轟クルマ文化研究所

日本のどこかの片田舎、今日も所長の声が響いています。
「馬鹿モン!あれほど雑誌を鵜呑みにするなと言うとるじゃろ!」

トヨタ・ベルタ

2005-12-09 19:17:00 | TOYOTA
助手 「所長、聞いてくださいよ。」

所長 「何をじゃ。」

助手 「ファンカーゴに続いてプラッツも名前が変わったでしょ。」

所長 「知っとる、ベルタじゃろ。」

助手 「僕なりに色々と考えてみたんですよ。今回は結構自信があるんですよ。」

所長 「ほぉ、そうか言うてみい。」

助手 「まず、名前ですけど先代のプラッツがカッコ悪かったでしょ。トヨタはイメージを変えたかったんだと思うんですよ。」

所長 「それで。」

助手 「それでですね、ベルタはプラッツの後継でありながら、新しい顧客を得ようとしてるわけですよ。」

所長 「そうじゃろうな。」

助手 「で、プラッツのネガ潰しを徹底したんですよ。プラッツってヴィッツのボディにトランクを無理やり付けてたからバランスが悪いんですよね。」

所長 「ヴィッツそのままじゃったら、多少バランスが悪くてもまだ良かったんじゃ。違うデザインにしてるのに、中途半端にヴィッツのドアとかを流用しとるからダメなんじゃ。それじゃったらヴィッツのデザインのまんま、トランクを付けてヴィッツセダンとして出した方が、潔かったんじゃ。」

助手 「でもそれだったら、いかにも後付けって感じになりませんか。」

所長 「そら、なるじゃろ。ハッチバック用にデザインしたんじゃから可笑しくて当然じゃ。じゃが、誰が見てもそう思えるから、納得は出来るじゃろ。それを変に違うカタチにしたモンじゃから、格好で評価されてしまうんじゃ。」

助手 「なるほど、わざわざ違うデザインにしたのに、カッコ悪いと言うのは納得できない、と言うことですね。」

所長 「そういうことじゃな。で、続きは。」

助手 「えーと、どこまで言いましたっけ、そうネガ潰しですね。ヴィッツとの共用パネルをなくして、ベルタ専用のフォルムを与えた訳ですよ。おかげでハッチバックがベースとは思えない綺麗なセダンのシルエットを手に入れたんですよ。窓枠とかにヴィッツの面影はありますけど、全然違和感がない仕上がりになってますからね。」

所長 「そうじゃな。」

助手 「で、トヨタの思惑としては、プラッツは値段で選ぶクルマだったんですが、ベルタは積極的に選べるクルマにしたかったんでしょう、お洒落なクルマとして。CMに鈴木京香を起用したのも、そうした背景だと思いますね。」

所長 「で、トヨタの思惑通り行くと思うか。」

助手 「どうでしょうね、正直言ってプラッツとあんまし変わらないような気がしますね。」

所長 「どうしてじゃ。」

助手 「マーケット自体の規模が小さいのと、それにこの手のクルマのニーズって、デザインの良し悪しじゃないと思うんですよ。ベルタのデザインがいいと言っても、マーケットを広げるには個性が足りないと思いますしね。」

所長 「ふーん、お前にしてはなかなかよく考えたほうじゃな。」

助手 「でしょ、今回は結構頑張りましたからね。初めは全然興味が湧かなかったんですが、見方を変えていくうちにいろんなことが見えてきたんですよ。」

所長 「じゃが、肝心なことが見えとらんようじゃな。」

助手 「え、・・・肝心なことってなんですか。」

所長 「サイズじゃ。」

助手 「サイズがどうしたんですか。」

所長 「全長が4300、全幅が1690もあるじゃろ、これはプラッツよりも現行カローラに近いサイズなんじゃ。どういうことか、わかるか。」

助手 「え、世界的な流れでしょ、大きくなるのは。」

所長 「ワシは次のカローラが国内向けに5ナンバーサイズに留まるのか、それとも世界戦略車としてゴルフやシビックなんかのサイズになるかで、ホンダのアコードみたいに仕様地向けにボディを変えてくると読んどったんじゃ。じゃが、ベルタがこのサイズになったということは、国内向けにカローラをつくる必要がなくなったということになるじゃろ。つまり次のカローラは世界共通ボディで日本でも3ナンバーになるということがベルタの存在で明らかになったという訳じゃ。」

助手 「えー、そうなんですか。シビックやアクセラならそんなに売れてないから3ナンバーになってもあんまり影響はないんでしょうけど、月1万台以上売れる国民車のカローラが3ナンバーになるというのは、あり得ないでしょ。」

所長 「じゃからその受け皿としてベルタがあるんじゃ。じゃからベルタの販売はカローラがモデルチェンジしたあとが、正念場なんじゃ。多分プラッツで採用しとった1.5Lが設定されてないのも、カローラとの競合を避けるためじゃろ。カローラが上級移行したとたん1.5Lをメインに持ってくるじゃろ。つまりカローラの名前を持たない国内向けカローラの後継車なんじゃ。その証拠にプラッツと違ってカローラ店の扱いになったじゃろ。つまり現行のカローラのお客が、3ナンバーになったカローラに拒否反応を起こしたら、すかさずベルタを薦めるということじゃ。」

助手 「そうなんですか。売れてないプラッツのテコ入れだとばっかり思ってたんですが、実はトヨタの業績に関わる重要なクルマだったんですね。」

所長 「まあ、そうは言ってもカローラセダン自体の需要はどんどん減っとるし、市場の規模もヴィッツなんかのコンパクトカークラスに移っとるのが現状じゃからな。それに3ナンバーになったとしてもカローラの名前は依然ビッグネームじゃからそこそこ売れるじゃろ。じゃからトヨタとしてはそれほど冒険しとる訳でもないじゃろ。まあお客を維持せんといかん、カローラ店の営業マンは大変じゃろうけど。」

助手 「・・・。」

所長 「まだまだ修行が足らんな。」

助手 「・・・はい。」


参考資料

トヨタ・ベルタ(トヨタ自動車株式会社)
トヨタ・カローラ(轟クルマ文化研究所)

Yahoo!グループ 轟クルマ文化研究所


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 日産 ウイングロード | トップ | ダイハツ・エッセ »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

TOYOTA」カテゴリの最新記事