カウンセラーのコラム

山梨県甲府市でカウンセリングルームを開業している心理カウンセラーの雑文です。

上記シンポジウム 「カウンセリングの学び直し」 について

2009年09月02日 | 告知 ・ 案内
私が事務局長を務めている財団法人 日本カウンセリング・センターは今年、設立から50周年の節目を迎えることになった。それを記念する行事としてシンポジウムを開催することになったのだが、そのイベント準備のため非常に忙しい日々を過ごしている。
いや、ひょっとすると今の忙しさなんてまだマシなほうで、開催日が近づくにつれ忙しさと重圧が倍増していくに違いない。それを想うと「給料が安すぎるのではないか?」と抗議したい気持ちにもなるが、まあ今の段階で愚痴をこぼすのはこれくらいにしておこう。

今回のシンポジウムのテーマは「カウンセリングの学び直し ~これからの半世紀に向けて~」という設定になった。シンポジストに末武康弘先生(法政大学教授)と工藤和仁先生(日本カウンセリング・センター評議員)のお二人を迎え、これに司会・進行役の平河内健治先生(日本カウンセリング・センター理事長・東北学院理事長)が絡みながら進行してゆく……という構成だ。
末武先生には「友田不二男氏の仕事についての国際的な理解と評価」という演題で、工藤先生には「“道”を求めて ~“天地イコール自己”へのアプローチ~」という演題で講演をそれぞれ依頼した。
どんな内容の話が聞けるかは“当日のお楽しみ”であるが、いずれにせよ、友田不二男先生(ロジャーズ博士からカウンセリングを学び、日本で最初にロジャーズ流アプローチを実践すると同時に広めていった、我が国におけるカウンセリングの創始者・開拓者である)が示した“カウンセリングの真髄”に触れるような、貴重な講演がいただけるのは間違いないだろう。乞うご期待! である。

「カウンセリングの学び直し」というテーマについてだが、個人的には極めて大切なことだと思っている。友田先生は生前、「現在の日本のカウンセリングは、50年前のロジャーズのレベルにぜんぜん到達していない。はるかに稚拙なレベルである」と明言していたし、「どんなに優秀な人物でも、カウンセリングを身につけたうえで効果的なカウンセリングを実践できるようになるまでには、最低10年はかかる」とも述べていた。
これらの言葉が“意味しているところ”を、最近の私は痛感している。本当にその通りだろうと思う。講座に1~2年通っただけ、資格試験をパスしただけの“カウンセラー資格保有者”が大量生産されている現実を目にすると、カウンセリング業界の将来に対して、もっと言えば日本の将来に対して、なんとも言えない暗い気持ちになってしまう。
そして誰よりもこの事実――資格を持っているだけでは実際にクライエントに直面したときまったく歯が立たない、という紛れもない事実――を実感し痛感しているのは、その“カウンセラー自身”ではなかろうか? ……というようなアレコレを思うと、「カウンセリングを学び直すって、本当に重要なことだよなあ……」と、しみじみ思えてくるのである。

シンポジウム当日は、現在発刊の準備を進めている単行本『友田不二男研究(仮題) ~日本人の日本人による日本人のためのカウンセリング~』を会場で直接販売する計画だ。この出版物には私が執筆した論文が複数収録されているし、編集&入稿作業に関しては私が全面的に責任を負って行なっているところだ。
私にとってこの出版物は、文字通りの“血と汗と涙の結晶”なので、日本全国に存在するたくさんの“カウンセリングということ”に関心を寄せている同好・同志の方々に読んでもらいたい……というのが偽りない気持ちである。

私たちは今回のシンポジウムで「(良質な)カウンセリングの普及と発展をめざす」という旗印を掲げることにした。“学び直し”はそのために必要な具体的行為である。その旗印の下にいったいどれくらいの人たちが集まってくれるのだろうか? 期待と不安とを交錯させながら、引き続きこのイベントを成功させるために尽力してゆきたい。

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