Landscape diary ランスケ・ ダイアリー

ランドスケープ ・ダイアリー。
山の風景、野の風景、街の風景そして心象風景…
視線の先にあるの風景の記憶を綴ります。

石鎚スカイライン越え

2014-05-18 | 自転車

 

かなり手厳しい挫折感を味わった。

距離を延ばし、困難な峠越えを次々と克服することで、

欲望のハードルを上げ、ひょっとしたら望めばどこまでも可能なのではないか?

と云う万能感に酔っていたのかもしれない。

 

私自身がいつも警戒していた傲慢な人という生物種の存在そのままに。

昨日、帰宅してNHKドラマ「ロング・グッドバイ」最終回を観た。

レイモンド・チャンドラーの古典的名作を、どのように映像化するのか楽しみだった。

意外な結末だった。

我々日本人の欲望をすくってゆくことで、あの怪物のように誇大化した政治家が生まれた。

そして2020年東京オリンピックの街角ポスター…

デモクラシーを足蹴にし民主的手続きを否定する独裁者の出現。

3・11以降、未来のための変革よりも卑近な景気を選択した結果がこれだ。

それにしてもNHK…某首相の個人的メディアと堕してゆく現状に一矢を報いる痛烈なアンチ・メッセージだった(拍手)

 

 

金曜日の朝、黒森峠と石鎚スカイラインを越え瓶ヶ森へ至る、

平地から自転車で行ける四国最高地点への輪行に挑んだ。

 

気持ちが昂ぶっていたのだろうか?

前夜ほとんど眠れなかった。

朝から、どうも身体が重い…

テン泊荷物とカメラ機材でザックの荷重は22kgだった。

快晴の朝、走り始めて、やっぱり足が重い。

体調不良と前回より4kg重い荷物が、ボディブローのように次第に効いてくる。

余裕で越えていた黒森峠がアップアップの有様…

 

一番堪えたのが、ザックの重みが固いサドルを通してお尻(内股の股関節あたり)を圧迫すること。

自転車乗りが重い荷物を担がない訳は、これだと思う。

インナーに防護用緩衝材の入ったバンツを履いているが、

これも長時間乗っていると用を成さない。

ザックの重みは、ペダルを漕ぐ足と腰にも掛かり、

山越えは予想外に何度も自転車を止めドリンク休憩を重ねることに。

 

それでも、まだなんとか成るだろう…と云う根拠のない楽観があった。

黒森峠も前回より早く正午には到着した。

(その分、出発時間が一時間早い)

昼食後、一気に峠を下る。

通仙橋で石鎚への道と合流して、

ずっと緩い上りが続く。

途中、リヤカーを引く青年と出会う。

福岡から来たヤーマンくんと出会って旅の話をしたことで、

少し元気をもらった。

半年間もリヤカーを引いて旅する人がいる…

 

14時半、スカイライン入口到着。

最初から息が切れて足が重い。

最初のトンネルを抜けたところで、これ以上は無理だと判断した。

山道を下りながら、このまま帰るのか?自問した。

気持ちが折れてしまった挫折感は大きかった。

成す術もなく重い足を引きずりながら帰るのは、あまりに惨めだ。

今夜は、どこかでテン泊しよう。

面河渓キャンプ場に、その夜は幕営した。

鉛のように重い疲労感が身体全体に纏わりついていた。

その夜は、ひたすら持参した食糧を食べ渓流で冷やした麦酒を飲んだ。

日没後、すぐ昏睡した。

夜明け前の月明かりの中で目覚めた。

なんだろう…

妙にすっきりしている。

疲労感が退いて元気なのだ。

昨夜塗った筋肉痛の薬のせい?

それともrieさんにもらった疲労回復のサプリメントのおかげ?

「スカイライン越えに再挑戦しよう」

という想いがフッと浮かんだ。

筋肉各部を点検しながら、これなら出来ると思った。

 

 

スカイライン入口で、再びヤーマンくんと出会う。

彼はリヤカーを引く旅をしながら山登りをしている。

これから土小屋まで上って石鎚山に登ると云う。

地図を指し示しながら笹ヶ嶺にも登りたいと。

瓶ヶ森林道の崩落箇所は、どうなのだろう?

スカイラインゲートの管理事務所で聞いてみる。

5/16 に全面開通したようだ。

また彼から出発前の元気をもらった。

実は、また下山時に昼食中の彼と出会う(笑)

旅の途上にある人は、みんな不思議な雰囲気を持っている。

ヤーマンくん旅の幸運を祈っています。

 

 

何度かドリンク休憩や写真撮影をしながら標高1492mの土小屋まで上り切った。

(さらに瓶ヶ森まで、300mくらい標高を上げる余力はなかった)

なんとか3時間は切ったが、所要時間2時間50分。

とてもヒルクライムに出場できるタイムではない(苦笑)

でも空荷で面河出発点まで車で移動したなら2時間くらいで上れるかも?

などと埒(らち)もないことを考えてしまう。

最初から自転車に対する目的意識(スポーツか移動の手段か)が違うのだから、

こんな比較には意味がない。

おそらく担ぐ荷物を15kgくらいに抑えると瓶ヶ森も可能だと思う。

今一度、自分の身体と相談しながら検討してみよう。

土小屋から松山まで。

久万から三坂峠の長い上り以外は、ほとんどが下りとなる。

この道路の微妙な傾斜や空間認識は、自転車ならではの身体感覚だろう。

さて、この手厳しい挫折感を、次にどう繋げようか?

 

 


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4 コメント

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勇気ある決断 (misa)
2014-05-18 22:24:15
頭の下がる思いです
再度の挑戦を・・・・

本日のろまな亀は沢山のうさぎさんに追い越されながら3時間かけて兜岩に這い上がりました
下山はヒュッテコースを一気に駆け下りましたが意外と疲れてません
また画像送ります
返信する
次なる課題? (ランスケ)
2014-05-18 23:27:12
misaさん、私たちの年代では一カ月も山へ行かないと、
途端に体力が衰えます。

年老いた親と仕事の両方で介護しなければならない
misaさんなら、尚更です。

あは…それと下山に強いmisaさんらしいコメント(笑)
今年のアケボノツツジは当たりみたいですね。
う~ん、天邪鬼の私はアケボノを外してクリンソウの群生を(苦笑)

さて、挫折感克服の課題は?
皿ヶ嶺を越え畑野川へ下り、さらに上り返して重信へ。
これを余裕を持って出来るようになれば瓶ヶ森も大丈夫でしょう。
それと何より荷物の軽量化です。
これから夏に向けて夜間の防寒着が不要になるので、なんとか成りそうかな?

それにしても安倍晋三という怪物を生み出したのは、
我々日本人の限度を知らない欲望の結果でしょう?
この国はアクセルはあってもブレーキのない国だということを忘れないで。
返信する
「美味しんぼ」について (ランスケ)
2014-05-20 13:14:01
しばらく政治的発言を控えていましたが、
「集団的自衛権」「美味しんぼ」と続く恐怖政治への傾斜が、あまりにも気味が悪い…

三年目を迎える福島の同調圧力も恐ろしい。
例によってNHKを筆頭に大手メディアの報道は、そのまま信ずることなど出来ないし、
色々探していると「もうすぐ北風が強くなる」さんのブログに辿り着きました。

http://bator.blog14.fc2.com/blog-entry-2289.html

Days Japan の広河隆一氏のインタヴューは、状況を冷静に伝えていると思う。
本当に日本の対応は、チェルノブイリ事故当時の旧ソ連以下ですね。
返信する
アケボノ満開 (ランスケ)
2014-05-23 14:16:37
石鎚、墓場尾根のアケボノツツジが満開です。
おそらく十年に一度の大開花。
今週末までが見頃でしょう。
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