Tomotubby’s Travel Blog

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現代美術を鑑賞する Chairman Mao

2007-02-03 | Asia 「圓」な旅
全四巻のうち二巻が刊行された浅田次郎「中原の虹」。その続きが気になって、作品のことについて書かれた作者のインタビュー記事を漁って読んでみました。記事によると、この作品は主人公の張作霖が爆殺される前に完結するらしく、作者は続編として別の人間を主人公にした物語を書くそうです。となると「蒼穹の昴」「中原の虹」の連作で皇帝のしるしとして登場し受け継がれた「龍玉」は、張作霖から新しい主人公に渡るに違いありません。それはいったい誰なのか? 想像するに、赤い皇帝、毛沢東なのではないか。と思います。

中国でタクシーに乗ると、毛沢東主席の写真が交通安全の御守りにぶら下げてあったりして、既に生々しさが消えて神の仲間入りした感があります。既に毛主席の図像は、かつての中国であればあり得なかった絵画や彫刻のモチーフとしても繰り返して使われています。こういうのは、1970年代にアンディ・ウォーホルがシルク・スクリーンで肖像画を描いたのが走りだったと思います。1970年代の中国では、崇拝の対象となる肖像画やプロタガンダ絵画として毛主席が描かれることがあっても、毛主席自体をモチーフにして何かを表現することはあり得ませんでした。そもそも社会主義リアリズム一色でモダンアートというものが存在していなかったわけですから。現在の中国では、毛沢東の図像はかつてのウォーホル以上にシニカルな表現に用いられていて、見るものを冷やひやさせてくれます。文学で同じようなことをすれば確実にヤバイですが、視覚芸術はそもそも多義的なので許されてしまうのでしょう。

最近面白かったのが、影画派と呼ばれる中国現代画家、石心寧 Shi Xinning の近作。このブログでもお馴染みデュシャンの「Fountain」(小便小僧に関する新説もあり)やクリストの梱包芸術(それも天壇!)を毛沢東が鑑賞しているところが、そこはかとなく可笑しいです。


Duchamp Retrospective Exhibition in China


Christo's Temple of Heaven

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毛沢東の肖像画 20億円で落札
FujiSankei Business i. 2006/11/18

米ポップアートの巨匠アンディ・ウォーホル氏(1928~87年)の代表作のひとつである毛沢東氏の肖像画がこのほどニューヨークの競売商クリスティーズでオークションに掛けられ、1738万米ドル(約20億円)で落札された。17日付の香港各紙が報じた。

サウスチャイナ・モーニング・ポスト紙などによれば、ウォーホル氏の作品としては、98年に1733万ドルで落札された女優マリリン・モンローの肖像画を抜き、最高額となった。

ウォーホル氏は、70年代初めの米中雪解けムードの中で毛氏に関心を持ち始めたといわれ、今回落札された肖像画は、ニクソン米大統領の歴史的な訪中が実現した72年当時の作品。落札した香港の実業家は「毛氏の肖像画を中国人が買い取ることは意義がある」と地元紙に話した。(香港 時事)


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