利根輪太郎は、改めて思い知らされた。
競輪は、ほとんど1番人気では、決まらない。
それは、競輪仲間の虎さんの敗北に起因する。
あの日、虎さんは100万円を1番人気に投じる。
本命の1-3は270円であった。
だが、その3番が落車して、1-4となる。
一方、小菅は10万円の競輪資金を穴車券に投じていたのだ。
1-4に5万 1-6の3万、4-6に2万。
小菅は、常に10万円を貯めて競輪をしていた。
月に2万の競馬資金と決めて、5か月に1回の取手競輪である。
小菅は長距離トラックの運転手だっので、取手競輪にはタクシーの運転手の虎さんのように、毎日のようには来られない。
1-4は2740円の配当となる。
車券が外れ、観客席で座り込み、しばらく頭を垂れて落胆する寅さん。
「競輪はな、1番人気では決まらないだよ」1方の小菅はせせら笑いながら勝ち誇る。
利根輪太郎は、出目作戦で本命の隣の1-4を2000円買っていた。
意気揚々と小菅は、輪太郎を誘い取手のキャバレー「桃山」へ向かう。
小菅の愛人の花子は、店の人気ホステスであった。
輪 太郎は、好みのホステスである2か月前に秋から来た新人の緑を指名する。
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