Fantasy Football(ファンタジーフットボール)戦記

NFLのFantasy Football(ファンタジーフットボール)のほかMLBやNBAについて語ります

DaltonからSiemianまで、QB限定でJersey Numberを語る(2019年版、その3)追記あり

2020年02月11日 09時25分09秒 | Jersey
Jersey Numberを考察する記事はこれで最終回。その1その2もご覧ください。この記事の資料編はこちらをどうぞ。それから、その2の#7の項でTaysom Hillについて触れていませんでしたので追記しました。
 
#13
 
背番号が2桁になると、Jersey Numberを着けるQBは徐々に減ってきます。実際#13は2019年シーズンでQBとしてデータを残した選手はひとりもいませんでした。
 
4年前にも書きましたが、この番号を着けたQBにはDan MarinoとKurt Warnerという大物2人がいます。13という数字が西洋において最も忌避される忌み数であるという理由もあるかもしれません。
 
#14
 
2019年シーズンにこの番号を着けたQBは3人。その3人とも偶然にも13試合に先発しています。そして全員が流転の運命にさらされています。
 
1人目はAndy Dalton(CIN)。チームが不振で開幕11連敗を喫し、一度は先発QBの座を降ろされました。2011年ドラフトで全体35位で指名され入団して以来、ずっとCINの先発QBに君臨してきたDaltonは32歳になったばかり。相棒のWRであるA.J.Greenが2019年シーズンは全休したことを勘案すれば、まだまだ働けるはずです。
 
しかしCINがリーグ最下位で終わったことで、2019年シーズンのHeisman Trophy受賞者Joe Burrowを指名できるお膳立てがそろってしまいました。BurrowはOhio州南部のAthensの出身。シンシナチから200kmくらいの距離にあるから、地元といっていいでしょう。
 
以前、NBAのCleveland Cavaliersをチーム史上初のNBA Final勝利に導いた、Cleveland郊外のAkron(距離は50km程度)育ちのLeBron Jamesが号泣したように、BurrowもCINをチーム史上初のSuper Ball勝利を導けたなら、これはこれでドラマになりますね。
 
自分がもしCINのオーナーだったら、このチャンスを逃すわけはありません。過去のHeisman Trophy受賞者を見ても、2013年のJameis WinstonからMarcus Mariota、Derrick Henry、Lamar Jackson、Baker Mayfield、Kyler Murrayと粒ぞろいです。少なくともこれくらいの選手にはなってくれると期待できるわけす。
 
Daltonには申し訳ありませんが、トレードに出すなどしてお引き取り願って、Burrowをフランチャイズビルダーとして育てていこうとするはずです。ただ、2012年のHeisman Trophy受賞者であるJohnny ManzielのようなBust(実働2シーズンで、先発したのは8試合)にならないようにしてほしいですが。
 
2人目の#14を着けたQBとはRyan Fitzpatrick(MIA)。この選手については、4年前2018年9月に 記事を書いたのでここにある内容は省略しますが、2018年シーズンにTBで控えながら7試合に先発した後、2019年はMIAに移籍。2019年シーズンはKyler Murrayに押し出されてARIからやってきたJosh Rosenと先発QBを競います。
 
結果はご存じの通り、Fitzpatrickの勝ち。4試合目から先発に昇格し、そのままレギュラーシーズン終了まで投げ切っています。2019年シーズンはWeek17のGillette Stadiumでの大逆転勝ちという、強烈な一撃をNEに見舞いました。長年NEに虐げられてきたAFC東地区の3チームのファンにとって、溜飲の下がる試合だったはずです。2020年シーズンでは、ぜひNEの地区優勝も止めて欲しいものです。
 
Fitzpatrickは例年に比べてINT数が先発1試合につき1個の13個と少なかったようで(INT王だったWinstonの30の半分未満)、低迷するチームとはいえ、しっかり先発QBの役目を果たしました。ただ、MIAには2020年ドラフトでアラバマ大のQBであるTua Tagovailoaを指名するという噂もあります。そうなると37歳になったFitzpatrickは、またも新天地を探すことになるかもしれません。これまでのように「控えで入ったチームの先発QBの座をいつの間にか奪っている」という謎の力を発動させるべく、次の移籍先を探している姿が目に浮かびます。
 
最後の#14はSam Darnold(NYJ)。NYJで先発QBの座を約束されながら、開幕2試合目から病気(Mononucleosis、伝染性単核球症)を患い、3試合欠場しました。その欠場したWeek2でDarnoldの控えだったTrevor SiemianがMyles GarettのSackで足首の靭帯を断裂し、そのままシーズンアウト。それから2試合のNYJは、Darnoldの控えの控えでNFL初先発のLuke Falkに先発を任せるという緊急事態に追い込まれました。
 
DarnoldはWeek4がBye Weekだった巡り合わせにも助けられWeek6から復帰しますが、チームは前半は低迷(1勝7敗)。後半は6勝2敗という成績だっただけに、Darnoldの欠場による躓きがなければ、2019年シーズンのNYJはもっとよい成績を残せたのではないかと残念に思います。
 
#15
 
4年前はRyan Mallettくらいしかいなかった#15のQBですが、2018年シーズンにMVPを獲得したPatrick Mahomes(KC)のJersey Numberとして大きく注目されました。
 
2018年シーズンにパスで50TDを奪い5000ヤードを越えたMahomes。2019年シーズンは、怪我による2試合欠場もあってTD数は半減しましたが4000ヤードを投げ、INT数を12から5に大きく引き下げました。Super Bowl LIVの結果はご存じの通りで、押しも押されぬ若手QB筆頭の座を手に入れています。Mahomesについてはいずれまたどこかで書くでしょうから、ここではこれくらいにしておきます。
 
もう1人、Nick Folesの鎖骨骨折で急遽リリーフとなった髭の男、Gardner Minshew(JAX)も#15を着けていました。2019年ドラフトの6巡目、全体178番目で指名されたルーキーが、結局12試合に先発。6勝を挙げ「Folesいらないんじゃね」という議論を巻き起こしています。Folesは2019年シーズンは4戦に先発して4敗でしたから、2020年シーズン開幕前はファンを巻き込んでエースQBはどうするという議論を呼びそうです。
 
#16
 
4年前の2016年のドラフトで1巡目1位に指名されたJared Goff(LAR)が#16を着けています。2019年シーズン#16を付けたJerseyを着たQBは1人だけでした。
 
Goffは2018年シーズンにSuper Bowlに出場したものの敗退。2019年シーズンはそれほど悪い成績ではありませんが、あれだけのWRを抱えながらインパクトのある働きはできなかったと思います。チーム全体がSuper Bowlの喪失感からか元気がない感じだったのは仕方ないのですが、Todd Gurleyが抑え気味のプレイを続けているのが気がかりです。
 
Goffは2019年シーズン開幕前に4年の大型契約をLARと結びました。LARはGurleyやAaron Donald、Brandon Cooksとも大型契約を結んでおり、今後のチーム編成に不安を残しています。
 
#17
 
やっとここまで来た。もう残り少しなので、頑張ります。
 
#17はシーズン前とシーズン中の明暗が分かれた3人の先発QBがいます。
 
1人目は38歳のベテランPhillip Rivers(LAC)。16試合に先発しましたが、Melvin Gordonの契約問題がチーム内に軋轢を生んだのか(これ、2018年シーズンのPITにも同じことを感じました)、チームは波に乗れず。地区優勝をKCと争うはずが、負け星が先行するシーズンとなりました。
 
Riversは4638ヤードを投げていますが、大事なところでINTを食らっていた印象があります。2019年シーズン終了後に契約が切れるだけに、このシーズンオフがRivers大きな正念場となりそうです。一説にはLACが地元出身のTom Bradyを呼ぶ可能性も取りざたされています。Breesも絡め、この3人のベテランQBの去就は2020年シーズンのリーグのパワーバランスを大きく変える要素となっています。
 
なおRiversは現役QBの中で、連続先発試合数が1位の224試合で、引退したQBを入れた順位でも2位につけています。かつては因縁のEli Manningが先行していたこの記録ですが、Eliの記録が2017年シーズン中に途絶えたこともあり、Riversが上回っています。しかし1位のBrett Favreが297試合のため、さすがに38歳のRiversには届かないでしょう。
 
2人目はチームを予想外(これは個人的な見解です)のPlayoffに導いたJosh Allen(BUF)。2018年入団同期(1巡目指名の5人)のQBとしてはLamar Jacksonの成績にかないませんでしたが、10勝6敗だった全試合に先発。走る若手QBとして、JacksonとDeshaun Watsonとともに実績を残しました。2020年シーズンはいよいよNEを抜いて、地区優勝を狙える地位まで行けるのか。Allenはその重責を担っています。
 
最後はMIAの先発QBの座を追われながら、移籍先でMarcus Mariotaを押しのけて先発の座を奪い、12試合の先発ながらリーグ最高のPasser Ratingを残し、ついにはPlayoffで旋風を巻き起こしたRyan Tannehill(TEN)です。Tannehillは#17に愛着があるようで、MIN時代から継続してこの番号を着けています。
 
Tannehillは2019年シーズン終了後にFAとなります。TENではPlayoffでNEを下す原動力となったLeading RusherであるDerrick HenryもFAで、Henryの去就次第でチーム編成と戦術が大きく変わりそうなだけに、Tannehillがどのような選択をするか見ものです。
 
DENで#17を着け、MIAでTannehillと先発QBの座を争ったBrock Osweilerは(MIAでは#8を着用)、2019年シーズン中に引退を表明しました。
 
#18
 
Peyton Manning引退後に見かけなくなった#18のQBですが、2019年シーズンには1人だけいました。引退を宣言したのにPHIに乞われてシーズン開幕半月前の8月17日にCarson Wentzの控えとなったJosh McCownです。
 
Wentzの控えとして予定していたNate Sudfeld(手首骨折)とCody Kessler(脳震盪)がPreseasonゲーム中に負傷し、開幕戦に間に合わないため、急遽McCownを呼び出したようです。#18というJersey Numberは2019年8月13日にIR送りにされて、21日にIRリストからも解雇されたWR、Shelton Gibsonが前シーズンまでつけていたもの。つまりGibsonの空き番号をMcCownが受け継いだようです。McCownはそれまでのチーム遍歴で#18を着けたことはなかったようですが、これほど番号の大きなJersey Numberを背負った事情はここにあったようです。
 
McCownはレギュラーシーズンは3試合に出場し、パスを5回投げて3回成功させただけでしたが、なんとPlayoffでWentzが頭にHitを受け退場したため、急遽リリーフ登板することになります。結果、24回投げて18回のパスを成功させますがTDは奪えず、チームは敗退しました。そのあとの報道によると、McCownはその試合の第2Qの途中にハムストリングを断裂しながらも、最後までFieldに立ったとのこと。40歳のベテランQBの闘争心には敬服します。
 
なおGibsonはその後、いったんCLEと契約しますが、WRが相次いで負傷したPHIに呼ばれて再契約。SEAとのWildcard Playoffに#83を着けて出場しています。
 
#19
 
そして最後の#19ですが、こちらはTrevor Siemianが1人だけ着用しています。#18はMcCownがレギュラーシーズンで5回パスを投げただけでしたが、#19のパス試投数も6回だけ。Sam Darnoldの病気欠場によりWeek2のCLE戦に先発したSiemianがMyles Garrettのサックを受け、足首の靭帯を断裂し退場となったからです。
 
SiemianはDENで24試合の先発経験がありますが、2018年シーズンはMINでKirk Cousinsの控えとなり全く出場機会がありませんでした(なので2018年シーズンは記録なし)。心機一転NYJに移籍し、2試合目にしてつかんだ先発QBの座を、わずか18スナップで手放すことになるとは、さぞ無念だったことでしょう。
 
なおSiemianはDENに2015年ドラフトの7巡目全体250番目指名でDENに入団しており、その年に1試合だけ出場しています(Week15の@PITでBrock Osweilerの控えとして出場し、前半終了間際に1回膝をついた)。つまり、チャンピオンリングホルダーなんですね。運がいいといえる選手人生を送っている?Siemianの2020年以降の捲土重来に期待しましょう。
 
ということで、名残惜しいですが本シリーズはこれで終了。お楽しみいただけたのであれば幸いです。
 

ちょっとだけ追記
 
という記事の公開セットをしてやっと終わったと思っていたら、LACがPhillip Riversと来シーズン契約しないことを明らかにしました。いよいよ来シーズンに向け、QB移籍のドミノ倒しが始まりそうな雰囲気です。こちらについても早めに書くようにします。
 
 

2015年シーズンからアメリカンフットボールのFANTASY FOOTBALL を楽しんでいるトーマスといいます。NFLだけでなく、MLBやNBAについても語ります。

AFC東 BUF バッファロー・ビルズ NFC東 DAL ダラス・カウボーイズ
MIA マイアミ・ドルフィンズ NYG ニューヨーク・ジャイアンツ
NE ニューイングランド・ペイトリオッツ PHI フィラデルフィア・イーグルス
NYJ ニューヨーク・ジェッツ WAS ワシントン・レッドスキンズ
AFC北 BAL ボルティモア・レイブンズ NFC北 CHI シカゴ・ベアーズ
CIN シンシナティ・ベンガルズ DET デトロイト・ライオンズ
CLE クリーブランド・ブラウンズ GB グリーンベイ・パッカーズ
PIT ピッツバーグ・スティーラーズ MIN ミネソタ・バイキングス
AFC南 HOU ヒューストン・テキサンズ NFC南 ATL アトランタ・ファルコンズ
IND インディアナポリス・コルツ CAR カロライナ・パンサーズ
JAX ジャクソンビル・ジャガーズ NO ニューオリンズ・セインツ
TEN テネシー・タイタンズ TB タンパベイ・バッカニアーズ
AFC西 DEN デンバー・ブロンコス NFC西 ARI アリゾナ・カーディナルス
KC カンザスシティ・チーフス LAR ロサンゼルス・ラムズ
OAK オークランド・レイダース SF サンフランシスコ・49ers
LAC ロサンゼルス・チャージャース SEA シアトル・シーホークス

BrissettからRodgersまで、QB限定でJersey Numberを語る(2019年版、その2)追記あり

2020年02月10日 08時02分42秒 | Jersey
昨日に引き続き、Jersey Numberを考察する記事のその2(その1はこちら)です。この記事の資料編はこちらをどうぞ。青字部分は追記です。ごめんなさい。
 
#7
 
Andrew Luckの突然の引退で、先発QBとなったJacoby Brissett(IND)は、2019年シーズンで#7を着けたQBのうち先発試合数が最も多いQBでした。それに次ぐのは、Cam Newtonのシーズンアウトで12試合に先発したKyle Allen(CAR)でした。2人ともチームの緊急事態を支えたものの、それほどの強い輝きを放つことはできず、チームはPlayoffに進出できませんでした。
 
現役では本来なら、Ben Roethlisbergerが#7を着けたQBとして名が挙がるところですが、2019年シーズンは2試合目に肘を痛めてそのままシーズンアウトとなりました。こちらも予想外の展開でした。
 
ほかにもJAXで先発QBの座を手に入れながら開幕戦で鎖骨を骨折したNick Folesや、2019年シーズンのドラフト1巡目指名QBとして期待されたものの、先発回数ではCase Keenumの後塵を拝したDwayne Haskinsがいます。ほんとこの番号は予想外だらけですね。
 
あと2人、Brett HundleyとMike Glennonが#7を着けていましたが、パスAttemptはシーズンを通して10前後。ほとんど活躍の場がありませんでした。
 
4年前には、SFで#7を着けていたColin Kaepernickがいました。チームは低迷していましたが、まだ国歌斉唱のときに膝をつく前だったので、どこかのチームで活躍する余地があると思っていました(筆者は前回、Jersey Numberの話をした記事の冒頭でPayton Manning引退後にKaepernickがDENに来て、John Elwayに#7を貸してもらうという妄想をしていましたが、これは実現しませんでした)。結局、2016年シーズンを最後にNFLのどのチームでも試合に出場していません。
 
4年前、PHIにいたときに#7を着けていたSam Bradfordは、その後MINとARIを経て引退しました。結果的に、PHIにいた1年だけ#7を着けましたが、それ以外は#8または#9を選んでいました。
 
2015年シーズンのPlayoffでHOUのQBとして#7を着けて出場し、4TOを浴びたBrian Hoyerは、2019年シーズンはINDで1試合だけ先発しました。ただしこの年に着けた#7には懲りたようで、2016年シーズン以降はずっと#2を選んでいます。
 
Hoyerのこれまでの遍歴を調べていたところ、一つ気になることが出てきました。Hoyerは2009年にドラフト外でNEに入団し、それから延べ9チーム(ただしNEには2回在籍したので実質は8チーム)を渡り歩きました。そして2012年シーズンはPITと契約し、Weeks 12と13に控えQBとして登録されていました。
 
しかしこの2試合では出場することなく控えのままで終わったので、選手としての記録がありません。そしてそのときに着けていたJersey Numberが分からないのです。熱心なPITファンの方、PIT時代にHoyerが着けていたJersey Numberをご存知でしたらお教えください。
 
と思って色々調べたところ、あるところにはちゃんとデータがあるんですね。NFL.comに載っていました。PIT時代のJersey Numberは#3だったそうです。

先ほどブログの読者から、 「Taysom Hillが抜けている」との指摘があったのであわてて追記しました。

NOの3人目QBとして、パスを投げたりダイレクトスナップを受けてランを出したり、TEとして相手をブロックしたり、パスを受けたりと八面六臂の働きをしまていした。ちなみに2019年シーズンのPass Attemptは6回中3回の成功なので、パスを投げる回数は思いのほか少なかったのですね。それよりもRushingを27回(1TD)試みて、レシーバーとしてReceivingを19回(6TD)しています。

Hillは体格がBreesよりちょっと大きいくらいで、Jersey Numberも#7と#9と形が似ているところもある(と筆者は感じていますがどうでしょう)ため、たまに見間違えて、「Breesが走っている?」と思ったものです。Drew Breesが怪我で休んでいる間は、Teddy Bridgewaterの控えとしてもあてにされていました。

蛇足ですが2016年シーズンのCLEにもTerrelle Pryorという、元QBでパスも投げるWRがいました(#11を着用)。Pryorはこのシーズン、Receivingで1000ヤードを超えたのですね。しかし2017年にはWASに移籍。その後NYJとBUFを経て、2019年はJAXに加入していましたが、シーズン前にリリースされています。

 
#8
 
2019年シーズンは#8を着けたQB、Lamar Jackson(BAL)が大活躍しました。Super Bowl前日には、2019年シーズンのMVPを獲得したニュースが流れました。
 
Super Bowl進出はTENのしたたかなDEFに阻まれましたが、それまでのQBの常識を変えるプレイは見事の一言。Michael Vickが2006年シーズンに打ち立てた、QBとしてのRushing Yard(1039)を塗り替え、出場した15試合で176回、1206ヤードを走りました。
 
走るだけではなく、Passingでも3127ヤードを投げ、36TD(こちらはリーグ1位)を挙げています。しかもシーズン中の2試合でPasser ratingで満点をたたき出しています。1シーズン2回の満点は、2007シーズンのBen Roethlisberger以来、通算2人目とのこと。Big Ben並の実績を残せるかどうかは、まだまだ分かりませんが。
 
Jacksonについて回るのは、このPlay Styleをいつまで続けられるかという問題。現在Jacksonの控えを務めているRobert Griffin III(RG III)も、Jacksonの先駆者のような走るQBでしたが、1年目のシーズン終盤にけがを負いその後はぱっとしません。
 
本当はもっと走れるはずのRussell Wilsonは、(小柄なこともあって)下手に怪我を負わないように、必要なときでないとRushingを出さないように心がけているように見えます。Jacksonよりも一回り体格が大きくて、エンドゾーンに頭から突っ込むCam Newtonは、ここ数年は怪我に悩まされています。
 
Newton型がいいのか、Wilsonタイプを志向するのか。Jacksonにもどちらかの選択をいずれ下す(つまり自身のRushingの使い方を考える)時期が来るのではないかと思っています。
 
さて入団時にRG IIIと同じドラフトでWASに指名されたCirk Cousins(MIN)も#8ですね。通算で88試合(RG IIIは通算で41試合)に先発し、2019年シーズンもMINの先発QBを務めました。
 
今、気づいたのですが、CousinsはWASでの入団から2年間は#8ではないJersey Numberだったんですね。当時はそれまでの先発QBだったRex Grossmanが現役だったためのようですが、ではCousinsが2年間着けていたJersey Numberは何番だったのでしょう(#8の項の最後に書きます)。
 
ほかに#8では、Cousinsの後を引き継いだ格好になったCase Keenum(WAS)が着けていました。WASのエースQBは#8を着ける約束か何かがあるんでしょうか(RG IIIは特別に免除)。KeenumはHOU→STL→HOU→STL(LAR)→MIN→DEN→WASと「チームロゴの頭に何かついている」チームを渡り歩いてきましたが、Alex Smithが復帰し、今年ルーキーで獲ったDwayne Haskinsも(いまいちな成績だけど)いる2020年シーズンはどうなるのでしょう。なかなかしぶといキャリアを積んできたKeenumですが、そのこれからは全く見当がつきません。
 
そういえば、6試合先発しただけでRyan Tannehillに先発の座を奪われたMarcus Mariotaはどうなるのでしょう。2019年シーズン終了後にTENとの契約が切れるのですが、Playoffではオプションプレイ要員として扱われていた状況を見る限り、どこか別のチームにいく公算が高いです。「Tannehillがそうしたように」新チームで復活を目指すことになるのでしょう。
 
Matt Mooreについては、過去に書いた記事をご覧ください。Luke FalkはSam Darnoldの病欠、Trevor Siemianの怪我の穴を埋め2試合に先発したQBですが、プレイぷりはほとんど見ていません。
 
ほかに#8を着けたQBは、ATLのMatt SchaubとGBのTim Boyleがいました。
 
#8というとNBAでは、先日事故で亡くなったKobe Bryantの前半(後半は#24)や、日本人初のNBAドラフト1巡目指名を受けた八村塁が着けています。
 
以前の記事の一部に見えるように、筆者は現役時代のBryantに好感を持っていませんでしたが、今回の事故による早すぎる死には哀悼の意を表します。ただ、今後NBA全チームで#8と#24の両方を永久欠番にしようぜという一部の動きには、全く同調できません。八村にはNBAの#8の新しい歴史を作ってもらいたいものです。
 
最後にCousinsが1年目と2年目に着けていたJersey Numberは#12でした。
 
#9
 
#9を着けたQBは、Drew Brees(NO)Matthew Stafford(DET)というベテラン2人でした。その2人とも2019年シーズンに怪我を負い、Breesは5試合、Staffordは8試合を欠場しました。4年前にはここにTony Romoがいたわけですが、2017シーズン終了後に引退。現在はCBSの解説者を務めています。
 
Breesは40歳になりましたが、指の怪我で休んだ5試合以外は好調をキープ。2019年シーズン中にPeyton Manning(539)を抜き、通算のTDパス数でトップ(シーズン終了時に547)となりました。しかし困ったことに、そのすぐ後ろにTom Bradyがいます(シーズン終了時に541)。このわずかな差が、2020年シーズンの2人の現役続行に大きく影響を及ぼしていることは間違いありません。
 
通算のRing数では圧倒的なBradyが、通算のTDパス数をBreesに譲れば(つまりBradyが先に引退を表明すれば)いいように思うのですが、そうもいかないようです。Bradyが態度を表明しない限りは、Breesもやめられません。多分BreesはNOでもう一年、現役を続行すると思うのですが、Bradyはどうするんでしょうね。
 
背中と臀部の故障で、シーズン終盤にIR入りしたStaffordには残念なシーズンでした。それでも2499ヤード、19TDパスを投げているのは見事です。Staffordはまだ31歳。歳で言えばWilsonやCousinsと同じですから、老け込むには早すぎるでしょう。
 
#10
 
2019年シーズンに#10を着けたQBとして活躍したのはJimmy Garoppolo(SF)でした。RSは13勝3敗でSuper Bowl進出まで果たし、Passing Rateは102.0で、安定した成績だったといえるでしょう。もしGaroppoloがいまもNEの控えQBを務めていたら、Bradyの運命もSFの運命も大きく変わっていたことでしょう。
 
しかもGaroppoloが2018年シーズン第3週のKC戦で左膝前十字靭帯損傷をしていなければ、SFが2019年シーズンのドラフトでNick Bosaを指名できなかった訳で(このエピソードはNBAでDavid Robinsonが欠場したため、下位に低迷したSan Antonio Spursが、翌シーズン前のドラフトでTim Duncanを指名したことを思い出します)、このあたりは恵まれていたのかもしれません。もちろん1年でしっかり復調したGaroppoloの努力は評価しなくてはいけません。
 
そして2019年シーズン終了を持って引退を表明したEli Manningですが、4試合にしか先発していなかったとは驚きでした。16シーズンで最後の2年を除いた試合でフルに働き、2回のSuper Bowl MVPを獲得したEliは、十分殿堂入りの要件を満たしていると思います。チームはDaniel Jonesの時代に移行したわけですが、Jonesが前任者にどこまで迫れるかを見ていきましょう。
 
そしてGBの2019年シーズン最終戦でDETのQBとして先発したDavid Bloughも#10でした。こちらは5試合に先発したものの未勝利。2020年シーズンに復帰するStaffordとレギュラー争いをできるのでしょうか。
 
表を整理していたときに、#10を着けたQBで最もパスAttemptが多かったMitchell Trubisky(CHI)がいたことを思い出しました。2017年ドラフトで、Patrick MahomesとDeshaun Watsonよりも上の全体2位で指名されたTrubiskyですが、指名順位に相応しい働きができているようには見えません。Mahomes(全体10位)とWatson(全体12位)がいるため、さらに風当たりが強くなってきます。ただ、CHIのスカウティングが悪かったわけではなく、学生時代の評価ではTrubiskyがダントツで、Watsonも1巡目候補、Mahomesは2巡目以下でした。
 
2017年ドラフトで、Trubiskyに次ぐ高い評価を得ていたDeShone Kizerは、2017年にCLEに入団後(2巡目全体52位で指名)、2018年はGBでAaron Rodgersの控えとして3試合に出場、そして2019年はOAKの3番手QBとして、出場機会がないシーズンを終えています。学生時代の評価とNFL入団後の成績は一致しない選手もいるということです。CHIではTrubiskyに代わる先発QBの獲得を望む声が聞かれているようです。2020年シーズンに、Trubiskyは正念場を迎えます。
 
#11
 
#11を2019年シーズンに背負ったQBは1人だけ。ご存じCarson Wentz(PHI)です。筆者は自分のFantasy TeamのQBにWentzを起用したのですが、成績に波があってやや使いづらい印象を受けました。2018年シーズンにFantasyで起用したPatrick Mahomesの成績があまりによすぎたので、相対的に不満を感じてしまったのかもしれません。
 
PHIの#Oはシーズンが進むにつれてけが人が増え、Wentzが使える手駒が減っていきます。そして最後はPlayoff Wild Cardで自身がヘルメットにHitを受け、退場する羽目になってしまいました。HitをしたJadeveon Clowneyの行為が故意なのか不可抗力なのかはうやむやにされましたが、あれでシーズンエンドではここまで孤軍奮闘してきたWentzも浮かばれません(ちなみにその次の試合でClowneyに対することになったAaron Rodgersは、Clowneyに余計なHitを食らわないように慎重にプレイしていました)。
 
2019年シーズンは足の怪我で1プレイもすることなく欠場したAlex SmithもSFへの入団以来、ずっと#11を着けています。2019年シーズンのSuper BowlはSFとKCという、まさにSmithが渡り歩いてきた2チームが対決しました。ベテランの域に入ったSmithは、WASで2020年シーズンの先発に復帰できるのでしょうか。
 
#12
 
Andrew Luckがシーズン直前に引退を発表したことで、#12を着けた現役大物QBはTom Brady(NE)Aaron Rodgers(GB)の2人となってしまいました。もう1人だけ#12を着けたQBにColt McCoyがいますが、ここでは省略します。
 
さてこのBradyとRodgersですが、2019年シーズンは似通った成績となっていました。
 
Player
Tm
Age
QBrec
Cmp
Att
Yds
TD
TD%
Int
Int%
Y/A
Y/C
Rate
Sk
Tom Brady(2019)
NE
42
12-4-0
373
613
4057
24
3.9
8
1.3
6.6
10.9
88.0
27
Aaron Rodgers(2019)
GB
36
13-3-0
353
569
4002
26
4.6
4
0.7
7.0
11.3
95.4
36
Aaron Rodgers(2018)
GB
35
6-9-1
372
597
4442
25
4.2
2
0.3
7.4
11.9
97.6
49
 
「衰えた」という評価が増えたBradyですが、Aaron Rodgers並の成績を残していたのであれば、その非難は当たらないのかと思います。ただ年齢を考えるとこれ以上の伸びしろがあるとは思えず、どう考えても成績は右肩下がり...だとするとNEとして2020年シーズンもBradyでいくのか別のQBに切り替えるのか、決断をせざるを得ないでしょう。
 
「TB12 Sports(https://www.tb12sports.com)」というサイトを開設するほど#12を愛しているBradyが、移籍先チーム選定の条件として#12を着けられることを挙げているなら、すでに#12を永久欠番にしている事情から、BUFやMIA、NYJ、SF、SEAなどは選択肢に入らないことになります(現在のチーム状況からして、あり得ないチームもいくつかありますが)。永久欠番制度がないDALやOAKで#12を着けることも現実的ではないような気がします。
 
Peyton ManningがDENに移籍する際、IND時代に着けていた#18をDENの永久欠番の持ち主であるFrank Tripuckaから拝借したような、ウルトラCを発生させるか、Joe MontanaがSFからKCに移籍したときにそれまでの#16ではなく#19を選択したというように、ちょっとした「英断」をする必要があります。
 
RodgersはRBのAaron Jonesが働いてくれたおかげで、パス偏重戦術を取らなくてすんだようです。2018年シーズンのINT数2(INT率0.3)というのは驚異的な成績ですが、2019年シーズンもINT率はリーグ最低の0.7(INT回数は4)となりました。そして前年に比べてSack回数が(49回から36回に)約4分の3に減りました(といっても36回は、まだBradyの27回の3分の4倍ある)。
 
筆者はJonesをあまり評価していませんが(Eddie Lacyに期待していたので)、RSで19TD(Recievingの3TDを含む)を挙げたJonesの存在が、Rodgersに戦術の幅を与えたことは間違いありません。2019年シーズンのGBの成績はファンとしても出来すぎと感じるほどでしたが、RodgersがQBを務めるあと数年は、その能力を生かせるような#O編成を続けてほしいものです。
 
ということで今日はここまで。#13から先は明日公開します。
 

2015年シーズンからアメリカンフットボールのFANTASY FOOTBALL を楽しんでいるトーマスといいます。NFLだけでなく、MLBやNBAについても語ります。

AFC東 BUF バッファロー・ビルズ NFC東 DAL ダラス・カウボーイズ
MIA マイアミ・ドルフィンズ NYG ニューヨーク・ジャイアンツ
NE ニューイングランド・ペイトリオッツ PHI フィラデルフィア・イーグルス
NYJ ニューヨーク・ジェッツ WAS ワシントン・レッドスキンズ
AFC北 BAL ボルティモア・レイブンズ NFC北 CHI シカゴ・ベアーズ
CIN シンシナティ・ベンガルズ DET デトロイト・ライオンズ
CLE クリーブランド・ブラウンズ GB グリーンベイ・パッカーズ
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MurrayからMayfieldまで、QB限定でJersey Numberを語る(2019年版、その1)

2020年02月09日 08時48分21秒 | Jersey
Super Bowlも終わったことで、暇を持て余したわけではないのですが、4年前にやった「あれ」を久しぶりにやってみることにしました。
 
「あれ」とはQB限定でJersey Numberを考察する記事のことです。以前は番号ごとに当時の有力選手を取り上げつつ、過去のRegendに話を振るというスキームでした。今回は2019年シーズンの動向と、4年前と現在の差分を中心に展開します。ですので、先に4年前の記事(前編後編)を読んでいただけると話が分かりやすいと思います。
 
なお今回も扱うのはQBだけ、つまり1~19番だけです。パスを投げたWRやらK、Pまで入ると収拾がつかなくなるので、同じ番号でもQB以外には手を広げません。
 
今回はできるだけ2019年シーズンに出場した全QBの名前に触れますが、控えQBでJersey Numberを支給されながらシーズン中に一度もPass Attemptのない選手は扱っておりません(例えば、SEAでRussell Wilsonの控えだったGeno Smithは一度もPass Attemptがありませんでしたので、本稿には表れません)。チームで最も多くの試合に出場したQBは、「Kyler Murray(ARI)」という具合に名前の後ろにカッコつきでチーム名を書いています。
 
今回も執筆にあたり、http://www.pro-football-reference.com/http://nfl.com、そして英語版のWikipediaを参考にしています。それからこの記事の資料編として2019年シーズンにQBとしてPass Attemptをした69人をまとめた表を作りました。これはこちらをご覧ください。
 
#1
 
この記事を久しぶりに書くきっかけの一つは、2019年NFLドラフトで全体1位指名を受けたKyler Murray(ARI)が、#1を選んだことでした。それまで#1を着けるQBはしばらくの間Cam Newtonだけでしたが、Murrayはドラフト全体1位指名の栄誉を残したいからなのか、Newtonの時代は終わったと思ったのか、#1を背負いました(MurrayはOkurahoma大でも#1を着けていたので当たり前の選択だったかもしれませんが)。そういえばNBAの2019年ドラフトで全体1位指名されたZion Williamsonも、Duke大学で着けていた#1をNBAでも選びましたね。
 
そのMurrayですが、他の3チームがすべて勝ち越したNFC西に在籍するARIながら、5勝1分けという成績を残しました。あの戦力を思えば、立派な成績と評価してよいと思います。来年以降のARIの躍進に期待したいところです。
 
一方のNewtonは自身のプレイスタイルによる負担が身体に現れたのか、ここ数年は振るいません。2018年シーズンは最後の2試合をお休みし、2019年シーズンは2試合の出場にとどまりました。
 
CARはHCのRon Riveraが去り、#Dの支柱だったLuke Kuechlyが28歳にして引退を表明しました。チームは再建期に直面することになり、Newtonの去就はオフシーズンの一つの話題となるでしょう。ただNewtonのことですから、移籍先がARIでない限りは#1を着けると思いますが。
 
#2
 
この番号を着けるQBはあまり多くありません。イメージとしてはPanterやKickerなどがつけるイメージが強いのですが、ちゃんと調べたわけではありません。
 
その中で、4年前から#2の第一人者の座を維持しているのがMatt Ryan(ATL)です。あのSuper Bowl LI(第51回)での大逆転劇の傷はいえているのでしょうか。チームが2018年に続き2019年も不振でしたが、Ryan自身はパスで4466ヤードを獲得するなど、一線級のQBの座を維持しました。
 
2019年シーズンの2試合目にBen Roethlisbergerがシーズンアウトとなったことを受け、8試合に先発したMason Rudolph(PIT)も#2ですね。Myles Garrettに自分のヘルメットを奪われ、そのヘルメットで直接頭を殴られるという事件の後遺症が心配です。
 
というのもRudolphはそれ以降にINTを連発し、Devlin Hodgesに先発を奪われたままシーズンを終えたからです。あの殴打のときに頭のネジが2~3本飛んだとかいうのでなければよいのですが。
 
それ以外で#2を着けたのは、DENで3試合に先発したBrandon Allenと、開幕直前のAndrew Luckの引退を受けINDが獲得したBrian Hoyer、DETで3回先発したJeff Driskel、HOUの最終戦に先発したA.J. McCarronがいます。
 
#3
 
この番号では、ベテランの領域に足を踏み入れたRussell Wilson(SEA)と、パス獲得ヤードとTDパス数、そしてINT数ですべて一位となったJameis Winston(TB)がいます。
 
Wilsonは2019年シーズン半ばまで、シーズンMVP候補に名前が挙がるほどの活躍でした。1年目にレギュラーに定着してから休みなく、SEAの先発QBを守り続けています(続行中のQBの連続先発128試合は、現役ではPhilip Riversに次ぐ2位です)。2019年のSEAは1回だけJosh Gordonのパス失敗が記録されていますが、それ以外は全てWilsonがパスを投げています。
 
WinstonはHCのBruse Ariansにパスを投げまくれと言われたのか、パスAttemptが1位(Jared Goffと同数)の626回で、パス獲得ヤードでは全QBトップの5109ヤードでした。TDパスもリーグ最多の33回でしたが、INTの回数30もリーグ1位。Fantasyの先発QBとしてはなかなか使いづらい選手でした(4年前の記事を読み返して今気が付きましたが、当時の筆者はWinstonのJersey Numberを#5だと思って記事を書いていたようです。昔の記事は訂正しておきました。ごめんなさい)。
 
#3のQBでは、DENの先発をシーズン終盤に任されるようになったDrew Lockと、ARIからMIAでのトレード後、先発QBの座をRyan Fitzpatrickに取り返されたJosh Rosenがいます。どちらも2020シーズンに先発QBの座を確保できるか注目です。
 
BALでLamar Jacksonの控えとなったRobert Griffin III(RG III)はルーキー時代の#10ではなく#3を着けています。三世の3でしょうかね。Alex TannyはNYGの控えの控えQBとして#3を着け、Week15の4Qに2スナップだけ受けて1回パスを成功させています。Will GrierとGarrett Gilbertについては省略します。
 
最後に、2019年シーズンのNYJに#3を付けたDavid FalesというQBがいたことを書き添えておきます。NYJでLuke Falkが先発をしたWeek3とWeek5の2試合で控えQBとして登録され、Week5の@PHIとWeek12のOAK相手に大差がついた状態で4回ずつスナップを受けています。ただFalesはどちらの試合でもPassを一度も投げなかったので(RBにハンドオフする役割)、記録として登場するのはPHI戦の4QでDerek BarnettにSackを浴びた7ヤードのロスだけでした(パスAttemptがないので、付録の表には存在しません)。
 
#4
 
4年前はDerek Carr(OAK)だけだった#4は、4年のうちに有力な若手QBが2人が着けるようになりました。
 
2019年シーズンのPlayoffに、#4を着けたQBとして一人だけ進出したのがDeshaun Watson(HOU)でした。Lamar Jacksonほどではありませんが、走れるQBとしての地位を確立し、ここ数年のHOUが安定した成績を挙げる原動力となっています。先日のAFC Divisional PlayoffでのPatrick Mahomesとのドラフト1巡目指名対決は残念でしたが、まだまだ活躍しそうです。
 
あれだけの戦力がありながらPlayoffを逃したDak Prescott(DAL)も#4です。2019年シーズン直前に同期のEzekiel Elliottがチームから契約延長を取り付けましたが、シーズン後にFAとなるPrescottにもDALは大枚をはたいてくれるのでしょうか。
 
2019年シーズンはTD数もパス獲得ヤードもJameis Winstonに次ぐ2位の成績でしたが、Prescottには「Elliottがいなければ並みのQB」という指摘もあります。ドラフト同期の2人がルーキーシーズンに大活躍したDALは幸運でしたが、2人がルーキー契約のうちに結果を出せなかったのは、(HCだけの責任にするつもりはありませんが、)とてつもなくもったいないことです。DALの新HCとなるMike McCarthyの最初の仕事は、Prescottの処遇となりそうです。
 
Derek Carrは久しぶりの好成績で、チームをPlayoff直前まで躍進させました。RBのJosh Jacobsが当たったという理由も大きいですが、Carr自身も4000ヤードを超えるパスを通し、パッサーレイティングは100を超えていました。チームは2020年シーズンからはLas Vegas Raidersなんですね。ちょっとまだ違和感があります。
 
残りの#4はChase DanielとSean Mannionという渋目の2人と、NEの控えだったルーキーのJarrett Stidham、そしてRyan Griffin がいました。Stidhamの未来はTom Bradyの処遇が決まらないことには見えてきません。
 
#5
 
#5はシーズンを通して活躍したQBがいません。
 
Joe Flacco(DEN)は8試合に先発しましたが、移籍1年目のDENであまりマッチせず2勝どまり。シーズン半ばで首を痛めて、IRリスト入りしました。Flaccoを放出したBALはLamar Jacksonを中心としたオフェンスを組み立て、全く別のチームになりました。しかもDENでルーキーのDrew Lockがシーズン終盤に5試合の先発を任されて4勝を挙げたこともあり、Flaccoの2020年シーズン以降には暗雲が垂れ込めています。
 
NOでDrew Breesの控えを務めたTeddy Bridgewaterは、Breesが怪我で退いている5試合に先発し、全試合で勝利を挙げるという結果を残しました。怪我をする前はMINの先発QBだったわけですから、本人からすればこの成績は当たり前かもしれません。
 
2019年シーズン前にMIAの先発QBの座を断ってNOに残ったとされるBridgewaterは、シーズン終了後にFAになります。多分、NOはBreesをFAで放出したり引退させたりすることはないでしょうから、Bridgewaterがどこかのチームから先発QBとして迎えられるかもしれません。
 
#5では、CINで3試合に先発したルーキーのRyan Finleyのほかに、Matt BarkleyやTyrod Taylor、Blake Bortlesがいました。この3人は以前は先発経験もあるベテランQB。いざというときにはリリーフできるという、まさにBridgewaterと同じ役割を期待されていたようです。
 
#6
 
2019年シーズンにチームとともに飛躍が期待されたBaker Mayfield(CLE)は、16試合に先発したものの6勝10敗。13試合に先発した2018年と同じ勝ち星(6勝)で、ほぼ同じ獲得ヤード数。それなのにTD数は前年を5つ下回り、INT数は前年を7つも上回りました。つまり、期待に応えられなかった2019年シーズンということになります。どうもOL(Offensive Line)が悪かったようで、チームがスキルポジションの選手獲得に力を入れすぎてしまった分、OLが今一つだったのかもしれません。
 
4年前も、Jay Cutlerくらいしか知名度の高いQBが着けることがなかった#6は、Mayfieldの登場によって救われたともいえます。Cutlerが引退した今、#6の新たな伝説を作ってほしいものです。
 
PITで6試合に先発した、2019年ドラフト外ルーキーDevlin Hodgesも#6を着けていました。Ben Roethlisbergerの欠場とMason Rudolphの不調で出場機会が巡ってきたHodgesですが、2020年シーズンも先発を任される存在となるかは今のところ不透明です。
 
と、ここまで書いて今日はおしまい。#7から先は明日以降に公開します。

2015年シーズンからアメリカンフットボールのFANTASY FOOTBALL を楽しんでいるトーマスといいます。NFLだけでなく、MLBやNBAについても語ります。

AFC東 BUF バッファロー・ビルズ NFC東 DAL ダラス・カウボーイズ
MIA マイアミ・ドルフィンズ NYG ニューヨーク・ジャイアンツ
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資料編:2019年シーズンJersey Number順のQB成績表

2020年02月09日 08時46分36秒 | Jersey

Jersey Numberが同じ場合はPass Attemptが多い順に並んでいます。

No. Player Tm Age G GS QBrec Cmp Att Cmp% Yds TD TD% Int Int% Y/G Rate Sk
1 Kyler Murray ARI 22 16 16 5-10-1 349 542 64.4 3722 20 3.7 12 2.2 232.6 87.4 48
  Cam Newton CAR 30 2 2 0-2-0 50 89 56.2 572 0 0.0 1 1.1 286.0 71.0 6
2 Matt Ryan ATL 34 15 15 7-8-0 408 616 66.2 4466 26 4.2 14 2.3 297.7 92.1 48
  Mason Rudolph PIT 24 10 8 5-3-0 176 283 62.2 1765 13 4.6 9 3.2 176.5 82.0 15
  Jeff Driskel DET 26 3 3 0-3-0 62 105 59.0 685 4 3.8 4 3.8 228.3 75.3 11
  Brandon Allen DEN 27 3 3 1-2-0 39 84 46.4 515 3 3.6 2 2.4 171.7 68.3 9
  Brian Hoyer IND 34 4 1 0-1-0 35 65 53.8 372 4 6.2 4 6.2 93.0 65.7 5
  A.J. McCarron HOU 29 2 1 0-1-0 21 37 56.8 225 0 0.0 1 2.7 112.5 63.5 5
3 Jameis Winston TB 25 16 16 7-9-0 380 626 60.7 5109 33 5.3 30 4.8 319.3 84.3 47
  Russell Wilson SEA 31 16 16 11-5-0 341 516 66.1 4110 31 6.0 5 1.0 256.9 106.3 48
  Drew Lock DEN 23 5 5 4-1-0 100 156 64.1 1020 7 4.5 3 1.9 204.0 89.7 5
  Josh Rosen MIA 22 6 3 0-3-0 58 109 53.2 567 1 0.9 5 4.6 94.5 52.0 16
  Will Grier CAR 24 2 2 0-2-0 28 52 53.8 228 0 0.0 4 7.7 114.0 33.2 6
  Robert Griffin BAL 29 7 1 1-0-0 23 38 60.5 225 1 2.6 2 5.3 32.1 64.0 5
  Garrett Gilbert CLE 28 5 0   0 3 0.0 0 0 0.0 0 0.0 0.0 39.6 0
  Alex Tanney NYG 32 1 0   1 1 100.0 1 0 0.0 0 0.0 1.0 79.2 0
4 Dak Prescott DAL 26 16 16 8-8-0 388 596 65.1 4902 30 5.0 11 1.8 306.4 99.7 23
  Derek Carr OAK 28 16 16 7-9-0 361 513 70.4 4054 21 4.1 8 1.6 253.4 100.8 29
  Deshaun Watson HOU 24 15 15 10-5-0 333 495 67.3 3852 26 5.3 12 2.4 256.8 98.0 44
  Chase Daniel CHI 33 3 1 0-1-0 45 64 70.3 435 3 4.7 2 3.1 145.0 91.6 7
  Sean Mannion MIN 27 3 1 0-1-0 12 21 57.1 126 0 0.0 2 9.5 42.0 35.1 0
  Jarrett Stidham NE 23 3 0   2 4 50.0 14 0 0.0 1 25.0 4.7 18.7 1
  Ryan Griffin TB 30 2 0   2 4 50.0 18 0 0.0 0 0.0 9.0 62.5 0
5 Joe Flacco DEN 34 8 8 2-6-0 171 262 65.3 1822 6 2.3 5 1.9 227.8 85.1 26
  Teddy Bridgewater NO 27 9 5 5-0-0 133 196 67.9 1384 9 4.6 2 1.0 153.8 99.1 12
  Ryan Finley CIN 25 3 3 0-3-0 41 87 47.1 474 2 2.3 2 2.3 158.0 62.1 11
  Matt Barkley BUF 29 2 0   27 51 52.9 359 0 0.0 3 5.9 179.5 51.0 2
  Tyrod Taylor LAC 30 8 0   4 6 66.7 33 1 16.7 0 0.0 4.1 120.1 0
  Blake Bortles LAR 27 3 0   1 2 50.0 3 0 0.0 0 0.0 1.0 56.2 0
6 Baker Mayfield CLE 24 16 16 6-10-0 317 534 59.4 3827 22 4.1 21 3.9 239.2 78.8 40
  Devlin Hodges PIT 23 8 6 3-3-0 100 160 62.5 1063 5 3.1 8 5.0 132.9 71.4 15
7 Kyle Allen CAR 23 13 12 5-7-0 303 489 62.0 3322 17 3.5 16 3.3 255.5 80.0 46
  Jacoby Brissett IND 27 15 15 7-8-0 272 447 60.9 2942 18 4.0 6 1.3 196.1 88.0 27
  Dwayne Haskins WAS 22 9 7 2-5-0 119 203 58.6 1365 7 3.4 7 3.4 151.7 76.1 29
  Nick Foles JAX 30 4 4 0-4-0 77 117 65.8 736 3 2.6 2 1.7 184.0 84.6 8
  Ben Roethlisberger PIT 37 2 2 0-2-0 35 62 56.5 351 0 0.0 1 1.6 175.5 66.0 2
  Brett Hundley ARI 26 3 0   5 11 45.5 49 0 0.0 0 0.0 16.3 58.5 2
  Mike Glennon OAK 30 2 0   6 10 60.0 56 1 10.0 0 0.0 28.0 108.7 0
  Taysom Hill NO 29 16 5   3 6 50.0 55 0 0.0 0 0.0 3.4 81.9 1
8 Daniel Jones NYG 22 13 12 3-9-0 284 459 61.9 3027 24 5.2 12 2.6 232.8 87.7 38
  Kirk Cousins MIN 31 15 15 10-5-0 307 444 69.1 3603 26 5.9 6 1.4 240.2 107.4 28
  Lamar Jackson BAL 22 15 15 13-2-0 265 401 66.1 3127 36 9.0 6 1.5 208.5 113.3 23
  Case Keenum WAS 31 10 8 1-7-0 160 247 64.8 1707 11 4.5 5 2.0 170.7 91.3 15
  Marcus Mariota TEN 26 7 6 2-4-0 95 160 59.4 1203 7 4.4 2 1.3 171.9 92.3 25
  Matt Moore KC 35 6 2 1-1-0 59 91 64.8 659 4 4.4 0 0.0 109.8 100.9 8
  Luke Falk NYJ 25 3 2 0-2-0 47 73 64.4 416 0 0.0 3 4.1 138.7 62.4 16
  Matt Schaub ATL 38 6 1 0-1-0 50 67 74.6 580 3 4.5 1 1.5 96.7 109.0 2
  Tim Boyle GB 25 3 0   3 4 75.0 15 0 0.0 0 0.0 5.0 80.2 0
9 Drew Brees NO 40 11 11 8-3-0 281 378 74.3 2979 27 7.1 4 1.1 270.8 116.3 12
  Matthew Stafford DET 31 8 8 3-4-1 187 291 64.3 2499 19 6.5 5 1.7 312.4 106.0 18
10 Mitchell Trubisky CHI 25 15 15 8-7-0 326 516 63.2 3138 17 3.3 10 1.9 209.2 83.0 38
  Jimmy Garoppolo SF 28 16 16 13-3-0 329 476 69.1 3978 27 5.7 13 2.7 248.6 102.0 36
  David Blough DET 24 5 5 0-5-0 94 174 54.0 984 4 2.3 6 3.4 196.8 64.0 14
  Eli Manning NYG 38 4 4 1-3-0 91 147 61.9 1042 6 4.1 5 3.4 260.5 82.6 5
11 Carson Wentz PHI 27 16 16 9-7-0 388 607 63.9 4039 27 4.4 7 1.2 252.4 93.1 37
12 Tom Brady NE 42 16 16 12-4-0 373 613 60.8 4057 24 3.9 8 1.3 253.6 88.0 27
  Aaron Rodgers GB 36 16 16 13-3-0 353 569 62.0 4002 26 4.6 4 0.7 250.1 95.4 36
  Colt McCoy WAS 33 1 1 0-1-0 18 27 66.7 122 0 0.0 1 3.7 122.0 61.0 6
14 Andy Dalton CIN 32 13 13 2-11-0 314 528 59.5 3494 16 3.0 14 2.7 268.8 78.3 37
  Ryan Fitzpatrick MIA 37 15 13 5-8-0 311 502 62.0 3529 20 4.0 13 2.6 235.3 85.5 40
  Sam Darnold NYJ 22 13 13 7-6-0 273 441 61.9 3024 19 4.3 13 2.9 232.6 84.3 33
15 Patrick Mahomes KC 24 14 14 11-3-0 319 484 65.9 4031 26 5.4 5 1.0 287.9 105.3 17
  Gardner Minshew JAX 23 14 12 6-6-0 285 470 60.6 3271 21 4.5 6 1.3 233.6 91.2 33
16 Jared Goff LAR 25 16 16 9-7-0 394 626 62.9 4638 22 3.5 16 2.6 289.9 86.5 22
17 Philip Rivers LAC 38 16 16 5-11-0 390 591 66.0 4615 23 3.9 20 3.4 288.4 88.5 34
  Josh Allen BUF 23 16 16 10-6-0 271 461 58.8 3089 20 4.3 9 2.0 193.1 85.3 38
  Ryan Tannehill TEN 31 12 10 7-3-0 201 286 70.3 2742 22 7.7 6 2.1 228.5 117.5 31
18 Josh McCown PHI 40 3 0   3 5 60.0 24 0 0.0 0 0.0 8.0 72.1 0
19 Trevor Siemian NYJ 28 1 1 0-1-0 3 6 50.0 3 0 0.0 0 0.0 3.0 56.2 2

2015年シーズンからアメリカンフットボールのFANTASY FOOTBALL を楽しんでいるトーマスといいます。NFLだけでなく、MLBやNBAについても語ります。

AFC東 BUF バッファロー・ビルズ NFC東 DAL ダラス・カウボーイズ
MIA マイアミ・ドルフィンズ NYG ニューヨーク・ジャイアンツ
NE ニューイングランド・ペイトリオッツ PHI フィラデルフィア・イーグルス
NYJ ニューヨーク・ジェッツ WAS ワシントン・レッドスキンズ
AFC北 BAL ボルティモア・レイブンズ NFC北 CHI シカゴ・ベアーズ
CIN シンシナティ・ベンガルズ DET デトロイト・ライオンズ
CLE クリーブランド・ブラウンズ GB グリーンベイ・パッカーズ
PIT ピッツバーグ・スティーラーズ MIN ミネソタ・バイキングス
AFC南 HOU ヒューストン・テキサンズ NFC南 ATL アトランタ・ファルコンズ
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川崎のぼるの名作「フットボール鷹」を読んでみた、1977年当時のNFLがこんな状況だったとは

2020年01月26日 20時33分06秒 | Jersey

とあるきっかけで、アメリカンフットボール漫画「フットボール鷹」を全巻(講談社漫画文庫で6巻、KCコミックスなら10巻らしい)読むことになりました。

フットボール鷹をご存じない?1977年から川崎のぼる先生が週刊少年マガジンに連載していたアメリカンフットボール漫画ですよ。某サイトによると、1977年第3・4合併号~1979年第14号で連載だそうですから、43年も前に連載が始まった漫画です。という筆者も、ついこの間まではこの漫画の存在を知りませんでしたが。

川崎のぼるといえば、梶原一騎原作の「巨人の星」(1966~71年の連載、連載開始は53年前!)の作画担当として一世を風靡した漫画家ですね。もうとっくに巨人の星は完結していて、1977年ころはなぜか大人向け週刊紙である週刊読売で「新巨人の星」を連載していました。そして、かつて巨人の星を連載したホームグラウンドというべき週刊少年マガジンでは、並行してフットボール鷹を描いていたのです。

執筆時期が重なっているためか、主人公「夕日野鷹(ゆうひのたか)」は“新巨人の星のころの星飛雄馬”になんとなく似ていて、スリムながら筋肉が発達している細マッチョの体形をしています。性格は星飛雄馬ほど内省的ではなく、同じころちばてつや先生が週刊少年マガジンに連載していた、「おれは鉄平」の上杉鉄兵を少し物分かりよくした感じでしょうか。それでもさすが川崎のぼるだけあって、熱くなると目に炎が宿る描写もあります。

巨人の星と「あしたのジョー」(原作は高森朝雄名義だが、本当は梶原一騎)の作画で一世を風靡した後、梶原一騎の原作から離れた川崎のぼるとちばてつやが、試行錯誤しながら新たな道を切り開いていた時期の漫画が、フットボール鷹でありおれは鉄平であると考えればよいでしょうか。あら、見事に話がわき道に逸れましたね。

さて主人公である鷹は、アメリカンフットボールのポジションとしてOL(Offensive guard)とRBとQBを経験します。Jersey Numberはポジションごとに変わり、#65→#32→#12と変わっていきます。この漫画の監修はTOUCHDOWNの編集長だった後藤完夫さんだけあって、こういう細かい(ポジションごとに着用できるJersey Numberが変わる)ところはしっかりしています。

では、主人公が着けることになった#65を1977年当時に着けていたOffensive guardのスタープレーヤーは誰だったのでしょう。筆者の持つ書籍「ANY GIVEN NUMBER」とWikipediaを動員して、これはどうやらTom Mackだったのではないかと推測しました(ほかにも#65を着けていた有名選手はいましたが、活躍した年代やポジションが違っていました)。

Tom Mackは当時の(STLに移転する前の)Los Angeles Rams一筋で、1966~78年にわたりOffensive guardを務め、11回もPro Bowlに選出されています。後藤完夫さんによる文庫の第4巻のあとがきによると、川崎さんと後藤さんを含む一行はこの連載前の1976年に米国のNFLを取材していたとのことなので、Mackのプレイぶりを目の当たりにしていたのかもしれません。

そして#32を着けたRBはというと、O. J. Simpson(1969~79年が現役、以下同)とFranco Harris (1972~83年)が、連載時期に重なる有名RBです。当時の知名度でいうとSimpsonの方が上ですが、劇中で主人公の鷹が有名RBとしてSimpsonとHarrisの名を挙げているので(ほかに二人のRBの名前も上げていますが、どちらも#32ではありません)、二人の合わせ技ということでよいですかね。

そして#12を着けたQBといえば、殿堂入りした#12を着けたQBのうちの5人が連載開始時点の1977年時点で現役でした。Terry Bradshaw(1970~83年)、Joe Namath(1965~77年)、Roger Staubach(1969~79年)、Bob Griese(1967~80年)、Ken Stabler(1968~84年)ですね。当時は今よりも「一流のQBは#12を着ける」時代だったといえるでしょう。

では、連載1年目の1977年がどういうシーズンだったかというと、5月に開催されたDraftで全体1位でRickey Bell、全体2位でTony Dorsettが指名されています。

作中では、Bellではなく主人公のライバルに当たる選手(髪型が巨人の星の花形満をほうふつとさせる)がドラフトの全体1位で指名されたことになっています。ちょっと細かいですが、作中の別のシーンで作者がBellに触れたときに、うっかり「今年ドラフト1位で指名された」と書いてしまっていますが、これはご愛敬ですね。

なお、1977年シーズンはルーキーのDorsettとStaubachを擁したDALがSuper Bowl XII(第12回、開催日は1978年1月15日)を制し、チームとしては2度目の栄冠を手にしています。Dorsettは1年目のレギュラーシーズンに1007ヤードを走り、12TDを獲得。NFL Offensive Rookie of the Yearを獲得しました。

作中でも、「ことしスーパーボウル優勝のダラス・カウボーイズ(略)あそこにはすでにスーパースターのR・Bトニー・ドーセットがいる」と主人公がつぶやいています。1977年1月に始まった連載が進むうちに、現実の世界も状況が変わっていったことが分かります。

最後に、あまり出番がないまま終わってしまったのですが、この漫画にはラスボスに相当する選手「ジム・ダンディ」という選手が第1話から出てきます。栄光の12番のJersey Numberを背負ったスーパースターで、子どもにも女の子にもあこがれのまとで、フィールドをはなれているときははなやかで優雅でカッコいい。主人公が少年時代から大学生になるまでスーパースターの地位を維持するという選手寿命の長さも持ち合わせています(追記:なんと6巻にジム・ダンディが「スーパーボウルV7をねらう」とまで書いてありました)。主人公もダンディにあこがれ、#12をあしらったセーターを着ています。

川崎のぼるがまさか40年後を想像したわけではないでしょうが、現代の「ある選手」が思い浮かびますね。よく見ると、ジム・ダンディという文字列も似ていますねえ。なお、このダンディは最終回にも登場しますが、主人公とは対戦しないまま、大きな目標として終わります。なぜ直接対決まで描かれなかったかは今となっては知る術がありませんが、もしかしたら連載漫画にありがちの「あれ」に遭ったのかもしれません。

最後に、主人公の夕日野鷹の体格について。原作中にはっきり175センチ=5フィード7インチ、70キロ=154ポンドと書いてあります。作中で、フットボールプレイヤーとしては軽量であることを欠点としてみなす描写も出てきます。

現役のNFLの小型RBとしておなじみのTarik Cohenが168センチ=5フィート6インチ、82キロ=181ポンド、Darren Sprolesが168センチ=5フィート6インチ、84キロ=185ポンドですから、この二人をさらに細身にしたサイズしかありません。これでは大柄な#Dの選手に軽く吹っ飛ばされますね。作中ではそのハンデを克服する過程も描かれていますが、ちょっと無理がある設定かもしれません。

そして終盤に主人公は、ある理由からQBにポジションチェンジをするわけですが、小柄なQBが好まれないNFLではさらに希少種となります。現在NFLのQBとして最も身長が低いKyler Murrayは178センチ=5フィード10インチながら、体重が93キロ=207ポンドあります。

あしたのジョーでちばてつやが、ジョーのライバルとなる力石徹の初登場時に大きく描きすぎたため、作中で力石に極端な減量を強いることになったと聞いたことがあります。これと同様にフットボール鷹の連載が続いていたら、鷹もQBとして自らの軽量を克服するための努力をする羽目になっていたかもしれません。いまだと、あまりおいしくないプロテインを我慢して食べまくるが、重量化して小回りが利かなくなった自分に愕然とするとかあるんでしょうかね。

と、細かいつっこみはしましたが、フットボール鷹は昭和時代のフットボール漫画の傑作といえます。Kindleなどの電子書籍で今でも読めるようなので、お暇な方はお読みになってはいかがでしょう。皆さんご存知のフットボール漫画「アイシールド21」とは全く別の、フットボール漫画の世界を楽しめるはずです。

2015年シーズンからアメリカンフットボールのFANTASY FOOTBALL を楽しんでいるトーマスといいます。NFLだけでなく、MLBやNBAについても語ります。

AFC東 BUF バッファロー・ビルズ NFC東 DAL ダラス・カウボーイズ
MIA マイアミ・ドルフィンズ NYG ニューヨーク・ジャイアンツ
NE ニューイングランド・ペイトリオッツ PHI フィラデルフィア・イーグルス
NYJ ニューヨーク・ジェッツ WAS ワシントン・レッドスキンズ
AFC北 BAL ボルティモア・レイブンズ NFC北 CHI シカゴ・ベアーズ
CIN シンシナティ・ベンガルズ DET デトロイト・ライオンズ
CLE クリーブランド・ブラウンズ GB グリーンベイ・パッカーズ
PIT ピッツバーグ・スティーラーズ MIN ミネソタ・バイキングス
AFC南 HOU ヒューストン・テキサンズ NFC南 ATL アトランタ・ファルコンズ
IND インディアナポリス・コルツ CAR カロライナ・パンサーズ
JAX ジャクソンビル・ジャガーズ NO ニューオリンズ・セインツ
TEN テネシー・タイタンズ TB タンパベイ・バッカニアーズ
AFC西 DEN デンバー・ブロンコス NFC西 ARI アリゾナ・カーディナルス
KC カンザスシティ・チーフス LAR ロサンゼルス・ラムズ
OAK オークランド・レイダース SF サンフランシスコ・49ers
LAC ロサンゼルス・チャージャース SEA シアトル・シーホークス

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2015年シーズンからアメリカンフットボールのFANTASY FOOTBALL を楽しんでいるトーマスといいます。NFLだけでなく、MLBやNBAについても語ります。

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