ココロのかけら

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君につながった
ここにつながった
透明なガラスのような
ココロのかけら

型抜きのあなた

2022-03-27 | あなたとわたし
わたしが生まれ落ちたとき
あなたの姿を
すっぽり型抜きされた

そこにはスースー 風が吹いて
あなたの不在を囁いていた

ぽっかり空いたあなたの穴は
いつもどこか所在がなくて
わたしは淋しさを抱えたまま
あなたの姿を
探し続けた


長い時間が流れても
わたしはあなたを忘れなかった
その穴は塞がることなく
型はそのまま変わらなかった

探していたはずのあなたの型に
ときどき誰かを入れようとした
やっぱり隙間が埋まらない
いつもスースー 
風が吹いた


あなたに初めて会ったとき
あなたはあまりに無防備で
あまりにすっぽり入ったから
型のことなど忘れていたけど
ただ懐かしい心地よさと
ツボにハマった愉快さが
たまらなく嬉しかった

そしてあるとき気がついた
あなたといるときは隙間風が吹かない
ずっと張り付いていた底知れぬ喪失感から
無意識に解放されていた

だけどそこには試練があった
あなたの型が抜かれてから
あまりに長い時間が経って
わたしはあなたよりも
何倍も歳上だった


そしてわたしは悩んだ
あなたといてもいいんだろうか
わたしにはあなたの型があるけど
それは誰にも見えてない

どんなに年齢が近くても
スースー隙間風が吹くから
他の人ではダメなんですと
いくら説明したところで
それは誰にも理解されない


そしてわたしは苦しくなって
あなたと離れることにした
わたしの心が知っていることを
証明はできないから
わたしにさえ見えていない型を
確認する術もなかったから


それから数年が経ち
わたしに空いていたあなたの型は
あなたへの想いで埋まってしまった
もうそこには
他の誰かが入り込む隙間はなく
離れていても
あなたで詰まっている


そうだ
そういうことだ


わたしが生まれてくるときに
わたしに抜かれたあなたの型は
あなた以外で埋まることはないと
ずっとわたしは
知っていた

その形を知らなくても
見たことがなくても
あなたという型を
ずっとわたしは
知っていた

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