Fantasy Football(ファンタジーフットボール)戦記

NFLのFantasy Football(ファンタジーフットボール)のほかMLBやNBAについて語ります

前半無敗のSFと後半1敗だったKCの対戦相手はどうだったのか

2020年02月23日 10時10分33秒 | NFL2019
公開時のタイトルが変だったので直しておきました。(2020.2.23 10:10)
 
前回の原稿を書き終わって、ちょっと気になることが出てきました。NFCでGBと同じ13勝を挙げたSFの対戦相手は強かったのか弱かったのかということです。
 
シーズン開幕前に、2019年シーズンにSFが対戦する延べ16チームの2018年シーズンの平均勝率が0.510であることは、2018年の大晦日に書いた記事で分かっていました。前回同様、前半と後半で区切ると、2019年に対戦するチームの平均勝率は前半が0.453で後半は0.566でした。前半がちょっと楽で後半がちょっと厳しいくらいでしょうか。
 
しかし2019年シーズンが始まってみると、そうではなくなってきました。前半に対戦するチームが不振で、後半に対戦するチームが好調だったのです。
 
SFの2019年の対戦チームとそのチームが挙げた勝数(2018年と19年)はこうなります。
 
Week Day W/L TEAM 18年勝数 平均勝率 19年勝数 平均勝率
1 2019/9/9 ○31-17 TB 5 0.453 7 0.355
2 2019/9/16 ○41-17 CIN 6 2
3 2019/9/23 ○24-20 PIT 9.5 8
5 2019/10/8 ○31-3 CLE 7.5 6
6 2019/10/14 ○20-7 LAR 13 9
7 2019/10/21 ○9-0 WAS 7 3
8 2019/10/28 ○51-13 CAR 7 5
9 2019/11/1 ○28-25 ARI 3 5.5
10 2019/11/12 ●24-27 SEA 10 0.566 11 0.652
11 2019/11/18 ○36-26 ARI 3 5.5
12 2019/11/25 ○37-8 GB 6.5 13
13 2019/12/2 ●17-20 BAL 10 14
14 2019/12/9 ○48-46 NO 13 13
15 2019/12/16 ●22-29 ATL 7 7
16 2019/12/22 ○34-31 LAR 13 9
17 2019/12/30 ○26-21 SEA 10 11
  勝率 0.813   0.510   0.504  

見ておわかりのように、前半に対戦した8チームの平均勝率は0.355でした。これならSFが開幕8連勝を飾れた訳も理解できるでしょう。前回書いたNEが前半に対戦したチームの平均勝率0.391をも下回っています。

しかしその分、後半に対戦した7チーム(SEAとは2回)の平均勝率はとんでもないことになっていて0.652。SFは後半戦の3試合で終盤に競り負けますが、対戦相手が非常に好調だったので致し方ないといえるでしょう。言い方を変えれば、これだけの相手と戦って3敗でしのげたために、First Round Byeと第1シードを獲得できたというわけです。

もしSEAとの最終戦で敗れて、GBも本拠地であるLambeau Fieldで戦っていたら、Super Bowlに進出していたのはGBだったかもしれません(何度でも言いますよ)。

ただ同じ13勝だったGBとSFの対戦相手の厳しさを、2019年シーズンの平均勝率で比較するとGBが0.453なのに対しSFが0.504でした。つまり強い相手と戦ったけど、勝敗は同じ13勝3敗だったSFの実力の方が、GBよりも上だったといえるかもしれません(もちろんChampionship Gameで戦う際には、こんな数字は関係ありません)。

では最後に、SFをSuper Bowlで破ったKCはどうだったのかを調べてみましょう。KCの2019年の対戦チームとそのチームが挙げた勝数(2018年と19年)はこうなります。

Week Day W/L TEAM 18年勝数 平均勝率 19年勝数 平均勝率
1 2019/9/9 ○40-26 NYG 5 0.457 4 0.512
2 2019/9/16 ○28-10 OAK 4 7
3 2019/9/23 ○33-28 BAL 10 14
4 2019/9/30 ○34-30 DET 6 4
5 2019/10/7 ●13-19 IND 10 7
6 2019/10/14 ●24-31 HOU 11 10
7 2019/10/18 ○30-6 DEN 6 7
8 2019/10/28 ●24-31 GB 6.5 13
9 2019/11/4 ○26-23 MIN 8.5 0.582 10 0.492
10 2019/11/11 ●32-35 TEN 9 9
11 2019/11/19 ○24-17 LAC 12 5
13 2019/12/2 ○40-9 OAK 4 7
14 2019/12/9 ○23-16 NE 11 12
15 2019/12/16 ○23-3 DEN 6 7
16 2019/12/23 ○26-3 CHI 12 8
17 2019/12/30 ○31-21 LAC 12 5
  勝率 0.750   0.520   0.502  

ひとことで言うなら、前半戦は2018年よりも勝ち星を大きく伸ばしたチーム(BALとGB)と戦ったために厳しくなり、後半戦は2018年に好調だったチーム(LACとCHI)が不調だったおかげて楽になったというくらいでしょうか。

特に後半に2試合戦ったLACが、2018年シーズンの勢いを保てていれば、KCがFirst Round Byeを獲得することは難しかったかもしれません。

そう考えると、Patrick Mahomesが欠場した(前半と後半をまたぐ)2試合で1勝を挙げたことがKCにとって大きかったといえるでしょう。これもしつこいくらいに繰り返しますが、Matt Mooreが挙げた勝利はそれほど価値があるものだったのです。

 

2015年シーズンからアメリカンフットボールのFANTASY FOOTBALL を楽しんでいるトーマスといいます。NFLだけでなく、MLBやNBAについても語ります。

AFC東 BUF バッファロー・ビルズ NFC東 DAL ダラス・カウボーイズ
MIA マイアミ・ドルフィンズ NYG ニューヨーク・ジャイアンツ
NE ニューイングランド・ペイトリオッツ PHI フィラデルフィア・イーグルス
NYJ ニューヨーク・ジェッツ WAS ワシントン・レッドスキンズ
AFC北 BAL ボルティモア・レイブンズ NFC北 CHI シカゴ・ベアーズ
CIN シンシナティ・ベンガルズ DET デトロイト・ライオンズ
CLE クリーブランド・ブラウンズ GB グリーンベイ・パッカーズ
PIT ピッツバーグ・スティーラーズ MIN ミネソタ・バイキングス
AFC南 HOU ヒューストン・テキサンズ NFC南 ATL アトランタ・ファルコンズ
IND インディアナポリス・コルツ CAR カロライナ・パンサーズ
JAX ジャクソンビル・ジャガーズ NO ニューオリンズ・セインツ
TEN テネシー・タイタンズ TB タンパベイ・バッカニアーズ
AFC西 DEN デンバー・ブロンコス NFC西 ARI アリゾナ・カーディナルス
KC カンザスシティ・チーフス LAR ロサンゼルス・ラムズ
OAK オークランド・レイダース SF サンフランシスコ・49ers
LAC ロサンゼルス・チャージャース SEA シアトル・シーホークス

NEは恵まれていたか、2019年シーズンのStrength of Scheduleを振り返る

2020年02月22日 17時39分00秒 | NFL2019
筆者が2019年シーズン終了直後に書いていた 2020年シーズンのStrength of Scheduleですが、NFL.comに掲載された動画で確認が取れました。数値は記事の表に書いていたとおりで間違っていませんでした。
 
せっかくなので再掲します。
 
地区 1位 2位 3位 4位
AFC東 NE BUF NYJ MIA
0.537 0.525 0.533 0.529
AFC北 BAL PIT CLE CIN
0.438 0.457 0.461 0.477
AFC南 HOU TEN IND JAX
0.518 0.498 0.502 0.494
AFC西 KC DEN OAK LAC
0.500 0.512 0.496 0.492
NFC東 PHI DAL NYG WAS
0.486 0.459 0.482 0.465
NFC北 GB MIN CHI DET
0.504 0.516 0.508 0.525
NFC南 NO ATL TB CAR
0.490 0.525 0.502 0.500
NFC西 SF SEA LAR ARI
0.527 0.508 0.516 0.518
 
来シーズンは32チームの中で、NEのスケジュールが最もきつい(16試合を戦う相手チームの平均勝率が最も高い)ようですね。AFC東が、現在勢いのあるAFC西とNFC西の全チームと対戦するため、こんなことになったようです。その一方で、今季リーグ最高勝率のBALが来シーズンは最も楽な対戦相手となりました
 
さて2019年シーズン前半にNEが8連勝したときは、「また今年もSuper BowlにNEが進出するのか」と多くのAFCチームのファンが嘆いたのではないかと思います。そんな中ささやかれていたのは、「NEは対戦相手に恵まれてるんじゃね」疑惑です。
 
その疑惑が本当だったのかを検証してみました。まず、2019年シーズンにNEが対戦した相手チームの2018年シーズンの平均勝率は0.473でした。5割を切っていますから、相対的に戦いやすい顔ぶれだったといえます。
 
ではNEが戦った16戦を前半と後半に分けてみるとどうだったというと、前半に戦ったチームの(2018年シーズンの)平均勝率は0.391なのに対して、後半に戦ったチームの平均勝率は0.555でした。だれがマッチメイキングをしたのか知りませんが、NEがロケットスタートを切れるように大きな忖度がなされていたように見えます。
 
そして8試合を戦った相手の2019年シーズンの平均勝率も、2018年シーズンと同じ0.391と著しく低いものでした(つまり前年から進歩がなかったということ)。NEがこれらのチームを下したので結果的に各チームの勝率が下がったわけですが、それでもNEが前半で8戦全勝を飾れた背景にはこのとてつもなく偏った対戦カードがあったといえるでしょう。
 
Week Day W/L TEAM 18年勝数 平均勝率 19年勝数 平均勝率
1 2019/9/9 ○33-3 PIT 9.5 0.391 8 0.391
2 2019/9/16 ○43-0 MIA 7 5
3 2019/9/23 ○30-14 NYJ 4 7
4 2019/9/30 ○16-10 BUF 6 10
5 2019/10/7 ○33-7 WAS 7 3
6 2019/10/11 ○35-14 NYG 5 4
7 2019/10/22 ○33-0 NYJ 4 7
8 2019/10/28 ○27-13 CLE 7.5 6
9 2019/11/4 ●20-37 BAL 10 0.555 14 0.547
11 2019/11/18 ○17-10 PHI 9 9
12 2019/11/25 ○13-9 DAL 10 8
13 2019/12/2 ●22-28 HOU 11 10
14 2019/12/9 ●16-23 KC 12 12
15 2019/12/16 ○34-13 CIN 6 2
16 2019/12/22 ○24-17 BUF 6 10
17 2019/12/30 ●24-27 MIA 7 5
  勝率 0.750   0.473   0.469  

ところが9試合目に、2018年シーズンにAFC北を制したBALに敗れたことで先行きに暗雲が垂れ込めます。対戦相手も厳しく、NFC東の強い方の2チーム(PHIとDAL)にはなんとか勝利しましたが、2018年シーズンにAFCの地区優勝を飾ったHOUとKCには連敗を喫します。

後半に戦った8チームの(2018年シーズンの)平均勝率は0.555でした。そしてこの8チームは(不振だったCINと同地区のMINを除けば、)2019年シーズンも好調を維持しており、2019年シーズンの平均勝率は0.547でした。

つまりNEの2019年シーズンは前半はとてつもなく楽だったけれど、後半がとてつもなくきついスケジュールだったわけです。何でこんなことになったんでしょうね。

結局NEは、AFC地区で優勝を飾った3チームに敗れてPlayoffの先行きに不安を残し、さらにお客様のはずのMIAに地元の最終戦で敗れるという失態を犯したため、First Round Byeも逃します。結果的にPlayoff初戦で、上り調子のTEN(2019年シーズンは9勝でした)に打ち取られてシーズンエンドと相成ったわけですが、この予兆は後半の4勝4敗という勝敗に表れていたわけですね。

上の表にあるとおり、来シーズンのNEの対戦相手の2019年シーズンの平均勝率は0.537ですから、NEは2019年シーズンの後半並みの強さの相手とシーズンを通して戦うことになります。

Tom Bradyの去就はまだわかっていませんが、2020年シーズンのNEはなかなか厳しいことになるのではないでしょうか。そのためにはMIAとNYJ、BUFの3チームに頑張ってほしいわけですが、来シーズンこそはどうなんでしょうねぇ(ずっと期待して裏切られ続けてきたので懐疑的です)。

Week Day W/L TEAM 18年勝数 平均勝率 19年勝数 平均勝率
1 2019/9/6 ○10-3 CHI 12 0.527 8 0.504
2 2019/9/16 ○21-16 MIN 8.5 10
3 2019/9/23 ○27-16 DEN 6 7
4 2019/9/27 ●27-34 PHI 9 9
5 2019/10/7 ○34-24 DAL 10 8
6 2019/10/15 ○23-22 DET 6 3.5
7 2019/10/21 ○42-24 OAK 4 7
8 2019/10/28 ○31-24 KC 12 12
9 2019/11/4 ●11-26 LAC 12 0.480 5

0.402

10 2019/11/11 ○24-16 CAR 7 5
12 2019/11/25 ●8-37 SF 4 13
13 2019/12/2 ○31-13 NYG 5 4
14 2019/12/9 ○20-15 WAS 7 3
15 2019/12/16 ○21-13 CHI 12 8
16 2019/12/24 ○23-10 MIN 8.5 10
17 2019/12/30 ○23-20 DET 6 3.5
  勝率 0.813   0.504   0.453  

ではNEだけでなく、ほかのチームはどうだったのか検証してみましょう。いくつものチームを取り上げるのは大変なので、ここは筆者が応援するGBを見てみます。上の表はGBの年間の戦いっぷりです。

ほかのGBファンの皆様に叱られるかもしれませんが、筆者は今シーズンGBが13勝を挙げるとは予想していませんでした。もしかしたら対戦相手に恵まれていたのではないか?そう思ったので検証したわけです。

結果は、その通りでした。GBの対戦した相手は2018年シーズンに0.504の平均勝率でしたが、2019年は平均勝率で0.453しか上げられませんでした。つまりGBは前年よりもチーム力が下がった相手と対戦できたわけです。

もちろんGBが対戦相手に勝ったことも相手の勝率に影響していますが、数字だけで比較すると、シーズン全体を通してNEよりも楽な対戦相手と戦えたことになります。

2018年シーズンの勝率で前後半をみると、前半の方がきつかったことになりますが、NEほど大きな差はないです。前半戦で大きかったのは2018年も19年も12勝を挙げているKC戦で、Patrick Mahomesが欠場したことでしょうか。この試合に勝利できたことで、結果的にFirst Round Byeを勝ち取れました。

後半には、今季不振だったLAC(それなのに敗け)やCAR、さらにNFC東の弱い方の2チーム(NYGとWAS)との対戦が組まれていました。結果として後半は2019年シーズンの平均勝率が0.402の8チームと対戦できたわけです。前半できつい相手と戦って7勝1敗で頑張った分、後半は少し楽ができたというシーズンだったのでしょうか。

ただGBのOLが、Bosa兄弟には歯が立たなかったことは反省材料です。PlayoffでSFに突かれたRun対策を含め、このオフにGBが手を入れなくてはいけないところは山積みのようです。

追記:DETの2019年シーズンの成績に入力ミスがあったため、表内のデータを修正しています。本文中の数字も修正しています。

2015年シーズンからアメリカンフットボールのFANTASY FOOTBALL を楽しんでいるトーマスといいます。NFLだけでなく、MLBやNBAについても語ります。

AFC東 BUF バッファロー・ビルズ NFC東 DAL ダラス・カウボーイズ
MIA マイアミ・ドルフィンズ NYG ニューヨーク・ジャイアンツ
NE ニューイングランド・ペイトリオッツ PHI フィラデルフィア・イーグルス
NYJ ニューヨーク・ジェッツ WAS ワシントン・レッドスキンズ
AFC北 BAL ボルティモア・レイブンズ NFC北 CHI シカゴ・ベアーズ
CIN シンシナティ・ベンガルズ DET デトロイト・ライオンズ
CLE クリーブランド・ブラウンズ GB グリーンベイ・パッカーズ
PIT ピッツバーグ・スティーラーズ MIN ミネソタ・バイキングス
AFC南 HOU ヒューストン・テキサンズ NFC南 ATL アトランタ・ファルコンズ
IND インディアナポリス・コルツ CAR カロライナ・パンサーズ
JAX ジャクソンビル・ジャガーズ NO ニューオリンズ・セインツ
TEN テネシー・タイタンズ TB タンパベイ・バッカニアーズ
AFC西 DEN デンバー・ブロンコス NFC西 ARI アリゾナ・カーディナルス
KC カンザスシティ・チーフス LAR ロサンゼルス・ラムズ
OAK オークランド・レイダース SF サンフランシスコ・49ers
LAC ロサンゼルス・チャージャース SEA シアトル・シーホークス

KCのRBはSuper Bowlは二人体制だった、5人のRBによる自転車操業の末に

2020年02月16日 13時42分49秒 | NFL2019
Super Bowl LIVの第4Q、残り1分20秒の2nd Down 10、SF陣内38ヤードからKCのRBであるDamien Williamsが左サイドを駆け上がり、SFに2ポゼッション差をつけるTDを決めました。このプレイによって、WilliamsはSuper Bowlで100ヤード以上のRushingをして、しかもRushingとReceivingの両方でTDを挙げた初めての選手となったそうです。
 
Damien Williams Turns on the Afterburners to Extend Chiefs Lead | Super Bowl LIV
 
しかしよく考えると、その時点でSFのTime Outは残り2つでした。First Downを取ったあとにゴールラインの手前でWilliamsがTDせずにスライディングするなりしてDownしていれば、この瞬間にSFはTime Outを一つ使わざるを得なくなります(時計を止めないと40秒を消費されてしまう)。この時点で1分12秒が残ったとしても、KCは次のFirst DownでRunを使ってさらにSFに時計を止めさせられます(仮に1分10秒で止まったとしましょう)。
 
Second DownではSFにTime Outがなくなっていますから。1分10秒は2回のKneel Downで消費完了。SFに攻撃のチャンスを与えないまま、Andy ReidはGatorade Showerを浴びていたはずです。
 
つまり次のSFの攻撃でKendall Fullerのインターセプトもないまま、Patrick Mahomesがカニ歩きをして後ずさってからDownするという芸を2回も見せることもなく、24-20でKCの勝ちとなっています。日テレG+の解説の有馬さんもこのTDの後に、「私ならRBに走り抜けないように注意する」と言っていました。
 
長々と書きましたが、筆者はWilliamsを責めるつもりはありません。これで2ポゼッションにしたんだから間違っていたわけじゃないでしょ(MCの近藤さんも有馬さんのコメントにそうフォローしていました)。
 
そういえばTEN@NEのDivisional Playoffの終盤で、残り15秒でTom BradyのPassをInterceptしたLogan RyanがそのままTDしたときも(14-13だった試合が20-13になった)、TDはしない方がよかったという声もありました(Kneel Downして終わりだから)。しかしこういうときって、分かっちゃいるけどやめられない状態ですよね。かつてNEに在籍したRyanとしても、ここは止まれなかったんでしょう。
 
さてWilliamsに話を戻して2018年シーズンからKCに加入したDamien Williamsは、(KCのRBにDarrel Williamsがいる関係で以下では「Dam Williams」と表記します)、2018年は16試合に出場し3試合に先発したものの、2019年は11試合の出場で6試合の先発にとどまっています。
 
2019年シーズン開幕時はエースRBの座を手に入れていたはずですが、前半の欠場は膝、後半の欠場は脇腹(rib)の故障と病気(illness)が理由でお休み。エースRBがこの状況では、代わりのRBを確保しなくてはなりません。
 
Week03にDam Williamsに代わって先発RBとなったのは、シーズン直前にBUFから加入していたLeSean McCoyでした。McCoyをサポートしているのがDam Williamsと名前が似ているDar Williamsと新人のDarwin Thompsonでした。
 
McCoyはBUFからリリースされた8月末日にKCに加入しました。実はこの同じ日にKCはKarlos HydeをHOUにトレードに出しています。McCoy加入とHyde放出のどちらの発表が先かは覚えていませんが、どちらも8月末日に決まっているので、McCoy獲得のめどがついたからHyde放出に踏み切ったというのが筋でしょう。
 
Week03と04を欠場したDam WilliamsですがWeek05には復帰。Week10と11には先発を務めるところまで復帰しました。しかしBye Week明けのWeek13から3週間のお休みになります。
 
しかもそのWeek13にDar Williamsがハムストリングの怪我でIR入りします(つまりシーズンエンド)。さすがにMcCoyとThompsonだけでは荷が重いということで、KCはかつてチームに在籍し、シーズン始めにINDを解雇されていたSpencer Wareを呼び寄せました。
 
WareはWeek14から16まで出場し、Week16は先発を務めました。しかしWeek16の試合で肩を痛めIR入りします(これまたシーズンエンド)。Week16ではDam Williamsが試合に復帰していましたが、McCoyが病気を理由で欠場していました。
 
McCoyはその後、Playoffで1回だけスナップに参加しましたがそのときもRushingすることはなく、Super Bowl LIVでもInactiveでした。
 
KCの5人のRBの出席表をまとめたのが下の表です。見て分かりますように、それまでのKCはRB3人体制(多いときは4人)でしたが、Week17からはDam WilliamsとThompsonの2人体制で試合を戦っています(Pro Football ReferenceのWeek16と17のデータは2人のWilliamsを混同したのか、誤ってDar Williamsも出場したことになっています)。
 
Sは先発、SCはスナップ数、RはRushing回数、Yはヤード数、TDはTD数。各集計結果の下のパーセンテージ背は5人の中でのシーズンシェア。例えばMaCoyは16試合中9試合に先発したので、先発シェアは56%となる。
 
しかしここからDam Williamsが爆発します。Week17はRBとして先発し、Rushingで2回のTDを奪います。Super Bowlを含むPlayoff3試合では、Rushingで4回、Receivingで2回の計6回のTDを挙げます(表が複雑になるのでReceivingについては省略しました)。スナップ数にして9割、Rushing Yardにして97%をDam Williamsが占めています。
 
Dam Williamsは2016年のMIA時代にもPlayoffに1試合の出場経験があり、そのときはReceivingで1回のTDを挙げています。2018年はKCで2試合に出場しRushingで2回、Receivingで2回の計4回のTDを挙げました。Playoffで都合11回のTDは、現役選手としてはMarshawn Lynchの12回に次ぐ回数とのことでした(Super Bowlの中継の字幕にでました)。しかも6試合で11回ですから、これは効率が高いといえるでしょう(Lynchは13試合で12回)。
 
Patrick Mahomesの勝負強さが話題になりましたが、Dam Williamsの勝負強さもなかなかのもの。しかもRushingだけでなくReceivingでもTDが奪えるという長所も持っています。
 
ただFantasy Teamのオーナーとしては、Dam Williamsがコンスタントな成績を残していないことが心配です。2019年の Rushingで498ヤード5TD、Receivingで213ヤード2TDというのがキャリアハイ。ぜひ1年しっかりコンスタントな成績を残せる選手となって、Fantasyで心置きなく指名できるような選手になってほしいものです。
 
最後に、「KCのRBはよく代わるなあ」「Dam Williamsはよく休むなあ」などと漠然と思っていましたが、裏を見ると5人のRBを使い回して自転車操業をしていたことが分かりました。今だから言えますが、もしDam WillamsがPlayoffのどこかの試合で怪我を負って出場が困難になったていたら、KCはどうなっていたのでしょう。WRのMecole Hardmanなどをつかったジェットストリームを増やしていたのかもしれませんが、それでもDarwin Thompson一枚では薄すぎます。
 
よく考えるとKCの攻撃陣の主力で全試合に出場していたのはTravis Kelceくらいで、MahomesもTyreek HillもSammy Watkinsもレギュラーシーズン中にお休みがありました。RBはギリギリながらもうまくやりくりをつけて、Super BowlにピークをもってこられたのがKCの勝因の一つだったのかもしれません。

2015年シーズンからアメリカンフットボールのFANTASY FOOTBALL を楽しんでいるトーマスといいます。NFLだけでなく、MLBやNBAについても語ります。

AFC東 BUF バッファロー・ビルズ NFC東 DAL ダラス・カウボーイズ
MIA マイアミ・ドルフィンズ NYG ニューヨーク・ジャイアンツ
NE ニューイングランド・ペイトリオッツ PHI フィラデルフィア・イーグルス
NYJ ニューヨーク・ジェッツ WAS ワシントン・レッドスキンズ
AFC北 BAL ボルティモア・レイブンズ NFC北 CHI シカゴ・ベアーズ
CIN シンシナティ・ベンガルズ DET デトロイト・ライオンズ
CLE クリーブランド・ブラウンズ GB グリーンベイ・パッカーズ
PIT ピッツバーグ・スティーラーズ MIN ミネソタ・バイキングス
AFC南 HOU ヒューストン・テキサンズ NFC南 ATL アトランタ・ファルコンズ
IND インディアナポリス・コルツ CAR カロライナ・パンサーズ
JAX ジャクソンビル・ジャガーズ NO ニューオリンズ・セインツ
TEN テネシー・タイタンズ TB タンパベイ・バッカニアーズ
AFC西 DEN デンバー・ブロンコス NFC西 ARI アリゾナ・カーディナルス
KC カンザスシティ・チーフス LAR ロサンゼルス・ラムズ
OAK オークランド・レイダース SF サンフランシスコ・49ers
LAC ロサンゼルス・チャージャース SEA シアトル・シーホークス

Super Bowl LIVに出場できなかったKCの選手はSuper Bowl Ringをもらえるの?

2020年02月11日 17時27分55秒 | NFL2019
Super Bowl LIVが終わって1週間、以前書いた記事を読んでいるときにある疑問にぶち当たりました。 
 
Kyle ShurmurとChad HenneもSuper Bowl Ringをもらえるのだっけ?という疑問です。
 
この2人は、2019年シーズンはKCのQBとして試合に出場していません。Patrick Mahomesが膝蓋骨を脱臼し欠場した際に、Matt Mooreが先発した2試合でMooreの控えとして登録されたのがShurmurとHenneだったのです(Henneが怪我から復帰したことで、ShurmurはPractice Squadへ移されました)。
 
2試合とも全SnapをMooreが受けていますから、2人は試合には全く出場はしていません。Mooreに何かあったときの控えQBとして登録され、試合中はサイドラインに立っていました。ただスナップは受けていないので公式の記録はなにもありません。それでもGame SumaryのDid Not Playのところにその名を残しています(Shurmurは#9、Henneは#4を着けていたようです)。
 
上の疑問を解消すべく「Super Bowl Ringをもらえる基準」について検索して見つけた記事(2015年のものですが)には、
 
Other players who can receive rings include practice squad players, players on injured reserve and players who were on the roster at some point during the season. Teams will often consider everybody who contributed at any point in the season worthy of a ring.
 
と書いてありました。つまり2人ともSuper Bowl Ringをもらえるはずです。二人のWikipediaにも、「Career highlights and awards」のところに「Super Bowl champion (LIV)」とはっきり書いてありました。
 
先ほどの記事にも書きましたが、Mooreの話は映画になりそうですね。2007年にプロキャリアを始めたベテランQBが、2018年はどのチームからも声がかからず事実上の引退。2019年に前に在籍したチームのスカウトをしながら高校のQuarterback Advisorをしていたのに、シーズン直前の8月末にチームに乞われて復帰。エースQB(Patrick Mahomes)の控えとなり、そのエースの負傷で2試合に先発。このピンチを1勝1敗で乗り切ったことで、チームはFirst Week Byeを獲得し、最後にSuper Bowl LIVでも控えQBとしてグラウンドにいた(控えQBとして登録されたものの出場機会はなし)という話は、なかなかないドラマじゃないですか。
 
MLBでは、1999年に35歳でメジャーリーグの入団テストを受けたJim Morrisの実話を基に映画「オールド・ルーキー」が制作されたといいます。もちろん全くの未経験だったMorrisの方が難しい話でしょうが、Mooreはいったん引退したのに復帰してすぐSuper Bowl Ringまで取っちゃったわけですから。
 
KCに2019年シーズン直前に加入していたLeSean McCoyも初のSuper Bowl Ringを手に入れました。13試合に出場したものの、惜しむらくはシーズン中の怪我でSuper Bowl LIVには出場できなかったことでしょうか。
 
McCoyの、自身が主力だったPHIやBUFではSuper Bowl Ringに届かなかったのに、自分は怪我を負ったシーズンにチームがSuper Bowlで勝利を飾るという展開には、運命のようなものを感じます。もちろん自分のTDで試合を決めるといった活躍をして、勝利を飾る方がうれしいかもしれません。
 
しかしベテランと呼ばれるほどのキャリアを重ね(といっても31歳ですが)、シーズン直前にたどり着いたかつての恩師がいるチームで、今まで手が届かなかったものについにたどり着けたなんて。これも一つのドラマですね。
 
もう1人だけ、Spencer WareもIR入りしたままシーズンを終えましたが、出場数は3試合ながらKCのSuper Bowl進出に貢献しました。筆者はWareが絶好調だった2016年シーズンにFantasy Teamで起用し、ポイントを稼いでもらった記憶があります。 
 
Wareは怪我がちな選手のようで、2015~18年シーズンにKCで活躍後、2019年シーズンはINDと契約するも足首の手術を受け解雇、2019年の12月にKCに再加入しています。ここで3試合に出場しますが、今度は肩を痛めてIR入りしました。Super Bowlには出場できませんでしたが、RBが不足気味だったチームに立派に貢献しています。
 
今回Wareの経歴を見て初めて知ったのですが、Wareは2013年にSEAにドラフトされて入団しており、SEAはその年にSuper Bowlに勝利しています。つまり2019年シーズンのSuper Bowl RingはWareに取っては2つめということになります。次回こそは、自分が試合に出ている状態でSuper Bowlに勝利してほしいものです。
 
Super Bowl LIVに出場できなかったKCの選手にも、いろいろドラマがあったということで、今日はここまでにしておきます。
 

2015年シーズンからアメリカンフットボールのFANTASY FOOTBALL を楽しんでいるトーマスといいます。NFLだけでなく、MLBやNBAについても語ります。

AFC東 BUF バッファロー・ビルズ NFC東 DAL ダラス・カウボーイズ
MIA マイアミ・ドルフィンズ NYG ニューヨーク・ジャイアンツ
NE ニューイングランド・ペイトリオッツ PHI フィラデルフィア・イーグルス
NYJ ニューヨーク・ジェッツ WAS ワシントン・レッドスキンズ
AFC北 BAL ボルティモア・レイブンズ NFC北 CHI シカゴ・ベアーズ
CIN シンシナティ・ベンガルズ DET デトロイト・ライオンズ
CLE クリーブランド・ブラウンズ GB グリーンベイ・パッカーズ
PIT ピッツバーグ・スティーラーズ MIN ミネソタ・バイキングス
AFC南 HOU ヒューストン・テキサンズ NFC南 ATL アトランタ・ファルコンズ
IND インディアナポリス・コルツ CAR カロライナ・パンサーズ
JAX ジャクソンビル・ジャガーズ NO ニューオリンズ・セインツ
TEN テネシー・タイタンズ TB タンパベイ・バッカニアーズ
AFC西 DEN デンバー・ブロンコス NFC西 ARI アリゾナ・カーディナルス
KC カンザスシティ・チーフス LAR ロサンゼルス・ラムズ
OAK オークランド・レイダース SF サンフランシスコ・49ers
LAC ロサンゼルス・チャージャース SEA シアトル・シーホークス

高校のコーチだったMooreがKCで初勝利、控えQBたちの因縁を紐解く(追記の追記あり)

2019年11月10日 21時47分57秒 | NFL2019

Wee09で、KCのQBであるMatt Mooreが勝利を飾りました。Patrick Mahomesがひざのけがで休んでいる間の先発を任され、2試合目でKCでのうれしい初勝利です。

MIN@KCはシーソーゲームで、Tyreek HillのスーパーキャッチとHarrison Butkerの50ヤード越えのFGが見どころでした。二人をFantasyのチームで先発させていた筆者にも、非常にうれしい結果でした

さてこの試合中に、米国の中継でも紹介していましたが、Mooreは2018年はどのチームとも契約していませんでした。そして2019年にMIAのスカウトとして活動し、カリフォルニア州にあるHart High Schoolという高校でフットボール部のquarterback advisorをしていたとのこと(高校での様子は、こちらに記事がありますのでご覧ください)。

つまりMooreのNFLキャリアはいったん途切れていたわけですが、いろんな因縁があってKCと契約していました。なんか数年後に映画になりそうですね。

MooreをNFLに呼び戻すきっかけになったのは、KCの控えQBであるChad Henneがpreseason gameで足首を骨折したことです。Mahomesがいくら優秀なQBでも、もしもの場合に備えて控えのQBは、一人以上は試合ごとにスタンバイしていなくてはなりません。そしてその役割を担ったのがMooreだったわけです。

ただこのときのMoore復帰はあまり評判が良いものではありませんでした。契約のニュースが流れたのは、プレシーズンゲームが進み、各チームのRosterの絞り込みが終わりかけた8月26日のことでした(今シーズンのRosterカットについてはここに書きました)。9月9日に開幕日を控えているKCとしては、ほかのチームからこぼれてくるQBを8月末のRosterカットの日まで待ってはいられない状況だったのでしょう。Mooreを復帰させた背景には、こうした背景があったはずです。

Mooreの出番は意外と早く回ってきました。Week07のDEN相手にMahomesがQB Sneakを仕掛け、膝蓋(しつがい)骨を脱臼したのです。控えとして出場したMooreは、この試合は逃げ切りに貢献し、Week08の@GBでもあわやGBに逆転勝ちするかもという高いパフォーマンスを見せました。そしてWeek09のMIN戦では見事なパス回しを見せました。

実はMooreを現役復帰させるきっかけとなったHenneは、MooreとMIA時代にもチームメートでした。この控えQBとしての歴史が長い二人の、キャリアがどう交錯したのかを表にまとめてみました(WikipediaとかPro Football Reference.comとか、NFLカラー写真名鑑などを参考に書いています)。なお、控えQBの遍歴を書くのは筆者の趣味のようなもので、以前はMcCown兄弟Ryan Fitzpatrickについても書いています。

出来事 Matt Moore Chad Henne
2007   CAR ドラフト外FAでDALに入団、CARに移籍しVinny Testaverde、David Carrに次ぐ3番手として3試合に先発(2勝)。チームにはJake Delhommeも在籍 -  
2008   CAR PITとのpreseason gameで腓骨骨折してIR入り。この年はDelhommeが全試合先発 MIA 2巡目全体57位でMIAに指名される。Chad Penningtonの控えとして3試合に出場(先発はなし)
2009   CAR Delhommeの控えとして5試合に先発(4勝)。チームにはJosh McCownも在籍 MIA Penningtonの控えとして開幕を迎えるも、3週目のPenningtonの負傷を救援し、残りの13試合(7勝)に先発
2010   CAR Jimmy Clausenの控えとして5試合に先発(1勝)。肩を負傷し、IR入りしてシーズン終了。Brian St. Pierreも1試合先発 MIA 先発を任され、14試合(6勝)に先発。不振と怪我などでTyler ThigpenとPenningtonが1試合ずつ先発
2011 CARにCam Newton入団 MIA Chad Henneの控えとしてMIAに移籍。4試合目にHenneを救援、残り12試合に先発(6勝)。控えはJ.P. Losman MIA 先発を任されるが4週目に肩を負傷し、IR入り。シーズン終了後に解雇される
2012 MIAにRyan Tannehill入団 MIA Tannehillの控え(2試合出場) JAX Blaine Gabbertの控え。11週目のGabbert負傷を救援し、6試合で先発(1勝)
2013   MIA Tannehillの控え(1試合出場) JAX 開幕戦はGabbertが先発だったが救援。結局13試合に先発し4勝
2014 JAXにBlake Bortles入団 MIA Tannehillの控え(2試合出場) JAX 開幕戦は先発だが3試合目途中にBotlesの救援を受け、そのまま控えに
2015   MIA Tannehillの控え(1試合出場) JAX Bortlesの控え(出場せず)
2016   MIA Tannehillの控え。14週目に救援。残り3試合に先発し、チームをPlayOffに導く。WildcordのPIT戦も先発(敗退) JAX Bortlesの控え(1試合出場も、パス投げず)
2017   MIA Jay Cutlerの控え。7週目に負傷したCutlerを救援。8週目と12週目も先発。控えはDavid Fales(2試合に出場) JAX Bortlesの控え(2試合出場も、パス2回のみ)
2018 MIAにBlock Oswiler入団 - 2018年は契約なし KC Patrick Mahomesの控えとして入団し1試合出場でパス3回
2019   KC 8月にHenneの負傷を受け、Patrick Mahomesの控えとしてKCに入団。7週目にMahomesの負傷を救援し、8週目と9週目に先発(1勝)。8週目の控えはKyle Shurmur KC 9月にIR入りし、IRを脱した9週目はMooreの控え

2007年にドラフト外でCARに入団していたMooreは、チームの事情で控えながらも何度か先発をしていました(Jake Delhommeの控えだった時期が長かったようです)。

そしてCARには2011年のドラフトでCam Newtonが入団します。その年にドラフト全体1位をCARが獲得した時点で、Mooreは悟ったのでしょう。新天地を求め、Henneが先発を任されそうなMIAに移籍します。

開幕の先発QBの座はHenneが得たようですが、4週目に肩を故障。控えだったMooreが先発の座を奪います。そしてHenneはそのシーズン終了後に解雇されます(上の表の赤字の年です)。

ところがMooreの先発QBの座も長くはなく、2012年にMIAは1巡目全体8位でRyan Tannehillを指名します。Tannehillは頑丈なQBで、2012年シーズンから16年シーズンの終盤場でずっと先発します。Mooreにチャンスが回ってきたのは2016年14週目。Tannehillが左足のMCLとACLの両方を断裂するという大けがを負い、この試合で救援に立ちます。

この年に好調だったMIAは、結局Playoffに進出するわけですが、その試合でもMooreが先発しました。PITとのWildCardではいいところなく敗れましたが、Mooreにとっては初の晴れ舞台だったといえるでしょう。

しかしこの試合のパフォーマンスがあまり評価されなかったのか(筆者はこの試合を見た記憶がありますが、あまりパフォーマンスは良くなかった)、Tannehill全休を受けてチームは、CHIで引退したはずのJay Cutlerを獲得し先発とします。

その年のMooreはCutler故障を受け、何試合かで救援したり先発したりします。しかし、2018年はBlock OswilerがTannehillの控えとなったこともあり、契約に至りませんでした。

一方のHenneはMIAを離れJAXに移籍し、Blaine Gabbertと先発争奪戦を繰り広げますが、2014年のドラフト1巡目全体3位で指名されたBlake Bortlesに先発の座を奪われます。Henneは2018年にはKCに移籍し、Mahomesの控えとなって2019年シーズンを迎えていました。

こうして考えると、Henneは一度ならず二度までも自分の立場をMooreに奪われたことになります。プロフェッショナルですから競争はつきものですし、そんな因縁を考えていたら控えQBなんてやっていられません。今回出てきた、TannehillもBortlesも1巡目全体1桁での指名ながら、2019年シーズンは控えQBからのスタートです(TannehillはMarcus Mariotaから先発QBの座を奪いましたが)。

こうして考えると、Kyler Murrayのように全体1位で指名されるエリートでなくても、長年NFLの選手として生きる道があるのだなあと感じました。

最後に、Week08のKC@GBはMooreの控えはkyle Shurmur(NYGのHC、Pat Shumurの息子)が務めていました。HenneがIRから復帰したことで解雇されたようですが、kyleはまた別のチームのQBとして、我々の前に現れるかもしれません。そんな未来に期待して、今日はおしまい。

 

 


月曜日の記事の追記です。

原稿中に「Moore復帰はあまり評判が良いものではありませんでした。」と書きましたが、リンク先の最後の文面だけ引用してみました。
 
I mean, it’s better than the spot the Colts are in after Andrew Luck retired and their ostensible backup is suspended the first two games, but if Moore has to play this season, things have gone very wrong.
 
「Andrew Luckが引退した後のINDよりはマシだけど、もしMooreが今シーズンプレイすることになったら、事態は非常に悪くなる」とはっきりMoore批判が書いてあるわけですが、筆者には執筆した月曜日の時点で「their ostensible backup is suspended the first two games」の部分の意味が分かっていませんでした。

昨日の仕事中に閃いたのですが、この「最初の2試合に出場できない表向きのBackup」ってChad Kellyのことだったんですね。 

KellyはDEN時代にCase Keenumの控えとして2018年シーズンのWeek06に出場までしたものの(前半終了時のknee downだけのようですが)Von Miller主催のハロウィンパーティーの帰り道に女性宅の敷地内に侵入して逮捕され、即刻DENを解雇されていました。そして2019年シーズン前に流れ着いた先がINDの第3QBのポジションだったわけです。
 
ここで微妙なのが、Kellyは逮捕によってリーグから2試合の出場停止処分を食らっていたこと。Luck引退を受けてJacoby Brissettが開幕戦の先発QBになったときに、開幕戦と次の試合では控えQBの役目を果たせないということです。これがostensible backupの意味だったわけです。
 
結局、INDは8月末にNEからカットされたBrian Hoyerを控えQBとして獲得し、KellyをPS送りとしています。もし2試合の出場停止が課されていなかったら、KellyはBrissettの控えとしてチームに残れたのでしょうかねえ?
 
そのBrissettがWeek09に膝を痛めて退場した後に救援したのは、Hoyerでした。二人とも時期は違えど、NEでTom Bradyの控え(Brissettについて正しく書くなら、Tom Bradyが空気圧問題によるペナルティで出場できない期間に先発となったJimmy Garoppoloの控え)を務めていたわけですが、まさかこうした形で元NEのQBが競演するとは(しかも空気圧問題の相手だったINDで)、さすがのBill Belichickでも予想しなかったことでしょう。

そしてChad Kellyですが、Jim Kellyの甥(弟の息子)であったり、2017年ドラフトの最後の指名選手(Mr. Irrelevant)だったりするわけですが、果たしてNFLの晴れ舞台に戻ってこられるのでしょうか?

 


そして、またこの記事に追記を書くことになるとは。

INDはWeek10のMIA@INDの前日に、Brissettは出場せずHoyerが先発することになると発表しました。そしてBrissettが出場しない代わりに、INDは控えのQBを用意しなくてはならなくなったわけですが、お察しの通りKellyがPSから復帰することになりました。まあ確かに、ほかにいませんよね。

もしWeek10でHoyerが何らかのトラブルに見舞われ(怪我だけでなく、INT連発という可能性もあり得ます)試合中にリリーフを仰ぐことになったら、KellyがDEN時代以来、久しぶりにNFLの試合に出場することになるわけですが、さてどうなりますか。

もし、Kellyが出場した暁には、さらにこの追記も書かなくてはいけないでしょう。ということで明日のMIN@INDのStatsをお楽しみに。

2015年シーズンからアメリカンフットボールのFANTASY FOOTBALL を楽しんでいるトーマスといいます。NFLだけでなく、MLBやNBAについても語ります。

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LAC ロサンゼルス・チャージャース SEA シアトル・シーホークス

フッター

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