私は経済学者でも経済の専門家でもありません。
大学で多少経済学を学びましたが、耳学問というか知識として知っているレベルです。
そんな私でも「乗数効果」と「消費性向」については知っています。
まず、乗数効果。
学問的な定義では用語が分かりにくいので、現象として簡単に言うと、
(以下、専門用語としての用法は違うもののありますが、わかりやすく言い換えてます)
収入が増えるとある程度の割合で消費が増え、その増えた消費はまた収入の増となって
またある程度の割合で消費が増え、これを繰り返すことによって
最初に増えた収入よりもトータルで何倍かの収入増となる、
このときの何倍になるのか、という値が乗数効果です。
このとき「ある程度の割合で」と書いたその割合が「消費性向」です。
収入のうち、どれくらいを消費に使うかの比率、というわけです。
正確には限界消費性向と平均消費性向で若干意味合いが違いますが、細かい違いは省くとして、
菅大臣が子ども手当の消費性向は0.7と見込んでいる、と答弁されました。
今年は子供一人当たり月額13000円とされているようですので、
13000円家計収入が増えたお宅では、その0.7、つまり9100円支出が増える計算です。
その9100円をどう使うか知りませんが、何らかのモノやサービスを買うわけで、
それは売り上げの増となります。
売り上げが増えたからって、直ちに社員や店員の給料が上がるわけではありませんが、
結局は従業員らの収入増になります。
するとその増えた9100円分の収入は、結局その7割、6370円が消費されます。
(ここまでで9100円+6370円=15470円とすでに13000円を超えている)
またそれは誰かの収入が6370円増えることになって、その7割が支出され、、、、
これが繰り返されれば最終的には最初の13000円が、43333円となり、
3.3倍にもなります。
この3.3が乗数効果で、消費性向が0.7なら乗数効果は3.3になります。
難しい話ではなく、計算は等比級数の解で1/(1-0.7)=3.333・・・なのです。
しかし、考えてみると使っていない金、例えば最初の13000-9100=3900円、
2順目は9100-6370=2730円、3順目は6370-4459=1841円、
これらはどこへ行ったのかと、その合計はいくらかを考えてみます。
まず、その合計は簡単な数学的計算で、
3900円+2730円+1841円+・・・・=13000円になります。
ではこの13000円はどこへ行ったのかというと、
経済学では、収入=消費+貯蓄となり、また貯蓄=投資ですから、投資の増となります。
古い経済理論では、最初の13000円分に相当する最初の投資が公共投資であろうが、
減税であろうが、民間投資であろうが同じことになると考えられていましたが、
今では公共事業の乗数効果は1と考えられています。
これが菅大臣の言う「1兆円使って1兆円の効果しかない」ということの意味合いです。
これに対して林議員の答えた「公共事業の乗数効果は最低でも1」は少しピンボケです。
乗数効果は増えた収入が最終的にどれだけ全体の収入が増えたかですから、
最初に増えた分だけで、一切消費しなかった場合、つまり乗数効果1が最低で、
1以下はありません。
まあ、お分かりになっていて、わざと「最低でも」とつけたんでしょうけど。
いずれにしても近年では公共事業の乗数効果が1とされているのは、
経済を学んだ大学生なら誰でも知っているレベルですから、
菅大臣が(官僚に?)「1兆円でいくらの効果になるかと聞いた」と発言した時点で、
経済学に疎いな、おそらく乗数効果の何たるかは知らないだろうなと推測できるわけです。
林議員はこの後消費性向と乗数効果の違いを質問し、明確に答えられない閣僚に対し、
消費性向0.7なら、乗数効果1の公共事業より悪いんじゃないのかと聞いたらしいです。
もちろんこの言い回しは間違いですが、これは林議員も十分わかっていて、
嫌味たっぷりの質問と思います。
公共事業の場合、まわりまわってが機能せず、乗数効果が1というのは
パッと見、解せないようにも思えますが、原資が税金ですから、
金を集めてその金を配ることになるので、集める金に逆の乗数効果が働き、
配った金の正の乗数効果と相殺されて結局1にしかならないということなのでしょう。
ここらは私もよくわかりません。
さて、ここまでは経済理論で初級レベルで習うことですが、
現実にはなかなかそうはいきません。
まわりまわって収入が増えて、消費が増えて、といいますが、
1順するのにどれくらいの時間がかかるのかもよくわかりませんし、
最終的にどれくらいの期間がかかって落ち着くのかもよくわかりません。
それに売り上げが増えた分、丸々従業員の収入増になるとは到底思えませんし、
なったとしても時間が相当かかります。
いつかは消費に回るとしても、当面は買いたいものもない人も多いでしょうし
どのくらいの時間で効果が出てくるのかもよくわかりません
また国産品を買えば、その消費がまた国内に還元されますが、
輸入品を買えば海外に流れるだけです。
子ども手当で海外旅行してブランド品買うケースだけではなく、
多くの消費財が輸入されていますから、どうしても何割かは国外へ流れます。
いずれにしても現実と理論は違うわけですから、
乗数効果を精査してないというのもあながち間違いではないかもしれませんが、
経済閣僚が用語すら知らないのはちょっと困りものです。
大学で多少経済学を学びましたが、耳学問というか知識として知っているレベルです。
そんな私でも「乗数効果」と「消費性向」については知っています。
まず、乗数効果。
学問的な定義では用語が分かりにくいので、現象として簡単に言うと、
(以下、専門用語としての用法は違うもののありますが、わかりやすく言い換えてます)
収入が増えるとある程度の割合で消費が増え、その増えた消費はまた収入の増となって
またある程度の割合で消費が増え、これを繰り返すことによって
最初に増えた収入よりもトータルで何倍かの収入増となる、
このときの何倍になるのか、という値が乗数効果です。
このとき「ある程度の割合で」と書いたその割合が「消費性向」です。
収入のうち、どれくらいを消費に使うかの比率、というわけです。
正確には限界消費性向と平均消費性向で若干意味合いが違いますが、細かい違いは省くとして、
菅大臣が子ども手当の消費性向は0.7と見込んでいる、と答弁されました。
今年は子供一人当たり月額13000円とされているようですので、
13000円家計収入が増えたお宅では、その0.7、つまり9100円支出が増える計算です。
その9100円をどう使うか知りませんが、何らかのモノやサービスを買うわけで、
それは売り上げの増となります。
売り上げが増えたからって、直ちに社員や店員の給料が上がるわけではありませんが、
結局は従業員らの収入増になります。
するとその増えた9100円分の収入は、結局その7割、6370円が消費されます。
(ここまでで9100円+6370円=15470円とすでに13000円を超えている)
またそれは誰かの収入が6370円増えることになって、その7割が支出され、、、、
これが繰り返されれば最終的には最初の13000円が、43333円となり、
3.3倍にもなります。
この3.3が乗数効果で、消費性向が0.7なら乗数効果は3.3になります。
難しい話ではなく、計算は等比級数の解で1/(1-0.7)=3.333・・・なのです。
しかし、考えてみると使っていない金、例えば最初の13000-9100=3900円、
2順目は9100-6370=2730円、3順目は6370-4459=1841円、
これらはどこへ行ったのかと、その合計はいくらかを考えてみます。
まず、その合計は簡単な数学的計算で、
3900円+2730円+1841円+・・・・=13000円になります。
ではこの13000円はどこへ行ったのかというと、
経済学では、収入=消費+貯蓄となり、また貯蓄=投資ですから、投資の増となります。
古い経済理論では、最初の13000円分に相当する最初の投資が公共投資であろうが、
減税であろうが、民間投資であろうが同じことになると考えられていましたが、
今では公共事業の乗数効果は1と考えられています。
これが菅大臣の言う「1兆円使って1兆円の効果しかない」ということの意味合いです。
これに対して林議員の答えた「公共事業の乗数効果は最低でも1」は少しピンボケです。
乗数効果は増えた収入が最終的にどれだけ全体の収入が増えたかですから、
最初に増えた分だけで、一切消費しなかった場合、つまり乗数効果1が最低で、
1以下はありません。
まあ、お分かりになっていて、わざと「最低でも」とつけたんでしょうけど。
いずれにしても近年では公共事業の乗数効果が1とされているのは、
経済を学んだ大学生なら誰でも知っているレベルですから、
菅大臣が(官僚に?)「1兆円でいくらの効果になるかと聞いた」と発言した時点で、
経済学に疎いな、おそらく乗数効果の何たるかは知らないだろうなと推測できるわけです。
林議員はこの後消費性向と乗数効果の違いを質問し、明確に答えられない閣僚に対し、
消費性向0.7なら、乗数効果1の公共事業より悪いんじゃないのかと聞いたらしいです。
もちろんこの言い回しは間違いですが、これは林議員も十分わかっていて、
嫌味たっぷりの質問と思います。
公共事業の場合、まわりまわってが機能せず、乗数効果が1というのは
パッと見、解せないようにも思えますが、原資が税金ですから、
金を集めてその金を配ることになるので、集める金に逆の乗数効果が働き、
配った金の正の乗数効果と相殺されて結局1にしかならないということなのでしょう。
ここらは私もよくわかりません。
さて、ここまでは経済理論で初級レベルで習うことですが、
現実にはなかなかそうはいきません。
まわりまわって収入が増えて、消費が増えて、といいますが、
1順するのにどれくらいの時間がかかるのかもよくわかりませんし、
最終的にどれくらいの期間がかかって落ち着くのかもよくわかりません。
それに売り上げが増えた分、丸々従業員の収入増になるとは到底思えませんし、
なったとしても時間が相当かかります。
いつかは消費に回るとしても、当面は買いたいものもない人も多いでしょうし
どのくらいの時間で効果が出てくるのかもよくわかりません
また国産品を買えば、その消費がまた国内に還元されますが、
輸入品を買えば海外に流れるだけです。
子ども手当で海外旅行してブランド品買うケースだけではなく、
多くの消費財が輸入されていますから、どうしても何割かは国外へ流れます。
いずれにしても現実と理論は違うわけですから、
乗数効果を精査してないというのもあながち間違いではないかもしれませんが、
経済閣僚が用語すら知らないのはちょっと困りものです。
とかく現実は理論通りには動かないものですが、経済学理論は本当に検証できているのか疑わしい気がします。
安倍総裁がフィリップス曲線の事を知っていてインフレ目標を言い出したのかどうかはよくわかりませんが、
フィリップス曲線にしたって理論展開がこじつけのような気がしてなりません。
現実社会には、外国との取引、つまり輸出入があるわけで、これも理論通りにいかない要素の一つだと思います。
ま、それはそれとして、金融や経済政策を云々しようとする方々は原理原則くらいは知っておいていただきたいものです。