Jacarandaの木の下で

2004年〜2006年
ザンビア共和国での在外公館派遣員の記録

祝・初ギレ。

2004-12-10 05:00:28 | Weblog
僕らは空港のカフェでコーヒーを飲みながら搭乗を待っていた。
これで終わる。一日遅れたけれど、なんとか彼女をエチオピアに送り出すことが出来る。
搭乗45分前、突然アナウンスが入り彼女の名前が呼ばれた。
「すぐにチェックインカウンターに来てください」と。
あ~なんかあったのかな?としか思わなかった。
支払いを済ませ、カウンターに戻ると離陸間近なのに人がごった返していた。
でも僕はまだ何も気付かない。
カウンターに行くとチケットを返せと。
チケットを見ると名前が違っている。
僕のお客が「Shimizu」、チケットの名前は「Shimemba」
おいおい、だれだShimembaって!?確かに“Shim”までは一緒だけど。
チケットを取り上げられたので、じゃあ彼女のチケットは?と聞くと、
「満席であんたの席は無い。予約が確定されていないからウェイティングリストだ」と。
でたよでたよ。
その日にチケットを買ったのに確定してないってありえないでしょ。
冷静になってみると周りにも20人以上同じ状態の搭乗予定者がカウンターに詰め寄っていた。
これはまずい。このまま乗れなければ反省坊主どころか明日にはスキンヘッドになっちまう。
頭皮は守りたいから是非ともそれは避けたいと思った。
皆と同じくフロントマネージャーに詰め寄るもいっぱいいっぱいになっていてまるで役に立たない。この時既に離陸時間をまわっていた。この状態のまま離陸し、飛んじゃったんだから仕方ないと言われそうな状況。
ここから僕はキレました。
そいつをひっ捕まえて「大使館の上客だ、緊急だ!」って感じで地位を利用した。
こんな時の方が英語がすらすら出てくる。文法を気にする余裕なんて無いから。
自分の身分なんて省みず「You must arrange immediately,NOW!!」てな感じで。
しばらくして、航空会社のマネージャーが出てきて色々指図をしていたのを発見。
そいつに再び詰め寄り、大使館の名前をだすと、席を用意すると。
チケットをアホフロントマネージャーから取り返し、すぐに席を確保。
なんとか乗れることになった。でも周りにはまだまだ乗れない人の群れ。
僕らの隣にいた人間なんて10人分の席が取れてないといって、マネージャーに詰め寄っている。
以下、彼とマネージャーのやり取り。
「俺らの席はどこだ?」
「何人分?」
「10人分」
「それは無理だ。2人分でどうだ?」
「いや、せめて3人分は欲しい」
何だこの会話?店で値段交渉してるわけじゃないんだから…
それがエチオピア航空。
そんな彼らを残して僕らはそそくさと搭乗口へ。
やっと彼女を送り出し、飛行機が出るまで待っていた。
予定20分遅れでファイナルボーディングのアナウンス。
30分、まだでない。
その内遠くからきた激しい雷雨に包まれた。
45分、まだでない。もしかしてこのまま飛ばないんじゃ!?なんて心配も出てくる。スキンヘッドの心配も再燃。
50分、やっと飛行機からタラップが取り外された。
離陸予定の1時間後、飛行機は雷雨の中、雲の中に飛んでいった。

事後処理が残っているものの、ひとまず、これで一連のトラブルは終わった。ほっと一息。
ほんとにぎりぎりまで僕に緊張をさせてくれた。
これだから楽しい。何があるかわからないザンビア。こんな楽しい国はそうないだろうね。

今回のトラブルでたくさん勉強をした。
ある意味、経験の浅いこの時期でよかったのかもしれない。
“派遣員”という仕事を思いっきり感じられた時間だった。

2度とエチオピア航空なんて使うもんか。