風の記憶

the answer is blowin' in the wind

春の妖精

2006-03-29 | 


庄内にカタクリが咲き始めました。

落葉広葉樹林の林床に、雪解けを待ちかねたように一斉に芽吹き、頭上の樹々たちが葉を広げる五月には地上から姿を消してしまう早春の短命な植物たちをSpring Ephemeral(スプリングエフェメラル)~「春の儚い命」「春の妖精」と呼びます。雪国はこの早春植物の宝庫なのです。

「スプリングエフェメラル」、「春の妖精」、と呼ばれる植物は、ミスミソウ、セツブンソウ、キクザキイチゲ、イチリンソウ、ニリンソウ、ショウジョウバカマ、アマナ、エンゴグサ、オウレンなどですが、なんと言ってもその代表格はカタクリではないでしょうか。
恥ずかしそうにうつむきながら咲く可憐な花姿は、妖精が羽を広げて舞い降りてきたようにも見えます。その群生は冬枯れた早春の林床を一面紫色に染め上げ、それは見事です。

そのカタクリの花、実は8年かけてやっと花を咲かせるのだそうです。
早春の光を短い期間しか受けられないために、細い葉で一年また一年と毎年少しずつ養分を蓄え、ようやく一輪の花を咲かせるのです。

まるで、長い年月をかけて想いを育み、やっと夢を叶えるように咲く早春の小さな花。


雪国庄内にも春のやさしい風が吹き始め、

妖精たちのつかの間の夢が始まりました。




カタクリ―花咲く春の森で (著)太田威

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やさしい場所

2006-03-27 | 

酒田市内を流れる新井田川から眺める鳥海山です。
一緒に川沿いにただ歩いているだけで楽しかった時期でした。



あの やさしかった場所は 今でも

変わらずに 僕を待ってくれていますか?




- ここにしか咲かない花 -
by コブクロ
小渕健太郎さん:作詞




- ここにしか咲かない花 - by コブクロ


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夕霞

2006-03-23 | 


日本海の春の夕焼けです。 (山形県遊佐町吹浦から撮影)

真冬には偏西風で荒れ狂う日本海ですが、春先になると時折信じられないほど穏やかな波の日があります。霞(かすみ)が懸かり、幻想的な夕焼けの中、飛行機が音もなく雲を曳いていきました。


ところで「霞」(かすみ)は、春に水蒸気が凝結して細かい水滴となり地表近くの大気中に煙のように漂う自然現象なのですが、秋にはこれとまったく同じ現象を「霧」(きり)と呼びます。
春立つものを霞(かすみ)、秋立つものを霧(きり)、と同じ現象を季節によって違う呼び方をするのです。

食べ物では、牡丹餅(ぼたもち)とお萩(おはぎ)も同様です。
まったく同じものなのですが、春のお彼岸では「牡丹餅」、秋のお彼岸では「お萩」と呼びます。季節の花になぞらえ、その季節を感じながら味わいたい、という心映えでしょうか。

日本人は古来から自然に寄り添って暮らしてきました。そしてその時季だけに用いる特有の言葉を生み出してきました。日本人が自然の中で育んできた美意識の結晶とも言うべき『季語』です。

四季それぞれに吹く風や、降る雨、差す日の光、そこに息づく草花や生き物たちの様子、そしてその中に在る自分自身を繊細に感じとって、その一つ一つを表すために先人は言葉を添えてきたのです。
たとえ同じものであっても時季によって呼び名を変え、それを口にすることでまた季節を感じる。そしてそんな微かな趣をとらえる感性を、私たち日本人は誰に教わるでもなくここに暮らしているだけで身につけることができるのです。

なんと豊かなことだろう、と思います。

自然に身を置き、風に吹かれて草木のざわめきを聴いたり潮騒の音を感じただけで、何か満ち足りた気持ちになるのは偶然ではなく、私たち日本人の遠い祖先からの風の言葉を聞いているからなのかもしれません。





四季の言葉 ← 大好きな写真家「今森光彦」さんの美しい写真と季節の言葉のアンソロジー。
おすすめです。

日本人の心の結晶 『季語』の世界へ

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花の季節のはじまり

2006-03-21 | 



野の道端に福寿草が咲き始めました。

まだ少し雪の残る道端にも、雪を割るように福寿草は咲き始めます。

この花が咲き始めると野の草花や花木が次々に蕾を膨らませ花を咲かせていきます。

辛夷や満作、キブシや木蓮が山里を彩り、梅と桃と桜が一斉に咲き誇り、野には蕗の薹がひょっこり花開き、一輪草やキクザキイチゲ、オウレンにイワウチワ、そしてカタクリが冬枯れていた林床をきれいに染めていきます。

雪に閉じこめられていた生命が一気に萌え出す雪国の春。


北国の花の季節が今、始まりました。




○ 花の季節 ○

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なごり吹雪?

2006-03-15 | 


庄内地方は月曜日から冬に逆戻りです。

なごり雪・・・、にしてはちょっと強烈な吹雪ですね。(^^;)なごり吹雪?
先週までは春の陽気でしたから、冬タイヤを交換した人もいたのではないでしょうか。
そのせいか交通事故も多かったようです。
雪国では冬の始まりと終わりの時期、タイヤをいつ交換するか、が大問題なのです。

と、言うことで当ブログも季節をちょっと戻して、冬の写真を1枚。

この写真を見て、懐かしいと思うか、もううんざりと思うかは人それぞれでしょうか・・・。
私はどちらかというと冬は好きなほうなので、ちょっと懐かしいほうかな~。

でも今シーズンはもう雪は結構ですけど・・・。



◎ なごり雪 ◎

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春の空

2006-03-10 | 



春の雲がゆっくりと流れていきます


あれほどたくさん積もった雪は

もはや跡形もなく大地に染み込み

その大地からは春の息吹が薫ってきます


どこからかヒバリの鳴き声が聞こえ

まだ少し冷たい風が

頬をキリリと撫でていきました



春が

始まりました






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 森の人~ 春の空 ~
森山直太朗

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庄内が私を支えてくれた

2006-03-08 | 


私のご近所に住まわれている友人であり先輩の武田さんが、山形県写真展で入賞されました。
武田さんは、2年前に同展の最高賞である「県知事賞」を受賞され、次の年も入賞、今回で3年連続受賞となります。
作品はどれも地元庄内を題材にされた素晴らしい作品です。
武田さんのブログに、庄内をフィールドに写真を撮影している人間にとって、とても共感できるお話しが載っていましたのでご紹介します。

「庄内が私を支えてくれた」
私は自分なりに写真を撮る事を目指しているけれど、決して写真の世界で自分が上手いなどとは思っていません、昔から庄内に多くの人々が魅了されるのは何故かと考えていると、丁度今頃では白鳥の北帰行が始まり、サカツラガンが田圃に立ち寄り、畦には蕗の薹が咲き乱れる、そんな風景が車ですぐに行ける所に有り写真に出来たら良いなぁと思っているだけです。(by 武田) 


私も写真を撮るようになって強く実感したのは、庄内の自然環境の素晴らしさです。
酒田や鶴岡という10万都市を田圃がぐるりと囲み、その近くには水芭蕉やカタクリなどの山野草の群生地があり、清流が流れ、日本海からは潮騒の音が聞こえてくるのです。
そんな素敵な風景があたり前のように庄内にはあります。そしてそんな庄内の風景は、私のような拙いものにも一端めいた写真を撮らせてくれるのです。


武田さん、ご受賞本当におめでとうございます。

今年もまた、撮影ご一緒させて下さ~い。(^^)/


武田さんのブログ → 
「酒田徒然的写真の心」
是非、ご訪問下さい。ずぼらな私と違って、ほとんど毎日更新です。(^^ゞ



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庄内について
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鳥海山

2006-03-06 | 


海抜2,229メートル、

広い庄内平野を流れる最上川を挟んで遙かに対峙する月山よりも僅かに高く、

ともに東北地方有数の高山とされているが、

たんに標高からすれば、これほどの山は他にいくらもあると言う人があるかもしれない。

しかし、鳥海山の標高はすでにあたりの高きによって立つ大方の山々のそれとは異なり、

日本海からただちに起こってみずからの高さで立つ、

いわば比類のないそれであることを知らねばならぬ。



森 敦 -  「初真桑 」より -

(注:現在の測量では鳥海山の標高は2,236メートルになっています)



森 敦 著 : 小説「月山・鳥海山 」

~庄内の山々「鳥海山」~

鳥海山関連

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一期一会

2006-03-04 | 


人は生涯の中で、出会う人間がきまっているそうです。

両親や兄弟姉妹から始まって、学校の同級生、先輩後輩や先生、
会社の同僚や上司、取引先の人、公園で挨拶を交わした人、落とし物を拾ってくれた人・・・。

初めてあったのに何故か懐かしい感じがする人もいれば、
何度も会っているのに印象が薄い人もいます。
何度も何度も話し合っているのにすれ違ってしまう人もいれば、
何も話をしていないのに分かり合える人もいます。

深い縁、浅い縁、近い縁、遠い縁・・・。

いったい人は生涯の中で何人の人と出会うのでしょうか。

今日出会えた笑顔とはまた出会うことが出来るのでしょうか。

そして、すべては運命(さだめ)られているのでしょうか。

そんなことを思うとき、浮かんでくる言葉があります。


「一期一会」

一生に一度限り、これが最後かも知れない、と心深く出会うこと。

案外、そんな心の持ち様が幸せになれる道なのかも知れません。

人生は、出会いと別れなのですから・・・。






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一期一会
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