轟クルマ文化研究所

日本のどこかの片田舎、今日も所長の声が響いています。
「馬鹿モン!あれほど雑誌を鵜呑みにするなと言うとるじゃろ!」

トヨタ・ハリアーハイブリッド

2005-04-06 19:13:00 | TOYOTA
助手 「所長、トヨタからとんでもないクルマが出ましたね。ハリアーとクルーガーのハイブリッドですけど、3.3LのV6エンジンに電気モーターをプラスしたモノで、システム合計で最高出力が272PS、燃費が17.8km/Lだそうです。」

所長 「うーん、ハイブリッドの新しい試みじゃな。環境にいいだけではなく、高出力化においても効果があるということじゃな。」

助手 「何でもポルシェカイエンのV8に匹敵する走行性能をカローラ並みの燃費で実現するそうです。」

所長 「低燃費、高出力というのは、エンジンの理想じゃからな。それをハイブリッドで実現させたというのが、いかにも日本のメーカーらしい技術じゃな。じゃが果たして環境にいいんじゃろうか、疑問じゃがな。」

助手 「そりゃ、いいに決まってますよ。カイエンの2分の1の燃費ですから。ガソリンも少なくてすみますし、排出ガスも少なくなるでしょ。」

所長 「ガソリンを消費しないということは、排出ガスも発生せんということじゃから、カイエンよりはいいのは確かじゃ。じゃが、それはカイエンと比較しての評価に過ぎんじゃろ。見方を変えると通常のカローラと同等の燃費じゃったら、何もハイブリッドにせんでもカローラのエンジンでいいと言う見方も出来るじゃろ。」

助手 「そりゃそうですけど、カローラとは出力が3倍違いますから、比べる方がどうかしてますよ。」

所長 「じゃが、環境からの視点で見るとカローラの性能で十分という見方が出来るじゃろ。カローラの4倍もする価格を払ってカローラと同等の環境性能しか持ってないことになるじゃろ。それでは何のためのハイブリッドなのかわからんわ。」

助手 「確かにそうですけど、実際にカイエンやハリアーを購入するマーケットが存在するんですよ。それが少しでも環境に対して良くなるんなら、いいじゃないですか。」

所長 「良くはならんじゃろ。あくまで現状と比較してマシになるだけじゃ。ハイブリッドと言えどもガソリンを爆発させて走っとるんじゃから、排出ガスは出るんじゃ。地球を汚しとるのには違いはないじゃろ。」

助手 「確かにそうですけど。」

所長 「あくまで排出ガスがゼロのクルマにならん限り、クルマは社会悪に違いはないんじゃ。今のところ燃料電池車が一番有力じゃが、今の内燃機関に取って代わるまで何十年かかることか。その間の繋ぎとしての役割に過ぎんのじゃ。」

助手 「・・・。」

所長 「まあ、それでも通常のガソリンエンジンよりも燃費が良くなるのは、いいことには違いないんじゃが。」

助手 「そうですよね。この分野じゃ日本が世界をリードしてますから。」

所長 「確かに技術力は世界をリードしとるんじゃが、使い方に関しては、なっとらんわ。」

助手 「えっ、どういうことですか。」

所長 「今のハイブリッド車は、単なるクルマを売るための商売道具としての性能に過ぎんと言っとるんじゃ。ワシには環境のためと言うのは、単なる大義名分にしか聞こえんのじゃ。」

助手 「・・・。」

所長 「日本じゃ環境技術としてハイブリッド車と、あとアイドリングストップ機構が実用化されとるじゃろ。もっとも年々厳しくなる排ガス規制には対応しとるんじゃが。」

助手 「はい。」

所長 「それに対してヨーロッパなんかはディーゼルエンジンが主流なんじゃ。いわゆるコモンレール式というやつじゃ。」

助手 「そうですね。日本じゃディーゼルは完全に悪者扱いですけど。」

所長 「もちろん昔の黒煙を吐くディーゼルとは別モンじゃし、ガソリンエンジンと同様に厳しい排ガス規制をクリアーしとる。」

助手 「でも最近トヨタからハイブリッドエンジンを購入するというヨーロッパメーカーの話題をよく目にしますけど。」

所長 「もちろん、ハイブリッドエンジンの方が素晴しい技術じゃし、ヨーロッパでもこれからハイブリッドが席巻することになるんじゃが、ワシが言いたいのはその普及率の高さじゃ。」

助手 「というと。」

所長 「聞いた話しじゃと新車の40%がディーゼルエンジンじゃということじゃ。」

助手 「そんなに高いんですか。」

所長 「そうじゃ。それに比べてハイブリッド先進国の日本の普及率は何%なんじゃ。せいぜい新車販売の3%ぐらいのモンじゃろ、消費税以下じゃ。いくらハイブリッドが優れていようと全体の汚染量からしたら屁みたいなモンじゃ。」

助手 「でもプリウスなんかは、生産が追いつかないぐらい売れてるそうじゃないですか。」

所長 「それが問題なんじゃ。つくれんような難しい技術じゃったら、量産出来る簡単な技術の方がいいじゃろ。総量的には環境にいいわけじゃから。」

助手 「それはそうですね。」

所長 「もっというとエスティマやアルファード、それに今回のハリアーにクルーガーの新しいハイブリッドをつくる余力があるんじゃったら、プリウスのハイブリッドエンジンをもっと量産した方が環境にいいじゃろ。」

助手 「それもそうですね。」

所長 「で、ここからが大事なトコなんじゃ。いつまでもプリウスや何たらハイブリッドという特別な存在にしとくんでは、いつまでたってもダメなんじゃ。トヨタのどの車種にもエンジンの1バリエーションとして設定して、初めて普及することが出来るんじゃ。で、どんどん他社と提携してエンジンを供給したり、技術を提供したりして、ハイブリッドを特別な存在から、当たり前のモンにせんといかんのじゃ。ハイパワーのハイブリッドの展開はそのあとでやればいいんじゃ。まあ、他社にやられる前に出したい気持ちはわからんでもないんじゃが、如何せん順序が逆じゃ。」

助手 「なるほど、おっしゃる通りですね。」

所長 「今のままでは、単に他社に対して自社製品を優位にするだけの存在に過ぎんのじゃ。それこそ一昔前のターボエンジンやDOHC、4WD何かとなんら変わらんのじゃ。それと始末の悪いことに環境が注目されとるからハイブリッドは、ある意味免罪符みたいな存在なんじゃ、じゃから今回みたいなふざけた商品が出てしまうんじゃ。」

助手 「・・・。」

所長 「この分野では、間違いなくトヨタがイニシアチブを握っとるんじゃから、商売的な観点ばかりじゃのうて、社会貢献にももっとチカラを入れんとイカンのじゃ。そうして初めて日本のクルマメーカーとして世界から尊敬される立場になると思うんじゃが。」

助手 「おっしゃる通りですね。」

所長 「新しいレクサスブランドもハイブリッド攻勢を掛けるようじゃが、先が思いやられるわ。」

助手 「レクサスGShですね。ニューヨークショーで華々しくデビューしてましたね。」

所長 「もっと尊敬されるメーカーにならんとブランドなんか構築できんと思うんじゃが。」


参考資料
トヨタ・ハリアー ハイブリッド(トヨタ自動車株式会社)

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