文明化重視から文化再生へ、日本の文化の根源を支える、生業(なりわい)。その再構築にIT技術の導入を

ふゆみずたんぼで生態系保全農業。商工業はIT生産技術。出版はXMLフオーマット、フルバッチ制作で再構築を.

フルバッチ。写研システムの再評価を(9)

2006-10-13 23:06:59 | 組版プロの思考からXMLを考える
 またいまも厳然たる地位を保っている、写研のシステムのポジションをどのように考えるべきかが、最大の課題です。 
 いままで写研の優位性を保てた事は、幾つかの優れた体系の総和であります。そのキーワードの一例が、まず継続性と普遍性にあると考えられます。
1文字コード系は追加コード系は増やしても、一切変更も削除もしない原則。
2組版コマンド系も替えない。記号類も削除しない。新規に追加するのみ
3レーベル管理までを含めて当初から最後まで、データ管理手法は互換性を保つ。

 同時に、写研の電算写植機器は、
 あまりに昔に(30年以上前)に、速い時期に、よくぞここまで研究して開発されたものだと驚嘆します。一つは組版言語としてのsapcol言語の分野であります
写研の本欄明朝やナール・ゴナで代表されるフオントの大量供給がありました。
同時に優れた営業スタッフや技術スタッフを育成してきた事実です。
 さらに、市場ニードに沿った組版システムを的確に組み立てて、順次市場に出荷出来たトータルなマネジメント技術も再評価されるべきだと考えています。
 しかし、ご存じのごとき現状です。

 まさに、気がついたら、宇宙で言うブラックホールに何もかも道連れにして突入しそうな感覚です。経営体として不可解の一言です。でもその立ち直りは、ここまでくるとまるで先が見えません。写研の再活性化は、このままでは困難だろうと感じています。
 そこで、その優れた資質を、再度最新のwindows環境をベースにして再構築を行うべきかという発想が生じてきています。
 この時は、ブラックホールにでは無く、宇宙創生(ビッグバン)であるべきと提案いたします。そう心から願わなければなりません。

写研の製品は、日本に残念ながらもう一つ大きな難点を生じさせてしまいました。それは、測定単位のローカル規格の生成です。
 それは写研の電算写植機器が、手動写植機との互換性を保つために、手動写植機の歯車(JIS規格でmmを採用)をベースにして、組版規格のポイントではなくセンチメートル規格で作成された事に尽きます。
 その為にポイント(主に活版)とミリ(主に写植機器)との、規格の2重構造が形成されてしまったことです。日本の独自規格と言えます。いまでも、この2重規格は、日本の組み版現場では大きな"くびき"となって存在しています。
 これからは、日本語フオントもatf-5では22,000字を超し、さらに次世代windowsシェラでは、24,000字までにに拡大される事が既に公表されています。
 その、文字数の拡張に写研の組版環境が適応可能なのかも課題となっていきそうです。
 その技術環境を、㈱モリサワ製MCB2では並行して組み込んでいます。でも、機能的には、さらに、コンバート技術、文字種管理技術を含めて、複雑さを背負い込んでしまっています。
 この複雑な環境の、制御と管理技術は、正に”校正恐るべし”の部分であります。
 その一環として、当方は過去5年間、いろいろと話し合いを重ねてきながら、販売を開始して6年目、㈱モリサワの製品MCB2、その自動組版版MDSB2を、これからのフルバッチバッチシステムとして位置付けしてきています。
 この8月末でMCB2絡みでの、xml関連、各種コンバート関連の開発も一段落をしました。これからは、その普及活動に入っていこうと思っています。
 
 

フルバッチ。歴史的な経過から再度考える文選・植字(8)

2006-10-13 22:59:38 | 組版プロの思考からXMLを考える
 植字工はまず、棒組を行います。そして校正機で初稿を手刷りします。
植字工には、得手不得手もあって、昔流に言えば「頁もの」「原色版」「端物・罫表物」の3系統に仕事単位に分かれて、育成されていました。
 特徴は、これらは共通の植字台を使って作業をするわけですが、この植字台の構造・機器配列は3系統が殆ど同じでありました。良く観察すると、windows上でもMAC上でも、今の各社の組版ソフトの画面配列とあまり変わりません、というか、かっての組版の機器配列をそのままデジタル化して配列したような感覚といって、大きな間違いではないと思います。
 仕事としての仕組みは替わりありませんが、印刷会社の規模の大小によって、担う分担範囲が異なっていたと言うことだと思います。
 デジタル処理が中心の現在と違い、確立され完成された組版技術体系が、明治時代の初頭に日本に持ち込まれ効率的にその技術体系を隅々まで、自力で対応出来たことが、とても幸いでした。
 組版に係わる業務が、すべて標準化していますので、印刷会社間での技能者の流通はとても活発でした。
 
 作業の組み立て方は、昔も今もあまり変化はないと考えられます
ただ、カラー写真や図版、地図等、金属を使用した製版物として固定した環境から、EPSやJPGのごとく流動化した仕組みに変わったことはありますが、その他では大きく変わったという印象はありません。
 いまの組版環境は、その点から考えて自由奔放に対処出来る環境であり、同時にその情報量が、WEBなどの一般市場と比較して桁違いに大きいという特性があります。 従って、植字工での業務範囲は大きく変わったという感覚はありません。
 人材的にはデザイン系ですので、美術系、デザイン系といいますか。感性豊かな方々向きの仕事だと考えられます。

 文選工の仕事の主体は、活字の拾い出しです。そして、拾い出された活字は文選箱に連続的に詰めこまれ、植字工に引き渡されます。文選・植字工は完全に業務が分離されています。一つの仕事は最低2人以上で前工程、後工程として分担されます。後工程が、前工程を対処することは原則ありません。
 文選工の機能ですが、昔は文豪の先生方から、そのぬたくったような原稿をも受領すると、文選工が解読して、しっかりと書籍にまとめるという技術、それが解読技術として、著作者と出版者、そして印刷会社間で尊重されました。
 
 いま、文選工の仕事部分は、とても重要になってきています。
 かっての専用WPや、今で言えばword、excel、powerpoint等、さらにTexも含めて多様なWPや専用組版機器等からの文字情報を主体に情報を抽出する技術体系として成立しています。 
 現在はTEXを含め、トータルな情報を集中してコンバートを行います。
 かってはms-dosレベルでtxtだけでしたが現在は、現在はxml形式も、スタイル、割付、各種タグ情報などもその形式を担保しながら、変換が可能となっています。
 人材的には、ドキュメントプログラマーとして位置付けられます。従って
理工系の人材が最適です。論理的な考え方と、物事への執着心が強く、論理的に組み立てが得意な方々向きの世界です。明らかに植字系の方々より、文選系の方々の活躍出来る世界と考えられます。 

フルバッチ。昔の歴史をひもとけば分かることも(7)

2006-10-13 22:57:03 | 組版プロの思考からXMLを考える
 明治時代初頭に日本に移植された技術の一つとして活版組版技術があります。その全ての技術は、幸いなことに、先進国であった欧米で技術的に確立された、その完成された技術体系を、日本国内で日本語処理用に再構築したと考えられます。
 それを日本語の環境で再構築をすることで明治の中期には、日本語の活版印刷技術として、すばらしく確立され、以降100年以上に渡って、国内で隆盛を極めました。
 当然、江戸時代からの木版技術は急速に存在感を喪失しています。

 日刊の新聞発行としてスタートした東京日々新聞社(現在の毎日新聞社の前身)で幕を開け、それが順次出版、印刷へと広がっていきました。
 日本語フオントの選定から活字の作成方法、組版ルール、写真製版技術の導入、製版技術、印刷インキ、印刷用紙、印刷機器まで、何もかも新たに作成されました。それに携わった先人達の苦労は並大抵ではなかっと考えます
 組版技術に関しても、基本原則の最も重要な技術の一つが文選、植字の完全分離でありました。組版は統合技術であり、肝心なことは標準化した環境が必須です。
 まず、業務現場で言えば、職務分担に係わることですが、活版組版で言われる文選職能の再度の確認が第1かと考えます。その上で、植字機能の再確認が第2です。
 
 いまは、どうでしょうか
 明治時代と異なり、組版原則は順次ルール化されていますが、技術が分野別にまとまっていく、まさに同時並行的に私どもが生きているわけで、どれが正当な進化を遂げて、分野別の技術として確定していくのかが未知数のまま可能性のなかにどっぷりと浸かっています。
 組版原則も、画像、図版、地図等の情報も、成立する経過も進化も組み立て方もまちまちであり、どのメーカのどの規格が勝ち抜いてデファクトを勝ち取れるかが分かりませんでした。
 その為もあって、各印刷会社はここ20年間、
あっちの水は甘いよ……、こっちの水は辛いよ……のごとくふらふらと、デファクトになるべき環境を求めて、ふらふらさまよう立場の置かれてしまいました。

 その中で、結果として抜群の安定感をもって、組版の分野をリードしてきたのは
文字組版では㈱写研と、㈱モリサワであり、欧米系ではADOBE社でありました。

フルバッチ、数式組版の標準化と写研が広げた制作手法の狭間で(5)

2006-10-13 22:18:32 | 組版プロの思考からXMLを考える
 いま求められる標準化組版技術のひとつの事例対象として、また要求機能として
Texの完成済み制作物や、Word上でMathtypeを使って制作した学術資料等用の制作済みファイルを、高解像度組版システムへ合理的に取り組める手法の開発要望ががあります。
 その中で、現在の日本の実情では、最も大事な要素への認識が欠かせません。
それが、日本では写研の数式組版のごとく、数式の各要素を、フルバッチでのタグで細かく1:1で制御出来るような新しい組み版環境が出来ないかの、との要求となって来ています。
 特に、原稿を忠実に再現しつつデザイナー的な感覚で、美しく組上げるためには、数式の内容を理解できなくとも作業が可能なような、制作環境の提案は必須と思われます。

 写研の数式プログラムの特徴は、著作者からの原稿を受領して、それを写研のsapcolを理解したコーター(と呼ばれておりました)が、数式部分の原稿をなぞりながら、文字を1文字単位で積み木のごとく、コーデイング、及び画面上で組み立てていく方法で作業をする方法でした。
 どちらかと言えば、数式の内容を理解するのではなく、数式の内容は理解出来ないままでも、デザイン感覚で組み立てて行けたところに大きな特徴がありました。 従って原稿を書かれた大学の諸先生の数式を含む著作物を、いままでは、各印刷会社内で、内容理解に関係なくデザイン的にある面でよりきれいに見せることの技術で競っていたのだと、理解しています。
 その一例として、良く聞かされる話しとして
 写研の電算写植機器が主役の時代を知っておられ、またその制作上での特徴を承知している諸先生方が、Texで制作した自分の作品を、現在の写研での作品レベルまで高めて欲しい。
 昔は(写研では)ちゃんと出来たのだから、今も出来るだろうと指摘されているのかも知れません。
 その期待に添うべく、一部の印刷会社では、㈱写研本社を巻き込んでまで、特製でTex対応版までも作成してきたのですが。
 残念ながら、その競争原理の中には、一般企業でIT技術者が顧客先との技術的な課題で、切磋琢磨しながらも、相互の信頼に基づく技術的な優位性評価とは異なります。
 デザイン的な感覚で高品質化や校正行為を迫られる著作者(大学の著名な先生方)の要求に直面し、ステータスもなく、一方的に押しまくられ、言われたままに作成するとても不条理とまで感じる世界が存在していると指摘される方がおります。
 同時にまた、Texの場合、特に校正時にある程度組版を印刷する側にも、かなりのレベルで、数式そのものをを理解したスタッフの存在が欠かせないと考えられています。
 しかも発注側では、業務費用の相対として、先生方が版下を作成しているのだからコストが低くなるはずと決めつけて、予算の削減をも要求されるということになってしまいます。
 トータルな制作手法を提案すべき立場の印刷会社からの発案が出来にくくなって、また本来のIT技術者を、プライドをもって活用する手段を欠いてしまった場合には、印刷会社側の柔軟無垢な手法も限界となり、本来の機能を発揮出来なくなって、最後は折角の顧客先と不毛な論争になってしまうと言う悪循環が生じてきます。
 その、写研関連での作り込み手法(当然費用がかさむ)と。TEXで自作しているのではないかと主張する先生方との情報、技術ギャップが、最近はとても大きく膨らんでしまっていると実感しています。
 

フルバッチコーデイングのメリットを再度考える(6) 

2006-10-13 22:01:55 | 組版プロの思考からXMLを考える
 これからの組版としての方向性としては、その最新の必須例として
 Texの制作物やWordのMathtype等を使ってWord等で制作した学術資料等用の制作済みファイルを、合理的に取り組めることが求められています。
 逆に言えば、数式をうまく処理出来る環境を提案出来る組版ソフトウェアであれば本物であるという認識です。
 同時に、とても大事なこととして写研のかっての数式組版のごとく、数式の各要素を、フルバッチでのタグで細かく1:1で制御出来るような新しい組み版環境が出来ないのか、との要求となって来ています。

 バッチコーデイングは、組版情報を論理的に組み立て、それをコンピュータを介して出力をさせる技術です。大手出版社がこぞって手がけている文芸書版で言えば、初回の制作には文芸書版を1冊分、3日間でまとめたとします。で、次の制作時には、前回の制作プロセスを整理して2日で完了出来るように考える。3回目には1日で、最終的には完全自動で組版をする。
 それを、頭の中で組み立てながら実行していく。その為のノウハウを蓄積していく。学習には時間がかかりますが、最終的には加速度的にスキルを高めていける方法論です。何より知的な作業であり、ドキュメントプログラマーとして、至福の存在感を味わえるすばらしい世界です。
 ワンソースマルチメディアに関しても、印刷に使用した版下データが組版情報込みのタグ付きのTXT形式で、手元でファイリング出来るのであれば、随時、WEBでも、電子出版でも、データベース化も、コンバート技術とプログラム構築によって可能に出来る技術体系です。
 さらに、自動組版技術を、windows環境下で、連続的に有機的に接続することで、ASPを使って、オンラインででの画期的な成果の可能性も高い完成度が得られると感じます
 現在、windows対応の分野等では、画像処理、表計算、WEBGIS技術、ネットワーク、サーバー管理等との周辺技術が全て、分野別に順次デファクトな技術として確立され、かつ汎用化し、法的な根拠も明確になって、整備されてきています。
 その中で唯一日本語の、特に文字組版技術の部分が、いまだに技術的な確定が得られずに、市場での優位性を狙った競争原理下におかれています。
 ADOEB社のDTPとされるインデザイン、そしてフルバッチシステムのTexも正に、その一環であります。
 もう一つの候補として、ダークホース的な役割を果たすのが、㈱モリサワ製の組版エンジン「MC-B2」であり、周辺ソフトと統合した自動組版システム「MDS-B2」が考えられます