琴奨菊優勝おめでとう、ただし「国内出身力士」には違和感

大相撲春場所は琴奨菊が優勝して幕を閉じた。
このことは純粋におめでとうと言いたい。

大関昇進後、２６場所目。
ここまで最高は１２勝で１場所だけ。１１勝、１０勝がそれぞれ３回、
９勝は５回、８勝は８回、負け越しが５回。

ケガに悩まされ、５度もカド番（連続負け越しで大関陥落の危機）
を迎えながら、ついにつかんだ初優勝。
今場所は３横綱をすべて撃破しての優勝だから見事です。

ところで、大相撲はケガをしても休めない。

プロスポーツなら万全な体調で最高の競技を見せるのが本筋だろう。
特に相撲は１対１の格闘技。
体調がすぐれないとか、ケガをしている相手が勝てるはずがないし、
ケガをして大した反撃もできず、ずるずると土俵を割る相撲が
観客の心に響くはずがない。

しかし、相撲は単なる勝てばいい勝負ではない。

もとより体重別などで調整した対等な相手との勝負ではなく、
完全無差別級で勝っても負けても所作とか態度とか心構えが大事。

かつて「痛みに耐えてよく頑張った、感動した」と言わしめた
「道」ともいうべき伝統技能なのだ。

外国人力士もその精神を尊重して、日本式に合わせている、
そんな日本的な武道の世界で、実に２００６年初場所の栃東以来
１０年ぶりの日本人力士の優勝だ。

いや、マスコミでは「日本人力士」ではなく
「日本出身力士」と呼んでいるところが多い。

言わんとするところはわかる。
そういいたい気持ちもわかる。

しかし、違和感はぬぐえない。

「日本出身力士」ってなによってこと。

以下は屁理屈で難癖で、今のところ該当するケースはないと思うが、
「日本出身」と言われた場合に疑問を感じること。

ご両親とも日本人でご本人も日本国籍で、外国で生まれて帰国し、
相撲取りになった人は日本出身に含まれるの、含まれないの。

ご両親がもとは外国籍でご本人は日本生まれの日本人の場合、
日本出身なのかどうか。

さらに外国籍でも日本生まれの人は日本出身なのか、違うのか。

他のスポーツ、例えばサッカーや野球やテニスや陸上では
日本人なら日本人、外国人なら外国人。
（一部国籍の選手については日本人扱いの場合もある）

所属や出場などで、一定の条件はあるものの、
「日本出身選手」と「外国出身選手」を仕分けしてないよね。

日本の「国技」とされる相撲に魅せられ、日本式、日本流を受け入れ、
努力し力をつけ実績を残し昇進した外国出身力士と日本出身力士を
仕分けすることにどれだけ意味があるんだろう。

もっとも仕分けしたがっているのは相撲協会ではなくメディアのようだけど。