
野生種(自生種)の桔梗(キキョウ)は絶滅危惧種である。
でも園芸種の桔梗が住宅地の庭先や公園に植えられ普通に観られるので、
そんな稀少な花という印象は薄い。
「野に咲く花は美しい」という言葉通り、本来その花が生育する環境で観ると、
水を得た魚のようにナチュラルな輝きを放ち始める。
里山の狭い谷合の道を入った奥にある茅場に、その花はひっそり咲いていた。
ここも春先には野焼きされ人の手が入る場所である。
こういう場所が、だんだん少なくなってきた。
人の手が入らなくなり荒廃してゆくと、桔梗も消えてゆくのだろうか?
人の手によって環境が更新され続ける場所に依存する動植物は確かにいる。
それが日本独特の里山という自然環境なのだ。
農林産業の衰退と共に姿を消してゆく動植物は多そうだ。
秋の七草である桔梗は、自然環境下では真夏の花である。
撫子(ナデシコ)も河原の草叢に咲き始めていた。
八ツ塚を囲む田圃は青田の草の海だった。
風が渡ると草の海はざわざわ波立つ。
立秋の8月7日、松山は観測史上最高気温37・4℃を記録した。
この先も猛暑日は続くようだ。
いつになったら秋はやって来るのだろうか?
代表的な「里山」の写真家である今森光彦の暮らす琵琶湖周辺の自然と人の暮らしが融和した風景は、
何度もNHKの番組で特集されて来ました。
佐渡の朱鷺を再生させた里山風景も素晴らしい。
同様にコウノトリ再生の真岡も東北自転車旅の途上で訪れましたが、、ここも美しい里山風景でした。
また新潟から山形の山間部は、素朴で美しい里山風景の宝庫です。
ゆっくり進む自転車旅では、そんな風景を数多く目にしました。
絶滅危惧種という言葉は環境問題の指標です。
私たちが便利さや快適さを追い求めた結果、
どれだけ多様な生物を危機的状況の追い込んだかというバロメーターです。
自然写真をずっと撮っていると、この危機感を身近に感じ続けています。
何度もそのことを訴えてきましたが、自然写真を撮っているのに、
なぜ、その生き物の営みを踏みにじるような行為を平気で出来るのか?
不思議でしようがありません。
私のフィールドとする久谷周辺も、まだまだ里山風景と、そこで共存する生き物たちの営みが見られます。
この貴重で身近な里山風景を記録して行きたいと思っています。