文明化重視から文化再生へ、日本の文化の根源を支える、生業(なりわい)。その再構築にIT技術の導入を

ふゆみずたんぼで生態系保全農業。商工業はIT生産技術。出版はXMLフオーマット、フルバッチ制作で再構築を.

フルバッチ。㈱写研や㈱モリサワとの相対(19)

2006-10-29 10:21:09 | 組版プロの思考からXMLを考える
 当方は、写研とは格別の関係はありませんが、写研のやらないtxt/エディター処理、コンバータ関連、文字環境のunicodeと写研コードとの一帯管理、写研のサーバー・イマージュ(製品名)とのオンライン環境によるバッチコーディング・タグ処理、フアイル管理などを開発。東京圏の大手・中堅の会社中心に600社以上でご利用いただいてきた経過があります。
 ここ4年ほど、写研顧客が、新たには一切の周辺を含めて投資をしなくなって、売れなくなり、たしかに打撃を被りました。

 それと、各社で技術を支えてこられた最も重要視しなければならない技術職の方々が退職を強要され、MACのデザイン思考の若手に入れ替わってしまった状況をつぶさに見てきています。
 MACのによる業界技術標準化は、大きな違和感を感じました。

 印刷業は、メディア・ミックスの中で変身できるのか。電気産業が強くなるのか、新聞系かまでは分かりますが、少なくとも印刷産業とは、あらゆる媒介からの情報を収集して、それをグーテンベルグの「活版組版理論」に基づいて、限定された空間内に如何に情報を統合し、組版原則で融合するかの技術体系であり、その技術こそが、抜きんでていたからこそ、現在までの繁栄が得られたと理解しています
 その中で、全世界の媒体上で、シエア10%程度の、特定メーカの技術に依存するとは何事ぞ、と言うのが本音でした。

 ここ4年ほど、この業界から離れていたのはそこに一つ大きな原因があります。

 もう一つ、㈱モリサワ製MCB2が6年前に出荷開始となり、丁度5年前に大阪から開発担当者が、ご相談に来社されました。拝見して、汎用フルバッチ機器としての
強い可能性を感じ、5項目ほどの要求事項を出しました。

 これは、良くも悪くも、写研の名器SP313に惚れ込んで、それをとことん参考にした事は申しあげておきます。
 なにせ、写研のデータを外部輩出してデータベースを構築する仕事に長く携わってきた経過から、sp313以降は堕落しっぱなしという部分があります。
 サイバートpでは、なぜか改頁機能が逆変換出来なくて、索引作成が大変困難に
なったこと、それ以降は悪くなる一方でしたから
1 TXTでの100%、双方向性。これが肝心。
2 数式までのタグでの双方向性。 数式のデザイン処理可能化には必須
3 写研のsp313の設計思想。フルバッチ。そして画面表示とバッチの双方向で
 稼働出来る事。最も重要なこととして、バッチで更新をかけたら、その後ろ側を
 配列し直すこと。更新済みデータの正確性を担保する
4 文選・植字の完全分離の原則の確立。
5 バッチコーディングでは、極力個人差のでないようにする工夫。

 この双方向性だけでの容易なことではなく、直ぐには出来ないと分かっていましたので、できあがりを待つことにしました。
 ここからの㈱モリサワ社内での、長い開発があり、昨年春までに一応の目処が付きました。

 その後は特に、Wordからの取り込み方として、XMLを介しての
(1) 文芸書版
(2) 数式版等、2点の開発を これには、㈱モリサワ、㈱デジタルコミニケーションズ(DC)、株式会社 トータルメディア研究所(TML)の3社で共同で提案・仕様確定・開発に協力して参りました。

この2006年8月末で、基本開発部分は完了と見なしました。
従って9月からは教宣活動に入り、組版の現場からの技術開発での積み上げを開始しています。





  

フルバッチ。XMLの意味は何か。違う観点から(18)

2006-10-29 09:35:05 | 組版プロの思考からXMLを考える
印刷業界には、現在、危機が一遍に重層的に来てしまったと感じています
 まずは、業界及び関連業界全体がMAC環境に特化して、最も肝心の媒体(メディア)戦略として、windows環境に距離を置いてしまった事。
 結果として、差別化すれば逆差別される結果を招いている。

 特に論理的な思考の出来る技術畑の社員を減らして、デザイン感覚を重視した社員を増やしていく、その傾向を哀しく見てきました。環境の整備が目処がつくまでということで、ここ4年ほど、印刷市場から離れて別の分野へ切り替えていました

 久しぶりに戻って改めて危機の重層化と、対応策を取るまでの時間がないと言う切迫感を強く感じています。
それは、以下の4つから
1 本質的に市場を喪失しかけている危機
 マーケットの主体から遊離してしまった。10%程度のMACにものつくり環境を合 わせることで、主体的な市場から外される。ネットワークからの遊離など
2 ものつくりの本質から離れてしまった危機
 創造性を発揮した新製品の開発と製品化努力が不断に必要。工業簿記で運用される製造会社で、技術者不在では何が出来るのかを考えれば分かることです

3 システムを制御出来ない。メディアミックスの意味が分からないでいる
 かって、凸版印刷/写真製版技術/初期のCTPレベルまでは、肝心の技術者職を
印刷業界内に囲い込むことに成功していた。
 しかし、いま業界内にIT技術者が、どれだけ活躍をしているのか。殆ど不在か、教育不足、訓練不足、そして役職を軽く見ているために会社内で機能しない状況。
 新たなメディア環境には、囲い込めるどころか、これから担える若者が育っていない状況に陥っています。

4 活版印刷からオフセットへの移行によって生じた事態と、まったく同様にし  て、メディア・エクスチェンジであること。媒体のコントロールが出来なくなっ てしまった事。かっての、凸版 → オフセットへの変換とまったく同じ経過に
 見えてしまいます。

5 フオーマット提案型で、標準化したフオーマットを業界別に提案すべきである に係わらず(xmlの本質)、枝歯的な要素に取り込まれて、本質を見失っている。

6 長期的・戦略的な対応を求められているにもかかわらず、即物的な世界を追求している

7 フルバッチがプログラムの世界にかかわらず、アナログ的発想に留まっている

8 新しい人材を求める。
  しかし、企業としての目標設定を誤ると正に教育機関と化してしまう。育つと 退職される繰り返し。多くのソフトウェア会社と同様にして、一定レベルの企業 としての魅力としっかりとした企業倫理を設定できないと、優秀な人材は定着出 来ない。

9 社会的なステータスを得られないと、技術者は居心地が悪い.
 そこに問題点が凝縮。印刷人の常識は非常識になりかけていると考えるのは? 
  
 

フルバッチ。印刷会社の立場からXMLを考える(17)

2006-10-29 00:45:46 | 組版プロの思考からXMLを考える
XMLの環境は、従来型の印刷会社にとって諸刃の剣であります。
強いて言えば、このままではアナログカネラ(フイルム) → デジタルカメラへの
メディア・エクスチェンジに近い感覚と考えています

まず、欧米の印刷会社では
工業簿記と連動した生産会社に徹してきています。特定の市場に焦点を絞った専門企業化が一般的です。当たり前のことですが、印刷会社も特定マーケットの深堀による方法で、受注と言うより、特定のパーツ等の継続的・安定的な供給に徹しています。特許や特定用途用の印刷機や関連機器を開発して、さらに安定供給、最新の情報提供などに凄みを発揮する企業が強くなります。
 日本の電機メーカや鉄鋼メーカに感覚的には近い。
 日本の受注産業としての印刷は、世界的に見て特殊です。
それは歴史的文化的な背景があってのことで、そこをしっかりと見極める事が、いま最も重要なことです
 まあ、取り組み方との関連で、受け身で何でも受けるか、挑戦すべき市場対象かで、印刷会社のイメージが異なります。
 新聞社も大手出版社も、製版・印刷分野までの内製化は遙か前から進んでいます。特に最近は、印刷までをも包含したIT化ということで、現業機能との一体化が進んでいると聞いています。

 XMLを印刷会社からの視点で理解することの困難さは、受け身と働きかけの立場の違いにあると考えられます。
 それは、xmlの機能の最大は標準化した印刷レベルでの、出力フオーマットからワンライティングで入力フオーマットまでを整備して提案(XML形式)することが可能か否かに係わる事項だと考えてみたらいかがでしょうか。 XMLに関して多様な意見と考え方があります。でも印刷会社から考えたら多分、ここが最も大切なことでしょう。
 特定業界に絞らない限り、必要十分な情報を組み込んだ業界単位の汎用化した出力フオーマットを作成することは困難です。
 同時に顧客先への、説得力のあるプレゼンが出来るとは思えません
 医薬品のレーベル
 証券取引関係及び上場関連
 各製造メーカ毎の製品添付用マニュアル(各国語対応)
 各銀行、保険会社での契約書や約款など
 辞書・辞典作成(各国語対応)
 国内法に係わる法令様式
 各種学参関係  分野

 何でも受注します。→ では、これから印刷企業は成立しません。
それではまさにアナログ → デジタル化と同様のメディア・エクスチェンジに適応出来ないことは明白です。
 特定分野での業務に精通したスペシャリストが求められ、その分野での人材確保と、各顧客先の情報処理担当者との連携業務が厳しいIT技術情報の相互連携を前提にして成立する。
 中堅印刷会社になればなるほど、そのあたりの、顧客先との関係がこれから厳しくなり、あちらに妖怪、こちらに女帝が、今までの商法では通用しないと言うことを宣告されて、立ちふさがられる事になりますでしょう。
 TEXや文芸書版での、クライアントの要求に適応出来ない。というか、情報提供が対等に出来なくなってしまった、そしてこれが全域に広がる可能性が高いと考えています。
  

 

フルバッチ。写研で制作した印刷物が機能が高すぎて(16)

2006-10-28 14:33:24 | 組版プロの思考からXMLを考える
 日本に於いては、sapcolが作りあげたフルバッチの世界が確立しました。
その結果。SGMLやXMLレベルでデータファイリングを考えたときに、どうしても写研の印刷レベルを参考にして、案をまとめようとすると、情報量過大でうまく出来ません。入力側に過大な条件設定が多数は入り込む為もあります

 なまじ、写研等が高精細な印刷技術をを普及させてしまったがために、いざXMLをベースにして、標準化した印刷フオーマットからワンソースマルチメディア対応で、入力までのワンライティングを達成しようとすると、とても設計も大変、入力手書き等の原稿が実質作れない事態に、さらにバッチでのデータ入力はもっと大変になってしまします。その為になかなかSGMLもxmlも普及出来ないという事態を招いてしまったと考えています。

 でも、XMLを印刷レベルで理解することの困難さは、受け身と働きかけの立場の違いにあります。標準化した印刷レベルでのフオーマット提案(XML形式)が当該会社から提案が可能か否か、判断の分かれる所です。大きな大きなキーワードです
 第2は、顧客先との技術対応で、コンテンツ発信に係わる事項です。最も大切なことであります

フルバッチ、写研システムの功罪。とても深い罪かも(15)

2006-10-28 14:32:14 | 組版プロの思考からXMLを考える
 それは、XMLの機能が組版レベルの標準化した環境を生成する機能であること、写研のsapcolが果たしてきた役割は、まさに支援体系が整備されたことにあります。 写研のシンパと言われようが、そのフルバッチ技術が背景にあってこそのビジネスであったことを、きちんと認識すべき時代に至ったと知るべきです。
 
 私どもはその現実を見据えて、写研や㈱モリサワが、印刷産業のステータスの要の一つであった事を改めて思い知らされる分けです。

 フルバッチがプログラムの世界にかかわらず、アナログ的な発想に留まっている。印刷の世界は最高度の論理的思考を要求される分野も含む。ものつくり技術の分野であるという社会的なコンセンサスに、どのようにして答えられるのでしょうか。

 写研の社長が、なぜ、現在のような撤退戦略を組んでしまったのかは、不明です。でも、そこに「原罪」を感じ取っているとしたら、全てをブラックホールに持ち込んで、俗に言う「フオントまで」が正しいのだとの、確信を持たざるを得ない、深い状況があるのかも知れません。
 そこまでは分かりませんが。
 写研のsapcolの表現力こそ、今になって本領を発揮してきましたが、誰も、どの会社も技術的に凌駕出来なかった事実の事です。
 ある面で、そのために高品質な文書管理の標準化が諸外国と比較して大変遅れてしまった原因を作りだしてしまった責任を感じているとしたら見事です。

 かって、諸外国で行政の方々が報告書を配布した折り、相対した欧米の方々から
「印刷された資料の品質は世界一」しかし、行政マンやNPOの報告資料は「世界最低」とまで揶揄された、技術ギャップこそが、いま話した印刷技術ギャップを生じてしまった日本の姿でした。

 その間を埋めるべく、印刷産業全体がもっと顧客先と協力すべきであったとの
感覚は痛切です。


フルバッチ。写研の組版がもたらした市場効果と現状(14)

2006-10-28 13:21:31 | 組版プロの思考からXMLを考える
 日本の印刷産業のかなりの部分は、写研のもたらした組版技術の標準化環境で、そのステータスでビジネス成立を期してきていたと感じています。フオント価値とその値段の高さ。写研システムの全体的な高価さ、習熟するまでの技能職への投資額、そしてバッチ特有のプログラム思考による、発注者への柔軟なサービス(デザイン的で美しい数式作成など)、同時に考えられる限りの高能率化。それによる高収入の獲得。
 この部分は十分に認識すべき技術であり、価値観です。

 現在のInDesign環境+MAC環境を考えたときに、それで適応出来る印刷市場は
全体の7割程度。特にチラシや端物や、かっての原色版の分野は、InDesignが最適でしょう。が、この部分はInDezignの販売戦略を見ても分かるごとく、最終顧客側が、中抜きで対応する世界です。まさにプリプレスであって、印刷産業の技術を売ると言う姿勢では、どんどん商売が成立しなくなる部分だと考えられます。
 
 コピ-産業に徹すればよいという考え方の確かにあります。しかしこれも液晶TVやカラーコピー機器の普及で、アナログフイルムのごとき不確実性が見えます

 InDezign等は。同時に、ほぼ流通でのコピー等の蔓延、その発見の困難さもあって、予定の収入にほど遠い結果に。結果としてadobe社でも今後は、日本語の部分の開発を見送り、メンテナンスのみに絞るかという決定をくだしたという事態と、開発グループ情報として、聞かされています。
 かってのクオークで生じたと同様にして、あるべきシステムの発展性を結果として阻害してしまうことになりかねません。
 
 ビジネスが誰でも出来る状態で、品質もほどほどで十分なのであれば、発注者側が、InDesignで自分で作ってしまいます。投資金額が殆どかからず、内容が発注者に掌握された環境では、誰が考えてもビジネスになりません。

 InDesignの価格戦略は、印刷会社だけでなく、あらゆる関連産業にとっても、とても大変なことなのだと理解すべきです。

 まさに印刷物制作の世界が、町毎にあった豆腐屋や和菓子屋のごとく、職人的な世界から、一括大手がつくるコンビニエンスの世界へ変わったようになりそうです。 このままでは。ではどうしたらよいのでしょうか

フルバッチ。写研システムが、かって日本の標準組版技術である(13)

2006-10-28 13:00:07 | 組版プロの思考からXMLを考える
 いま、写研の技術をきちんと統括しておかないと、今でも大変ですが、さらに事態は悪化します。
 写研のSAPCOLは30年も前に開発され(凄い!)、印刷ベースの日本語組版の標準化した技術として、隅々まで使われてきました。多数の統合技術が組み合わされています。まず、日本語フオントとの一体化がありました。和欧混植、縦組み、多様な禁則処理など、その組版規則ルールは枚挙にいとまがありません。さらに対抗会社㈱モリサワやモトヤ等と、競うようにして日本語の表現力を飛躍的に高めてきました。何よりも日本語文字コードを、30年前から現在まで変更していません。
 その、折角の写研が構築してきた技術体系が、まさによくわからない理由で消滅すると見なされたと同時に、そこで運用されてきた価値観が大きく下落してしまいました。
 まさに現状は、写研が築き上げた組版原則の部分が大きすぎたために、市場価値の下落に伴って、周辺を巻き込むブラックホール化して、多くの印刷企業を含む集団までが道連れにされてしまう。まさにその現象が生じているとしか言いようがありません。
 最終顧客先にとって、そのシステムが将来にわたって利益をもたらしてくれるか、自己の仕事に有用なのか、それによってシビアな価値観が生じます。

 データ処理に於けるホストコンピュータ …… IBMのエンタープライズ
ドキュメント処理に於ける写研 …… InDesignなのか、あるいはInDesign+○○○○と考えられるのか

 ある面での、フルバッチ技術がもつ、宿命です。
TEXをも巻き込んで。その可能性を秘めて、多様な言語技術体系が、標準化戦略に沿ってここでも将来性に関して、そのシェアがもたらす結果では危機に瀕する分けです。

フルバッチ。最近の印刷市場を客観的に観察する(12)

2006-10-28 12:40:21 | 組版プロの思考からXMLを考える
(1) SGML関連での医薬品関係とか、海外発表論文の作成現場では、SGML対応のソフト一式を、H社など大手電機の関連会社等を介して購入。指定されたシステム環境を整備して講習を受けて、要望仕様と、その指示書に沿ってのみ、作業をすることで、学会等の仕事の受注が出来るというフローがすでに確立されてきています。
 
(2) 同様に、文芸書版でも、文庫翻制作上で、出版者毎に異なる特殊機能。肝心な部分は、出版者毎に微妙に異なる異体字処理、複合ルビの行末処理、割り注等を対処出来るInDesign対応の環境ソフトを指定の会社から購入し、そしてInDesignで仕事をする。というパターンも今年から本格化しつつあります。
 異体字処理や禁則関連、複合ルビ対応等印刷会社のノウハウ部分が、見事に出版会社側のソフト会社によって解析され、そのソフトを購入して、指示通りの仕事を任せて貰える……。
 と言うことは、急速に取引上の力関係が変化し、受け手の企業規模に関係なく、仕様書通りに部品を生成する自動車会社の下請けレベルにまで落ちこんでしまっているという事実です。
 企業規模が数百人であろうと、家庭の主婦であろうと、InDesignで同じ土俵で仕事をする……という事態になってきています。

(3) 組版・製版の中抜きが話題にされて数年、現状の進展はまさにCTP化の次のステップが、完全自動組版化にあることを示唆しています。
 さらにデータのワンソースマルチメディア化を本格的に展開を始めようと言う発注者側からの、強烈な意思を感じ取れます。

 理学書で言えば、SGML化に取り込まないていない分野として、多くの数式が残っていて、その市場対応として写研が存在する部分があります。
 それは、数式のデザイン的な感覚のところで、写研のシステムの存在で繋がっているとの感覚があります。写研が築いてきた組版技術をどのように解釈するかと言うところで、写研で数式のデザイン的な美しさを愛でてこられた方々が、それをTEXで自己の力で実現しようとして、無理を言いすぎて妖怪呼ばわりされてしまったのではないでしょうか。

フルバッチ。TEXの妖怪に次いで、今度は女帝の出現か(11)

2006-10-28 12:27:52 | 組版プロの思考からXMLを考える
 理学系出版での数式に引き続いて、文芸関係の出版物からの視点から見ますと
(1) 大手著名な出版社が、Adobe社製InDesignを大量導入し、今後の組版ソフトとして、出版社での内製化を前提にした制作ツールとして、モデル作りから始めています。印刷会社等へ組版での制作手法に介入を始めて、要望→指示という経過を経て、早や3年目です。
 現在、主要な委託先印刷会社でも、すでにInDesignの本格導入と効率的な制作手法のフローを必死に求め対応中です。
(2) 出版者側でも、文芸書等の制作等も、InDesign導入によって浮かび上がった課題を整理中の模様です。いろいろな意見と情報を集約し、合理化策とワンソースマルチメディア化をベースにした新たな制作手段の整備を決め、その上で基本方針を定める方針のごとくだと感じています。それまでに、あまり時間がありません。

 この過程で浮かび上がってきた幾つか大きな課題があります。
(1) 多くの印刷会社を訪問して、まず気がつくことは、経営者が社業の将来性への自信の喪失です。良く話しを聞きますと、企業間での主体性の問題があります。
 これは、かってないことですが、大手発注者側の、特定の方々に対しての誹謗に近い話しが飛び交います。特定の女性への反発のごときです。
 TEXの妖怪に次いで、今度は女帝の出現か という題目は、物事の本質と捉えるべき課題です。要は、どの分野からでも印刷会社はかって経験したことのない角度から、話し合っても理解出来されない立場で、顧客先から経営干渉され出していると言うことにあります。パートナーから下請への変化という、自立した技術をまさに否定されるという、この面でも、まさにかってない事態であるという認識です。
  
(2) これは1次産業での農業分野で、かって起こったと同様な事態に発展か?
 土地改良事業で、400もの農法と呼ばれた稲の栽培手法が、慣行農法というたった一つの農法に収斂された流れと重なります。
 国策として行われた方法で、結果として誰でも稲が作れる、最小工数で稲が作れる。3ちゃん農法とも、パートタイム農法とも呼ばれ、結果としてたった40年ほどで、農家人口が全所帯の40%が、4%以下にまで減らせた事が結果です。
 この人口の農家からの移動流失が、日本の高度経済成長の源野一つであったことは自明です。


フルバッチ組版。最適なこれからのソフトウェアの紹介(10)

2006-10-14 00:12:09 | 組版プロの思考からXMLを考える
 現在
 Texの制作物やWordのMathtypeを使ってWord等で制作した学術資料等用の制作済みファイルを、合理的に取り組めること。
 かつ、写研のかっての数式組版のごとく、数式の各要素を、フルバッチでのタグで細かく1:1で制御出来るような新しい組み版環境が出来ないかの、との要求となって来ています。
 肝心なことは、組版は統合技術であり、かっての活版組版と同様に標準化した環境が必須です。それは文選と植字の完全分離の原則と、作業環境標準化が必要です。
 文選とは、xml環境をベースにしてエディターを組み込んだ環境であり、TXTを駆使してコンバートや一括置換を行いつつ、txtのデータを整理など環境により、WEBや電子出版、データベース等への展開を意図して、これからの印刷会社の頭脳集団と情報が集積され蓄積される場所となります。

 そこで、上記の条件にかなう、そのソフトウェア候補としては、
 ㈱モリサワ製組版エンジン「MC-B2」、その全自動組版環境として「MDF-B2」があります。
 MC-B2は6年前に販売開始。5年前当方に開発チームが来社され、それから5年。
フルバッチ対応ソフトウェアとしての機能向上と、組版結果の即時TEX化と、そのまま外部txt出力をサポートします。
 ポスト写研を意識したフルバッチシステムです。組版結果から直ちに組版済みデータがTXTとして抽出出来ますので、WEBや電子出版、データベースへと展開が可能です
 そして、当方は、WordからのXML取り込みと周辺、数式関連そして各種周辺ソフトウェアの開発に携わってきました。

 ㈱モリサワ製組版エンジン「MC-B2」へ、XMLを中間フアイルとして位置付け。
コンバート変換により、mathtype →mcb2へ、1:1での変換が可能なソフトが開発されています。 
(2007/春 正式版サポート予定)

 開発に関与していますので、ご支障のない範囲でTEXデータを、拝見出来れば一連のテスト変換をさせて頂きます。それを含めて、MC-B2に係わる件で、是非一度、ご連絡をよろしくお願い致します。
 
付記)
 TEXで制作されたフアイルは、基本フオーマットの範囲であれば、シェアウェアソフト「Tex2word」にて、word2003上のMathtype形式変換も可能となります。
(株式会社 ライトストーン 営業部 〒130-0026 東京都墨田区両国4-30-8
 両国YAビル HP:http://www.lightstone.co.jp mail:sales@lightstone.co.jp
 電話:03-5600-7201 FAX:03-5600-6671)で購入可能。 

■ 上記シエァウエアソフトウェアで変換され、Wordに取り込まれMathtypeで標記 された数式は.MC-B2に変換可能です。 
■ 実際、TEXで組まれました日本語も、かなりのレベルで変換されます。
でも残念ながら、Texの基本構造部分を、TEX側の利用者がオリジナルに追加・変 更された環境で制作されたファイル部は、うまく変換されない部分が生じるかと 思います。
■ 作業手順として、Wordに変換後、さらに更新をかける事がベストな方法だと考えられます
■ これを、㈱モリサワ製MC-B2へ、Word(mathtype) → mcb2へ、1:1での変換が可能なソフトが開発中です。(評価版を貸し出し可能です)


(付記2)これからのデファクトとなる組版ソフトウェア
 そのひとつの候補がwindows対応でのDTPと位置付けされるインデザインであることは、周知されつつあります。
 もう一つ、当方も関与している㈱モリサワ製MCB2及びそれを中核として組み込まれたMDF-B2という自動組版システムです。
 
 丁度、10月18日に、東京都新宿区・JR飯田橋駅下車2分
 ㈱モリサワ東京本社 社内にて、内見会を開催しています。
 TEL:03-3867-1231 FAX:03-3267-1252 まで
 当方も参加をしていますので、是非別紙にてお申し込みをいただきたく、よろしくお願いいたします。是非とも、ご参加下さい。

 内見会参加申込用紙をダウンロードください
㈱モリサワ内見会

 株式会社 トータルメディア研究所
 代表取締役 荒尾 稔
 113-0021 東京都文京区本駒込4-38-1 冨士ビル
 TEL:03-3824-6071 FAX:03-3824-5980
 E-mail:tmlarao@tml.co.jp
 HP:http://www.tml.co.jp

フルバッチ。写研システムの再評価を(9)

2006-10-13 23:06:59 | 組版プロの思考からXMLを考える
 またいまも厳然たる地位を保っている、写研のシステムのポジションをどのように考えるべきかが、最大の課題です。 
 いままで写研の優位性を保てた事は、幾つかの優れた体系の総和であります。そのキーワードの一例が、まず継続性と普遍性にあると考えられます。
1文字コード系は追加コード系は増やしても、一切変更も削除もしない原則。
2組版コマンド系も替えない。記号類も削除しない。新規に追加するのみ
3レーベル管理までを含めて当初から最後まで、データ管理手法は互換性を保つ。

 同時に、写研の電算写植機器は、
 あまりに昔に(30年以上前)に、速い時期に、よくぞここまで研究して開発されたものだと驚嘆します。一つは組版言語としてのsapcol言語の分野であります
写研の本欄明朝やナール・ゴナで代表されるフオントの大量供給がありました。
同時に優れた営業スタッフや技術スタッフを育成してきた事実です。
 さらに、市場ニードに沿った組版システムを的確に組み立てて、順次市場に出荷出来たトータルなマネジメント技術も再評価されるべきだと考えています。
 しかし、ご存じのごとき現状です。

 まさに、気がついたら、宇宙で言うブラックホールに何もかも道連れにして突入しそうな感覚です。経営体として不可解の一言です。でもその立ち直りは、ここまでくるとまるで先が見えません。写研の再活性化は、このままでは困難だろうと感じています。
 そこで、その優れた資質を、再度最新のwindows環境をベースにして再構築を行うべきかという発想が生じてきています。
 この時は、ブラックホールにでは無く、宇宙創生(ビッグバン)であるべきと提案いたします。そう心から願わなければなりません。

写研の製品は、日本に残念ながらもう一つ大きな難点を生じさせてしまいました。それは、測定単位のローカル規格の生成です。
 それは写研の電算写植機器が、手動写植機との互換性を保つために、手動写植機の歯車(JIS規格でmmを採用)をベースにして、組版規格のポイントではなくセンチメートル規格で作成された事に尽きます。
 その為にポイント(主に活版)とミリ(主に写植機器)との、規格の2重構造が形成されてしまったことです。日本の独自規格と言えます。いまでも、この2重規格は、日本の組み版現場では大きな"くびき"となって存在しています。
 これからは、日本語フオントもatf-5では22,000字を超し、さらに次世代windowsシェラでは、24,000字までにに拡大される事が既に公表されています。
 その、文字数の拡張に写研の組版環境が適応可能なのかも課題となっていきそうです。
 その技術環境を、㈱モリサワ製MCB2では並行して組み込んでいます。でも、機能的には、さらに、コンバート技術、文字種管理技術を含めて、複雑さを背負い込んでしまっています。
 この複雑な環境の、制御と管理技術は、正に”校正恐るべし”の部分であります。
 その一環として、当方は過去5年間、いろいろと話し合いを重ねてきながら、販売を開始して6年目、㈱モリサワの製品MCB2、その自動組版版MDSB2を、これからのフルバッチバッチシステムとして位置付けしてきています。
 この8月末でMCB2絡みでの、xml関連、各種コンバート関連の開発も一段落をしました。これからは、その普及活動に入っていこうと思っています。
 
 

フルバッチ。歴史的な経過から再度考える文選・植字(8)

2006-10-13 22:59:38 | 組版プロの思考からXMLを考える
 植字工はまず、棒組を行います。そして校正機で初稿を手刷りします。
植字工には、得手不得手もあって、昔流に言えば「頁もの」「原色版」「端物・罫表物」の3系統に仕事単位に分かれて、育成されていました。
 特徴は、これらは共通の植字台を使って作業をするわけですが、この植字台の構造・機器配列は3系統が殆ど同じでありました。良く観察すると、windows上でもMAC上でも、今の各社の組版ソフトの画面配列とあまり変わりません、というか、かっての組版の機器配列をそのままデジタル化して配列したような感覚といって、大きな間違いではないと思います。
 仕事としての仕組みは替わりありませんが、印刷会社の規模の大小によって、担う分担範囲が異なっていたと言うことだと思います。
 デジタル処理が中心の現在と違い、確立され完成された組版技術体系が、明治時代の初頭に日本に持ち込まれ効率的にその技術体系を隅々まで、自力で対応出来たことが、とても幸いでした。
 組版に係わる業務が、すべて標準化していますので、印刷会社間での技能者の流通はとても活発でした。
 
 作業の組み立て方は、昔も今もあまり変化はないと考えられます
ただ、カラー写真や図版、地図等、金属を使用した製版物として固定した環境から、EPSやJPGのごとく流動化した仕組みに変わったことはありますが、その他では大きく変わったという印象はありません。
 いまの組版環境は、その点から考えて自由奔放に対処出来る環境であり、同時にその情報量が、WEBなどの一般市場と比較して桁違いに大きいという特性があります。 従って、植字工での業務範囲は大きく変わったという感覚はありません。
 人材的にはデザイン系ですので、美術系、デザイン系といいますか。感性豊かな方々向きの仕事だと考えられます。

 文選工の仕事の主体は、活字の拾い出しです。そして、拾い出された活字は文選箱に連続的に詰めこまれ、植字工に引き渡されます。文選・植字工は完全に業務が分離されています。一つの仕事は最低2人以上で前工程、後工程として分担されます。後工程が、前工程を対処することは原則ありません。
 文選工の機能ですが、昔は文豪の先生方から、そのぬたくったような原稿をも受領すると、文選工が解読して、しっかりと書籍にまとめるという技術、それが解読技術として、著作者と出版者、そして印刷会社間で尊重されました。
 
 いま、文選工の仕事部分は、とても重要になってきています。
 かっての専用WPや、今で言えばword、excel、powerpoint等、さらにTexも含めて多様なWPや専用組版機器等からの文字情報を主体に情報を抽出する技術体系として成立しています。 
 現在はTEXを含め、トータルな情報を集中してコンバートを行います。
 かってはms-dosレベルでtxtだけでしたが現在は、現在はxml形式も、スタイル、割付、各種タグ情報などもその形式を担保しながら、変換が可能となっています。
 人材的には、ドキュメントプログラマーとして位置付けられます。従って
理工系の人材が最適です。論理的な考え方と、物事への執着心が強く、論理的に組み立てが得意な方々向きの世界です。明らかに植字系の方々より、文選系の方々の活躍出来る世界と考えられます。 

フルバッチ。昔の歴史をひもとけば分かることも(7)

2006-10-13 22:57:03 | 組版プロの思考からXMLを考える
 明治時代初頭に日本に移植された技術の一つとして活版組版技術があります。その全ての技術は、幸いなことに、先進国であった欧米で技術的に確立された、その完成された技術体系を、日本国内で日本語処理用に再構築したと考えられます。
 それを日本語の環境で再構築をすることで明治の中期には、日本語の活版印刷技術として、すばらしく確立され、以降100年以上に渡って、国内で隆盛を極めました。
 当然、江戸時代からの木版技術は急速に存在感を喪失しています。

 日刊の新聞発行としてスタートした東京日々新聞社(現在の毎日新聞社の前身)で幕を開け、それが順次出版、印刷へと広がっていきました。
 日本語フオントの選定から活字の作成方法、組版ルール、写真製版技術の導入、製版技術、印刷インキ、印刷用紙、印刷機器まで、何もかも新たに作成されました。それに携わった先人達の苦労は並大抵ではなかっと考えます
 組版技術に関しても、基本原則の最も重要な技術の一つが文選、植字の完全分離でありました。組版は統合技術であり、肝心なことは標準化した環境が必須です。
 まず、業務現場で言えば、職務分担に係わることですが、活版組版で言われる文選職能の再度の確認が第1かと考えます。その上で、植字機能の再確認が第2です。
 
 いまは、どうでしょうか
 明治時代と異なり、組版原則は順次ルール化されていますが、技術が分野別にまとまっていく、まさに同時並行的に私どもが生きているわけで、どれが正当な進化を遂げて、分野別の技術として確定していくのかが未知数のまま可能性のなかにどっぷりと浸かっています。
 組版原則も、画像、図版、地図等の情報も、成立する経過も進化も組み立て方もまちまちであり、どのメーカのどの規格が勝ち抜いてデファクトを勝ち取れるかが分かりませんでした。
 その為もあって、各印刷会社はここ20年間、
あっちの水は甘いよ……、こっちの水は辛いよ……のごとくふらふらと、デファクトになるべき環境を求めて、ふらふらさまよう立場の置かれてしまいました。

 その中で、結果として抜群の安定感をもって、組版の分野をリードしてきたのは
文字組版では㈱写研と、㈱モリサワであり、欧米系ではADOBE社でありました。

フルバッチ、数式組版の標準化と写研が広げた制作手法の狭間で(5)

2006-10-13 22:18:32 | 組版プロの思考からXMLを考える
 いま求められる標準化組版技術のひとつの事例対象として、また要求機能として
Texの完成済み制作物や、Word上でMathtypeを使って制作した学術資料等用の制作済みファイルを、高解像度組版システムへ合理的に取り組める手法の開発要望ががあります。
 その中で、現在の日本の実情では、最も大事な要素への認識が欠かせません。
それが、日本では写研の数式組版のごとく、数式の各要素を、フルバッチでのタグで細かく1:1で制御出来るような新しい組み版環境が出来ないかの、との要求となって来ています。
 特に、原稿を忠実に再現しつつデザイナー的な感覚で、美しく組上げるためには、数式の内容を理解できなくとも作業が可能なような、制作環境の提案は必須と思われます。

 写研の数式プログラムの特徴は、著作者からの原稿を受領して、それを写研のsapcolを理解したコーター(と呼ばれておりました)が、数式部分の原稿をなぞりながら、文字を1文字単位で積み木のごとく、コーデイング、及び画面上で組み立てていく方法で作業をする方法でした。
 どちらかと言えば、数式の内容を理解するのではなく、数式の内容は理解出来ないままでも、デザイン感覚で組み立てて行けたところに大きな特徴がありました。 従って原稿を書かれた大学の諸先生の数式を含む著作物を、いままでは、各印刷会社内で、内容理解に関係なくデザイン的にある面でよりきれいに見せることの技術で競っていたのだと、理解しています。
 その一例として、良く聞かされる話しとして
 写研の電算写植機器が主役の時代を知っておられ、またその制作上での特徴を承知している諸先生方が、Texで制作した自分の作品を、現在の写研での作品レベルまで高めて欲しい。
 昔は(写研では)ちゃんと出来たのだから、今も出来るだろうと指摘されているのかも知れません。
 その期待に添うべく、一部の印刷会社では、㈱写研本社を巻き込んでまで、特製でTex対応版までも作成してきたのですが。
 残念ながら、その競争原理の中には、一般企業でIT技術者が顧客先との技術的な課題で、切磋琢磨しながらも、相互の信頼に基づく技術的な優位性評価とは異なります。
 デザイン的な感覚で高品質化や校正行為を迫られる著作者(大学の著名な先生方)の要求に直面し、ステータスもなく、一方的に押しまくられ、言われたままに作成するとても不条理とまで感じる世界が存在していると指摘される方がおります。
 同時にまた、Texの場合、特に校正時にある程度組版を印刷する側にも、かなりのレベルで、数式そのものをを理解したスタッフの存在が欠かせないと考えられています。
 しかも発注側では、業務費用の相対として、先生方が版下を作成しているのだからコストが低くなるはずと決めつけて、予算の削減をも要求されるということになってしまいます。
 トータルな制作手法を提案すべき立場の印刷会社からの発案が出来にくくなって、また本来のIT技術者を、プライドをもって活用する手段を欠いてしまった場合には、印刷会社側の柔軟無垢な手法も限界となり、本来の機能を発揮出来なくなって、最後は折角の顧客先と不毛な論争になってしまうと言う悪循環が生じてきます。
 その、写研関連での作り込み手法(当然費用がかさむ)と。TEXで自作しているのではないかと主張する先生方との情報、技術ギャップが、最近はとても大きく膨らんでしまっていると実感しています。
 

フルバッチコーデイングのメリットを再度考える(6) 

2006-10-13 22:01:55 | 組版プロの思考からXMLを考える
 これからの組版としての方向性としては、その最新の必須例として
 Texの制作物やWordのMathtype等を使ってWord等で制作した学術資料等用の制作済みファイルを、合理的に取り組めることが求められています。
 逆に言えば、数式をうまく処理出来る環境を提案出来る組版ソフトウェアであれば本物であるという認識です。
 同時に、とても大事なこととして写研のかっての数式組版のごとく、数式の各要素を、フルバッチでのタグで細かく1:1で制御出来るような新しい組み版環境が出来ないのか、との要求となって来ています。

 バッチコーデイングは、組版情報を論理的に組み立て、それをコンピュータを介して出力をさせる技術です。大手出版社がこぞって手がけている文芸書版で言えば、初回の制作には文芸書版を1冊分、3日間でまとめたとします。で、次の制作時には、前回の制作プロセスを整理して2日で完了出来るように考える。3回目には1日で、最終的には完全自動で組版をする。
 それを、頭の中で組み立てながら実行していく。その為のノウハウを蓄積していく。学習には時間がかかりますが、最終的には加速度的にスキルを高めていける方法論です。何より知的な作業であり、ドキュメントプログラマーとして、至福の存在感を味わえるすばらしい世界です。
 ワンソースマルチメディアに関しても、印刷に使用した版下データが組版情報込みのタグ付きのTXT形式で、手元でファイリング出来るのであれば、随時、WEBでも、電子出版でも、データベース化も、コンバート技術とプログラム構築によって可能に出来る技術体系です。
 さらに、自動組版技術を、windows環境下で、連続的に有機的に接続することで、ASPを使って、オンラインででの画期的な成果の可能性も高い完成度が得られると感じます
 現在、windows対応の分野等では、画像処理、表計算、WEBGIS技術、ネットワーク、サーバー管理等との周辺技術が全て、分野別に順次デファクトな技術として確立され、かつ汎用化し、法的な根拠も明確になって、整備されてきています。
 その中で唯一日本語の、特に文字組版技術の部分が、いまだに技術的な確定が得られずに、市場での優位性を狙った競争原理下におかれています。
 ADOEB社のDTPとされるインデザイン、そしてフルバッチシステムのTexも正に、その一環であります。
 もう一つの候補として、ダークホース的な役割を果たすのが、㈱モリサワ製の組版エンジン「MC-B2」であり、周辺ソフトと統合した自動組版システム「MDS-B2」が考えられます