トヨタ・ハリアー

助手　「どう思います、あれ。」

所長　「ん、何の話じゃ。」

助手　「ハリアーですよ。」

所長　「ああ、新しいのが出たみたいじゃな。」

助手　「出た、じゃないですよ。何なんですか、あれ。」

所長　「まぁ、先代が出たのが2003年じゃから11年もほったらかしにしとったワケじゃのぉ。」

助手　「いや、そこじゃないでしょ。あれのどこがハリアーなんですか。」

所長　「ん、ああ、そうじゃった、そうじゃった。ハリアーはレクサスのRXにモデルチェンジして先代を継続販売しとったんじゃったのぉ。」

助手　「そうですよ。ハリアーって初代から北米ではレクサスブランドで出てて、日本でもレクサス開業に伴って、3代目からレクサスに移ったはずでしょ。」

所長　「じゃがレクサスでは価格帯も随分と高くなるし、それまで販売が好調じゃったハリアーをなくしてしまうのはもったいないから、日本ではRXとハリアーを併売するコトにしたんじゃろ。」

助手　「それはわからなくないですけど、新しいの、あれはないんじゃないですか。」

所長　「そうかぁ、いつまでも古いモデルを売り続けるのも無理があるじゃろ。販売もどんどん落ち込んできとったしの。で、RXと決別して日本独自のハリアーに進化したんじゃろ。別段悪くないと思うがの。」

助手　「それはボクも悪くないと思うんですよ。」

所長　「じゃあ、何が気に喰わんのじゃ。」

助手　「いや、だからハリアーですよ。知ってますか、今度のハリアーってアメリカで先行発売した新しいRAV4のロングボディをハリアーらしいデザインに飾り付けただけのクルマなんですよ。」

所長　「ああ、そうらしいの。」

助手　「そうらしいのって、いいんですか。RAV4ってCセグメントのクルマでしょ。それのロングボディって言ったらヴァンガードでしょ。デザインをちょこちょこっと変えただけで高級クロスオーバーのハリアーはないでしょ。」

所長　「ああ、やっと合点がいったわ。それが気に入らんのか。ま、確かにそう考えると安っぽく感じるの。」

助手　「安っぽく感じるんじゃなくって、実際安っぽいんですよ。先代のハリアーはレクサスRXで新しいのがRAV4っていくらなんでも落差が激し過ぎるじゃないですか。」

所長　「まぁ確かにそうじゃな。じゃがRAV4と一緒ってコトはベースはオーリスじゃろ。で、先代のハリアーはカムリベースじゃったはずじゃ。実際のところ、大きさ以外でそんなに差があるのかのぉ。」

助手　「えっ、いや・・・。」

所長　「乗り比べたワケじゃないから知らんが、今どきのクルマって昔みたいにデカい方が偉いってワケでもないじゃろ。レクサス云々にしても、オーリスベースでCTやHSをつくっとるワケじゃし、アルファードやエスティマのフロント部分はオーリスと共通らしいし、ハリアーのベースになっても別に問題ないと思うんじゃが。」

助手　「うーん、・・・言われてみたら、ボクも昔のヒエラルキーに縛られていただけかもしれませんね。小さいクルマでも上質な乗り心地をつくるコトは可能でしょうし、RAV4ベースになったからと言って乗りもしないで否定するのはダメですよね。」

所長　「そういうコトじゃ。ほれっ、スバルからレヴォーグってクルマが出るそうじゃろ。」

助手　「えっ、ああ、いよいよ出ますね。」

所長　「あのクルマって北米重視でデカくなったレガシィの代わりに、これまでのツーリングワゴンの市場を引き継ぐんじゃろ。」

助手　「ですね。次のレガシィはワゴン自体がなくなるみたいですね。」

所長　「それもデカくなって日本では売りづらくなった現行のレガシィよりも先代に近いサイズで出てくるそうじゃ。」

助手　「さすがスバルはわかってますね。やっぱりレガシィは4代目がサイズといい、デザインといい、完成形ですよね。」

所長　「日本で扱うにはあれぐらいが限界じゃろうし、スポーティなレガシィのキャラクターにも合っとるじゃろ。」

助手　「ですよね。やっぱり5代目は大き過ぎますし、もっと早くに北米とは決別しても良かったのかもしれませんね。」

所長　「レヴォーグってベースはインプレッサじゃろ。」

助手　「そりゃそうでしょ。スバルにはレガシィの下はそれしかありませんしね。」

所長　「今度のハリアーと何が違うんじゃ。」

助手　「えっ・・・。」

所長　「ハリアーも日本にジャストフィットさせるためにひとクラス下のプラットフォームに変えただけじゃろうし、デザインも人気の高かった2代目の特徴を色濃く感じさせるモノじゃ。レヴォーグは良くってハリアーはダメって言うのは単にスバルやレガシィが好きで、トヨタやハリアーに興味がないだけなんじゃないかのぉ。」

助手　「・・・・。」

所長　「まぁ、ワシも今のハリアーに興味はあんまり沸かんし、レヴォーグほど思い入れはないんじゃが、それはワシの好みの問題じゃろ。ハリアーは高級クロスオーバーとして絶大な人気を誇っとったクルマじゃし、新しいのを心待ちにしとったモンも多いと思うんじゃ。トヨタはそういうお客に向けてつくっとるワケじゃから、ワシらがどうの言う問題じゃないと思うんじゃ。」

助手　「確かにそうですね。」

所長　「先代のハリアーに乗っとったモンが、新しいのに乗り替えて、走行性能や質感、デザインに満足するんなら、なんら問題ないはずじゃ。そういう観点から見ると今度のハリアーって上手いトコを突いとるんじゃないかのぉ。」

助手　「そんなモンかもしれませんね。」

所長　「ま、ワシに言わせれば、初代ハリアーの凛とした佇まいこそハリアーの持ち味じゃと思うし、新型のマンガチックな格好の良さは願い下げじゃけどな。」

助手　「そうそう、なんかコンドルのジョーを思い出しましたよ。」


参考資料
トヨタ・ハリアー（トヨタ自動車株式会社）
トヨタ・ハリアーハイブリッド（轟クルマ文化研究所）
トヨタ・ヴァンガード（轟クルマ文化研究所）

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