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プロフェッショナル 漫画家 井上雄彦

2009-09-20 17:06:37 | アニメ
9月16日(水)

プロフェッショナルとは、『向上し続ける人ですかね。これがなくなったらプロ辞めないとって思っていることが、それなんで。だから、プロフェッショナルというのは、向上し続ける人、と思います。』

9月15日に放映されたNHK『プロフェッショナル~仕事の流儀~』に出演した、漫画家・井上雄彦氏は、こう語った。

漫画「スラムダンク」「バガボンド」「リアル」でメガヒットを飛ばしながら、創作に対しては常に真摯で繊細で、直向きだ。
 「スラムダンク」のときは、内容的にも、悩みながらも自分だったらこうするだろうと、自分自身、楽しみながらそれぞれの登場人物になりきって、ストーリーを生き、バスケット・ボールを楽しんで描いていたのだろうと思う。
 その『スラムダンク』を31巻でひとまず筆を置き、新たに挑んだ作品が、吉川英治原作『宮本武蔵』の『バガボンド』だ。
『バガボンド(vagabond)』とは英語で“放浪者”、“漂泊者”という意味である。『宮本武蔵』という題名にしなかったのは、作者が、読者の読む前の先入観・好き嫌いを持ち出されるのが嫌だったのと、過去に実在した人物を好き勝手に描くのは後ろめたさを感じたからである。

『スラムダンク』の『陽』の部分を描きながら、『陰』の部分を描きたくなったのが動機だったと語る。
『陰』・・・人間の感情の『負』の部分。生きるか死ぬかの、殺すか殺されるかの戦国時代に、『天下無双』の剣豪を目指して剣術の修行を積み続ける武蔵の行き方は、過酷で、凄惨だ。
その中で出逢う、宿命のライバル佐々木小次郎。『バガボンド』では、武蔵と同い年で、聾唖(ろうあ)者として描かれている。

連載も10年目に入り、単行本も31巻になったが、いまだ武蔵の『戦いの螺旋』は続いている。
昨年、上野の森美術館で、『井上雄彦 最後の漫画展』を見に行った。
実は、『バガボンド』はそれを見に行くまで、読んだことがなかった。
『スラムダンク』は単行本も完全版も全巻揃えるほど夢中になって読んだのだが、『バガボンド』の凄惨な戦いのシーンが苦手で、読めなかったのだ。
半ば『スラムダンク』を期待しながらも、『バガボンド』について何も知らないで見に行くのはちょっと違う気がして、BOOK OFFで27巻まで大人買いし、一気に読んでから行った。



『感動』した。
美術館の外壁に掲げてあった巨大な武蔵のイラストに始まり、作品たちが漫画の狭いこまを飛び出し、美術館の壁面に等身大で、墨一色の筆で描かれていて、迫力があった。展示の仕方も良かった。
『視線』を感じる絵だった。
洞窟の中に座る老成した武蔵が、生みの母親に会いに行った時の少年武蔵が、私を見ていた。
私は『金縛り』にあったように魅入ってしまい、動けなくなった。
『少年武蔵』の前では、30分ぐらい立ち竦んで、最後には涙が止まらなくなって、会場係の人が心配して声をかけてくださったぐらい泣いた。
『剣聖』となった武蔵が、父の霊に「この上何を求めるのか」と問われた時の答えが描かれている『間』だった。
その部屋から先は、とてもやさしい空間だった。
武蔵を苦しめていた心の棘が、一本一本抜け落ちて行って・・・・。
ラストシーンはさらに感動的だった。
『宿命のライバル』武蔵と小次郎が、少年の姿で描かれていた・・・・。

この時点で、本編の『バガボンド』はまだ連載中で、もしかしたら、あの展覧会で描かれたものとは別な結末に辿り着く可能性もあるだろう。
『あの結末』に辿り着くには、まだまだ越えなければならない、数々の山場があるのだろう。
その『手に負えないこと』を自らに課して、常に向上するために『画力』を研鑽し、嘘のない『台詞』を登場人物に吐かせるために、日々、『生みの苦しみ』を味わっているのだろう。

あの制作現場やネームを考えている時の井上氏の表情を見ていて、いつまでも待つから、とにかく最後まで自分で納得の行く作品を作り続けていってほしいと願う。
実在の武蔵とも、『原作』の武蔵とも、史実とも違ってもぜんぜんかまわない。
井上雄彦氏の世界の武蔵を描ききってほしい。

連載を終えた時、『お杉おばば』の最期を描ききった時以上の笑顔と達成感で終われるように・・・。

『スラムダンク』のラストシーン、桜木花道の名台詞『天才ですから』を更に超える感動を期待している。

井上雄彦公式サイト
http://www.itplanning.co.jp/

プロフェッショナルとは『向上し続ける人』。
私はどうだろう。
『プロ』としての『こだわり』や『プライド』はあっても、常に向上し続けているだろうか。
できない言い訳や、大変なことから逃げてはいないだろうか。
『講師』とはいえ、教壇に立ったら生徒の前では『プロの教師』だ。
『昔取った杵柄』を生かしながらも、常に技術も意識も情報収集力も向上し、意欲的に創造する力を更新し続けられる『プロフェッショナル』を目指そう!


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