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風の記憶

the answer is blowin' in the wind

ひこばえ

2006-11-06 | 田んぼ・平野



稲刈りを終え、今年一年の収穫を喜び、ほっと一息ついた頃、
庄内平野の田んぼは、稲刈り後の土色から一転して、草原のような薄緑色に変わります。

稲の「ひこばえ」です。

刈り取った稲の根株はまだ生きていて、そこからまた芽を萌えたたせるのです。

何という生命力でしょうか。
毎年、このひこばえの風景を見るたびに、生命の逞しさ、健気さ、そしてその儚さを感じてしまいます。

南の温かい地方では、このひこばえが成長し、また稲を実らせる事もあるのだそうですが、北国庄内はもうすぐ厳しい冬、このひこばえたちが育つことはありません。

稲たちは、その命の最後に、あの風薫る五月の風景を再現するかのように、束の間田んぼを緑色に輝かせて、冷たい風の中へと消えてゆくのです。




詩集 ひこばえ

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庄内米

2006-10-01 | 田んぼ・平野



爽やかに澄んだ秋晴れの空、今年も庄内平野は黄金色に染まり刈り入れの時期を迎えています。
さざ波のように田んぼの上を穂波が渡り、町中に豊かな藁の薫りが漂いはじめました。

そんな豊かな実りの庄内平野ですが最近ちょっと心配事が一つ。お米の消費量が年々減っていることもあり休耕田や転作田が目立つようになってきたことです。

お米は言うまでもなく日本人の主食ですが、ただ単に食べ物と言うことではなく、日本の文化風習、芸能や芸術、文学や音楽などなどあらゆる面で日本人の精神性に深くかかわっています。

日本各地で行われる夏祭りや秋祭りは、田の神に豊作を祈ったり感謝することに由来していますし、田楽(でんがく)などの芸能も田植えのときのお囃子や唄が始まりだといわれています。冠婚葬祭などの大切な儀式の時には白いごはんを高く盛って神物などに供えたりする習慣も残っています。
それに、江戸時代の武士の給料(禄高)を50石とか200石とか言ったり、大名の大きさを○○万石大名と言ってお米の実入りの大きさで表した国は日本以外にはないのだそうです。

そもそも、日本は「瑞穂の国」と言います。「瑞穂」とは稲のことです。
つまりは日本文化とはお米文化と言っても良いと思うのですが、稲作が廃れていくと言うことは日本文化が無くなってしまう、ということのように思うのです。


「お米を一粒でも残したりしたら、罰が当たるよ。」
私はそう言われて育ちました。
普通は「食べ物を粗末にしたら・・・」でしょうが、ここは「米の国庄内」です。お米には特別な思い入れがあるのです。


ところで、JA全農庄内さんで 『庄内米ファンクラブ』 というサイトを立ち上げました。
「・・・、「米」の文化を守り発展させることは、私たちに課された重要な任務でありますし、庄内米ファンの拡大をはかることが少しでも「米」の消費拡大に結び付けばと考えます。」と言うことだそうです。
会長はあの映画「蝉しぐれ」の監督の黒土三男さんです。
庄内米を産地精米でネット購入できたり、庄内の特産農産物が抽選で当たるプレゼントキャンペーンなどもあるそうです。
是非ご覧になって、美味しい庄内米を知って、食べて、ファンになってください。

美味しいよ~、庄内米♪ (^^)/

 → 『庄内米ファンクラブ』


 → (JA全農庄内 - おいしい国 庄内 - )

 → (米ネット:お米ものしりゾーン)


- お米は生きている -

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夏色のおもいで

2006-09-16 | 田んぼ・平野

そう言えば、若い頃に友人がこの羽越本線で かけおち したことがあったっけ・・・。




君をさらってゆく 風になりたいな


君をさらってゆく 風になりたいよ




『夏色のおもいで』~チューリップ~
作詞:松本隆さん、作曲:財津和夫さん

- THE BEST OF TULIP -




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マメグンバイ

2006-06-24 | 田んぼ・平野



「雑草」などと一括りにされてしまう野の草花の中には、きれいなものがたくさんあります。

例えばこの「マメグンバイナズナ(豆軍配薺)」

田んぼの畦道や陽当たりの良い野道によく生えている地味な草ですが、見つけると思わず立ち止まってのぞき込んでしまいます。

結構・・・、お気に入りです。(^^)v



 「雑草ノート」 - 知れば知るほど面白くなる雑草の話60編-

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夕焼け庄内

2006-06-11 | 田んぼ・平野



写真撮影を終えるとき、いつも必ずフィルムを1~2枚残して終えるようにしています。
つまり、36枚撮りのフィルムだったら35枚撮って帰る、ということです。

なぜそんな無駄なことをするかというと、帰宅する途中に素敵な風景に出会う、ということがよくあるからなのです。
全部撮り尽くしてフィルムがない、これがなんともとっても悔しいのです。

この夕焼けの写真も、撮影の帰りに出会って、残しておいた最後の一枚で撮った写真です。

まあ、帰り際の良い場面なんて必ず出会える方が少ないのですから、結局は無駄になってしまうのですが、撮影地で完全に撮り終えて後は帰るだけ、というよりも、帰るときに何かに出会えるかも、と考える方が素敵じゃありませんか。何となく・・・・ね。

人間って、本質的に合理的ではない生き物ですから・・・。




ALWAYS 三丁目の夕日

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田の神さま

2006-06-07 | 田んぼ・平野



「田植えしてっど、山(鳥海山)がら神様 降りで来ての、

おらえの田んぼさも 居でくださんなです。

ありがでぐで、ありがでぐで、

思わず手ぇ合わしぇでしまいますのぅ。」


- 遊佐町の農家 -


庄内弁
~田植えをしていると、鳥海山から神様が降りてきて、
自分の家の田んぼにも居て下さるんです。
ありがたくて、ありがたくて、
思わず手を合わせてしまいますね。~






稲の祭と田の神さま - 失われゆく田んぼの歳時記 -

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田んぼとウミネコ

2006-06-05 | 田んぼ・平野


田んぼに・・・・・・、ウミネコです。

庄内には磯浜もあり、ウミネコもたくさん見かけますが、田んぼで見かけるとやはりちょっと違和感?がありますね。虫でも食べにやってきたのでしょうか。
田んぼには秋から冬の終わり頃までは白鳥が落ち穂拾いにやって来ます。初夏にはツバメが空中を飛び回り虫を捕獲していますし、秋になると雀がお米をつまみ食いにやってきます。サギは・・・年中田んぼに浸かっているような気がしますね。

田んぼにはたくさんの生き物が生きています。
カエルやヘビやネズミ、ゲンゴロウやタニシやヤゴ、ミズスマシなどの虫たち、メダカやドジョウやアメリカザリガニなどなど様々な生命が溢れています。
動物だけではなく植物(人間にとっては雑草と一括りにされる植物)もたくさん育ちます。もちろん稲という植物を育てるために作った環境ですので、他の植物が育ち悪いわけがありません。
雑草たちは、人間がちょっと目を離した隙にあっという間に育ち、田んぼを占領しようとするような勢いで育ちます。農家は雑草との格闘の日々です。

稲だけがすくすくと育っているように思われがちな田んぼですが、農薬を使用しない田んぼには実に500種ほどの生命が息づいているのだそうです。

生命の揺りかご、田んぼ。

お米が美味しいのは、命の恵みをもらっているからなのです。



 「田んぼ」 - 人がつくった生命の湿地 -

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夕日

2006-05-13 | 田んぼ・平野



庄内、と言えば「夕陽」です。


秋の透明な夕陽もきれいですが、春のおぼろげな夕陽も好きです。

特に庄内平野では、田圃に水が張る頃(つまり今頃)の夕陽がおすすめ。

広い空が夕陽色で染まると、田圃の水がそれを映して空も大地も夕陽一色です。


酒田市松山地区にある
「眺海の森」 (標高200メートル位の丘陵地帯にある県立公園)から、日本海に入る夕陽を撮影しました。




日本の夕陽百選 [ 酒田市 ] [ 鶴岡市 ]
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- 日本海夕陽物語 -

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映画「蝉しぐれ」

2005-10-22 | 田んぼ・平野

映画「蝉しぐれ」を観てきました。
結論から言うと、とても素敵な映画でした。

10月8日にも書きましたが、小説「蝉しぐれ」は思い入れの深い作品でしたので見に行くか行くまいかちょっと躊躇しましたが・・・、やっぱり行ってきました。(^^ゞ
映画を見に行く前に、原作と比較して見るのはやめよう、と心に決めて観に行きました。小説には小説の楽しみ方があるし、映画には映画でしか表現できないものがあるのだから、素直にまっすぐに「映画」を楽しもうと映画館に向かいました。

まず映画の冒頭、吹雪の庄内が映ったときには、ちょっと鳥肌が立ちました。ここに住む人々にとっては何でもないただの吹雪の風景なのですが、私もかつてはそうだったように遠く離れて暮らしている庄内出身者にとっては、この何でもない吹雪の風景こそ庄内なんだと思えたからです。

その後、ふく がヤマカガシに噛まれるシーンから始まり、文四郎と祭りに出かけるシーン、逸平や与之助との友情のシーン、格闘シーンなどなど、短い時間の中で小説の盛りだくさんの内容を伝えようとしている苦労が見えて、「シナリオは原作をもっと省略して、ゆったりとした流れにした方が良いのでは?」とも思いましたが、名場面の多い小説で、それが全て繋がっていますからしょうがないかな、とも思ったりして・・・。

この映画では特に感動した場面が二つありました。その場面は、小説でも名場面と言われている部分なのですが、映画でしか表現できない空気感というものを感じました。
ひとつは、切腹させられた父を文四郎が大八車で引いていくときに、きつい坂道で ふく が現れて、涙を堪えながら無言で必死に大八車を押しているときのふくの表情です。
そしてもう一つは、物語の最後、ふく が文四郎と逢い話しを終えた後に、今まで「おふくどの」と呼んでいた文四郎が堪えきれずに「ふく」と呼んだ時のふく(木村佳乃さん)の表情です。じっと文四郎を見つめた大きな目に、少しずつ少しずつ涙が溜まっていき、その表情がまるで20年間想い続けた時間を結晶させているようで、とても美しいと感じました。

映画でのこの二つの場面は、実は原作通りでは無いのです。
原作通りでは無い場面で感動できたのですから、これは黒土三男さんの「蝉しぐれ」であり、そして映画「蝉しぐれ」として心に残る良い作品だと思うのです。

しかし、感動した二つの場面はどちらも全く台詞が無く、俳優の表情だけの場面なのですが、その表情が本当に素晴らしかったなぁ。今でも余韻が残っています。
区分するのはあまり好きではありませんが、イメージ的には「たそがれ清兵衛」や「隠し剣、鬼の爪」が芥川賞とすると、「蝉しぐれ」は直木賞・・・、と言ったところでしょうか。(^^ゞ
庄内の風景をとてもきれいに捉えているし、この作品のDVDは買いですね。発売になるのが今から楽しみです。(^o^)


DVD発売予定日は2006/04/14。ただいま予約受付中です。
 → 蝉しぐれ プレミアム・エディション

(参考)
「蝉しぐれ」公式HP → 
http://www.semishigure.jp/
「たそがれ清兵衛」公式HP → http://www.shochiku.co.jp/seibei/
つるおか旅読本HP → http://www.tsuruokakanko.com/index.html
海坂藩研究所HP → http://www.e-yamagata.com/unasaka/index.htm
庄内空港HP → http://www.shonai-airport.co.jp/
鶴岡市HP → http://www.city.tsuruoka.yamagata.jp/



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お米のふるさと

2005-09-19 | 田んぼ・平野


ブログの更新、ちょっとサボってました。(^^ゞスミマセン。

さて、庄内平野ではいよいよ稲刈りが始まります。
たわわに実った稲穂が、秋の爽やかな風に吹かれて、さわさわと気持ちよく揺れています。
稲刈りが最盛期を迎えると、町中が藁の良い香りに包まれて、とても豊かな気持ちになります。
喜びの季節がやって来ました。


お米の話です。
山形県庄内地方は 『おいしいお米のふるさと』 と言われます。
現在、日本で良食味品種としてブランドを確立している品種は「コシヒカリ」「ササニシキ」「あきたこまち」「ひとめぼれ」「はえぬき」などですが、これら日本の主要なお米のルーツをたどると、そのほとんどが庄内地方の農民が育成した品種「亀ノ尾」(阿部亀治氏)や「森多早生」(森屋正助氏)などに行きあたるのだそうです。
( → 全農庄内のHP  
http://www.shonaimai.or.jp/ )

日本中で食べられている美味しいお米。
そのお米は、昔々庄内地方の農民がとても苦労して創り出したお米の子孫なのです。(^_^)v

それに、日本三大品種のひとつに数えられた庄内米の名品「亀の尾」は、現在 復活されていて、酒米としても優秀なため美味しい吟醸酒もつくられています。
(→ 木川屋さんのHP  
http://www.kigawaya.com/sake/tsukuri/kamenoo.html )
(→ 大沼酒店さんのHP  
http://www.h7.dion.ne.jp/~onuma/index.html )

私は農家ではありませんが、お米の国に生まれ育った人間として、秋はやはり喜びの季節です。
空が高くなり、トンボがたくさん飛び交う秋の田んぼ。農家の私の友人が言っていました。稲刈りは今でも農家の大仕事で大変だけど、それでも収穫はやはりとても嬉しいものだ、と。

長い長い歴史と人々の苦労に応えるように、庄内平野には今年も金色の稲穂が揺れています。

 


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ふるさとの風景は

2005-08-27 | 田んぼ・平野


~ 藤沢周平さん 『ふるさとへ廻る六部は』 より ~


山形県西部、庄内平野と呼ばれる
生まれた土地に行くたびに、
私はいくぶん気はずかしい気持ちで、
やはりここが一番いい、と思う。
山があり、川があり、一望の平野がひろがり、
春から夏にかけてはおだやかだが、
冬は来る日も来る日も
怒号を繰りかえす海がある。
こうした山や川に固有名詞をあたえれば、
月山、羽黒山、鳥海山、川は最上川、赤川。
そして平野の西に這う
砂丘を越えたところにある海は、
日本海ということになる。
そういう風景に馴れた眼には、
東京の、よほどの好天でもなければ
山が見えない風景はどこか物足りないし、
また信州のような土地に行くと、
今度は山が多すぎて
少し息ぐるしい感じをうけるのである。
庄内が一番いいというのは、そういうわけだが、
そこにやや気はずかしい気持ちがまじるのは、
私が挙げたような風景は、
そこで生まれた私にとっては
かけ替えのないものであっても、
よその土地から来たひとたちにとって、
それほど賞美に値するものかどうかは
疑わしいと思うからである。


--------------------------------------
藤沢周平さんは、庄内(鶴岡市)出身の作家です。
有名だから、知っていますよね。(^^ゞ



 

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