Fantasy Football(ファンタジーフットボール)戦記

NFLのFantasy Football(ファンタジーフットボール)のほかMLBやNBAについて語ります

10年以上前のNYGの主力選手は誰、クイズの景品でもらったUNOで振り返る

2018年02月25日 21時50分00秒 | NFL

昨日は筆者がいつも参加しているNFL飲み会のシーズン反省会でした。Super Bowlが終わった後に、シーズンの反省をするというものです。

そこでクイズ大会の景品として、NYGをモチーフとした「UNO」をGetしました。筆者はNYGのファンではありませんが、ちょっとだけEli Manningに思い入れがある身としては、この景品を選んで手に入れました。

しかし筆者がNFLを熱心に見るようになって日が浅いので、Eli以外の選手にはほとんどなじみがありません。

それでも「Tiki Barber」の名前くらいは知っているので、10年近く前であることはなんとなく察しがつきます。ということでこのカードがいつころ作られたものなのかを確認するのが今回のコラムの主眼です(実はケースの裏に書いてあったのですが、答えは後ほど明かします)。

UNOのカードに載っている選手の写真を見てみましょう。スキャンする際に並べ方を間違えたので右から左に数字が増えていきますがご愛敬ということで。もちろん当時のNYGの主力が載っているはずですね。

書かれた文字が小さいのでわかりづらいと思いますので、それぞれの写真がだれかを整理しました。

「0」がShaun Williams、「1」がEli Mnning、「2」がAmani Toomer、「3」がWill Allen、「4」がJeremy Shockey、「5」がMichael Strahan、「6」がCarlos Emmons、「7」がJim Finn、「8」がBrandon Jacobs、「9」がOsi Umenyiora、「REVERSE」がWill Peterson、「SKIP」がTiki Barber、「DRAW 2」と「DRAW 4 」がShockey & Barber、「WILD」がJeff Feagles、「ACQUISITION」がPlaxico Burressですね。

ではこれら選手が在籍していたのはいつなのでしょう。見る限りDRAW4とDRAW2に出現しているのが、ShockeyとBarberなのでこの二人が主力ってことなのでしょう。

折角なので年表を作りました。手掛かりになるのは2005年のルーキーだったBrandon Jacobsですね。つまりJacobsがここに入っているということは2005年以前ということはあり得ないことになります。では2006年以降もこの体制化というと、Will AllenとWill Petersonはどちらも2005年を最後にチームを離れています。つまり、このカードは2005年シーズンのNYGの主力選手を基に作られたことが判明しました。

 JNNamePOS2001200220032004200520062007200820092010
0 36 Shaun Williams SS →* * * * * *        
1 10 Eli Mnning QB       * * * * * * *→
2 81 Amani Toomer WR →* * * * * * * *    
3 25 Will Allen LCB * * * * *          
4 80 Jeremy Shockey TE   * * * * * *      
5 92 Michael Strahan DE →* * * * * * *      
6 51 Carlos Emmons LB       * * *        
7 20 Jim Finn FB     * * * *        
8 27 Brandon Jacobs RB         * * * * * *→
9 72 Osi Umenyiora DE     * * * * * * * *→
DRAW 2 - Shockey & Barber -   * * * * *        
REVERSE 24 Will Peterson CB * * * * *          
SKIP 21 Tiki Barber RB →* * * * * *        
DRAW 4 - Shockey & Barber -   * * * * *        
WILD 18 Jeff Feagles P     * * * * * * *  
ACQUISITION 17 Plaxico Burress WR         * * * *  

 しれっと書きましたが、UNOのルールをご存知の方には、「ACQUISITION」という、Plaxico Burressが印刷されたカードに目が留まったはずです。「こんなカードあったっけ?」と。

実はこのカードは、UNOが出しているSports Team EDITIONに特別に追加しているもので、このカードの所有者は特定の「獲得したいカード」を宣言できるというものです。そして、指名されたカードを持っていた対戦相手の全員または一人から「獲得したいカード」を受け取り、代わりに自分の手札を一枚返します(獲得したいカードを誰も持っていない場合は、色を変えられます)。Wild CardをACQUISITIONしていいとも悪いとも書いていないので、ここは良く分かりませんが。

最近のUNO(の日本語版)には、「とりかえっこワイルドカード」というカードが2016年リニューアル版から追加されましたが、これは「手札を全部交換する」というカードなので、上の「ACQUISITION」カードとは意味が違います。

たまたまネットで検索をしたら2005年にはNew York Mets EditionのUNOを発見しました。ここにも「ACQUISITION」カードがあって、こちらでは「Pedro Martinez」が印刷されていました。NYGバージョンのBurressも、Maetinezも移籍してきたばかりの選手が「ACQUISITION」カードを飾っているようです。ちょっとでも現実の選手獲得と結び付けようとする、ゲーム制作者の苦心が分かりますね。

さて2005年シーズンのこの時点、NYGの選手も2年後のSuper Bowl 42(2007年シーズン)でNEに勝つという未来図は描けていなかったことでしょう。

あのHelmet CatchのDavid Tyreeは、2003年のドラフト6巡目指名ですので、もうこの時点でNYGの選手でしたが、カードを彩る選手には選ばれませんでした。また、ACQUISITIONカードに載ったBurressは、Super Bowl 42の決勝TDを挙げていますね。

一方のBarberは2006年限りで引退、Shockeyは2007年シーズン途中で怪我を負いSuper Bowl 42には出場できていません。ただしShockeyは移籍したNOでSuper Bowl 44に出場し、TD Recieveをしていますね。

わずか2年先のNYGの未来は、このカードからだけでは読み取れません。もちろんこの時点でEliが2018年シーズンも(1試合先発QBを外されはしましたが)、まだNYGの先発QBでいるなんて考えられなかったはずです。もちろん、このカードに載っている選手で現役で生き残っているのはEliだけ。ただEliの来シーズンがどうなるかはまだ分かりません。

最後にTiki Barberと同じ「21」のTシャツを買ったのでご報告?を。以前、こちらでも記事を書いたTim Dankan(NBA)のものですね。

今週、金曜日に某所に着ていく予定があるため急きょ買いました。ホントはこのチームの「12」がほしかったのですがさすがに売っていませんでした。胸にNBA Finalのトロフィーが入ったこのTシャツを今週の某イベントで着ている人物はきっと筆者です。「ブログ見てます」と言っていただけると嬉しいです。

2015年シーズンからアメリカンフットボールのFANTASY FOOTBALL を楽しんでいるトーマスといいます。NFLだけでなく、MLBやNBAについても語ります。

AFC東BUF バッファロー・ビルズ NFC東DAL ダラス・カウボーイズ
MIA マイアミ・ドルフィンズ NYG ニューヨーク・ジャイアンツ
NE ニューイングランド・ペイトリオッツ PHI フィラデルフィア・イーグルス
NYJ ニューヨーク・ジェッツ WAS ワシントン・レッドスキンズ
AFC北BAL ボルティモア・レイブンズ NFC北CHI シカゴ・ベアーズ
CIN シンシナティ・ベンガルズ DET デトロイト・ライオンズ
CLE クリーブランド・ブラウンズ GB グリーンベイ・パッカーズ
PIT ピッツバーグ・スティーラーズ MIN ミネソタ・バイキングス
AFC南HOU ヒューストン・テキサンズ NFC南ATL アトランタ・ファルコンズ
IND インディアナポリス・コルツ CAR カロライナ・パンサーズ
JAX ジャクソンビル・ジャガーズ NO ニューオリンズ・セインツ
TEN テネシー・タイタンズ TB タンパベイ・バッカニアーズ
AFC西DEN デンバー・ブロンコス NFC西ARI アリゾナ・カーディナルス
KC カンザスシティ・チーフス LAR(旧STL) ロサンゼルス・ラムズ
OAK オークランド・レイダース SF サンフランシスコ・49ers
LAC(旧SD) ロサンゼルス・チャージャース SEA シアトル・シーホークス

Peytonのため息、NationWideはあなたの味方です

2016年02月25日 23時30分00秒 | NFL
NFLのGamepassに加入して中継を見ていると、現地のCMがばんばんかかります。
 
昨年よく見かけたのが、米国の保険会社NationWideのCM。出演は皆さんお馴染みのPeyton Manningです。
 
最近は、NationWideのCMフレーズ(業界用語でいうところのジングル)「NationWide is on your side」をPeytonが歌詞だけ変えて口ずさむシリーズが多いようです。保険会社なので、細かいサービス説明をするよりも、ブランド認知を重視しているのでしょう。
 
シーズン終盤によく見たのがこのバージョンでした。
 
 
最後は小学生くらいの子供を相手に卓球をしているシーン。「Epic comeback starts right here」とつぶやき、サーブを強く打ち返されて、ため息を付きます。
 
2年前のSuper Bowlを見た人なら、なんとなく思うのではないでしょうか。あのMetlife Stadiumの2QあたりでPeytonはこうつぶやいていたのではないかと。
 
見方によっては2年前の悪夢を思い出すシーンですね。NFLのスターQBにここまでさせる広告会社(Ogilvyらしい)は凄いですが、それをカメラの前で演じるPeytonもどうかと思います。しかもそれがシーズン終盤という大事な時期の試合の途中に流れるなんて。
 
AgencySpyの記事によると、Peytonがこの会社のCMに出るのは2015年が2年目とあります。2013シーズンのSuper Bowlの時はまだこのCMに出ていなかったことになります(このあたりの経緯をご存知の方がいたら教えて下さい)。
 
何はともあれNationWideを味方につけたPeytonは、守備チームの働きでSuper Bowlに辿り着き、2度目のリングを手に入れたのはご存知のとおり。「しっかりと守ってもらったおかげ」ということでしょうか。
 
よく考えて見たらSuper Bowl 50でDENは一度もCARにリードを許しませんでした。Peytonは「Comeback」を考えることも、ため息をつく必要もなかったようです。

とはいえ、これもSuper Bowlに勝てたから言えること。もし2年前と同じ試合経過だったらシャレになりません。NationWideはそのとき、どうしていたのでしょう。

Rodgersに何があったのか、パッサーレーティングに見る異変

2016年02月24日 21時44分46秒 | NFL
2015年シリーズ、GBのRodgersの不振が伝えられました。これまでキャリアで100を超えていたレーティングが2015年シーズンに大台を割り、10ポイント以上も下がったのです。

そこで前回のこの場で算出方法を学んだパッサーレーティングに注目して、どれだけ今期が悪かったかを整理してみましょう。
数字を比べてみると、2014年までの平均に比べてパス成功率が5ポイント、パスの平均獲得ヤードが1.5ヤードも後退してます。終盤に足のケガに見舞われた2014年シーズン、Rodgersのレーティングは112.2でした。

では、2015年シーズンの試合別の成績を見てみましょう。黄色が最低値(INTとFUMは最高値)で、赤字は16試合の平均を下回ったものです。
これを見ると、9月は絶好調で10月も好調を維持していたのに、11月の第1週Byeウィーク明けのDEN戦で大きくつまずいたことが分かります。この試合はパス獲得が77ヤードに抑えられ、パスによるTDも奪えませんでした。ここから表の下に行くにつれて、赤字が増えていることが分かるでしょう。

その11月はなんと1勝4敗。2014シーズンには一つも負けなかったLambeau Fieldで同地区のDETとCHIに勝利を献上するという屈辱を味わいました。ちなみに最終戦でMINにも負けたので地元で地区内3連敗。こんなことってこれまであったのでしょうか。

第13週の@DETはほとんど負けている試合を、Hail Mary一発で逆転。

逆転勝ちの爽快感は得られましたが、あまり喜べない試合経過でした。最後の61ヤードがなければ獲得ヤードはその次の試合のDAL戦とほぼ同じですから、ここも表では赤字になっていたでしょう。

そして第16週の@ARIでオフェンスラインが大崩壊。8サックを受け、3ファンブルのうち2回ロストしました。これだけ一方的な試合を見るのは、Super Bowl 48のDEN以来?それほど一方的にやられました。

今期のオフェンスラインはDEN戦以降、急速に弱くなった感があります。その成績はデータで読み解くのが難しいためテレビ観戦レベルの印象ですが、Rodgersがパスを投げる余裕を確保できなかったシーンが多かったですね。

怪我で全休したターゲットJordy Nelsonの不在は確かに大きいです。かといってNelsonが戻ればすべて解決するわけではないでしょう。

あとはLacyの準備不足でしょうか。3年目にしてラッシングヤードが1000yを割り、レシーブは回数も距離も前年の約半分。ラッシングTDは3となり、前シーズンの9TDに比べて3分の1に減りました。

たとえRodgersをもってしても、RBの不振はゲームプラン構築に影響を及ぼします。RBにはもう一人Starksがいましたが、Lacyが本来のスタメンでしょう。
Lacyの今期の成績を見ると、見事なまだら模様。いい試合と悪い試合の差が歴然と出ています。

実は2015シーズンのFantasyで、筆者はLacyを1巡目で指名しました。困ったことに、前の週がよかったのに次の週はダメとか、欠場明けの試合で突然良い成績を残したりと、成績が乱高下。非常にストレスがたまった1年でした。GBのHC McCarthyも同じ悩みを抱えていたのではないでしょうか。

このあたりをどうGBが立て直すかが、2016年シーズンのカギになることは間違いないでしょう。

最後に今期パッサーレーティングで一位だったSEAのWilsonとSB 50覇者のManningと、Rodgersを比べてみましょう。

Wilsonは今季、パス成功率を5ポイントも伸ばしました。2014シーズンのRodgersと同じくらいの成績を上げています。Lynchがいなくなり、かつてほどOLが強くなくなってきた来季は、いよいよ真価を試されますね。

Rodgersはというと、パス成功率を前年比で5ポイント下げたのが気がかりです。そしてパス成功率とパス平均獲得ヤードはほぼ2015シーズンのManningと同じでした。

そのManningは10試合以上投げたQBとしては、STLのFolesにも抜かれてシーズン最下位。TDのほぼ2倍のINTを食らっているためレーティングは上がりません。

SB 50でも、序盤はよかったものの後半息切れ。3rd Down更新が1/14(CARは3/15)で1st Downが11回(CARは21回)では、今後の現役継続に不安を感じざるを得ません。

Rodgersの今季はいまひとつでしたが、このまま成績が下がり続けることはないと信じたいですね。Nelsonの復帰は当たり前として、オフェンスラインの再構築とLacyのダイエットに期待しましょう。

「Tebowトレード」がDENにもたらしていた、もう一つの巡り合わせ

2016年02月21日 10時00分00秒 | NFL
Super Bowl 50の勝利に沸くDEN。5年前に、2年目シーズンで大旋風を巻き起こした若手QB Tim Tebowをトレードに出し、Peyton Manningを獲得した決断がものを言いました。もうここではElwayの功績という論調にはしませんが、このトレードに絡んであったもう一つの巡り合わせをテーマにします。

Tebowトレードの見返りにNYJから得た指名権で契約した選手が、先日のSuper Bowl 50で大活躍したのです。

その選手とはDanny Trevathan。背番号は59番。古くは粳寅満太郎、最近ではCARのKuechlyと同じ番号ですね。

2012年ドラフトの6巡目指名で、DEN入り。全体では188位。1年目の出場は僅かでしたが、一躍有名になったのは、先発を手に入れた2013シーズン開幕戦BAL@DENでのこのプレイ

 
(前年のSBを制したBALなのに、MLBのOriolesの試合日とNFLの開幕日が被り、仕方なくアウエーでの開幕戦になりました。Manningが7TDパスを投げた試合としても有名です)

INTしてガラ空きだったBALのエンドゾーンに走り込むだけだったのに、TD直前に自ら落球(手を離すのが早すぎた)。FumbleしたボールをBALの選手リカバーしたためタッチバックとなり、TDは取り消されました。

そのあとのプレイでボールを追った味方のLB Woodyardが不要な怪我を負うというおまけ付き。コーチに叱られる光景がテレビに映し出され、調子に乗ってミスを犯した若手として名を広めてしまいました。

しかし、その2013年シーズンはレギュラーとして定着。16試合すべてに先発して、129タックル、2サック、3INTを挙げています。いろんなところに現れる運動量の多いILBという印象がありますね。なお、SEAに惨敗したSB 48でも先発しています。

2014年シーズンは怪我で出場は3試合でしたが、2015年は見事に復活。出場した15試合はすべて先発で、109タックル、2INTで不動のILBとなりました。このタックル数はレギュラーシーズンではチーム最多だそうです。

SB 50でも、2つのビッグプレイを決めています。一つは2QのTolbertのファンブルをリカバーしたもの。CARのラン攻撃で距離が出始めた直後のTOだったので、値千金でした。

さらに3Q、T.J.WardがNewtonのパスをINTしたにもかかわらず、ファンブルさせられたとき。突然横から現れて、CARの選手と競り合いながら、ボールをリカバーしました。
(リンク先のYouTubeで1:10あたりです)

このリカバーがCARに渡っていたら、フィールドポジションも悪く、試合がどう転んでいたかわかりません。MVPを獲ったVon Millerの陰に隠れましたが、非常に高い貢献をしていたのです。そしてCARの最後の攻撃で、相手選手をタックルで止めたのもTrevathanでした。

シーズン終了とともにFAとなったTrevathanに、チームは再契約のオファーを出しているもようです。こればかりは契約ごとなので、今後の推移を見守るしかありません。

Trevathanは、入団後の4年間でDENのD#に欠かせない選手に成長を遂げました。Tebowとの交換というチームの方向転換の象徴でもあり、このまま残留を決めてほしいものです。

John Elwayが決着させた二つの因縁

2016年02月11日 21時30分00秒 | NFL
DENVER Broncosの勝利に終わったThe Super Bowl 50。

その余韻が覚めないうちに、DENのGM(就任時の印象が強いため、つい「副社長」と呼んでしまうのですが)John Elwayにまつわる二つの因縁についてまとめてみました。

一つめの因縁とは「Super Bowl(SB) で勝てないQB」。

Elwayは現役時代に、SBに5回出場しましたが(QBとしてはBradyに次ぐ記録)、勝てたのは晩年の2回。それまでElwayは「SBで勝てないQB」と10年以上もいわれ続けてきました(SB初出場が1987年で3回負け、初勝利を上げたのが98年)。

そして自身が率いるDENも、初出場の1978年以降SBで勝てないチームに数えられるようになっていました(DENのSB4連敗のあとに4年連続4連敗を喫するBUFが出現するわけですが)。

それでも最後の2シーズンでSB連覇を果たしたことで、Elwayは汚名を完全にすすぎ、DENに初めてのSB優勝をもたらした、地元の英雄として名を残しました。そして、副社長としてチームに復帰後、Elwayはもう一人の「SBで勝てないQB」を呼び寄せたのでした。

もちろんPeyton Manningのことです。

すでに押しも押されぬ名QBとなっていたPeytonですがSBでの勝利はわずか1回(当時は2回出場)。長年のライバル、Bradyには先を越され(4年で3回SB制覇)、弟のEliにもSBの勝利数(2戦2勝)で追い抜かれていました。

SBになかなかたどり着けない、たどり着けても勝てないQBと言われてきたのです。

そんなPeytonは2011年シーズン、首の手術のため前シーズンを全休。後遺症の可能性もあり、INDとしては再契約に踏み切れませんでした(その後、ドラフト1位指名権を持っていたINDはLuckを獲得)。

一方、2011シーズンにElwayがフロントに復帰していたDENでは新人のTebowが大人気を博し、Playoffにも進出。「Tebowing」はNFLの枠を超えた流行語にまでなりました。PlayoffでNEには敗れたときにはいろいろ指摘があったTebowでしたが、成長過程の選手でもあり、このままフランチャイズQBとして育てる選択肢もあったかもしれません。

しかし、ElwayはPeytonとの契約を選択しTebowをトレードに出しました。

その後DENで大活躍し、首の傷の後遺症を疑う声を抑え込んだ Peytonですが(2012年シーズンはPlayoffでFlaccoの一発に沈みましたね)、2013年シーズンに進出したSB 48に巨大な壁にぶつかりました。
最初のプレイでいきなりのスナップミスからのSafetyがあったとはいえ、SEAの強力ディフェンスになすすべもなく押し切られました。その姿からは、年齢(当時37歳)もあり、SB優勝は一度の、勝てないQBのまま終わりだろうという声が高まりました。

2014年シーズンは、Divisional Playoffでかつての在籍チームINDに敗れました。Peyton自身がシーズン終盤に怪我を負っていたこともあってか惨敗を喫しました。そのINDをConference Finalで破ったNEがSB 49も獲ったことで、Bradyは衰えないのにPeytonはもう終わりというイメージがさらに広がりました。

その2014年シーズン後、Elwayは大きな動きに出ます。2011年シーズンの就任後、4年連続でチームをPlayoffに導いていたFox HCを馘にし、かつての盟友(自分がエースQBだったときの控えQB)Kubiakに交代させたのです。

Fox体制にあったタガのゆるみがElwayには許せなかったのでしょう。

SB 48での大敗直後にささやかれたのはDENの準備不足でした。一部の報道によると、中立地だったNYでクラウドノイズが起こる可能性に気を配らずそれが試合直後のOLを混乱させ、開幕直後のスナップミスを引き起こしたとされています。

2014シーズンのPlayoff敗戦前も、DENのロッカーはひどいありさまだったようです。高額契約をもらえそうなことを口にする選手や次のNE戦に意識が向いている選手がいて、結果としてINDに敗れたという記事を目にしました。
 
Belichick率いるNEからもわかるように、「チームの統制」は勝つための重要条件です。逆にいえば、統制がないチームは実力があっても最後の最後(つまりSB)で勝てません。ここ数年の戦果は評価されていましたが、SBを獲るためにはFox体制ではだめと判断したのでしょう。

「剛腕(Strong Arm)」と呼ばれたElwayは、3回SBに進出するも勝てませんでした。そのElwayが晩年の2年間に連覇できたのは、DENが守備を重視したチームカラーに生まれ変わったからでした。

そして自身2度目のSB制覇のとき(38歳)よりも、さらに1歳年長のPeytonを抱えるElwayは、守備中心にチームを編成し直しました。かつての勝てなかった自分を、そしてその後の連覇を知るKubiak(91年に選手引退後、連覇当時はOCとしてDENに在籍)に指揮を取らせました。

KubiakがDCとして招聘したのはWade Philipps。守備チーム構築の達人です。得点は少なくても時間を使いながらランで進み、強力なディフェンスで守り切る…Kubiak & Philipps体制で2013年シーズンとは全く異なる道を選んでSBを目指したのです。

幸いにもチームにはElwayが最初のドラフトで指名したVon MillerをはじめFAで獲得していたWare、T.J.Ward、Talibといったタレントが揃っていたこともうまく作用したようです。

こうしてSB 48ではハイパーオフェンスを売り物にしていたDENはわずか2年後に守備のチームとしてSBに登場しました(その道のりについてはいずれ別のコラムで振り返ります)。

今回の勝利で、DENは8回SBに出場(PITに並ぶ最多記録)し3勝。同じ出場回数のPITよりも勝率は悪いですが、もうDENがSBで勝てないチームとは呼べません。

PeytonはDENに在籍した4年で2回SBに進出し、SBは通算で2勝2敗。今シーズンで引退するかどうかはまだわかりませんが、Eliとも勝利数で並び、2チームでSBに2回進出し勝利を挙げた初のQBになりました。

Elwayは、DENのフロント入りして5年。かつての自分によく似た境遇にあったPeytonを呼び寄せ彼に二つ目のリングを授けました。そして同時に、引退が近い歴戦のQBでも勝てるようチームを作り直し、DENに17年ぶりのSBトロフィーをもたらしました。

表彰式を見ながら、20年近くにわたるElwayの壮大なドラマが最終回を迎えた、そんな気がしてなりませんでした。

Peytonには、引退後INDでのフロント入りを期待する声が上がっています。その時にLuckによるINDのSB優勝が果たされていなければ、それがPeytonの最初の目標になるかもしれません。
 
おっと、Elwayのもう一つの因縁について書くのを忘れるところでした。

優勝直後のセレモニーでElwayは「He wouldn’t want me to say this, but this one’s for Pat」と叫びましたね。PatとはDENのオーナー、Pat Bowlen氏のことです。

Bowlen氏はSB 32(最初の優勝)の表彰台の上で、トロフィーを掲げながら「This one’s for John」と言った人。
誰よりもElway(John)の苦難を知っていたからこそこの言葉が口を突いたのでしょう。(いまだにこの映像が残っているところが米国のすごさですね)。

Bowlen氏は数年前にアルツハイマー病を発症し、チーム3回目の栄誉を受けたSBの会場には来られませんでした。Elwayはようやくチームがたどり着いた表彰台の上で、トロフィーを手に、18年前のオーナーの言葉に応えたのでした。

フッター

2015年シーズンからアメリカンフットボールのFANTASY FOOTBALL を楽しんでいるトーマスといいます。NFLだけでなく、MLBやNBAについても語ります。

AFC東 BUF バッファロー・ビルズ NFC東 DAL ダラス・カウボーイズ
MIA マイアミ・ドルフィンズ NYG ニューヨーク・ジャイアンツ
NE ニューイングランド・ペイトリオッツ PHI フィラデルフィア・イーグルス
NYJ ニューヨーク・ジェッツ WAS ワシントン・フットボール・チーム
AFC北 BAL ボルティモア・レイブンズ NFC北 CHI シカゴ・ベアーズ
CIN シンシナティ・ベンガルズ DET デトロイト・ライオンズ
CLE クリーブランド・ブラウンズ GB グリーンベイ・パッカーズ
PIT ピッツバーグ・スティーラーズ MIN ミネソタ・バイキングス
AFC南 HOU ヒューストン・テキサンズ NFC南 ATL アトランタ・ファルコンズ
IND インディアナポリス・コルツ CAR カロライナ・パンサーズ
JAX ジャクソンビル・ジャガーズ NO ニューオリンズ・セインツ
TEN テネシー・タイタンズ TB タンパベイ・バッカニアーズ
AFC西 DEN デンバー・ブロンコス NFC西 ARI アリゾナ・カーディナルス
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LAC ロサンゼルス・チャージャース SF サンフランシスコ・49ers
LV ラスベガス・レイダース SEA シアトル・シーホークス