
どうしたものか風邪が、なかなか癒えない。
やっと熱が下がり咳が治まったのが土曜日。
月曜の雨は山では雪になるかもしれない。その前に山へ入り愛大小屋の冬支度をしておきたかった。
この二年ばかりは色々あって山から遠ざかっていたので、愛大小屋を利用することも、ほとんどなかった。
今年からは、また頻繁に利用させてもらうつもりだ。
根雪になる前に、しっかり薪割りをして冬の燃料を備蓄しておこう。
周囲の森には枯れ木が沢山落ちている。
それを集めて、鋸で挽き斧で割る。
日の暮れるまで続けて、久しぶりに良い汗をかいた。
夕闇に落ちた山小屋に温かい薪の炎が灯る。
ポツリポツリ梢を打つ雨音が聴こえ始め、薪の爆ぜる音と冬木立を打つ雨音が静かに心に沁み入る。
結局、その雨は雪には変わらなかった。
わずかに山頂周辺に薄い積雪をもたらしただけだった。
月曜一日降り続けた雨が冬木立の森に沁み入る音を聴きながら、本を一冊読み終えた。
そして小屋で二晩を過ごし、火曜日の朝、山頂を目指した。
シコクシラベの森を抜けると次第に白く霧氷に覆われた木立へと変わり胸がときめく。
先週、降り積もった雪が固まって凍結し、何度か足を滑らせる。
山頂周辺の雪は、このまま根雪となりそうだ。
白いガスの底に沈んだ山頂には、もうKさんやいけぴーさん、香川のSさんの三人が到着してガスが晴れるのを待っていた。
荷物を解いて、避難小屋内で温かい珈琲を飲みながら、
長い待ち時間、共通の知人の消息や石鎚ビギナーズのいけぴーさんへのアドヴァイスなどあれこれ…話が弾む。
いけぴーさんとSさんは正午がリミットだと云う。
正午前からガスが薄くなり、時折青空が覗き始める。
こうなると間が悪いことに写真ヤさんは、帰るに帰れない(笑)
Sさんは1時まで延ばすと云い、それにいけぴーさんも引きずられる。
湧き上がる雲の狭間から一瞬、天狗岳が顔を覗かせる。
西の川から登ってきているいけぴーさんは、さすがに1時がリミットだった。
後ろ髪を曳かれる想いで下山するいけぴーさんに、「また、おいで」と声をかける。
Sさんは、もう何時までに帰るとは云わなくなった(笑)
その後、一気に押し寄せる雲の高さが低くなって、視界いっぱいに一面の雲の海と眩しい青空が広がる。
雲の波間から真っ白な天狗岳が立ち上がる。
この瞬間は、何度体験しても感動的だ。
2時過ぎ、私とKさんは夕映えの墓場尾根(柱状尾根)撮影のために移動。
凍結した岩場を辿るためにアイゼンを装着。Kさんはザイルを用意。
南尖峰から先は、Kさんがザイルを張って支点を確保してくれる。
予想通り墓場尾根は霧氷に覆われている。
吹き上げる寒風の吹きさらしの中、日没の5時まで、
充分に防寒対策を施したつもりだったが、この寒気は耐え難い。
あの一瞬の燃え上がる紅(くれない)の残照がなければ、フリーズドライされてしまいそうな底冷え。
ガチガチ歯の根もあわないような寒気に震えながら
「ついに撮ったね」とKさんと感動の光景に出会えた幸運を分かち合えた。
山岳写真は、ある一線を越えなければならないときがある。
クロスロード(十字路)で悪魔に魂を売り渡したロバート・ジョンソンのように、
魂と引き換えにしてでも、手に入れたい何かがある。
この限界の見極めが微妙だ。
今回はKさんという強力なパートナーがいたが、私一人だと綱渡りをしてしまう。
もう守るべきものがなくなったので、
ブレーキのかけどころ、肝に銘じておこう。
風邪気味とか?万病の元と言いますから気をつけてくださいね。
墓場尾根の表情の変化はまたまた素晴らしい。
アイゼン、ザイル無しでは危険ですよ。
石鎚は写真で見る限り、もう冬ですね。
冬支度を通り越しているように思います。
時間切れの方、切り上げも大事ですね。
ほんと、自然写真は時間との勝負だと思います。
学生時代の京都は音楽浸りで、こういう人が長い時間をかけて洗練を極めてきた文化とは無縁の生活でした。
今更ながら残念に思います。
石鎚は山頂付近の雪は、そのまま根雪となりそうですが、
愛大小屋周辺は初冠雪から二度の雨で、ほとんど溶けてしまいました。
今週末から来週にかけての真冬なみの寒気にともなう低気圧の通過で、今度こそ根雪になりそうですね。
まずは12月半ばくらいまで持ちそうな薪を造りましが、もう一度行きたいと思っています。
なかなか今年の風邪は後を引いて思うように完治しません。
身体と相談しながら山へ入ります。
仰るように、着実に撮りたい風景に近づいています。
それはKさんの存在が大きいと思います。
常に高いレベルで理想とする写真に近づこうとする努力には頭が下がります。
私も、それに引き摺られるように目標値を高く持ってステップアップに繋がっています。
ただ漫然と山に通うのでは偶然に頼るしかありません。
気象を読み、それを確実にものにする写真術が必要です。
この冬は、なんとか理想とする山岳風景を、と願っています。
また、そのチャンスだと思っています。
限られた休みに今の自分に何が切り取ることが出来るのか
今日伊吹にて思いながらシャッターを切りました
気象を読み、確実にする写真術が今の私には使えない
とりあえず今日は瓶林への〆とします
ランスケさん、チャンスでしょうね
応援しますよ心から・・・・
土小屋ライブカメラが春まで閉鎖したので、もう気象情報から想像するしかありません。
写真に対するモチベーションは、自由になる時間が多くなると上がるかというと、まったく逆です。
仕事に追われて少ない時間をやりくりしている方が気力は充実します。
そして何を撮りたいかというイメージを明確に描くことです。
自然相手だからどんな風景と出会うか判らないなどと、あやふなイメージで山へ入っても結局、中途半端な写真しか撮れません。
それとデジタルカメラの機能をフルに活用することです。
一枚一枚の画像を確認できるデジタルカメラは、露出を変えることで、まったく違った写真に生まれ変わります。
雪山シーズンを迎えて、どんどんモチベーションが上がっています。
こんなに気力が満ちてくるシーズンは久しくありませんでした。
何か撮れそうな予感がしてきます(笑)
感動しました
ブログを拝見すると、ムラサキセンブリが雑草の如く繁茂していますね(笑)
なんとも羨ましい風景です。
お遍路の旅をしていて同じ四国でも、太平洋沿岸と瀬戸内海沿岸では風景や風土が随分異なると実感しました。
その豊かな自然環境、どうか皆さんで守ってくださいね。
カメラもって山に行くなら確実にものにしないと意味がありませんね。手ぶらで帰るならカメラ持って行かないほうがいいし。確実にものにするためには準備が必要ですね。日帰りではチャンスが少ないですし。
今月は多忙のため山はお休みしますが、年明けはできる限り通いたいと思っております。
今週中に山に入りたいのですが、
次々に低気圧がやってくるので迷ってしまいます。
先程もKさんと電話で話していました。
たぶん今週後半は、ずっと山に雲が纏わりついて晴れないだろうと。
週初めからの寒気と低気圧で、雪はたっぷり降っているでしょうね。
本格的な雪山シーズンの到来です。
いけぴーさん、確実に風景をものにするには、目の前の風景をイメージ通りの写真にするためのテクニックが必要です。
確かにデジタルカメラの技術的進歩は目覚ましいものがありますが、カメラ任せではイメージ通りの写真は撮れません。
幸い、いけぴーさんのカメラは機能としては申し分のない最高級のデジタルカメラです。
その性能をフルに活用できるテクニックを身に着けてください。
今治には来島海峡という格好のロケーションが身近にあります。
Kさんを始め優れた写真ヤさんが、ここをホームグランドに活躍しています。
お忙しいでしょうが、ここで写真のテクニックを身に着けられることをお薦めします。
いざ石鎚で、待望の風景と巡り会っても、それを撮ることが出来なかった悔しい思いを、私自身何度かしています。
明暗差のある雪山の雲海の朝の風景をイメージ通りの写真に収めるのは結構難しいですよ。
しっかり、その時のための予行演習を忘れずに(笑)
またお会いしましょう。