場が)141円になった。
生活が脅かされている」
「国民を苦しめることをしないでほしい」
「金融緩和策で国民生活どん底」 
昨年の急速な円安。
日銀に対応求める声が相次いでいた。
 情報公開請求で判明~

もう八方塞がりの岸田政権は、
当初の予定通りサミット後の6月解散総選挙を
実行して、
困窮する国民の信を問うしか
生き残る道はないですね~
返信する

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