Jacarandaの木の下で

2004年〜2006年
ザンビア共和国での在外公館派遣員の記録

野焼き。

2005-10-19 09:15:28 | Weblog
昼食のために並木道を歩いてたら、ふと何か実が付いているのを見つけた。
それはマンゴーの樹で、数え切れないほどのまだ青いマンゴーが、金玉のようにだらしなーく、実をつけてた。

ルサカの道端ではよく野焼きをしてる。
樹木の肥料のためなのか、行き場の無いゴミを燃やしているだけなのかはしらないけれど、その火の強さに遠慮は感じないし、取り締まりなんてあったもんじゃない。
ガソリンスタンドの5メートル手前でも平気で燃やしてる。
やばいでしょ。ちょっと風で火の粉でも飛んじまったらドカーンだよ。
なのにスタンドでは「NO SMOKING」って。注意の意味を禁煙活動とでも間違えてんじゃないかな。




ルサカ空港。

2005-10-17 20:36:18 | Weblog
昨日、お客さんを迎えに空港へ。
12時20分到着の5分前にアナウンスが入る。
「到着予定は14時30分です」
南アから約2時間かかるんだから、10時半の時点で飛んだか飛んでないかわかるだろ。
ルサカに着いた便は1時間後に客を乗せてまた南アへ戻る。
そのお客は既にチェックイン済み。
まったく困らせる空港だ。
空港の時計で動いているのは掲示板の1つのみというのもあり得ない。
他がないならまだいいけれど、あるのに止まっている。
知らない人は混乱する。

頼むよ、ルサカ空港。



性善説。

2005-10-11 07:14:51 | Weblog
「人間の本性は善であり、仁義の徳の端緒をはじめから備えている」

人間を信じたい。少なくとも自分の周りにいる人間は。
僕はそうしてきた。
他人を疑うことや責めることは自分を守ること。
疑って間違っていた時の自己嫌悪は計り知れない。
信じてダメなら信じた自分を責めればいい。

このガソリン危機に、運転手が苦労して手に入れたガソリンが盗まれた。
入れ物ごとではなく中身をすこしだけ。 
普段は鍵の掛けてある倉庫。日中は開いている。
この週末は僕がその鍵を持ち帰ったため、入れる人間はいない。
運転手がものすごい剣幕で僕に不平を言った。
「誰かに盗まれた。手に入れるのにはすごく苦労するんだ。どうするんだ。」
その運転手はたまにヒステリックになり、言葉も強くなる。
気持ちは分かるけれど、あまりに攻撃的な口調に僕も頭にきた。
20L入ったタンクからその運転手が数日前に5L程使って置いておいたから15Lは残っているはずなのに5L程しか残っていないという。
僕は20Lも見てないし、5L入れたのも見てない。ましてや15L残っているのだって見ていない。
僕の知っているのは目の前にあったほとんど空のタンクだけ。
盗まれたか、狂言か。もしかしたら勘違いか。疑い出したらキリが無い。
無いものは無い。現実を見る。

そのやりとりで僕は一日持たせるべき元気を失った。
昼食後に人知れず大使館裏の芝生に寝転び、空を見た。
バカみたいに青い空。
疑うことなく風に身を任せる雲。
壁の向こうではガソリンも盗みも必要としない子供たちがボールを蹴って遊んでいた。
その中で、誰のものでもない中性の空気を吸って少し楽になった。

途上国では人を疑わずして安全に生きられない。
残念だけれどそれが現実。
環境が人間を変える。
文明を運んだ先進国も一因。
富をもたらし、貧を助長した。
『生きるため』に必要なことが多様化しすぎた。
選択肢は心に迷いを与える。

この国の良さは人間の良さ。
どんなに便利になっても、それはずっと変わらないで欲しい。




超ガス欠。

2005-10-05 04:48:46 | Weblog
非常事態宣言。
ガソリンがない。

ガソリン供給会社のクローズを受け、ザンビア全体からほぼガソリンが消えた。

ガソリンスタンドにはガソリン車を待つ百台ともいえる車で溢れる。
コンテナーを片手に待つザンビア人。
従業員やマネージャーに詰め寄り罵声が飛び交う。
あらゆる方向を向いて止まっている車で道は道でなくなり、通行止め。
夜中になると車を置いて帰る人。
主をなくしたからっぽの車だけが抜け殻のように夜のガソリンスタンドで朝日を待つ。
ハリケーン・カトリーヌの影響でガソリンスタンドにならんだアメリカ人。
「7時間も待ってんだが列が動かない・・」
甘い。
ここでは3日も4日もスタンドの車の中で夜を越す。いつともわからないガソリン車を待ちながら。日中はもう35度くらいまで上がっている。体力的にも精神的にも相当な負担。
仕事上必要な車をドライバーに託している。
彼らも同じようにスタンドで夜を越した。
そのドライバーの一人にねぎらいの昼飯を買ってあげた。
数分後、全部ゲロになって出ていった。
そして午後は休暇を取った。
疲れてる体にフライドチキン5つは重すぎたらしい。
申し訳ない。良かれと思って・・

情報が飛び交うけれど、どれも当てにならない。
何がなんでも並んで待つのみ。

30年間、こんなことは無かったと言う。
ガソリンが無ければ、車が動かない。
車が無ければこの国で動けない。

車が無ければパトカーは出動しない。
もともとこの国でパトカーの出動など見たことはないけれど。
パトカーが出動しないと犯罪し放題。
犯罪が起こるとけが人が出る。
けが人が出ても救急車は出動できない。
救急車で病院に連れてきても医者が出勤できない。
ちーん。

この国の唯一の交通機関のバスが動かない。
タクシーも動かない。
郵便物も取りにいけない。
修理を呼んでもこれない。
電話をしても職場に人がきてない。

僕も明日から同じ敷地にすむ館員と合同出勤。
僕の家は仕事場から約10km。ひ弱な日本人が出勤で歩ける距離じゃない。
自転車で行くのはいいが、暗くなったらそれも危ない。

大学の学生が今日昼頃、道行く車に投石デモを始めた。
下水関係の不満に加え、先生が来てないことへの不満が爆発。

先が見えない非常事態。
でもちょっと楽しい。





不適在不適所。

2005-10-04 06:43:16 | Weblog
前日に書いたように、ルサカは夜景が綺麗なほどある程度都会であり、わずかながらも高い建物や、アスファルトの道路に車が走っていることをまずは頭に入れておいてもらいたい。

昔書いたかもしれないけれど、大使館にはよく猿が来る。
普段はすぐ近くの莫大な敷地を持つ大統領官邸内にいるのだけれど、よくうちの大使館に来ては果物を盗んで行ったり、配線を引っぺがしたりする。
まだ時期にははやいけれど、マンゴーが今年は大量に実をつけ、僕を初め、今か今かと待ち受けている。
それを狙って白昼堂々猿はやってきて盗もうとする。
セキュリティーガードが猿を発見するやいなや、大急ぎで走り寄り、大げさな動きで追っ払う姿は大そう滑稽であり。
そういうセキュリティーガードも誰もいなくなった夜中に果物を盗み食いしてるのは暗黙の了解であり。

先月だったか、ルサカ北部に野生のメスライオンが2頭現れたらしいというのがニュースになった。村の家畜が襲われ続け、数日後には南下しルサカに近づいてきた。ライオンですよ。あの普通檻にいつやつね。
それなのに初めは見つけても殺しちゃいけないって。じゃあ見つけたらどうするの?「あ、相当場違いだからあっち行ってたほうがいいよ」とは残念ながら言えません。どうせなら30歳まで生きたいので。
それでも被害が出続け、いつのまにかルサカを縦断し、ルサカ南部で被害報告が出された頃には見つけ次第射殺ということになっていた。
どちらのライオンさんだか知りませんが、大そう旅が好きなんだなぁとつくづく感心するも、住んでいる所に野生のライオンなんて普通いちゃダメですよ。
結局その後の消息は不明。むしろ、ライオン騒動に便乗したザンビア人が家畜を襲って略奪した可能性も十分考えられる。それができるのがザンビア人だから。

さらに数日前、ライオン騒動がおさまったと思ったら、今度は中くらいの獣が家畜や人を襲っているとの記事があった。
希少種のワイルドドッグか、ハイエナのような動物か、正体は不明。襲われてるのにわからない。もしかしたら野犬の格好をしたザンビア人が・・それはない。

まったく物騒な街ですよ。