創作 競輪の女神? 2

2024年08月21日 04時01分28秒 | 創作欄

的場晃は、取手競輪場で初めて指定席へ向かった。

競輪仲間に、友人の寺川譲二の妹で未婚の母のさやかと同伴する姿を見せるわけにはいかないと思ったのだ。

メインスタンド3階の特別観覧席(500円)を避けて、第1特別観覧席(1000円)へ向かった。

1階に弁当を売るコーナーがあり、さやかは、おにぎりを買う。

そして、駅ビルの1階で買ったウナギを手提げのバッグから出して食べるのである。

晃は昼食は食べない。

腹が多少出てきたので、昼は抜きの習慣となる。

これまで80を保っていたウエストが85となっていたのだ。

思えば、57歳で亡くなった母親は、中年にしては腹がほとんど出ていなかった。

それなに、妹の晃子は30歳なのに、中年の女のような体形であり、父親の伸一に似た体形を恨んでいた。

妹は甘いものが大好きで、兄の晃が呆れるほど間食が多いのだ。

おにぎりとウナギを食べるさやかも妹と同じ体形だった。

「いいながめね」2階の特別観覧席は3コーナーに位置していて、向かい側のメインスタンド観覧席はほぼ正面の方向に見えていた。

5レースは車券を買わずに見ていた。

そして6レース。

「さやかは、3-4-5がいいな」と彼女がつぶやくのだ。

晃は、1着は7番、2着は並びの2番か別線の6番の番手の5番と思い、その車券を買う。

さやかに、せがまれたので、3-4-5のボックス車券(600円)も買ったのだ。

さやは、レースを観ながら手を合わせて祈っていた。

7-2-3の1番人気ラインが突っ張り先行してしまう。

その時点で、晃は「ダメだな逃げてたは、7-2はないな」と諦める。

そして、何と結果は、4ー5-3となる。

実に、さやかも、驚く17万円を超える大穴車券となったのだ。

晃は、車券が的中して小躍りで大騒ぎするさやかに10万円を渡す。

「凄いね!祈ったことが通じたのね」さやかは10枚の1万円札を扇形に広げるのだ。

 

 

 

 


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