文明化重視から文化再生へ、日本の文化の根源を支える、生業(なりわい)。その再構築にIT技術の導入を

ふゆみずたんぼで生態系保全農業。商工業はIT生産技術。出版はXMLフオーマット、フルバッチ制作で再構築を.

フルバッチ、写研のsapcolと、XMLと、TEXの関連性 連載(4)

2006-10-10 23:36:19 | 組版プロの思考からXMLを考える
 印刷業界も、フルバッチ組み版主体から、マックが中心で、ウイズウイグのDTPへと設備環境が変わり、技術者が中心で論理性が重視される組版であるはずが、デザイン主体の組版に重きを置く経営姿勢に変わってきています
 それとは別の論点で、顧客先が自立してTEX等を使って数式等の作成を始めてもいます。
 印刷会社側が、TEXを代表として、一般会社による印刷部分の内製化等に対しても、それに対しての適応能力を少し宛、喪失しつつ現在に至ったことも事実でしょう。組版済みデータのワンソースマルチメディア対応へのサポート提供もTEX対応と同様にして、十分に機能的にもサポート出来ているとは言い難い状態です。
 顧客先で、TEXで組版等を含め、フルバッチの難しい環境をものにしてきたが、逆に印刷技術とのギャップが生じて、印刷会社側で最終製品がうまく作れなくなった。そろそろIT化の進展の過程の中で、印刷産業のあり方を問題にし出している 
 と言うところでしょうか。

 ある面では、校正済み、検証済みデータを、高品質に最終的に組み立てられた結果が、印刷データであります。
 顧客先から見れば、最終印刷製品から逆にフルバッチで、txtが組版タグ付きで印刷対処データが、正確に外部出力されファイリングされていれば、利用価値として、それは最高品質です。
 組版タグ付きから、コンバート技術によって、htmlや電子出版、データベースが自由自在に生成され、メンテナンスがきちんとなされるのであれば、多くの企業や行政組織にとっても、現在のWEBやデータベース上での悩みの
 おそらく、1/2は解消されるはずです。

 WEB等を含む技術体系では、主役はword、powerpoint、excel、そしてhtml。
今回のTexは、その最たるものでしょう。
 WEBの世界、一般業界での上記や、htmlでの分野での情報量が1とすると、写研の世界(sapcol)等、印刷産業で取り扱われる情報量は、ほぼ10倍から~100倍の情報量になると計算されています。
 それを高精細に表現する為の環境の一例として、写研製のsapcolがありました。30年前に既に確立された技術として市場に提供された内容を、いままで、どの組版メーカも乗り越えることが出来ませんでした。
 いま、注目される事はsapcolとXMLの相対の事です。
 現在、sapcolとXMLを、機能的に対比すると印刷組版用のタグとして共通的に見なすことが出来るようになってきました。
 各種の組版ソフトは、殆どXMLをベースにして共通な環境を標榜しています。
たしかに、XML形式で標記されたタグ等は、とても扱いやすく、他機種間のデータコンバート、タグ間コンバートと中間ファイル的な利用方法も可能となってきました。
 かっての、DOSで言うMS-DOSの機能に匹敵する汎用性が担保されています。
いわば、MS-DOSという何もコマンドの無い機能から、最大限のコマンドをタグとして格納可能な環境との見なし方も可能になります。
 sapcolと他機種組版ソフトとを対比するときに、中間にXMLを挿入してみると、その関係がよく見えてくるという方もおります。
 そこで、改めてTEXの位置付けが問題となります。

日本のフルバッチシステムで著名な写研とTEXについて(3)

2006-10-10 22:45:48 | 組版プロの思考からXMLを考える
 現在のTEXによる組版の有様は、日本のある一面を色濃く表しています。
まず、今の印刷産業の受注の内で、70%はチラシやフルカラーなど画像中心、一過性の仕事だと考えられます。残りの30%が、データベース関連組版、出版物、学会論文、マニュアル類や販促資料等、蓄積情報で、絶えず更新されるものなど保存性・更新性の必要な情報です。
 今回、特にこの30%野市場を重視した話となります。
 いまでも、印刷産業界の大枠は、
 フルバッチ → DTP
 windows環境 → Mac環境 で動いてしまっています。
 そして、多くの会社で、私どもから見て致命的な問題点として、フルバッチの理解出来る技術者を辞めさせて、即戦力になる、デザイン思考の若者に入れ替えてきています。 
 多くの一般企業や、官公庁がwindows対応のITで技術武装を着々と進める中で、市場対応の要求項目とは接点の取れにくい、特殊な環境に特化してしまっています。
 TEXとの相対も無関係では勿論ありません。TEXは作り手の意思が明確に出ます。
それが強烈に出過ぎるきらいがあって、印刷会社側が、同じ土俵に立てないという事情を生じるわけです
 印刷会社側は、いままで悉く受け身で、受注産業に徹していました。

 そこで、TEXを理解すると言うことよりも、発注者側の視点で仕事を見るということだろうと思います。

 今必要なのは、印刷プロセスを理解し、ドキュメントをプログラム技術で対応出来る技術者の育成と、経験の蓄積です。
 特にフルバッチシステムの経験者の育成には、とても時間がかかります。
一般会社のWEB対応の技術でさえも、とても時間と費用を要していることから、でも考えてみれば、一般会社でのWEBとはほぼ100%バッチで組み立てている分けです。そこで、数式を含むような、最高度に難度の高い、印刷の世界をドキュメントプログラマーとして、人材をまともに育て上げる事は至難です。
 今から20年以上前に出現した写研のフルバッチ組版機器、サザンナSP313は、今考えても最高の傑作機種でした。
 そのころ、都内の出版市場の70%は、都内にあったたった3,000台のこの機種で、その70%もがまかなえたと言われています。
 それくらい高い生産力を持っていたと言われています。今でも使われているとのことです。
 冗談でなく、現在、日本のXML市場でトップクラスの実務をこなしている方々の多くが、このSP313で育ったと言われています。
 いずれも若い頃、この機械で組み版を行い、印画紙出力を出力機器に命令して帰宅。翌日1文字宛出力された何百枚もの印画紙を見て絶句。経営者に叱られた経験者が多いと聞いています。その手厳しい失敗の経験を踏み越えた方々と理解しています。
 フルバッチのマスターすることによって、印刷実務の一部を知り、何よりも論理的で正確な判断業務を学習した方々は、これからの印刷会社の技術のコアとなり得ます。校正が完了し、検証済みのデータから作成するデータベースやWEB生成、電子出版等は、印刷情報満載ののフルバッチから、コンバート技術で生成出来ることが、どのような意味を持つか。ご理解頂けると思います
 その点から、印刷業界では、写研のフルバッチ環境を、仕組みとして受け継げるような、次世代のフルバッチシステムの登場が待望されてきたわけです。

フルバッチのTEXの件、多大な反響を頂きました。周辺状勢 連載(2)

2006-10-10 22:24:33 | 組版プロの思考からXMLを考える
 現在、TEXからの最終出力としては、画像化して各種DTPソフトウェアに貼り付ける。あるいはTEXから直接PDF化して印刷に廻すという選択が主体となっていると聞いています。フルバッチでまともに対応しようと言う印刷会社は少なくなってしまいました。
 印刷会社の悩みは、オリジナルな制作環境で生成されたTEXフアイルに対して、校正の結果、修正がうまく出来ない事、さらなる高品質化を要求される事、データベース化を要求されることにあると聞いています。
 TEXでは、顧客先側でカスタマイズ出来る機能があり、さらにその開発が言語的にもまちまちであるが故に、印刷会社側が顧客先の仕様で造られたソフトの内部までの理解を求められても十分に適応出来ないことにあるかと思います。
 また、フルバッチバッチであるがために、同じ言語でも作り方、組み立て方も顧客先別に、多様でありすぎることも原因です。
 プログラム的にも、納期的にも、コスト的な課題も含めて、残念ながら顧客先と相対して、対等にはなれない印刷会社の技術者にとって、顧客先から常に厳しい環境に落としこまれているからという方もおります。
 フルバッチでのシステムとしては、写研製の電算写植機器がありますが、いま、少し宛、諸般の事情で市場から姿を消しつつあります。
 写研では、数式等をバラバラに分解して、組版タグとして。1/16mm単位で積み木細工のごとく組み立てるという、正に職人的な技能で数式にも対応してきました。この場合は、印刷会社側に一任されていましたので、
 初期制作 → 校正 → 印刷版下までを自己管理に任せられていましたのでのびのびと制作に携われ、うまく高品質な印刷機能を引き出せたわけです。
 写研のこの環境がsapcolと呼ばれる言語環境です。今から30年も前に出現し、日本の印刷組版環境を席巻してしまいました。
 一時は、日本の出版物の圧倒的な部分が写研製の電算写植機器で制作されている時期もありました。
 それが諸般の事情で、大きく衰退し、それに変わる後継機種が今まで出現してこなかったと言えます。
 あまりに、写研のフルバッチシステムの機能が高すぎて、それに匹敵する組版ソフトが出現出来ていなかった事に大きな原因があるとも考えられます。