12月27日 琉球新報
「容認」報道に県困惑 全国紙、地域で表現使い分けも
仲井真弘多知事が24日の沖縄政策協議会の後、記者団に米軍普天間飛行場代替施設建設に関する環境影響評価書の提出を受理する考えを示したことを、多くの全国メディアが「提出容認」と報じたことについて、県庁内部で困惑の声が上がっている。
報道は主に、来年度の沖縄振興予算の大幅増額と引き替えに知事が評価書提出を「容認」したとする。しかし評価書提出に対する知事の発言は、従来とほとんど変わっていない。また同日、沖縄振興と普天間は「直接関係していない」と強調している。県幹部は「マスコミの中に(予算増額を受け容認したという)ストーリーを描きたい社があるのだろう」と、基地と振興策のリンク論を展開する報道を批判する。
評価書提出に対する県の対応として、仲井真知事は22日、記者団に「僕らが関知しないところだから、国で考えてくださいということだ」と述べ、受理せざる得ないとの認識を示した。1日の県議会代表質問で県側は「関係法令にのっとり検討せざるを得ない」との認識を示した。
24日の沖縄政策協の後、知事は「県も行政機関であり、関連法令にのっとってやる以外にない」と発言。NHKは、野田佳彦首相が沖縄振興予算の大幅増額を県に伝えたとし、「仲井真知事は政府の対応を評価し、普天間基地の移設の前提となる環境影響評価書の提出を容認する考えを示した」と報じた。
時事通信は、仲井真知事が増額を評価した後、記者団に対し評価書提出を「容認する考えを表明した」と報道した。一方、毎日新聞は同じ記事ながら東京版は「アセス提出は容認」との見出しを付けながら、西部版は「評価書受理へ」とトーンダウンし、知事発言の捉え方のぶれを浮き彫りにした。政府が予算増額で辺野古移設に向け沖縄側の理解を得たい姿勢を露骨に見せる中、県内部には知事発言は慎重にすべきだったとの指摘もある。
12月26日 沖縄タイムス(共同通信)
防衛省、普天間移設アセス評価書を郵送
防衛省は26日、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への県内移設に向けた環境影響評価(アセスメント)の評価書を沖縄県庁に郵送する手続きに入った。27日にも県庁に届く見通しだ。
当初は沖縄防衛局の職員が持参する方針だったが、県庁には26日朝から提出を阻止しようと市民団体らが多数詰め掛けた。28日まで抗議活動を続けるとしており、混乱を避けるため、法令で認められている郵送に切り替えた。ただ直接の手渡しを避けたことで説明責任などの面から「姑息(こそく)」などとさらなる反発を招く恐れもある。
評価書は2007年から実施しているアセス手続きの最終段階。約7千ページに及び、代替施設の建設による住民生活や自然への影響と対策を記述した。
12月26日 琉球新報
評価書提出警戒し、県庁で座り込み
政府が米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設に向けた環境影響評価(アセスメント)の評価書を26日にも県側に提出する方針を固めたことを受けて、基地の県内移設に反対する県民会議のメンバーら約300人(主催者発表)が26日、早朝から県庁に駆け付け、沖縄防衛局の評価書提出の動きを警戒した。参加者らは午前10時から県庁前広場で集会を開き、年内の評価書提案にこだわる政府姿勢に怒りのこぶしを挙げた。26日午前中の提出はなかった。
防衛局が早朝にも県庁を訪れるとの見方もあり、午前6時ごろから県庁付近でメンバーの一部が待機。提出先の環境生活部環境政策課周辺にも職員が登庁し始めた午前7時40分前から、メンバーが訪れ、約40人が2カ所のエレベーター前を中心に座り込んだ。県庁前には赤嶺政賢衆院議員(共産)、山内徳信参院議員(社民)、糸数慶子参院議員(無所属)の3国会議員、県議会議員、市町村議会議員ら約20人が集まった。
環境政策課周辺で座り込みを行ったメンバーは「怒」と書かれた赤い紙や「環境評価書は持ってくるな」などメッセージを書いた紙で、年内提案にこだわる政府の姿勢を批判した。名護市から駆け付けたヘリ基地反対協議会の安次富浩代表委員は「県民が反対しているのに評価書を出
すこと自体おかしい」と批判。郵送の可能性に触れ「国は堂々と市民と対じすべきだ。郵送というこそくな手段を使ってまで年内に提案すれば県民の怒りが爆発する」と語気を強めた
辺野古アセス 評価書きょう提出
政府は25日までに、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設に向けた環境影響評価(アセスメント)の評価書26日に県側に提出する方針を固めた。仲井真弘多県知事が「法令にのっとってやる」と受理する姿勢を示したことから、理解は得られたと判断した。政府方針を受け、沖縄防衛局は同日混乱を避けるため、県庁の始業前にも評価書を提出する。市民団体に阻止された場合は、配達証明付き郵便で27日必着で提出する。
評価書提出をめぐっては、県議会や各市町村議会が提出反対を決議しているほか、県選出・出身国会議員全員が反対を表明しているが、政府はこれまで再三にわたって米側に年内提出方針を表明しており、対米公約を重視した格好だ。評価書は約7千ページで、事業者の沖縄防衛局の職員が20部を県庁に提出する。知事は評価書に対して90日以内に意見書を出すことができる。
藤村修官房長官は24日の記者会見で「知事とのやりとりの中で(評価書提出は)事務的に進めてもらうことだという話まで来ている」と述べ、評価書提出については知事が理解を示していることを強調。「沖縄防衛局と県との間で事務的にどういうふうにしようかと話が進んでいる」と話し、事務手続きとして粛々と提出する考えを示した。仲井真知事は24日、首相官邸で開かれた沖縄政策協議会に出席。協議会後、記者団に「県も行政機関なので、関連法令にのっとってやる以外にない」と従来の見解を示した。
評価書の提出時期をめぐっては、仲井真知事が年末年始を挟めば知事意見の検討時間が十分に取れなくなると難色を示し、政府内で年明けの提出も検討されてきた。だが、米側が「年末までに評価書を提出することを歓迎する」と声明を出すなどして日本政府の決断を強く促したこともあり、政府は最終的に年内提出を決断した。
12月25日 八重山毎日
沖縄関連予算2937億円 与那国自衛隊配備に10億円
航空機燃料税軽減措置、石垣路線も追加
政府は24日午前、2012年度予算案を閣議決定。沖縄振興予算案は本年度比636億円増の2937億円となった。うち沖縄振興一括交付金(仮称)は1575億円。八重山関連では、新石垣空港と石垣港大型旅客船ターミナル、竹富南航路(開発保全航路)の整備事業の継続が盛り込まれた。
新石垣空港整備事業の総額は約451億円。12年度は滑走路、誘導路新設、照明、無線施設の整備などを実施予定。
石垣港大型旅客船ターミナル整備事業の事業費は約108億円。12年年度は岸壁、泊地、防波堤の整備。
竹富南航路整備事業の全体事業費は35億円。12年度も引き続きしゅんせつ工事での汚濁対策の試験施工などを実施していく。
税制改正では、交通コストの軽減を図るため、沖縄路線に係る航空機燃料税の軽減措置を2年延長するとともに、対象路線に石垣島、宮古島、久米島を追加。
離島の旅館事業用建物などに係る特別償却制度と県産酒類に係る酒税の軽減措置は5年、揮発油に係る揮発油税、地方揮発油税の軽減措置も3年延長されることになった。
防衛省関連では、陸上自衛隊の沿岸監視部隊を与那国島に配備するための用地取得費などに約10億円が計上された。
予算案決定を受け、仲井真弘多知事は「厳しい財政状況のなか、新たな沖縄振興のスタートに向けて必要な予算措置がなされたほか、沖縄振興の趣旨を踏まえた交付金が創設され、配慮されていると感謝している」と述べた。
12月22日 沖縄タイムス
泡瀬反対派へ代執行も 沖縄市、テント撤去要請
泡瀬干潟を守る連絡会(小橋川共男、漆谷克秀共同代表)が、泡瀬沖合埋め立て事業の再開に抗議するため、埋め立て地につながる仮設橋付近の市道にテントを張って座り込みを続けている件で、沖縄市は21日、行政代執行を視野に撤去を求める考えを示した。近く、戒告書を送付する。同会が求めに応じない場合、年明けにも強制撤去を実施する見込み。市議会で須田勝建設部長が、普久原朝健氏の質問に答えた。
一方、同会の前川盛治事務局長は「市に道路の占有申請を提出したが、不許可となり、異議申し立てをしている。国に許可しておきながら、われわれに許可しないのはおかしい」と反発。22日、県に道路法の規定に基づく、審査を請求する考えを示した。須田部長は「相当の履行期限を定めて、その時期までに履行されなければ行政代執行を行う」と答えた。東門美津子市長も「道路占有違反であり、道路法にのっとって対応したい」と述べた。
12月15日 沖縄タイムス
従軍慰安婦問題 関心の低さ指摘
韓国水曜デモ1000回アクション@沖縄島実行委員会(高里鈴代実行委員長)は14日夕、那覇市古島の教育福祉会館で、慰安婦問題を考える集会を開いた。
旧日本軍が慰安婦として従軍させた韓国人女性らが日本政府に謝罪と賠償を求め、ソウルの日本大使館前で毎週水曜日に開く「水曜デモ」が同日、千回に達した節目に合わせて開催。約40人が参加し、慰安婦問題を沖縄から考えていく重要性について、講演会やリレートークで議論を深めた。
県内の慰安所マップを作成している女性史研究家の浦崎成子さん(64)は、首里城近くにある第32軍司令部壕説明板の文面案に、県の検討委員会が慰安婦の存在を記述したことを評価。「司令部に慰安婦がいたことはさまざまな証言や文献で明らかになっている」と指摘し、県へ同説明板の実現を早期に実現するよう働き掛けようと訴えた。
リレートークでは「教科書で集団自決(強制集団死)の記述が後退したら県民大会が開かれるが、慰安婦では大会はなかった」と、慰安婦問題へ関心が低いことが指摘された。高里委員長は「戦時中は沖縄の女性も慰安婦にされた。真の解決に至るまで、日本、沖縄からしっかりと問題に向き合うべきだ」と訴えた。
12月14日 沖縄タイムス
知事承認なく着工可能 辺野古で政府見解
政府は13日、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に伴う埋め立てに関し、知事の承認手続きは「地方自治法に規定する第1号法定受託事務であり、国は、事務処理が公有水面埋立法に違反していると認められる時は是正の指示などができる」との認識を示した。照屋寛徳衆院議員(社民)の質問主意書への答弁書で明らかにした。
同法に基づく是正指示や勧告は、著しい適正さの欠如や公益を害する場合に出せる。知事が従わない場合、国は最終的に裁判所に訴え、判決で認められれば行政代執行できる。仮に辺野古埋め立てに知事が「不承認」としても、是正指示のプロセスを経て司法判断で認められたら着工が可能。答弁書は、埋め立て承認権限を知事から国に移す特別措置法を制定しなくとも、現行法の枠組みで工事着手できることを示唆したものだ。 野田政権は「特措法制定は念頭にない」と繰り返し述べているが、照屋氏は「日米合意は国同士の約束で『公益』とみなし、法定受託事務である辺野古埋め立てを行政代執行で行おうと考えているのではないか」と指摘した。
よく出来た話、稲盛日航が下地島から撤退。 だれの差し金か? その後は自衛隊が面倒見ますということか。
12月7日 琉球新報
日航、下地島空港撤退へ 県、民事調停も視野
県議会(高嶺善伸議長)の11月定例会は6日、一般質問2日目の質疑を行った。下地島空港での訓練を2010年5月から中断している日本航空について与世田兼稔副知事は「日本航空はことし3月、覚書を2011年度限りで解約する旨通知し、12年度以降は維持費を負担しないと県に申し入れている」と明らかにした。同空港の運営経費は、県との覚書で日本航空と全日空が実質2分1ずつ負担している。与世田副知事は「撤退した場合、下地島空港の存続は困難。民事調停などによる対応を視野に入れ検討している」との考えを示した。奥平一夫氏(社大・結)への答弁。
県によると同空港の年間運営経費は約6億円。3月の通知では覚書解約の理由について、経営環境の悪化や12年度以降に大規模な訓練の予定がないためとしているという。与世田副知事は日本航空の通知に関し「操縦訓練以外への転換は容易ではない。同空港が日本航空をはじめとする国内航空会社の強い要望で建設された経緯などから、1年程度の予告通知で撤退することには応じられない」と指摘した。同社との協議の進展については、「日本航空は主張を変えていない」と述べた。
11月18日 琉球新報
沖縄戦認識など討議 日本平和博物館会議
第18回日本平和博物館会議定例会が17日、糸満市のひめゆり平和祈念資料館であった。県平和祈念資料館、対馬丸記念館、広島平和記念資料館など県内外の平和博物館9館の館長、学芸員らが参加。平和博物館活動の充実、沖縄戦の認識について話し合った。
対馬丸記念館の渡口真常副館長は「県内でも沖縄戦年表から対馬丸事件が抜けているところがある。1945年3月の慶良間諸島への米軍上陸からを沖縄戦とすると、対馬丸事件も10・10空襲も抜けてしまう。沖縄が戦時下に入った44年3月の32軍設置からを沖縄戦とすれば、疎開も含まれ、沖縄戦の実相がよく見える」と指摘した。
県平和祈念資料館は「一般的に狭義の沖縄戦は米軍上陸からだが、県平和祈念資料館では沖縄戦前夜として、来館する子どもたちには32軍の設置から伝えている」、ピースおおさかは「米軍上陸前の沖縄として沖縄からの移民が多かったサイパンを扱っている」などと報告した。同会議は18日は沖縄陸軍病院南風原壕群20号壕、糸数壕を見学する。
辺野古と高江に一挙に攻勢が
11月16日 琉球新報
高江ヘリパッド建設、国が工事再開 住民らとにらみ合い
工事の再開をめぐり、にらみ合いを続ける沖縄防衛局職員と住民ら
米軍北部訓練場の一部返還に伴う東村高江へのヘリパッド建設で、沖縄防衛局は15日午前、現地で工事を再開した。反対する高江住民や市民団体のメンバーらがゲート前に座り込み、重機の搬入はできなかったが、施設内の測量は実施された。
一方、市民団体や一部政党が工事を阻止するために6月末ごろからゲート前に設置している車両について、名護署は「車両の出入り口に駐車することは道路交通法違反になる」として移動するよう警告した。同署による警告は初めて。
住民らによると、沖縄防衛局の職員と作業員は午前10時18分ごろ現場に到着。ショベルカーをゲート前まで進めたが、住民らの抗議行動で施設内に搬入できず、作業員らによる測量のみが実施された。ゲート前には当初2、3人の住民らがいたが、防衛局の到着後に40~50人が駆け付けた。ゲート前で防衛局側は「工事をさせてください」と繰り返したが、住民側は「話し合いをしましょう」「工事をしないでください」と訴え、防衛局職員らが抗議の様子をビデオ撮影する中、両者のにらみ合いが続いた。ヘリパッドいらない住民の会の伊佐真次さんは「なぜ今の時期に工事を再開するのか理解できない。政府にちゃんと工事をやっていることを示すためのアリバイづくりではないか」
11月16日 沖縄タイムス
立ち退き協議平行線 辺野古テント村
名護市辺野古区(大城康昌区長)と米軍普天間飛行場の移設反対派の代表は15日、同区公民館で海岸の通称「テント村」をめぐり協議した。区側が撤去を求めたのに対し、反対派は「移設計画がなくなれば出て行く」と応じず、議論は平行線に終わった。
区側は大城区長、宮城安秀市議、行政委員ら5人、市民団体側はヘリ基地反対協議会の安次富浩共同代表、同区の嘉陽宗義さん、市議ら5人が出席した。
大城区長らは7年以上も黙認してきたとし「区民から迷惑だとの声が上がっている。別の場所を探してほしい」と早期立ち退きを要求。これに対し、ヘリ基地反対協の安次富共同代表らは「迷惑をかけているのは申し訳ない。基地問題が解決すれば撤去する」と猶予を求めた。土地管理者の市側は憲法の「集会などの自由」に照らし、「撤去を強要できない」としている。
11月15日 琉球新報
辺野古評価書 県議会、提出断念を要求
県議会(高嶺善伸議長)は14日、臨時会を開き、政府が米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けた環境影響(アセスメント)の評価書を年内に提出する方針であることについて、評価書の提出自体を断念するよう求める意見書案を全会一致で可決した。
宛先は首相、防衛相、外務相、沖縄担当相ら。評価書提出という法的手続きを進めることで、移設作業の進展を図ろうとする政府に対し、あらためて県内移設を拒否する姿勢を強く示した。米軍基地関係特別委員会(渡嘉敷喜代子委員長)のメンバーを中心とする要請団が17日に沖縄防衛局や外務省沖縄事務所、18日に上京して首相や防衛相、外相ら宛てに要請行動を展開する。
意見書は、政府の年内提出の方針について「国防費削減を迫る米上院の国防権限法案の成否次第で日米両政府が窮地に追い込まれることを避けるため」であると断じ、このような姿勢は「県民の総意を無視するもので、到底看過できない」とし、提出の断念を要求。あらためて県内移設反対、国外・県外移設を求めている。
採決の際に退席する意向を示していた名護市区選出の吉元義彦氏(自民)は体調不良で欠席した。
高嶺議長は採決後の会見で12日にホノルルで行われた日米首脳会談で野田佳彦首相がオバマ米大統領に対して評価書の年内提出を明言したことについて「県民への十分な説明や理解、協力が得られておらず、見切り発車的な発言だ」と批判。「それだけに今回の全会一致による意見書決議は大変に重いものがある。政府は地方自治法にのっとった議会決議を尊重してもらいたい」と訴えた。
11月15日 琉球新報
高江ヘリパッド建設 工事再開も膠着 防衛局と住民にらみ合い
工事の再開をめぐりにらみ合いを続ける沖縄防衛局職員と住民ら
米軍北部訓練場の一部返還に伴う東村高江へのヘリパッド建設で、沖縄防衛局職員と作業員は15日午前、工事を再開するためにN4地区のゲート前に集まった。反対する高江区住民や市民団体のメンバーらがゲート前に座り込み、午後1時現在、工事は再開されず、膠着状態が続いている。
防衛局は15日、現場への重機搬入や測量を予定。住民らによると、防衛局職員と作業員らは午前10時18分、現場に到着した。バスやトラックなど数台で訪れ、ショベルカーをゲート前まで進めた。作業員らはゲート内に入り、重機の搬入を待ったが、住民らの反対で作業が進まず、正午には休憩のためゲート内から離れた。
現場には当初2、3人の住民らがいたというが、防衛局職員らが到着してから20~30人が駆け付けた。防衛局側は「工事をさせてください」と繰り返し、住民側は「話し合いをしましょう」「工事をしないで帰ってください」と平行線をたどっている。
作業員らが現地を訪れたのはことし2月以来。3~6月はノグチゲラの営巣時期に当たるため工事は中断されていた。住民や支援者らは6月中旬から工事再開を見張るために、24時間態勢で現場に張り込んでいる。
10月30日 沖縄タイムス
戦争マラリアを紙芝居に 劇作家栗原さん制作
和歌山県在住の劇作家、栗原省さん(83)がこのほど、戦争マラリアで家族6人を失った石垣市の大浜ヨシ子さん(77)の証言と2010年の本紙連載「忘れまい 65年の言魂(ことだま)」を基に、紙芝居「ヨッ子ちゃんのこわかった話」を制作し、地域で平和活動に取り組む「八重山戦争マラリアを語り継ぐ会」(玉城功一会長)に寄贈した。同会は紙芝居を小中学校などでの平和教育に活用するほか、来年6月の「慰霊の日」に合わせた朗読劇の上演も計画している。(又吉嘉例)
竹富町鳩間島の大浜さん一家は沖縄戦時、日本軍によってマラリア有病地帯の西表島へ強制的に疎開させられた。鳩間島の家は米軍の空襲で焼失。敗戦後、マラリアを発病した母親ときょうだい5人は3カ月の間に次々と命を落とした。その都度、父親の孫保さんが家族の亡きがらを墓へ運び、葬った。
戦争体験者の証言をつづった本紙連載で大浜さんの記事を読んだ栗原さんは「作品化のヒントを得た」と構想を練り、ことし6月から紙芝居の制作を開始。大浜さんと面談し、鳩間島での現地調査を経て完成させた。31場面でつくる紙芝居では疎開先の生活や高熱でうなされる母親の体をさするきょうだい、遺体を運ぶ父親の姿などが印象的に描かれている。紙芝居を見た大浜さんは「戦争は二度と起こってはならず、いろんな方法で体験を伝えることが大事。私の体験が後々まで残り、伝わるのであればうれしい」と喜んだ。
作品の寄贈を受けた「語り継ぐ会」は昨年10月、戦争マラリアの証言による朗読劇「ハテルマ・ハテルマ」を市内で上演するなど、これまでも栗原さんの台本や紙芝居を平和活動に生かしてきた。玉城会長は「紙芝居は学校現場で活用してほしい。会も朗読劇につないで、八重山の戦争マラリアの実相を伝えていく」と強調する。現在、朗読劇の台本を執筆している栗原さんは「主義主張を超え、『これだけはいけないんだ』と心を打たなければ文化じゃない。文化で平和の大事さを伝えたい」と意気込んでいる。
10月27日 琉球新報
海自艦、米原潜が寄港 きょうから日米共同演習
桟橋に集結する海上自衛隊の護衛艦。左から「ひゅうが」「あたご」「きりしま」
「はたかぜ」「はまぎり」「きりさめ」うるま市勝連のホワイトビーチ
うるま市勝連のホワイトビーチに26日、米海軍の原子力潜水艦1隻と海上自衛隊の護衛艦6隻が寄港しているのが確認された。護衛艦6隻は海上自衛隊が27日から11月4日まで沖縄周辺海域で米海軍と実施の実動共同演習に参加する。原潜も演習に参加するものとみられる。
寄港したのは米海軍ノーフォーク基地所属のロサンゼルス級原潜オクラホマシティで26日午後2時20分から同3時7分まで補給、維持の目的で沖合停泊した。今年に入っての原子力艦船の寄港は27回目で復帰後409回となる。
護衛艦はヘリ搭載護衛艦ひゅうが(横須賀基地所属)、イージス艦きりしま(同)、ミサイル搭載護衛艦はたかぜ(同)、イージス艦あたご(舞鶴)、汎用護衛艦きりさめ(佐世保)、汎用護衛艦はまぎり(大湊)。演習は自衛隊から艦艇約30隻、航空機約60機、米海軍から艦艇約20隻が参加し、対潜水艦戦、対航空機戦、対水上戦を実施する。
パネッタ米国防長官が評価書提出要求を公言
10月24日 沖縄タイムス
辺野古アセスの早期提出要求 米国防長官
アジア歴訪中のパネッタ米国防長官は23日、米軍普天間飛行場の移設先として日米が合意した同県名護市辺野古のアセスメント結果をまとめた「環境影響評価書」について「前進を促したい」と述べ、日本政府に早期提出を求めた。24日からの訪日を控え、インドネシア・バリ島で記者団に語った。米高官が評価書提出要求を公言したのは初めて。
日本政府は沖縄県側に年内の評価書提出方針を伝えており、25日の日米防衛相会談で米側に報告する見通し。両政府はこれを受け、11月に見込まれる日米首脳会談などをにらみ、現行計画実現に向けた取り組みを加速させる。
10月23日 琉球新報
「国策は変えられる」 基地と原発でシンポ
反戦ティーチインで議論するパネリストら
「2011反戦ティーチイン」(県マスコミ労協主催)が22日、那覇市おもろまちの那覇市職員厚生会館ホールで行われた。「『基地』と『原発』の現場から『国策』を問う~日米同盟の深化と原発安全神話の崩壊がもたらすもの~」をテーマにルポライターや記者が意見を交わした。
9月19日に東京で6万人が集まった「さよなら原発集会」の呼び掛け人の一人でもあるルポライターの鎌田慧(さとし)さん、新潟日報記者の前田有樹さん、沖縄タイムス記者の渡辺豪さん、八重山毎日新聞記者の比嘉盛友さんがパネリストを務めた。
鎌田さんは「国策は不動のものではない。国策を変えようという市民運動が大切であり、その市民をつなぐ役割をジャーナリズムは果たすべきだ」と力説した。前田さんは「地域住民が望まない国策への依存は決して地域の活性化にはつながらない。原発に頼らない地域をどうつくるか、考えていかなければならない」と述べた。
10月22日 沖縄タイムス
辺野古反対でもアセス進行 防衛省
防衛省は21日の自民党外交・国防合同部会で、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に伴う環境影響評価(アセスメント)をめぐり、評価書提出後の知事意見の法的位置付けに関し「あくまで環境保全の見地からの意見と定められている」とし、辺野古案に反対する内容であってもアセス手続きを進める意向を示した。
同省担当者は「知事意見の中身に応じて検討したい」と述べ、評価書を補正する考えを示しつつ、「意見は承るが、手続きは手続きとして進める」と明言。引き続き辺野古移設に理解を求めると強調した。
知事意見が提出されなかった場合、法令上は「意見なし」と見なされ、県に出した評価書がそのまま確定し、公告・縦覧に付されるとの認識を示した。
普天間移設とパッケージとされる在沖米海兵隊のグアム移転について、防衛省は、米側で工事が停滞しているため、日本側の本年度負担金149億円を米側に渡していないと説明。来年度予算への計上可否を検討する姿勢を見せた。
外務省の担当者は、米議会での予算削減の動きを念頭に「米側にも責任を持って予算を付けてもらわないといけない。高いレベルできちんと申し入れる」と強調。防衛省側は、米予算で全額削除された場合でも、米議会が条件付きでグアム移転の事業継続を認める余地はあるとした。
10月22日 沖縄タイムス
評価書年内提出を確認 関係閣僚が会合
政府は21日、首相官邸で沖縄関係閣僚会合を開き、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に伴う環境影響評価(アセスメント)の評価書を年内に県側へ提出する方針を確認した。来年度以降の新たな振興策については、3千億円の一括交付金化という県の要望を踏まえ、年末の予算編成に向けて実現に努力していく方向で一致した。
政権発足後2回目の会合には藤村修官房長官らが出席。11日から相次いで沖縄を訪問した川端達夫沖縄担当相、一川保夫防衛相、玄葉光一郎外相が県内関係者との会談結果を報告した。一川氏は会合後の記者会見で、年内の評価書提出方針について「(関係閣僚の)だいたいのコンセンサスは得られている」と説明。一方で「提出時期そのものを明確にわれわれも言っていない。年内に提出できるよう作業を進めている」とも述べた。
藤村氏は会見で「情報共有を図り率直な意見交換を行った」とした上で、辺野古移設については「沖縄県の厳しい状況を(各閣僚から)報告をもらった」と述べた。会合では、今後も日米合意を踏まえて誠実に説明し、粘り強く理解を求めていくことを確認した。
10月22日 沖縄タイムス
沖縄戦被害 国の調査なし
住民を巻き込んだ地上戦で多くの犠牲者を出した沖縄戦の実態について、国がこれまでに総合的な被害状況の調査を実施したことのないことが21日、分かった。同日の県議会決算特別委員会で、宮里達也福祉保健部長が「国(厚生労働省)に問い合わせたところ、行われていない」と述べた。仲村未央氏(社民・護憲ネット)の質問に答えた。
福祉保健部によると、1947~49年に当時の政府の経済安定本部(現内閣府)が調査・公表した「太平洋戦争による我国の被害総合報告書」には、沖縄戦の実態は入っていないという。同部福祉・援護課は「全国における戦争被害の実態調査は終戦直後に行われたが、その時点で沖縄県は日本の政権下になかった」と説明した。
今後、国に実態調査を求めるかといった県の対応について、宮里部長は「どうして沖縄戦の調査が行われなかったのか、復帰のときにそれを求めなかったのかなどを可能な限り調べて、国との協議が必要ならやっていきたい」との考えを示した。
10月20日 沖縄タイムス
「基地なぜ押し付ける」玄葉外相に抗議
外相の訪問に抗議する住民ら 名護市役所前
「新基地建設は許さないぞ」―。19日、玄葉光一郎外相が訪れた名護市役所と県庁の前では、市民団体や労組が陣取り、米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への基地建設に反対の声を上げた。
名護市役所の敷地内には約60人が詰め掛け、玄葉外相の到着に合わせて、シュプレヒコールを繰り返した。その中に辺野古の浜で抗議の座り込みを続ける嘉陽宗義さん(88)の姿もあった。「国を家族に例えるなら、首相は父親。子ども(県民)がこんなに嫌がっているのに、なぜ押し付けるのか」と声を振り絞った。
県庁前に足を運んだ名護市辺野古の宮城清子さん(85)は「沖縄戦を生き延びた私がやることは、沖縄にこれ以上基地を造らせないこと」と語気を強めた。
10月20日 沖縄タイムス
名護市長「他の候補地へ努力ない」
玄葉光一郎外相は19日午前、名護市役所で稲嶺進市長と会談し、米軍普天間飛行場を同市辺野古へ移設するとした日米合意の推進に理解を求めた。稲嶺市長は「辺野古の海にも陸にも新しい基地を造らせないという市民との約束、信念を貫く決意である。辺野古移設の撤回、日米合意の見直しを米国に進言してほしい」と反対の意思を強調した。
玄葉外相は、日米合意推進の理由に日本を取り巻く安全保障環境と沖縄の地理的優位性を挙げ、「合意を進展させることが(政府の)基本的な考えだ」と述べ、沖縄全体の負担軽減にもつながると強調した。
その上で「日米安保のために沖縄に大変な負担をかけている」と謝罪しながらも、「日本の安全保障環境は厳しさを増している。沖縄は東アジアの各地域に等しく近く、シーレーン、東シナ海、南シナ海、太平洋に近接する地理的優位性を持っている」とした。
鳩山内閣の対応については「(県民の)期待値を高めて回帰してしまった」と陳謝する一方、「努力を試みたことに一定の理解を」と求めた。
稲嶺市長は「(他の候補地が)ポン、ポンと出ただけで、普天間飛行場を県外へ移設する努力も試みも感じなかった」と反論。「普天間問題の原点は危険性の除去」とあらためて伝え、「日米が宜野湾市と名護市の問題に矮小(わいしょう)化し、辺野古移設ができなければ普天間を固定化するという話では、世界の民主主義をリードする日米両国が世界中から非難を受ける」とくぎを刺した。
会談後、稲嶺市長は玄葉外相が沖縄の地理的優位性を繰り返したことに、「米国内や海兵隊幹部の話からも必ずしもそうではなく、沖縄の優位性は過去のもの。日本政府が言い続けているだけだ」と疑問視した。
10月19日 琉球新報
辺野古移設強行 「擬制」の民主主義国なのか
民主主義によって制御できない政治、政府とは何か。米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設問題に関する限り、この国はまるで県民不在の「擬制」の民主主義国家だ。
沖縄の民意が普天間飛行場の県外・国外移設や閉鎖・撤去であることは明白だ。日米両政府は辺野古移設こそが現実的解決策と述べているが、見当違いだ。県知事や名護市長ら県内41市町村の全首長、県議会が辺野古移設に反対し、県民世論の大多数も反対だ。この「数」は1996年の日米両政府の普天間飛行場返還合意以降、県民が熟議に熟議を重ねた民主的手続きの到達点だ。
今の日本でこれだけの議論を経て発せられる民意が踏みにじられる地域が他にあるか。野田佳彦首相は自身の地元から同じように明確な民意が発せられても、政治生命を賭して民意をつぶすのか