水素爆発があいついで起き福島第一原発が危機的状況にあった3月15日未明、
菅直人前首相が東電本社に乗り込んだ当時の記録が残っていました。
「このままでは日本が全滅だ」
「60歳になる幹部連中は現地に行って死んだっていいんだ。オレも行く」
と東電社員を前に、悲痛な檄をとばした様子がうかがえます。
う~ん、この発言は事故調の調査結果とは、ずいぶんニュアンスが違う。
東電は全面撤退を考えていて、それを菅前首相が身を挺して止めに入ったという風にしか思えない。
また「60歳になる幹部連中は死んでもいいんだ」発言は、ずいぶん彼らの恨みをかったのでしょうね(笑)
「俺も行く」の通りその後、菅直人は周囲の反対を押し切って高濃度の放射能に汚染された現地へ行っている。
この発言を聞くと、事故当時の原発へ行った意味が、180度違ってきますね。
さて菅前首相に事故の責任をおっかぶせようとしていた人たちの目論見が怪しくなってきました。
事故当時からの経緯をずっと見守ってきた私自身の感触は、ひたすら情報が上がってこなかった(官邸にすら)苛立ちが強い。
先頃公開された米軍の提供した放射能汚染マップにしても管轄の各官庁レベルで止まっていた。
彼らは自分たちの責任問題がこの先、予想されると、いっさい情報を公開しない。(あの黒い墨だらけの公文書のように)
東電の事故最終報告書も、この先の訴訟を意識して、いっさい自分たちの失態やあやまちに触れていない。
この一年半の感触は、ひたすら保身に終始した原発関係者の姿しか見えてこなかった。
それは現在も、あいかわらず。否、原発推進の反転に出た印象すらある。
この共同通信の記事は、今年の3月15日づけのものでした。
今朝のインターネット配信を閲覧してゆく過程で見つけました。
てっきり新しい情報だとばかり。失礼しました。
それでも、この発言を当時の大手新聞各紙やTVの報道番組で観た記憶がありません。
これくらいの強烈な発言なのに、なぜメデイアはもっと大きく取り上げなかったのでしょう?
まぁ、報道が偏向しているのは、今に限ったことじゃないけど。
もっと注意深く新聞の片隅やインターネットの配信を見て行かないとね。
漁民たちが異常を訴えていた当初からチッソ内部の技術者からも有機水銀検出のデータが報告され危険性が指摘されていました。
この番組を観て、改めて武田邦彦の「水俣病、チッソに責任はない」を読み返しました。
無防備に読んでいると、確かに武田流のレトリックにハマって、当時の科学的見識や国や市民の合意へと目を向けさせられ、企業の責任は問えないという論旨へ導かれてしまう。
武田邦彦の論旨は、以下の発言に要約される。
≫チッソが水銀を垂れ流したのが今から50年ほど前だが、今でも私たちは水銀を垂れ流している。
この答えは論理的にはまだ答えがないが、歴史的には回答が与えられている。
それは「人間社会は有用なものなら、有害物もOKとする」
つまり人間社会というのは、水銀であるから、鉛であるからという理由では排斥しない。
「管理されている状態で危険性が少なければ便利さを採る」ということである。≪
至極もっともで反論しようがない(笑)
でも、これを是認していては私たちは、すべての人為的で理不尽な災厄を受け入れなければならない。
戦争も公害も薬害も放射能汚染も、あらゆる環境汚染や破壊のすべてを。
つまり武田の論理は、科学は人類に比類なき恩恵を及ぼすのだから、またそのマイナス要素は予測できないことだし、
もたらされる豊かさの前では取るに足らない。ということなのだろう。
その都度、目先の変わったことを言っているようだが(環境問題の嘘とか)武田邦彦の発言の根底には、これがあると認識しておいた方がいい。