Fantasy Football(ファンタジーフットボール)戦記

NFLのFantasy Football(ファンタジーフットボール)のほかMLBやNBAについて語ります

McCown兄弟の8年ぶりの同日先発、10回中6回は少ないのか

2016年02月27日 21時00分00秒 | Stats
まず前回のコラムで書き漏らしたLuke McCownの話から。NOでHolderを務めていたLukeの2013シーズンに、1回だけパスAttemptが付いてました。「もしかするとフェイクプレーがあったんじゃね?」――。勘のいい方は気がつきますよね。
 
調べてみたところ、実際そうでした。2013年12月22日のWeek16 NO@CARの2Q残り11分51秒で、敵陣34y 4th Down残り12ヤードでフィールドゴールフォーメーションに入ったものの、HolderのLukeがGrahamにパスを投げ失敗に終わっていたのです。控えQBにHolderをやらせていると、いざというときにこういう裏技も繰り出せるのですね。
 
さすがにYoutubeで動画は見つけられませんでしたが、ESPNやCBSのサイトに個々のPlay-by-Playが公開されていたので確認できました。このあたり、情報の充実度が米国は日本と違って(略
 
前回、JoshとLukeのMcCown兄弟が同じ日に先発QBを務めるのはレアだと書きました。どれくらいレアだか検証したのが今回のお話です。
 
弟Lukeは10シーズン12年かけて5チームを渡り歩きましたが、兄Joshはもっと凄い。2002年にドラフト指名されたARIを皮切りにDET→OAK→CAR→CHI→TB→CLEと14年13シーズンかけて7チームでQBとして出場しています。

試合に出ていない、所属しただけのチームも複数あります。2008シーズン前にはトレード先のMIAで、その後にチームが獲得したPeningtonに押し出される格好でCARにトレードされるという憂き目にもあっています。
 
Year Age Tm No. G GS QBrec Cmp Att Cmp% Yds TD TD% Int Int% Rate
2015 36 CLE 13 8 8 1-7-0 186 292 63.7 2109 12 4.1 4 1.4 93.3
2014 35 TAM 12 11 11 1-10-0 184 327 56.3 2206 11 3.4 14 4.3 70.5
2013 34 CHI 12 8 5 3-2-0 149 224 66.5 1829 13 5.8 1 0.4 109.0
2012 33 CHI 12       0 0   0 0   0    
2011 32 CHI 15 3 2 1-1-0 35 55 63.6 414 2 3.6 4 7.3 68.3
2010 31                            
2009 30 CAR 12 1 0   1 6 16.7 2 0 0.0 0 0 39.6
2008 29 CAR 12 2 0   0 0   0 0   0    
2007 28 OAK 12 9 9 2-7-0 111 190 58.4 1151 10 5.3 11 5.8 69.4
2006 27 DET 12 2 0   0 0   0 0   0    
2005 26 ARI 12 9 6 3-3-0 163 270 60.4 1836 9 3.3 11 4.1 74.9
2004 25 ARI 12 14 13 6-7-0 233 408 57.1 2511 11 2.7 10 2.5 74.1
2003 24 ARI 12 8 3 1-2-0 95 166 57.2 1018 5 3.0 6 3.6 70.3
2002 23 ARI 12 2 0   7 18 38.9 66 0 0.0 2 11.1 10.2
 
ただ弟のLukeとの最大の違いは、先発の回数が多いこと。2004と2005年のARI、2007年のOAK、2013年のCHI、2014年のTB、そして2015年のCLEでは、出場試合数の大半が先発QB。出場した77試合中、57試合が先発です。
 
エースQBが怪我で退いた時の、代わりを務めてくれる2番手のベテランQBといったところでしょうか。こうなるとVerizonがなぜ兄弟のうちLukeの方をBackupのCMに選んだのかも理解できますね。
 
余談ですが、筆者はQBにMcCownが2人いるとはしばらく気が付きませんでした。兄弟そろってNFC南を中心にチームを渡り歩いていたので、見事に混同していたのです。この原稿を書くまでは、どっちがLukeでどっちがJoshかも覚えられていませんでしたし。
 
さてJoshの2015シーズンは、パーリーピーポーManzielとの先発争いに勝ち、開幕時点でエースQBの座を得ていました。しかし、今シーズンは怪我だらけ。開幕戦で脳震盪を起こし、Week2は欠場。Week8にろっ骨を傷め、続く2試合はお休み。そしてBye明けのWeek12に復帰するも、鎖骨を折って今季絶望となりました。
 
Joshがお休みとなると、チームは「仕方なく」Manzeilを使わざるを得ません。オーナーのお気に入りといわれるManzeilを先発させるための当て馬を演じさせられているようで、ちょっと気の毒でした。
 
さてやっと、McCown兄弟の同時QB先発の話です。2015年シーズン、9月27日のWeek3にLukeはNO@CARで、JoshはOAK@CLEでそれぞれ先発しました。これが久しぶりの同日先発として取り上げられました。
 
Week1に脳震盪を起こしたJoshの復帰があと1週間遅れたら危ないところでした。なにせLukeの先発は結局今シーズンはこの週だけだったわけですから。
 
では、この前に兄弟が同日先発していた日はこれまでにもあったのでしょうか。というのも、英語版のWikipediaに「 Luke's older brother Josh started for the Browns the same day, marking the first time the brothers both started since 2007.」という記述があったからです。つまり2007年には同日先発をしていたようなのです。
 
ではこの記述が正しいかを調べてみましょう。数が少ないLukeの先発日に、Joshが先発していたかを確認すればよいですね。
 
 
Lukeが前に先発したのは2011年のJAX時代。この年は開幕のWeek1とWeek2に先発です。ではJoshはと見ると、シーズン終盤からCHIに在籍し、先発したのはWeek16、17だけでした。
 
では2007シーズンはというと、TBにいたLukeが先発したのはシーズン終盤Week13、14、17の3試合。OAKにいたJoshは9試合で先発し、Week13、14が重なっていました。つまり、2015シーズンの兄弟同日先発は2007年12月9日以来、約8年ぶりだったということですね。
 
念のため、Lukeが先発している2004年も見てみると、Week14~16の3試合が重なっていました。12シーズンの延べ204週で、兄弟がそろって先発したのは6試合だったことになります。
 
その半面、10試合しか先発していないLukeと57試合先発したJoshが、同じ日に6回も投げていたとは意外でした。6割という数字は解釈によっては、「同時先発の確率が高い」といえるかもしれません。
 
と思いましたが、Manning兄弟のことが頭に浮かんだのでその考えは捨てました。確かEliは2015シーズン終了時点でも連続先発を続けているはずですし、Peytonも首の手術までは長きにわたって連続で先発をしていた記憶があります。Manning兄弟の同日先発確率は計算するまでもなく高いでしょう。McCown兄弟にしてみれば相手が悪すぎました。
 
Backupが中心のMcCown兄弟のレアな同日先発は来シーズンも見られるでしょうか。ただ2人とも選手寿命の終わりに近づいており、次のチャンスは徐々に減っていきます。まず2人とも怪我を治し、いつでも先発できるようポストを確保するところから始めなくてはならないでしょう。

最強のBackup、Luke McCownの無念

2016年02月26日 22時00分00秒 | Stats
2015シーズンは、「エースQB」がシーズン途中で欠場し、Backupが先発を務めることが多かったですね。目立ったところでは、腎臓を傷めたRuckをリリーフしたHasselbeck(IND)の奮戦とか、シーズン終盤に怪我したDaltonの穴を埋めきれなかったMcCarron(CIN)の悲劇とか、開幕前にチームメートに顔面を殴られ骨折したSmithにとって代わり不動の先発となったFitzpatrick(NYJ)の覚醒とか(最後のはシーズン途中じゃないか)、いろいろありました。
 
まだまだいっぱいあるので表にしたいくらいですね。そもそもSuper Bowl 50で勝利したPeytonにしても(略。
 
さてNew Orleans SaintsのLuke McCownが2015シーズン初頭、米国の大手通信会社VerizonのCMに登場しました。NHKのBS中継でその話題が出たので、さっそくYoutubeで探してみました。それがこちら
 
 
何て言ってるか、わかんないですよね。英語の得意な友人に書き起こしてもらったのがこれ。

ベライゾンはほとんどの電波塔でバックアップをとっています。だから、停電の時も準備万端。バックアップってどこに保存されてるんでしょうか。先発ローテーションに組み込んでみたい気がしますね。1回でもチャンスがあれば、そういうバックアップの何人かは輝けるでしょうから(何があっても、信頼できるネットワークがついてますよ)。

通信ネットワークに不可欠なバックアップを、QBに引っ掛けるところが何とも米国的ですね。筆者は以前仕事で関わっていた関係で通信業界に詳しいのですが、VerizonがBackupをアピールしたかった理由がすごく良く分かります。
 
Lukeに白羽の矢が立ったのは、たぶんそれまでの実績からでしょう。
 
Year Age Tm No. G GS QBrec Cmp Att Cmp% Yds TD TD% Int Int% Rate
2015 34 NOR 7 8 1 0-1-0 32 39 82.1 335 0 0 1 2.6 91.8
2014 33 NOR 7 16 0   0 0   0 0   0    
2013 32 NOR 7 16 0   0 1 0 0 0 0 0 0 39.6
2012 31 ATL 12 2 0   0 0   0 0   0    
2011 30 JAX 12 4 2 1-1-0 30 56 53.6 296 0 0 4 7.1 39.0
2010 29 JAX 12 1 0   11 19 57.9 120 0 0 0 0 76.6
2009 28 JAX 12 3 0   1 3 33.3 2 0 0 0 0 42.4
2008 27 TAM 12 2 0   0 1 0 0 0 0 0 0 39.6
2007 26 TAM 12 5 3 1-2-0 94 139 67.6 1009 5 3.6 3 2.2 91.7
2006 25                            
2005 24                            
2004 23 CLE 12 5 4 0-4-0 48 98 49 608 4 4.1 7 7.1 52.6
 
CLEを皮切りに、TB→JAX→ATL→NOと5チームを渡り歩き、実質10シーズンを過ごしたLukeですが、先発したのはわずか10試合。キャリアで挙げたTDは2004シーズンと2007シーズンと初期に集中。それ以外はほとんどバックアップです。
 
トータルで62試合に出ていますが、2012年以降2014年まではPass Attemptが1回(しかも失敗)しかありませんでした。NOではQBのBackupをしながら、Holderとしての出場が多かったようです(Wikipediaさんによると、In the regular season, McCown was the holder for placekicker Garrett Hartley.とありました。ESPNにあった過去のPlay-by-Playを見ると、確かにHolderでしたね)
 
そんな「最強のBackup」が9月27日のCAR戦に先発することになりました。Breesが前の試合で肩を傷めたためです。先発QBとなったのはJAX在籍時の2011年以来でした。
 
この日のゲーム(筆者は中継を見たのですが)、そこそこいいプレイはあるものの2007年にTBで挙げて以来のTDを奪えませんでした。パス成功率は80%を超え、335yを投げていただけに残念でした。
 
そしてBreesの怪我は1週間で完治。Lukeは二度と先発に戻れなかったどころか、11月には背中を怪我し手術を受けたためシーズンアウト。Backupとしての仕事も全うできませんでした。
 
その後、VerizonのCMがどうなったかはわかりません。そして最強のBackupに選ばれたLukeにとっては、無念のシーズンだったように思われてなりません。
 
ただし、Lukeが久しぶりの先発QBとなったことでおまけがありました。兄のJosh McCownもこの日、CLEで先発QBを務めていたため、兄弟そろっての先発QBとなったのです。この兄弟にとってこれがどれだけレアなことだったのか。

それは次回に。


Peytonのため息、NationWideはあなたの味方です

2016年02月25日 23時30分00秒 | NFL
NFLのGamepassに加入して中継を見ていると、現地のCMがばんばんかかります。
 
昨年よく見かけたのが、米国の保険会社NationWideのCM。出演は皆さんお馴染みのPeyton Manningです。
 
最近は、NationWideのCMフレーズ(業界用語でいうところのジングル)「NationWide is on your side」をPeytonが歌詞だけ変えて口ずさむシリーズが多いようです。保険会社なので、細かいサービス説明をするよりも、ブランド認知を重視しているのでしょう。
 
シーズン終盤によく見たのがこのバージョンでした。
 
 
最後は小学生くらいの子供を相手に卓球をしているシーン。「Epic comeback starts right here」とつぶやき、サーブを強く打ち返されて、ため息を付きます。
 
2年前のSuper Bowlを見た人なら、なんとなく思うのではないでしょうか。あのMetlife Stadiumの2QあたりでPeytonはこうつぶやいていたのではないかと。
 
見方によっては2年前の悪夢を思い出すシーンですね。NFLのスターQBにここまでさせる広告会社(Ogilvyらしい)は凄いですが、それをカメラの前で演じるPeytonもどうかと思います。しかもそれがシーズン終盤という大事な時期の試合の途中に流れるなんて。
 
AgencySpyの記事によると、Peytonがこの会社のCMに出るのは2015年が2年目とあります。2013シーズンのSuper Bowlの時はまだこのCMに出ていなかったことになります(このあたりの経緯をご存知の方がいたら教えて下さい)。
 
何はともあれNationWideを味方につけたPeytonは、守備チームの働きでSuper Bowlに辿り着き、2度目のリングを手に入れたのはご存知のとおり。「しっかりと守ってもらったおかげ」ということでしょうか。
 
よく考えて見たらSuper Bowl 50でDENは一度もCARにリードを許しませんでした。Peytonは「Comeback」を考えることも、ため息をつく必要もなかったようです。

とはいえ、これもSuper Bowlに勝てたから言えること。もし2年前と同じ試合経過だったらシャレになりません。NationWideはそのとき、どうしていたのでしょう。

Rodgersに何があったのか、パッサーレーティングに見る異変

2016年02月24日 21時44分46秒 | NFL
2015年シリーズ、GBのRodgersの不振が伝えられました。これまでキャリアで100を超えていたレーティングが2015年シーズンに大台を割り、10ポイント以上も下がったのです。

そこで前回のこの場で算出方法を学んだパッサーレーティングに注目して、どれだけ今期が悪かったかを整理してみましょう。
数字を比べてみると、2014年までの平均に比べてパス成功率が5ポイント、パスの平均獲得ヤードが1.5ヤードも後退してます。終盤に足のケガに見舞われた2014年シーズン、Rodgersのレーティングは112.2でした。

では、2015年シーズンの試合別の成績を見てみましょう。黄色が最低値(INTとFUMは最高値)で、赤字は16試合の平均を下回ったものです。
これを見ると、9月は絶好調で10月も好調を維持していたのに、11月の第1週Byeウィーク明けのDEN戦で大きくつまずいたことが分かります。この試合はパス獲得が77ヤードに抑えられ、パスによるTDも奪えませんでした。ここから表の下に行くにつれて、赤字が増えていることが分かるでしょう。

その11月はなんと1勝4敗。2014シーズンには一つも負けなかったLambeau Fieldで同地区のDETとCHIに勝利を献上するという屈辱を味わいました。ちなみに最終戦でMINにも負けたので地元で地区内3連敗。こんなことってこれまであったのでしょうか。

第13週の@DETはほとんど負けている試合を、Hail Mary一発で逆転。

逆転勝ちの爽快感は得られましたが、あまり喜べない試合経過でした。最後の61ヤードがなければ獲得ヤードはその次の試合のDAL戦とほぼ同じですから、ここも表では赤字になっていたでしょう。

そして第16週の@ARIでオフェンスラインが大崩壊。8サックを受け、3ファンブルのうち2回ロストしました。これだけ一方的な試合を見るのは、Super Bowl 48のDEN以来?それほど一方的にやられました。

今期のオフェンスラインはDEN戦以降、急速に弱くなった感があります。その成績はデータで読み解くのが難しいためテレビ観戦レベルの印象ですが、Rodgersがパスを投げる余裕を確保できなかったシーンが多かったですね。

怪我で全休したターゲットJordy Nelsonの不在は確かに大きいです。かといってNelsonが戻ればすべて解決するわけではないでしょう。

あとはLacyの準備不足でしょうか。3年目にしてラッシングヤードが1000yを割り、レシーブは回数も距離も前年の約半分。ラッシングTDは3となり、前シーズンの9TDに比べて3分の1に減りました。

たとえRodgersをもってしても、RBの不振はゲームプラン構築に影響を及ぼします。RBにはもう一人Starksがいましたが、Lacyが本来のスタメンでしょう。
Lacyの今期の成績を見ると、見事なまだら模様。いい試合と悪い試合の差が歴然と出ています。

実は2015シーズンのFantasyで、筆者はLacyを1巡目で指名しました。困ったことに、前の週がよかったのに次の週はダメとか、欠場明けの試合で突然良い成績を残したりと、成績が乱高下。非常にストレスがたまった1年でした。GBのHC McCarthyも同じ悩みを抱えていたのではないでしょうか。

このあたりをどうGBが立て直すかが、2016年シーズンのカギになることは間違いないでしょう。

最後に今期パッサーレーティングで一位だったSEAのWilsonとSB 50覇者のManningと、Rodgersを比べてみましょう。

Wilsonは今季、パス成功率を5ポイントも伸ばしました。2014シーズンのRodgersと同じくらいの成績を上げています。Lynchがいなくなり、かつてほどOLが強くなくなってきた来季は、いよいよ真価を試されますね。

Rodgersはというと、パス成功率を前年比で5ポイント下げたのが気がかりです。そしてパス成功率とパス平均獲得ヤードはほぼ2015シーズンのManningと同じでした。

そのManningは10試合以上投げたQBとしては、STLのFolesにも抜かれてシーズン最下位。TDのほぼ2倍のINTを食らっているためレーティングは上がりません。

SB 50でも、序盤はよかったものの後半息切れ。3rd Down更新が1/14(CARは3/15)で1st Downが11回(CARは21回)では、今後の現役継続に不安を感じざるを得ません。

Rodgersの今季はいまひとつでしたが、このまま成績が下がり続けることはないと信じたいですね。Nelsonの復帰は当たり前として、オフェンスラインの再構築とLacyのダイエットに期待しましょう。

この際なのでQBレーティングを理解することにした

2016年02月23日 07時00分00秒 | Stats
この後、このコラムではいろいろ選手の個人成績を解析していくつもりです。そこで、この際なのでQBパッサーレーティングを理解することにしました。

まずは算出のための公式について。必要になるのは、「パス成功率」「パス平均獲得ヤード」「TDパス成功率」「INT率」です。

パス成功率 = パス成功回数 / パス試投回数 × 100
パス平均獲得ヤード = パス獲得ヤード / パス試投回数
TDパス成功率 = TD回数 / パス試投回数 × 100
INT率 = INT回数 / パス試投回数 × 100

そのあと、ここで出たそれぞれの数字に係数をかけて、同じレベルにそろうよう換算します。実はこの換算式にはちゃんと根拠があって、1960~70年代のリーグの数字を基にそれぞれの数値の平均値が「1」になるよう調整した結果なのだそうです。

(a)………(パス成功率 - 30)× 0.05
(b)………(パス平均獲得ヤード - 3)× 0.25
(c)………  TDパス成功率 × 0.2
(d)………  2.375 - (INT率 × 0.25)

そしてそれぞれの換算後の値がどれだけ大きくても、「2.375」を超えたら2.375に置き換えて計算します。その逆もありで、小さい場合は、最小値を0にします。マイナスはありません。

そうしてはじき出すのが以下の数字。

パッサーレーティング=((a)+(b)+(c)+(d))/ 6 × 100

パッサーレーティングには満点(158.3)がある、と聞いたことがあるか思います。これは4つの評価項目 × 2.375(それぞれの最大値)/ 6 × 100 = 158.3という式から導き出されるのです。

この計算式を逆算すると、この数式ができた当時の平均的なパス成功率、パス平均獲得ヤード、TDパス成功率、INT率と、どれだけの成績をとれば満点になるかをはじき出せます。

パス成功率は、1 / 0.05 + 30 = 50が1960-70年当時の平均です。満点を取るには2.375 / 0.05 + 30 = 77.5となりますので、4回投げて3回成功ではまだ足りない。細かく言うと40回投げて31回成功でちょうどこの値です。

パス平均獲得ヤードは、1 / 0.25 + 3 = 7ヤードが当時の平均。満点を取るには2.375 / 0.25 + 3 = 12.5ヤードが必要ですから、ロングボムが何本かないと厳しいですね。

TDパス成功率は、1 / 0.2 = 5が当時の平均。20回に1回なのでまあクリアできそうです。満点を取るには、2.375 / 0.2 = 11.875%ですから、パス9回につき1回を上回るペースでTDパスを投げないといけません。

そしてINT率は平均で(2.375-1)/ 0.25 = 5.5ですから、100回投げて5INT以下に抑えられれば及第点です。満点を取るには2.375からの引き算ですから、INT0が必須ですね。

ここからはじき出されるレーティングですが、もし4つの評価軸がすべて1(つまり70年ころの平均)なら、4 × 1 / 6 × 100 = 66.7です。それが選手の能力向上に伴い、2008年は平均で85になったとのこと(後藤完夫著、「NFLの(非)常識」より)。このときはパス成功率は62、パス平均獲得ヤードは7ヤード、TDパス成功率は4%、INT率は2.5%だったそうです。

このあたりを分かりやすくするため、パス試投回数を40にして計算した値が下の表になります。

よくテレビ中継などで、「100ポイントを超えるといいパス成績」といわれますね。レーティングで100ポイントを得るには、4つとも換算後に「1.5」になるとして計算した場合、パス成功率60、パス平均獲得ヤードは9ヤード、TDパス成功率は7.5%、INT率は3.5%です。

それをパス試投回数40回を基準にして換算すると、パス成功回数は24回で、獲得ヤードは360、TDを3回して、INTは1回ちょっと(上の表の3列目)になります。レーティングの値ではピンときませんが実数に換算するとイメージがわきますね。
 
せっかくなので具体的なデータで計算してみましょう。使ったのは2015シーズンのデビュー戦でいきなりパーフェクトレーティングを飾ったTENのMariotaの成績。NFL.comにあったデータはこちらです。


満点をとれたのは、パス試投が15回と少なく成功率が高かったことが大きいでしょう。そして獲得ヤード数がそれほど大きくなくても、効率がよかったので平均獲得ヤードが伸びました。さらにパスでのTDが4回もあったことが効きました。

もう一つ、2015シーズンのKC戦でPeyton Manningがレーティングが0ポイントだったというニュースがありました。この時はどのような数字を残していたのでしょう。

レーティングでは最小値は0で、それぞれの値にマイナスはありません。ところがManningのパス成功率も、パス平均獲得ヤードも、換算のための引き算の時点でマイナスになりました。INT率は20回投げて4回ですから驚異の20

(a)………(25 - 30)× 0.05 = -0.25
(b)………(1.75 - 3)× 0.25 = -0.3125
(c)………  0 × 0.2 = 0
(d)………  2.375 -(20 × 0.25) = -2.625

公式に当てはめると、とてつもない数字になっていました。特にINT率の換算結果は-2.625となり、プラス方向の上限値2.375を絶対値で上回ってしまいました。こうなるとマイナスの数字の大きさを述べても意味がないので、計算はここで終わりにしました。

フッター

2015年シーズンからアメリカンフットボールのFANTASY FOOTBALL を楽しんでいるトーマスといいます。NFLだけでなく、MLBやNBAについても語ります。

AFC東 BUF バッファロー・ビルズ NFC東 DAL ダラス・カウボーイズ
MIA マイアミ・ドルフィンズ NYG ニューヨーク・ジャイアンツ
NE ニューイングランド・ペイトリオッツ PHI フィラデルフィア・イーグルス
NYJ ニューヨーク・ジェッツ WAS ワシントン・フットボール・チーム
AFC北 BAL ボルティモア・レイブンズ NFC北 CHI シカゴ・ベアーズ
CIN シンシナティ・ベンガルズ DET デトロイト・ライオンズ
CLE クリーブランド・ブラウンズ GB グリーンベイ・パッカーズ
PIT ピッツバーグ・スティーラーズ MIN ミネソタ・バイキングス
AFC南 HOU ヒューストン・テキサンズ NFC南 ATL アトランタ・ファルコンズ
IND インディアナポリス・コルツ CAR カロライナ・パンサーズ
JAX ジャクソンビル・ジャガーズ NO ニューオリンズ・セインツ
TEN テネシー・タイタンズ TB タンパベイ・バッカニアーズ
AFC西 DEN デンバー・ブロンコス NFC西 ARI アリゾナ・カーディナルス
KC カンザスシティ・チーフス LAR ロサンゼルス・ラムズ
LAC ロサンゼルス・チャージャース SF サンフランシスコ・49ers
LV ラスベガス・レイダース SEA シアトル・シーホークス